昭和天皇が在位した時代(昭和時代)に政権を担当した内閣総理大臣の一覧。
大日本帝国憲法下における総理大臣と日本国憲法下における総理大臣では、その性格・権限、就任に至る経緯が大きく異なっている。
大日本帝国憲法下においては枢密院(元老院)が指名した人物を天皇に推挙、天皇が総理大臣に任命する形が取られていた。また議会は二院制がとられ、華族・元老による貴族院、一定額の税金を納めることにより発生する選挙権により衆議院議員を選ぶ制限選挙が行われていたが、大正15年(1925年)、25歳以上の男子による普通選挙が初めて行われることになった。しかし、上記のとおり枢密院に首相を選ぶ権限があり、議会はその下におかれているという構造的欠陥は政党政治が発展し民主化が叫ばれた大正時代以降にも大きな禍根として残り、昭和7年(1932年)に起きた「五・一五事件」で軍部の暴走を押さえていた犬養毅首相をはじめとする政党政治家が暗殺されると、以後は軍部の息のかかった軍人・官僚・政治家が首相を務め、日本は戦争への道をたどっていった。
日本国憲法下においては、20歳以上の男女に与えられた選挙権により選ばれた議員が一番多く属する政党の党首を議員の選挙によって総理大臣に選ぶことが憲法67条1項、2項によって定められ、天皇は憲法6条1項において任命することが定められている。(なお、衆議院と参議院で議決が異なる場合、両院協議会が開かれ、それでも折り合いがつかなければ衆議院の議決が参議院の議決よりも優先されることが憲法67条2項に定められている)
また現行憲法には衆議院に内閣に対する信任決議案、不信任決議案の提出権が69条において認められており、信任決議案が否決もしくは不信任決議案が可決された場合、総理大臣は内閣を総辞職するか、衆議院を解散して総選挙を行うかを選択しなければならない。
一覧
代数・氏名・在任期間・出身母体を記載。
大日本帝国憲法下
- 25代:若槻禮次郎(大正15(1925)年9月10日~昭和2(1926)年4月20日):憲政会
- 26代:田中義一(昭和2(1926)年4月20日~昭和4(1928)年7月2日):立憲政友会
- 27代:浜口雄幸(昭和4(1928)年7月2日~昭和6(1930)年4月14日):立憲民政党
- 28代:若槻禮次郎(2度目,昭和6(1930)年4月14日~昭和6(1930)年12月13日):立憲民政党
- 29代:犬養毅(昭和6(1931)年12月13日~昭和7(1932)年5月16日):立憲政友会
- 30代:斎藤実(昭和7(1932)年5月26日~昭和9(1934)年7月8日): 海軍
- 31代:岡田啓介(昭和9(1934)年7月8日~昭和11(1936)年3月9日): 海軍
- 32代:廣田弘毅(昭和11(1936)年3月9日~昭和12(1937)年2月2日): 外務省
- 33代:林銑十郎(昭和12(1937)年2月2日~昭和12(1937)年6月4日): 陸軍
- 34代:近衛文麿(昭和12(1937)年6月4日~昭和14(1939)年1月5日): 公卿
- 35代:平沼騏一郎(昭和14(1939)年1月5日~昭和14(1939)年8月30日): 枢密院
- 36代:阿部信行(昭和14(1939)年8月30日~昭和15(1940)年1月16日): 陸軍
- 37代:米内光政(昭和15(1940)年1月16日~昭和15(1940)年7月22日): 海軍
- 38・39代:近衛文麿(昭和15(1940)年7月22日~昭和16(1941)年10月18日): 大政翼賛会・公卿
- 40代:東條英機(昭和16(1941)年10月18日~昭和19(1944)年7月22日): 大政翼賛会・陸軍
- 41代:小磯国昭(昭和19(1944)年7月22日~昭和20(1945)年4月7日): 大政翼賛会・陸軍
- 42代:鈴木貫太郎(昭和20(1945)年4月7日~昭和20(1945)年8月17日): 大政翼賛会・海軍
- 43代:東久邇宮稔彦王(昭和20(1945)年8月17日~昭和20(1945)年10月9日): 皇族
- 44代:幣原喜重郎(昭和20(1945)年10月9日~昭和21(1946)年5月22日):日本進歩党・日本自由党
- 45代:吉田茂(昭和21(1946)年5月22日~昭和22(1947)年5月24日):日本自由党
日本国憲法下
- 46代:片山哲(昭和22(1947)年5月24日~昭和23(1948)年3月10日): 日本社会党
- 47代:芦田均(昭和23(1948)年3月10日~昭和23(1948)年10月15日): 民主党
- 48・49・50・51代:吉田茂(2度,昭和23(1948)年10月15日~昭和29(1954)年12月10日):民主自由党
- 52・53・54代:鳩山一郎(昭和29(1954)年12月10日~昭和31(1956)年12月23日):自由民主党
- 55代:石橋湛山(昭和31(1956)年12月23日~昭和32(1957)年2月25日):自由民主党
- 56・57代:岸信介(昭和32(1957)年2月25日~昭和35(1960)年7月19日):自由民主党
- 58・59・60代:池田勇人(昭和35(1960)年7月19日~昭和39(1964)年11月9日):自由民主党
- 61・62・63代:佐藤栄作(昭和39(1964)年11月9日~昭和47(1972)年7月7日):自由民主党
- 64代・65代:田中角栄(昭和47(1972)年7月7日~昭和49(1974)年12月9日):自由民主党
- 66代:三木武夫(昭和49(1974)年12月9日~昭和51(1976)年12月24日):自由民主党
- 67代:福田赳夫(昭和51(1976)年12月24日~昭和53(1978)年12月7日):自由民主党
- 68代・69代:大平正芳(昭和53(1978)年12月7日~昭和55(1980)年6月12日):自由民主党
- 70代:鈴木善幸(昭和55(1980)年6月12日~昭和57(1982)年11月27日):自由民主党
- 71・72・73代:中曽根康弘(昭和57(1982)年11月27日~昭和62(1987)年11月6日):自由民主党
- 74代:竹下登(昭和62(1987)年11月6日~平成元(1989)年6月3日):自由民主党
↓平成の総理大臣に続く。