概要
東武鉄道創立90周年記念事業として1989年5月20日に東武伊勢崎線東向島駅高架下にオープンした。開館前の候補地の選定には、広いヤード跡地や機関区跡地があることや本線と繋がっていて現役車両の展示も行えることから、業平橋駅や東武動物公園駅、さらには葛生駅などもあったが、浅草に近い立地や下町の文化振興につながることなどから、敷地が狭いデメリットを承知の上で当地が選ばれた。
イベント列車や野田線の営業運転に用いられる8000系8111FやSL大樹に用いられる車両群は、当館の保有である。
主な展示車両
- B1形5号蒸気機関車
東武鉄道開業時の蒸気機関車。開業時の姿に復元。
- B1形6号蒸気機関車
東武鉄道開業時の蒸気機関車。5号とは対照的に廃車時の姿で保存。本館から水戸街道を挟んだ反対側のSLスクエアで保存。
- デハ1形5号
東武鉄道初の電車。
- 5700系5701号
メインラストの車両。2009年のリニューアルで追加された。愛称「ネコヒゲ」。
- 5700系5703号
引退時の姿で車輛前面部のみ保存。元々アルナ工機の鉄道車両製造工場に保存されていたものだが、工場閉鎖に伴い東武博物館に引き取られた。
- 1720系1721号
デラックスロマンスカー(DRC)。場所の都合から車体前半部分のみ。屋外に保存されており、外観は公道から見ることが出来る。
- ED10形101号電気機関車
東武初の電気機関車。近江鉄道から引きとった。本来は会館に合わせて譲り受けたかったものの、当時の近江鉄道が返却を拒んだことで、2009年のリニューアルまで持ち越しとなった経緯がある。
- ED5010形ED5015号
東武の貨物輸送末期まで使われていた電気機関車。ED101号の展示が叶わなかったため、その代替として展示された。
- 日光軌道線200形203号
元々東武動物公園で保存されていたもの。屋外に保存されており、外観は公道から見ることが出来る。
- トキ1形
無蓋貨車。2009年のリニューアルめ追加された。杉戸工場内の重量測定用はかりの補正などに使用されていたため、車体が短く切り詰められており元番号は不明である。
花上嘉成
1940年東京四谷生まれ。当館の名誉館長で理事。東武鉄道に入社後は西新井工場の検車係からはじまり、館林機関区の助役を経て、1989年に大宮駅の駅長に就任し、その後北千住駅や浅草駅の駅長などを経て、1997年に当館の事務局長に就任した。2000年に東武鉄道を退職しているが、現在も東武鉄道主催のイベントで恒例行事になりつつあるトークショーの人気が高い。
例えば2017年8月から運行を開始した蒸気機関車の列車に関して
- 客車6両と転車台をあるところより調達する
- SLにはATSを積めないので、ヨ8000をJR貨物と西日本から2両購入してそこに載せる。SL走行時は必ず車掌車が付く形になる
- (上記の車掌車に関連して)当初は大井川鐵道から車掌車を使用する予定だったが、あまりにも古すぎて役所の認可が降りなかった
……といった具合に、おったまびっくりな裏話がポンポンと出てくるのが特徴。
他にも
- オリンピックのときにあんなもの(100系スペーシア、200系りょうもう)を走らせて良いのか
- リバティ(東武500系)の評判はいいのか悪いのかわからない
- 10000系の制御装置の部品不足がいよいよ深刻になったから一部編成をVVVFに更新した
- 8111Fでビール電車を走らせたいが、車内にトイレがないから不可能
- 野田線直通の特急運河行に「きりふり」の名称はおかしい
- 20000系は廃車後に山の方の私鉄へ譲渡される
- 6050型は富山地方鉄道や長野電鉄、大井川鐵道から譲渡の打診があったものの、諸般の事情から譲渡されなかった。
- (トークショーで)どこまで話していいか本社が言ってこない
……などなど、その内容を挙げればキリがないほどである。ゆえに、あまりにも行きすぎな内容が出ると、ストッパー役の司会からチンベルを押されてストップさせられることもあるとか。
やはり氏も貴重な写真等を個人で多数所蔵しているため、さまざまな鉄道雑誌等へ資料の提供や寄稿などをしているほか、交通新聞社から自伝にあたる「波瀾万丈!東武鉄道マン記」を上梓している。