「警告 戦士の屍に触れることなかれ 戦士 姿を消す時 死と邪悪の恐怖 再び大地に蔓延らん」 (封印されていた棺に刻まれていた文字)
演:富永研司
概要
『仮面ライダークウガ』の登場人物の1人。
約2000年前の日本で、変身ベルト「アークル」を用いて「クウガ」に変身し、当時ゲゲルを行い大量のリント族を殺害していたグロンギ族と戦ったリント族の男性で、先代のクウガである。
元々争いを嫌い、戦士という存在やそれに該当する文字も無かったリント族において、初めて戦士と呼ばれる存在になった人物であり、事実上日本人という民族の歴史上最初の戦士とも言える。
現代のクウガである五代雄介とは異なり、アルティメットフォームには変身せず、当然ながら電気ショック等による現代技術で強化されたライジングフォームも持たず、赤、青、緑、紫の4つの基本フォームのみを駆使し、愛馬やその鎧「ゴウラム」と力を合わせる事で200体以上のグロンギと戦った。
しかし、当時のリントでは相手を殺害するという行為そのものが忌避されていた為、撃破ではなく封印という道を選び、最終的には後の九郎ヶ岳遺跡にて死闘を繰り広げた末に、グロンギの王たるン・ダグバ・ゼバを含めた全てのグロンギを封印する事に成功した。
そしてその後は、封印を維持する礎としてと同時に、万が一グロンギが復活した際には再び自分が戦う為に、人柱としてアークルを装着したまま自ら仮死状態になって棺に納まり、長い眠りについていた。
そして西暦2000年、遺跡の発掘調査によってダグバが復活してしまう(この時に調査員の1人が棺に「『勝手に触ったら呪うぞ』とか書いてないですよね?」と言っていたが、結果的には棺に刻まれていた「死の警告」の文字の通りに現代に全てのグロンギが復活する事となった)。
古代の戦士はミイラ化しながらも生き続けていたが、復活したダグバにアークルを引き剥がされた事で息絶えた。その後に捨てられたアークルは紆余曲折を経て五代の手に渡って彼を新たなクウガとして選び、古代の戦士の遺体は回収されて信濃大学で遺体の調査検証が進められた。
人物像
古代人である事に加えて、作中で登場した直後に故人となった為、具体的な人物像は不明。
ただし、本来戦士というものが存在しなかったリント族において、初めて戦士という役割を背負ってグロンギと戦い、さらに後の時代の子孫達をも守る為に、自らが封印を維持する人柱となって生き続けていたという事からも、自身を犠牲にしてでも多くの人々の為に戦っていた人物である事は窺える。
信濃大学で共同研究を行った沢渡桜子は、前述した数々の情報から彼について「五代と同じく、ただみんなに笑顔でいて欲しかった人物ではないか」と推測している。
基本4フォームだけでダグバも含めた200体のグロンギを封印するなど、作中の五代と比較しても凄まじい戦闘力の持ち主である事が分かるが、これについては公式では「現代人の五代とは比較にならない程に封印のエネルギー等を使いこなしていたからだ」とされている。
客演
『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』
九郎ヶ岳遺跡に安置されていた彼のミイラが登場する。
全ての平成ライダー達の消失を目論むスーパータイムジャッカーのティードによって、2000年1月29日(『仮面ライダークウガ』第1話の放送開始日の1日前)に封印を解かれ、ティードは古代の戦士を介してアナザークウガウォッチを、彼を追ってきた明光院ゲイツもやはり古代の戦士を介してクウガライドウォッチをそれぞれ起動させて自身の戦力とした。
この為に結果的にではあるが、アナザーウォッチもライドウォッチも原典の作品の主人公からではなく、その先代から力を受け取った(奪った)初の事例となった(ちなみに同じく先代のいるオーズは問題なく当代から力を奪っている)。これはメタ的には五代が中の人の事情で出演できないからでもある。
小説仮面ライダークウガ
TV本編の13年後を描いた正統続編である本作では、古代の戦士以前にも戦士とクウガの称号を与えられた人物がいた事が明らかになる。つまり実は戦士クウガは二人いたのである。
彼もリントが擁立した戦士であり、プロトタイプのアークルを使ってクウガ・プロトタイプに変身して戦っていた。即ち厳密には彼こそが日本人最初の戦士にして最初のクウガである。
しかし、プロトアークルは不完全で容易に変身者の心の闇を増幅させてしまうという大きなリスクがあり、彼も凄まじき戦士になって暴走しかけたので、数体のグロンギを「闇の棺」と呼ばれる九郎ヶ岳遺跡(「光の棺」)より小規模な遺跡に封印した上で、最終的には自ら命を絶った。
その後、彼の遺体も闇の棺に葬られて祀られていたのだが、本編で闇の棺の遺跡が発掘され彼の遺体が発見された時には、既にある人物によってプロトアークルは持ち去られていた。
古代の戦士にとっては先輩にあたる人物なのだが、両者がどんな関係だったのかは不明。ファンの中には、古代の戦士は彼の遺志を継いで戦士になったのではと考察する人もいる。
また、プロトタイプ・クウガはクウガに比べて角が小さい(メスのクワガタムシの特徴)事や、実際に本編での変身者が女性だった事から、この戦士も女性だったのではという考察もある。
リメイク作品
『S.I.C. HERO SAGA MASKED RIDER KUUGA EDITION』
一応は『クウガ』本編の前日譚とも呼べる作品だが、あくまでS.I.C.オリジナルのパラレルワールドであり、リント族やグロンギ族そのものを含めてあらゆる設定が根本的に大きく異なる。
本作では、古代のクウガとして「リク」という名前の人物が登場する。
本作では、クウガ誕生以前から元々リント族に戦士が存在する設定であり、リクはクウガとなる以前から戦士だった点が、原典の古代の戦士やひいては五代との相違点である。
加えて同じリント族や仲間からは迫害されていた人物であり、同族や仲間の為ではなくあくまで妹を守る為だけに戦っていたなど、ある意味本編の五代のアンチテーゼとも言えるキャラクターになっている。
また作中描写を見る限り、封印ではなく普通にグロンギを倒していたらしいのも特徴。
HEROES連載漫画『仮面ライダークウガ』
本作では、何とグロンギ復活後も暫くは生存しており、ミイラになってなおクウガに変身して闘っていた。ただし、全身が包帯に覆われた姿だった為に本人の容姿は不明。
加えて最大の相違点は、彼はリントではなく元々はグロンギの一人であり、グロンギのリントに対する所業を見かねて、彼等を守るべく寝返ったグロンギの裏切り者という点である。
五代雄介がアークルを見つける前に、九郎ヶ岳から抜け出したズ・グムン・バを最弱フォームであるグローイングフォームで倒すという活躍を見せる。その後一度は一条薫にクウガの力を渡そうとするが、一条を庇う形で謎の思念体が現れたため断念し、最終的には全ての生命エネルギーを使い果たしてしまう前に、五代にクウガの力の全てを与えた上でこの世を去った。
また復活後は封印ではなく、グロンギを普通に撃破したのも特徴である。
余談
演じた富永研司はクウガのスーツアクターを担当している。
劇中では生前の古代の戦士の顔が鮮明に映ることは無いが、富永はモブキャラクターとしても数回『クウガ』に出演しており、その際ははっきり顔が映っている。