M87光線
えむはちじゅうななこうせん
概要
その威力は兄弟最強と公式設定で完全に断言されており、スペシウム光線より強いとされるメタリウム光線の倍の威力があるストリウム光線の更なる強化版であるネオストリウム光線より強い。
発射ポーズには腕を縦に突き出して放つAタイプ(メイン画像参考)と、ワイドショットのように腕をL字に組んで発射するBタイプの二種類がある。また、Aタイプは『ウルトラマンA』でエースキラーが使用した際のみ、ぶっとい光弾を叩きつける(ウルトラマンレオのエネルギー光球に似ている)演出になっていた。近年ではAタイプを使用する機会の方が圧倒的に多く、(「Fighting Evolution3」等のプレイヤーでなければ)平成以降のファンの中にはBタイプの存在を知らない者も多い。
威力はウルトラ戦士でも直撃したらなすすべもなく木端微塵になるレベルであり、エースキラーが奪って発射した際にはエースロボットを粉々にしていた。下手すれば惑星一つを粉砕してしまいかねないので、地上では1/10にセーブして撃っているとのこと。ちなみに地球上では直撃せずともフルパワーで撃つだけで地軸が曲がるらしい。
まあ、他のウルトラ戦士達の光線もその気になれば太陽の黒点すら消せる(『ウルトラマンメビウス』最終話)ので、セーブについてはどのウルトラ戦士にも共通しているようだが(事実、映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では、Uキラーザウルスが地球を背にして立ちはだかり、ウルトラマンエースが「このままでは、俺たちの光線が地球に当たって(流れ弾が甚大な被害を出して)しまう!」と悔しがるシーンがある)。
ウルトラの父曰く「ゼットンでも倒せる」「変身超獣ブロッケンでもひとたまりもない」とのことで、事実『ウルトラマンFightingEvolution3』ではゼットンを粉砕しウルトラマンの仇を取っている。
なお、『ウルトラマンFightingEvolution0』によると、M87光線を真の威力で使えるのはゾフィーのみとされており、エースキラーやギンガストリウム等の他のウルトラ戦士が使うものは、本人のものに遠く及ばない可能性がある(それでも十分強いが)。
実際、ゲーム中でゾフィーが使うものは、防がれなければほぼ一撃必殺なのに対し、ババルウ星人が変身して使う場合は、威力が大幅に下がる仕様になっている。
また、映像作品においても、『ウルトラファイトビクトリー』でビクトリーキラーがエースに対して使用した時はメタリウム光線で簡単に相殺されていたため、信憑性は高いと言える。
まあ、そもそもゾフィーはこの技の危険性を熟知して威力を抑えているのに、ろくに撃ったことのない相手が簡単に扱えたらそれはそれで宇宙がやばいわけだが。
映像作品での扱い
そんなM87光線であるが、映像作品ではお世辞にも扱いが良いとは言えないの実情である。
映像作品でゾフィーがこれを使用して単独で倒した敵は約50年間円盤群だけであった(とはいえ、このシーンでは、画面を埋め尽くすほどの量を一瞬で消滅させている。他のウルトラ戦士の光線が一基ずつ撃ち落としていくことが多いことを考えれば、このシーンからも相当な威力であることが窺える)。
しかも初披露は、前述のエースキラーがエースロボットに対して使用した時で、昭和映像作品でのM87光線の使用はこのエースキラーのものだけだったりする。
『ウルトラマンギンガS』でようやく怪獣を撃破するシーンが描かれ、他の技がほとんど通じないラスボスにも単体光線技の中で唯一大ダメージを与えたが、残念ながら使用者はゾフィーではなかった。
『ウルトラマンサーガ』のプロローグであるてれびくんの付録DVD「飛び出すハイパーバトル」では、バット星人の差し向けた怪獣兵器バードンを相手に、ウルトラマンゼロの展開したゼロツインソードをM87光線で加速させてブチ当てることで撃破しており、40年ぶりに雪辱を晴らした(『スト0』でゼロの親父と協力して放った「ウルトラリブット」もしくは「ウルトラノック戦法」がモデルだろうか?)。
そして『ウルトラファイトオーブ』にて、あの宿敵バードンを相手についにゾフィーの使用するM87光線が単独で怪獣を撃破!
同時に、これはゾフィー初の単独勝利でもあり、「飛び出すハイパーバトル」を除けば44年ぶりにバードン相手にリベンジを果たすという歴史的瞬間でもあった。
また他のウルトラ戦士の光線が基本的に1~2秒照射して撃破する、という描写なのに対して、M87光線は着弾した瞬間にバードンが爆散し、威力が桁違いという描写もされていた。
他作品での扱い
小説『ウルトラマンF』では、ウルトラマンFが精神融合したダークザギの記憶から再現する形で使用、ダークメフィストを一撃で消滅させている。
内山まもるの漫画版ではなんとエースのスペースQを上回る切り札として扱われている。
STORY 0
世界一ゾフィーが活躍する漫画『ウルトラマンSTORY0』では、ゾフィーの最強光線として何度も登場する。初回は威力をセーブしきれず町を一つ吹き飛ばし、怪獣どころか逃げようとする罪なき人々まで巻き込んで多くの犠牲者を生み出してしまった。しかし村人たちと触れ合ううちに敵を倒すのではなく「絶望」を倒すという境地に辿り着いたことにより、続いて現れた超巨大ゼットンを(余計な被害を生ずることなく)一撃で葬り去った。
その後も「希望の光」に纏わりつく機械だけを打ち抜き(ゴライアン曰く「砂漠の砂粒を狙い撃つようなものだ」とのこと)、『星の声』を吸収して惑星よりも巨大なベムスターを倒し、アントラーを爆砕し、ブラックホールをこじ開けて暗黒宇宙へのゲートを開き、ザラブ星人を消滅させ、1兆度の高熱にも耐えるテンペラー星人のマントをも焼き落とした。(87万度とはいったい……)
ババルウ星人との最終決戦時には一度はウルトラキーのエネルギーでかき消されるが、宇宙全ての平和への意志を受け取って生き返った直後のM87光線によりババルウを粉砕し、さらにババルウによって破壊されたプラズマ太陽の代わりとなってウルトラの星を照らした。
地球での戦いではミクロ化したウルトラセブンにブチ当てる「ウルトラリブット」を使用することで合体したガボラ&ケムラーを田楽刺しにして倒した。
余談
温度と威力の関係について
その後、ウルトラマンパワードが着弾時の爆発で1億度(光線自体の熱量も100万度)とこのM87光線を上回る記録をたたき出しており、ウルトラマンノアも一兆度の炎を腕に纏う技:ノアインフェルノを持っている(つまりゼットンの炎と同じ。ゼットンどんだけ強いんだよ…そしてそのゼットンを倒せる87万度のM87光線って…)。
『ウルトラマンF』ではアラシ隊員から「ジャミラの火炎の方が高熱じゃないか」とツッコまれてしまった。
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しかしイデ隊員からは「すぐに拡散する火炎とは異なり、コヒーレントだから遠距離でも相当な破壊力だよ」とフォローされている。
パワード登場後もM87光線の単体最強設定は失われていないことから、そもそもウルトラ戦士の光線の威力に温度との相関関係はあまりないのかもしれない。
ハチジュウナナかハチナナか
この必殺技、数字の読み方が時代によってまちまちである。
初登場時は「ハチジュウナナ」と読んでいたが、1990年の帯番組『ウルトラマンM715』以降は「ハチナナ」と読んでいた。しかし、『ウルトラマンギンガS』からまた「ハチジュウナナ」に戻っている。一体どっちなんだ。
その他
- 命名の由来は、ウルトラの父が80万度で当時の再高威力を記録していたが、ゾフィーはそれを上回る87万度の熱光線を放ったため、「ミラクル87万度」を略して「M87光線」となったらしい。ただ、現在ではやや死に設定になっている。
- 製作現場的には元々光の国があるのは企画書段階では「M87星雲」だったのだが、誤記によって「M78星雲」へと変更されたため元の名前を惜しんでゾフィーの必殺技名として名付けられたとのことである。
- 漫画『キン肉マン』の初期のエピソードでは、キン肉マンが拳を突きだしたポーズで構えたのを見て敵怪獣(初期のキン肉マンは巨大怪獣とのバトルがメインのギャグ漫画だった)・オクトパスドラゴン(劇場版第1作に登場した同名超人の元ネタ?)が「ゲェーッ それはまさかウルトラ兄弟最強の技、ゾフィーのM87光線!」というセリフを吐いているシーンがある。なお、この短編は文庫版には掲載されていない。