演:荒木宏文(D-BOYS)/江原省吾(幼少期/理央にそっくりな少年)
「猛きこと獅子の如く。強きことまた獅子の如く。世界を制する者。我が名は黒獅子リオ」(口上)
本項目では「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の登場人物について解説する。
概要
敵側の主人公で、臨獣殿の現当主。臨獣ライオン拳の使い手。臨気凱装で、臨気を鎧のようにまとい黒獅子リオに変化する。
リンビーストはライオン型のリンライオンであるがあまり見せていない。
幼少期に山中で家族を殺されたトラウマに悩まされており、これが元で「強くなること」のみに固執するようになった。
元はマスター・シャーフーの弟子で激獣拳の使い手として真咲美希や深見ゴウと共に修行していた(この時の理央は今では考えられないぐらい爽やかな好青年であり、ゴウを友人と認めていた)。しかし、自身が求める「強さ」を教えないシャーフーに失望し、兄弟子のダンを殺害しゴウとも対立、結果的に臨獣拳に走るに至る。
当初は三拳魔の復活のため、一般人への危害も厭わない作戦を繰り返していた。
腹心であるメレには好意を寄せられている。自身もまた「我が右腕」と称するほど部下として信用しているが、彼女の異性としてのアプローチには素っ気ない態度で接していた。
(ただし、本編前に彼女をリンリンシーとして蘇らせた際、彼女が抱いていた孤独や悲しみ、憎悪に「共鳴する」と言及しており、メレの手をとって地上に出したりと、兼ねてより人心掌握を超えた特別な感情を抱いていた節は散見される)。
衝撃の事実
実は家族を殺したのはロンであり、長らくそれを知らぬままロンの吹き込むままに動いていたが、真実を知りショックを受ける。
幼少期に家族と旅行した際、数千年に一度しか現れないとされる「逸材」と呼べる力を持っていた理央にたまたま遭遇し、ロン自身の野望を叶えるための傀儡として利用すべく家族を殺害したのが真相である。
さらに、以降もロンは理央に家族を殺された時の悪夢を見せ続けることで理央に力への執着を植え付けた。
要するにロンのせいで1人の人間の人生が狂わされたのだが、ロンの項目でも明らかな通り(理央の関係者の観点では)ジャン親子や深見兄弟、三拳魔等の人生も狂わされたと言っても良い。
家族が殺害された直後にロンの邪悪な気を察知したマスター・シャーフーが駆けつけたことで、シャーフーが理央を保護、その流れで激獣拳の修行に励むことになる。
しかしシャーフーが自分が求める「強さ」を教えないことで失望し、激獣拳最強クラスのジャンの父・ダンを(ロンの闇討ちによって手負いだったために)殺害し、当主が封印されて久しい臨獣拳アクガタを復興。
メレ等のリンシーを復活させ、臨獣拳士として強くなろうとした。
空の拳魔カタの修行によってこの悪夢が払拭できたと思われたがそんなことはなく、さらに強さを追い求めた。
スーパーゲキレンジャーに敗れたことでマクを復活させ一時的に臨獣殿当主の座を奪われるものの、怒臨気を習得したのに加え、ゲキレンジャーやメレとともに獣力開花を受け、臨獣ライオン拳を極めた。
ゲキレンジャーがカタとマクをロンがラゲクを倒したことで臨獣拳体制は崩壊し、幻獣拳に鞍替え、幻獣王リオとして幻獣グリフォン拳を得た。
後にスーパーゲキレッドとの宿命の対決に敗れ破壊神になりかけたが、メレの存在によって事態は回避された。
メレに対して実は愛情を抱いており、彼女の危機には我を忘れて守ろうとしたこともあったが、彼女が殉職する直前まで本心を打ち明けることは無かった。
改心した彼はわざとレツとランに倒されることで自らの過ちにけじめを付けようとしたが、メレが先にロンに倒され、彼もまたロンに自爆攻撃をしかけて死亡する。
しかし、その前にゲキレンジャーに託した臨獣拳がロンを打倒するためのカギとなった。
ネタバレに対する考察
理央の「強さ」について。
強さを極めた「先」や目的を理央自身が答えられない(シャーフーの言う「強さ」とも合致しない)のは、単に恐怖心の払拭で留まらないためである。
ロンが意図的に引き起こす恐怖心に対し、強くなること以外を考えられないように仕向けられていたため、他の選択肢を考える余地は無かったのだ。
このため激獣拳のような恐怖心とは無縁の健全的な手法による精神的・肉体的な強さを追い求める方法では解決できず、自身の問題に近しい、人々の苦しみによって力を得る臨獣拳の方が答えが見つかりやすいと考えた可能性もある。
そもそも、一家殺害というトラウマに対して「強くなりたい」という思考が理解しづらい。
ロンの台詞によると、ロンには「戦いの本能」※を植え付ける力があるようだが、「戦いの本能」は他の人間と関わる内に強くなる一方で他の感情を芽生えさせてしまうため、ただ戦うことだけを考える状態にするのはロンが周りの人間を逐一殺害したとしても難しいらしい。
厳密な経緯は不明だが作中で語られた内容を忠実になぞるなら、ロンはたまたま理央の一家に遭遇し、たまたま理央以外を殺害。
殺害時にロンは無限龍として理央に姿を見せているが、単に殺害するだけなら無限龍の姿を見せる必要は無いため、この時に「戦いの本能」を理央に与え、無限龍を理央にとってのトラウマとして強く印象付けるとともに、そのトラウマに対して「強くなりたい」と考えることができるかを試していたのだろう。
そして前述の繰り返しだが、ロンの手引きが大きいとはいえ殺害のトラウマに対して「強くなりたい」と思考したこと、これこそがロンが理央を「逸材」と考えた根拠である。
※一般的な人間が持つ攻撃行動とは別物と考えて良い。何故なら攻撃行動と同一であるなら、ロンが植え付けるまでもなく人間なら誰でも備わっているからである。
そして作中のロンの最終目的は、理央に幻気を与え、人の心を捨て力への執着のみに特化した思考を促す(作中の別の表現を引用するなら「戦うだけの人形」にする)ことで幻獣王の覚醒をもたらし、破壊神にすることである。
幻気は、たびたび血盟の儀式を催促し、幻獣拳の発覚当初に幻獣王の座を渋っていた理央を仕立て上げようとしたために、必要と考えられる。
作中で見せたことは無いが単に巨大化するだけなら邪身豪天変がある(主にリンリンシーが使っており理央には使えない可能性もあるが)ため、巨大化は条件に入らない。
一時的に破壊神になった際、理央の体内で力が満ち溢れ、まるで自身とその力が同一化されるような恐ろしいほどの快感と陶酔に呑み込まれたと表現している。
臨獣拳時代までの理央自身の力でここまでの変化は見られないことから、これが幻気の能力と言える。
また、ゴウはロンの呪煙吐によって不完全な獣獣全身変を強いられたが、これも紫激気が臨獣拳に近い激気であることから、臨獣拳使いに対しても暴走させられる伏線となっていた。
一方でゴウの場合は理央と異なり力への執着等はないため、(バエの手引きもあったとはいえ)自分の意志でロンの呪煙吐を克服できていた。
この伏線は同時に、お互いが力を合わせお互いの体内に流れる幻気を打ち破った理央とメレに繋がったとも言える。
力への執着については非常に遠回りな手法だが、幼少期からロンは事実上のマインドコントロールによって理央の思考を誘導し恐怖心を与え続け終わりのない強さへの執着を自ら決めるように仕向け、最終的にそれしか考えられない傀儡になるようにした。
作中で判明している理央に対する干渉はいずれも強さに対する執着への集中または他への執着への喪失に終始している。
- 理央の家族の殺害
作中描写ではたまたま理央を見出しただけと思われるが、普通の家族では当然ロンの野望を叶えることはできないため理央以外を殺害し、理央に強さへの執着を植え付けていた。
- 激獣ホワイトタイガー拳ダンの殺害
激獣拳時代の理央が唯一まともに勝てなかったとされる。
ロンの闇討ちと理央のタイマンにより殺害できたものの、ロンの闇討ちが決着に関与し理央にとってきちんと倒せなかった(=ダンとの決着に執着していた)とロンが推測したことで、幻獣キメラ拳スウグを生成しスウグを従えさせることでより強くなれると煽り、幻獣王にした。
ちなみにこのとばっちりを息子のジャンも受けることになる。
- 幻獣王への勧誘
臨獣拳としては既に極めたものの、上記の通り破壊神になるためには幻気が必要と考えられる。
そのための口実として臨獣拳を超えた拳法・幻獣拳の存在を教え、幻獣王として祭り上げたのである。
- ゲキレッドとの宿命の対決
過激気を習得したばかりのスーパーゲキレンジャー、特にゲキレッドに対しての「敗北」を認めることはできなかった。
実はロンの初登場はこの頃だが現れた理由は不明(理央の強さへの執着が敗北によって変化していないか確認する意図が考えられる)。
とはいえ理央と初めて接触した時に獣源郷の存在を示し、マクとの邂逅で怒臨気を得、激臨の大乱を経て獣力開花を受けたため、ロンの思惑通りに成長していた。
この頃から長らくロンにとって理央が持つ力以外の執着は、ジャンにあると考えていたと思われる。
後にスウグを仕向けてジャンを殺そうとするも、結果的にジャンがスウグを倒した。
戦いの度に成長しスーパーゲキレッドや獣力開花を経て、父ダンよりも強くなったジャンを倒すことに執着していた理央は、ジャンとのタイマンを宿命の対決と位置付けた。
迷いながらもジャンは理央との決着の意思を固めタイマンに臨み、理央が「敗北」という結果を受け入れたことで破壊神になるはずだったが、メレの叫びにより正気を取り戻した。
何気に二度のゲキレッドによる敗北への反応が対照的だが、前者は復活させた三拳魔がまだ2人だったことから強くなれる余地が残っていたものの、後者は強くなる余地が無かったためと考えられる。
しかしこの「敗北」によっても破壊神にはならなかった。
結局のところ、ロンが最後まで見誤り、理央が最期まで考えていたのは、メレに対する恋愛感情だった。
結果論だが、破壊神になる過程にゲキレンジャーは関係ないため、仮にジャンがダンの息子と判明する前に死亡したとしても(考えられる死亡フラグは五毒拳や過激気習得前など)、力への執着の矛先がマクやロンにすり替わるだけであり、メレの存在がなければ破壊神になっていた。
特にロンについては倒す手段がないため、ロンが勝っても負けても破壊神になり得た(作中ではジャンへの敗北が引き金になったが、「強さへの執着」以外の要素がない状況であれば理央が勝っても破壊神になった可能性はある)。
この点も含めて世界を救うことができたのは、ゲキレンジャーだけではなく理央とメレのおかげだったと言えるのである。
客演
『炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャー』では、復活したロンを倒すために「日没を過ぎれば永遠に地獄をさ迷う」という禁呪に手を染めながらもメレと共に復活する。ゴーオンジャー、ゲキレンジャーと共に並んでの名乗りにも参加した。
ゴーカイジャーではレジェンド大戦に参戦、レンジャーキーも存在するなど、かつては敵側の首領でありながらスーパー戦隊の一員と認められている存在である。
年齢について
なお、理央の実年齢は不明である。
少なくともゴウらと共に激獣拳ビーストアーツを学んでいた時点で現在とほぼ変わらない容姿をしている。
種族は人類のままと思われるが、『ゲキレンジャー』本編の時点では当時幼かったレツが成人(スクラッチに入社しているという設定である)、美希が12歳の娘を持つほど時が経っている事を考えるとかなりの長期間、非常に若々しい見た目を維持している事が覗える(当時の理央が10代の想定だとしたら外見があまり変わっていなくてもおかしくはないのだが…)。
ゴウの外見年齢が20代で止まっているのは「獣獣全身変」という外法の副作用によるものであり、理央も何らかの術を用いて老化を遅くしているのか、それとも単に童顔なのかは不明。
参考までに演じた荒木氏は当時23〜24歳、少年期を演じた江原氏は当時9〜10歳ほどである。
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仲代壬琴:過去に起きたある出来事が原因で他人を信用せず孤独になり、自分しか信じない攻撃的な性格になってしまった人物。後日談においては駆けつける形で一時復活する点も共通。