『さあ、毎度お馴染みのクライマックス・フェイズだ。いくぞ！────────勇者、推参ッ！！！』
概要
CV：島袋美由利
ゴブリンスレイヤーの物語において、各巻の幕間に登場し活躍している『勇者』の称号を持った15歳の只人（ヒューム）の少女。勇者の証とされる聖剣を所有している。一人称はボク。
聖剣によって勇者に選ばれ魔神王を倒した功績によって、冒険者としては歴史上において10人目となっている最高位『白金等級』の地位を持っており、自身と同じく階級の高い女性の冒険者である剣聖、賢者の二人とパーティーを組んで活躍している。
天真爛漫で怖いもの知らずな性格で、どの様な危険な戦いでも嬉々として挑む精神力の持ち主でもある。
両親を失った天涯孤独の身であり、冒険者になる前は孤児院で暮らしていた。
本来の主人公であるゴブリンスレイヤーが、各ストーリーでゴブリンをぶっ殺しまくっている傍ら、彼女はもっぱら剣聖や賢者と共に裏で暗躍する黒幕などと戦っている。
そんなゴブリンの裏に潜む巨悪と戦う役割上、何かとゴブリンスレイヤーとはニアミスが多く、そのため互いの冒険が思わぬ形でリンクしているケースが頻繁に起こっている。
そのゴブリンスレイヤーとは書籍3巻で直接会っているものの、互いの素性には気付いておらず、ゴブリンスレイヤーが収穫祭に向かう彼女らにアドバイスをする程度の会話に留まっている。
勇者である彼女の率いる一派は、冒険者達の間では有名な存在となっており、彼等の会話の中で様々な武勇伝が語られている模様。
しかし、その活躍はゴブリンスレイヤー達のゴブリン退治と密接に関わっている事が多く、結果的に勇者達の活躍の方が優先的に広まってしまう事になっており、ゴブリンスレイヤー達の活躍は吟遊詩人に広められもしない限りそれ程知れ渡ってはいない事に繋がっている。
一方で彼女自身は、勇者が「世界は救えても、全ての人々を救う事は出来ない」存在である事を本能的に理解しており、自身の掴んだ世界の平和が、在野の冒険者によって支えられている事を忘れてはいない。
幼少時代、ゴブリンに狙われた故郷をとある冒険者に救ってもらった経験からか、ゴブリンを雑兵と侮った剣聖をたしなめており、ゴブリンをただの雑魚とは見なしていないようである。
なおやる夫スレにおける彼女のAAはユウキ(以前は涼宮ハルヒや安心院なじみ)である。
AA版では駆け出しの頃に『超勇者』と名乗った事が黒歴史になっている事から、原作者やAA版を知るファンからは『超勇者ちゃん』と度々呼ばれる。
アニメではハルヒに寄ったビジュアルになっている。
……ただし、スタイルは元ネタと違って年相応といったところであり、ぶっちゃけて女神官とどっこいどっこい。
聖剣装備の勇者仕様だと目立っていろいろと面倒くさいということで、普段は年相応の冒険者らしく鉄の槍と緑の外衣と鎖帷子を身に纏っているらしい。
この姿では白磁等級として振る舞っており、英雄となった蛮族の名を偽名として名乗っている。
また、魔法道具として見た目の割りにほぼ無限に道具を入れられる袋を所持している。
袋は保温機能付きらしく、「あいすくりん」でも袋にいれている間は溶けないようになっており、お土産として持ち帰る際に活用している(ボイスドラマにて)。
勇者としての実力と功績
「勇者」と呼ばれているだけあってその実力は非常に高い。
…というか、もはや規格外そのものとしか言いようがなく、作者直々にシステムが違うと太鼓判を押されるほどの域に達しており、どんな敵が相手でも大抵は一撃で倒してしまう為、そもそも戦いにすらならない。
他者よりも並外れた才能と、恐るべき強運の持ち主で、冒険者になったばかりの時期より魔法を連射できると言う有り得ない能力を持っており、ちょっとした危機に陥っても自力であっさりと回避したり、奇跡的な出来事によって救われたりしている。
適当に目星をつけた所が、見事悪党の本拠地だったりする事も茶飯事である他、ゴブリンスレイヤーとの会話時、彼が仕掛けていた罠に乗ってしまったにもかかわらず、それが発動しなかったりもしている。
勇者に選ばれたのも、ゴブリン退治のつもりで乗り出した初めての冒険で、偶然遭遇した魔王の幹部をゴブリンの親玉と勘違いして挑み、ちょっと危機に陥った所で、これまた偶然にも鎮座されていた聖剣に選ばれ、幹部を倒したのが切っ掛けと言う、現実的に考えても有り得ない経緯からである。
ゴブリンスレイヤーの世界観では、たとえどんな強者であろうが「生物」としてのレベルアップが起きる事は無く、ゴブリンのような弱者からの不意打ちでも致命傷を負う危険性が消える事はないのだが、勇者である彼女に限ってはそのルールも全く適用されない。
更には作者によると半身ずらして突撃すると敵が死ぬ仕様であり、連射パッド装備で、HPの他にLPを持っており、HPがゼロになると覚醒して復活するとの事である。
ただし、作中ではそもそもHPがゼロになるどころかダメージを受ける事すら滅多にないので実際に覚醒した事はなく、あくまで裏設定（？）に留まっている(とはいえ、ボイスドラマにて歴代白金等級の所業をいくつかできると小声で溢していた。また、半身ずらして突撃する戦法は、女騎士も使用していたため、一概に死に設定とは言いにくい)。
なお聖剣についても「初期特技の自動取得か、ハンドアウトテンプレートによるもの」とのこと。……といってもただの飾りではなく、同じ世界に存在するなら、勇者ちゃんの掛け声に答えて、瞬時に彼女の手の中へ飛んで来る力がある。
まさにこれでもかと言わんばかりに神の寵愛と恩恵に恵まれている彼女は、悲惨な過去を経験し血反吐を吐く様な想いをしてもいまだ中堅止まりなゴブリンスレイヤーとは、良くも悪くも対照的となっており、何度も命を落としかけながらゴブリン達や強力な魔物を倒して生還してきた彼一行の活躍を見事なまでに霞ませてしまう程のチートぶりを見せている。
作者によれば「ゴブリンスレイヤーがバットマン、勇者ちゃんはスーパーマン」とのことで、辺境を舞台に身近な人を救うべく戦うゴブリンスレイヤーと、四方世界そのものを救うべく戦う勇者とのことで、まさに対局の存在として位置づけられている。
その能力においても、大前提として「システムが違う」というだけで、勇者もまた他の多くの冒険者同様、サイコロを振って冒険に挑んでいる人物である。つまり正しい意味においてチートではない。原作者は「マリオがジャンプするが如くよ」と例えている。
勇者の敵対する相手も四方世界を滅ぼさんとする魔神王、邪神を召喚せんと目論む邪教団、現世に顕現せんとする神代の百手巨人、星の世界より飛来した異形のものなど、その能力に見合った恐るべき敵ばかり。下記にもあるが、時折苦戦する場合もある。
もちろんゴブリンスレイヤー他の冒険者では歯が立たないであろう世界の危機であり、端的に言えば「ひどいレベルでバランスが取れている」のだ。
神々が振る骰子は、宿命と偶然を象徴するものであり、また神々とてその出目を操作することはできない。
そして神も、骰子も、決して冒険者たちの自由意志に関与することがない。
つまりたとえ能力があろうが、サイコロの出目が良かろうが、自らの意志で世界を救うことを選ばない限り、彼女が世界を救うことはできないのである。
そういった意味で、彼女は正しく勇気ある者、勇者だといえよう。
彼女と同じように『伝説の魔剣に選ばれた存在』や『上位等級になれる程の高い実力を持つ者』であっても、性格に問題がありすぎて万年白磁等級な冒険者がいたりする。
また、上記の経歴からして『聖剣に選ばれたから白金等級になった』のではなく、『元々、白金等級相当のステータスで、その上で偶然聖剣に選ばれた』と言う方が近く、ぶっちゃけて聖剣に選ばれたのはオマケとも言える。
※下記の歴代白金等級の何名かは、伝説の武具に選ばれたのは中盤・終盤辺りであり、それ以前に数々の実績を納めている。中には伝説の武具を入手せずに世界を救ってしまう者もいる。
彼女が白金等級になれたのも、上記の規格外な経歴だけでなく、性格面も評価されているからである。
実際、国王から報酬の話をされた時、すっぱりと『別にいらない』と即答する程である（直後、受け取るのが礼儀だと賢者と剣聖に叱られたが）。
自分が気に入らないもの、嫌いなもの、そして自分を嫌う人を全て無造作に打ち払ってしまう事ができるほどの力を持ちながら、「自分の好きなものしかない世界」を良しとせず、できるから、やらないと決意して世界を救うために東奔西走し続ける。
国王も、自分の妹と年が近い彼女を死地に向かわせる事に躊躇いはあるものの、彼女達の活躍で世界が救われている事には感謝しており、同時に彼女が善なる性格で良かったと心の中で評価している。
……とそんなこんなな彼女であるが、白金等級になってからも、剣聖からは剣術を、賢者からは魔術を、仲間たちからは冒険者としての知識や心得を学び、冒険へは入念な準備をしてから挑む。
決してその能力に胡坐をかいているわけではない。
志半ばで斃れないため、冒険を成功させるためにそれ相応の努力をし、自身の力に驕らず仲間の助力を得られているからこそ勇者として「世界を救える」のである。
また、普段から世界の危機案件ばかりやっていたためか、普通の冒険に憧れている節があり、上述の緑の法衣と槍装備の時には、余程の事態にならない限り、白金等級たる由縁の超常的な能力を自重している（もっとも、誰かが見ていない内に元凶にしっかりトドメを刺すなどちゃっかりしている）。
実績
- 魔神将
開幕に《火矢》５、６発撃ち込み、偶然近くに刺さってた聖剣でずんばらり。
- 魔神王
４ターン。
※ただし、速攻でリソースぶっこんでボコボコにしなければこちらがやられていた状況であり、４ターンはTRPG的に考えれば結構接戦である。
流石はラスボスと言ったところか。
- 邪教団
目星クリティカルからの行殺。
開幕ぶっぱ。
※なお実際は、
勇者「あーっ!! HPちょこっと残ったぁーっ!!」
剣聖「だから先手を私に譲っておけば……はい、私の攻撃、これでHP０ですね」
百手巨人「なんの、まだまだ……！ ここで復活系特技を使って、一網打尽に――……！」
賢者「待機していた私の手番で再行動特技を勇者に使う」
百手巨人「アッハイ」
勇者「死ねェッ！！」
……NKT。
手番二回くらいでずんばらり。
※ただし、彼が操っていたアンデッド軍団には流石に分が悪く、国王軍に引き付けてもらっている間に討ったとのこと。
- 地獄の悪魔軍団
賢者が封印術を発動するまで剣聖と二人で足止めしてたが、突然地上の水の流れが変わって敵側の魔法陣が崩れ、大逆転。
- 星辰の彼方より来たりしもの
誰かの仕業で偶然空から落ちてきたゴブリンの死体を食べて知能が低下し、いつも通り討伐。
受付嬢「勇者様に滅ぼされたみたいですよ」
- 地母神悪評事件の黒幕
もはや、映す価値なし。
※ただし、作戦自体はいい線を行っていた。
外伝「イヤーワン」にて
ゴブリンスレイヤーの冒険者としての駆け出し時代が描かれる外伝作品「イヤーワン」(本編の5年前)では、幼少時代の勇者と思しき少女が登場。
ゴブリン退治の依頼を受ける形で自身の暮らす孤児院のある村にやってきたゴブリンスレイヤーに対し、変な格好と思いつつも興味を示しており、会話を交わしている。
その後、彼女は聖剣を手にする奇妙な夢を見たと描写されている。
作中ではこの少女が後の勇者とは明確に語られてはいないものの、現在の勇者に通じる面影や性格を持ち合わせている事から、同一人物と見られている。
もしそうだとすれば、ゴブリンスレイヤーとの出会いや僅かな交流が、彼女が冒険者になるきっかけを与えた可能性もあり、ひいてはゴブリンスレイヤーの起こした行動が一人の少女の運命を変え、未来の勇者を生み出したという推察も出来るのではないか。
白金等級
冒険者の身分ともいえる等級のうち、最上位にあたる等級。
駆け出しの白磁から始まり在野の冒険者が就ける最高位の銀等級、さらに上に国に認定されて国家規模の事案にあたる冒険者の金等級が存在し、かつては金等級が最上位とされており、元々白金等級は存在しなかった。
そのため、最初の白金等級相当の冒険者が出現したときはギルドも気に留めなかったものの、そのうち何かやばい奴がいることに気づき、完全にやらかした奴が出てきたせいで白金等級が制定された経緯がある。
ちなみに彼女以前に存在した白金等級たちは、
- 仲間が奇跡や魔法を使える中、『たたかう』のみで破壊神を破壊した男
- 船が難破して漂流するのと美女に介抱されるのが特技で、冒険の度にレベルがリセットされても何度も世界を救ってしまう元祖赤毛の勇者（なお、元ネタ的に半身ずらして突っ込んだら敵が死ぬ仕様は彼の方が先輩）
- 矢に爆弾を付けて放ったり、瓶や虫取網で相手の魔法を跳ね返したりした上に、たった一人で魔王を倒したゼルダじゃない方（後に森人の勇者とされ、体力が万全であれば剣から斬撃を飛ばす事ができるなど、数々の逸話が語られている）
- 戦闘中に魔王一行を笑い飛ばす・雑誌を読む・出前の寿司を食う・ペットのドラゴンと戯れる・昼寝をする・歯を磨くといった悪ふざけをし、最終的には魔王を神の生け贄として捧げた、通常攻撃どころか最強攻撃魔法すら通じないエルフの忍者（ただし元ネタは魔王が主人公な作品なのでラスボス扱い）
前述の最初の白金等級相当の冒険者や何かやばい奴についてもそのやらかし、もとい実績は
……と、どいつもこいつもヤバイ級の化け物揃いである。
残り３人は未だに明言されてないものの、恐らくは上記と同レベルのやべー奴だと思われる。
関連タグ
ウルトラマンキング：同じくチートレベルの強さを持ちながら基本的には主人公達に干渉しない存在
郷里の姉ちゃん：強過ぎるため、主人公達どころか物語にすら干渉しない存在（例外あり）
異界戦記カオスフレア：原作者が言う所の「違うシステム」。ぶっちゃけゴブスレTRPGとは判定方法が2D6+修正値の上方判定ぐらいしか共通点が無い。まあ、「冒険しながら少しずつ強くなる」ゴブスレTRPGと、「初期作成のキャラクターでも世界を救える（救う事を要求される）」カオスフレアでは、確かに比べるだけ無駄である。なお、超勇者の「切り札」は「なんかすごい武器を持っている地球から来た少年少女」のこと。
