宇宙世紀0093 君はいま、終局の涙を見る…
作品解説
シリーズ第一作である「機動戦士ガンダム」から13年後(宇宙世紀0093年)の世界を舞台に、アムロ・レイとシャア・アズナブルの最終決戦を描いた映画作品。
略称は「逆襲のシャア」や「逆シャア」、または英題(Char's Counter Attack)の頭文字を取った「CCA」などと呼ばれる事が多い。
ガンダムシリーズとしてはテレビシリーズの映像を再編集しない、初の劇場用オリジナル作品にあたり、監督・脚本をガンダムの生みの親である富野由悠季が手がけている。
「機動戦士ガンダム」、「機動戦士Ζガンダム」、「機動戦士ガンダムΖΖ」から続く一連の因縁に決着を付けた完結編であり、その事もあって本作に次いで制作された機動戦士ガンダムF91は本作の約30年後の時間軸を描いた作品となっている。作中のシャアの回想シーンではGファイターでなくコアブースターが登場していることから、今作品は初代のテレビ版ではなく、劇場版の設定を引き継いでることが描写されている。
シナリオ第1稿をベースにした『ベルトーチカ・チルドレン』と、アニメ雑誌「アニメージュ」に連載された『ハイ・ストリーマー』をベースにした通称『徳間版/逆襲のシャア』の二つの小説版が存在する。著者は富野由悠季。
ベルトーチカ・チルドレンはその名が示す通りメインヒロインとしてベルトーチカ・イルマが登場する事が特徴としてあげられ、また出渕裕が手がけた挿絵に登場したモビルスーツ群は人気を博し、のちにリファインされアニメに登場する機体とは別のキャラクターとして成立されている。
徳間版/逆襲のシャアは本作の前日談を描いている事が特徴で、アニメに則った物語が展開される。また、SF作家の星野之宣によってオリジナルアレンジされたモビルスーツも話題を呼んだ。
あらすじ
宇宙世紀0093年。
先のグリプス戦役以降、消息不明だった元ジオン公国軍エースパイロットにしてジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子であるシャア・アズナブルが、ネオ・ジオン総帥として再び人々の前に姿を現し、幾多の戦いを経ても旧態依然としてスペースノイド(宇宙居住民)に圧政を敷き続ける地球連邦政府に対して宣戦を布告した。
手始めにネオ・ジオンは小惑星5thルナを質量兵器として地球連邦政府があるチベットのラサに衝突させようと画策、連邦政府のネオ・ジオンに対する危機感の欠如の隙を突いて電撃的に5thルナを占拠し落下作戦を決行する。唯一、ネオ・ジオンを警戒していたアムロ・レイら連邦軍の外郭部隊ロンド・ベルの奮闘も空しく、5thルナ落下を阻止することはかなわなかった。
この事態に慌てた連邦政府は、スペースコロニー・ロンデニオンにてシャアと密かに小惑星アクシズを引き換えとした和平交渉に踏み切った。停戦に安堵する連邦政府だったが、その思惑と裏腹にシャアは核弾頭を積載させたアクシズを地球に衝突させることを目論んでいた…。
登場キャラクター
地球連邦(ロンドベル)
- アムロ・レイ(CV:古谷徹)
- ブライト・ノア(CV:鈴置洋孝)
- チェーン・アギ(CV:弥生みつき)
- ケーラ・スゥ(CV:安達忍)
- アストナージ・メドッソ(CV:拡森信吾)
- アンナ(CV:丸尾知子)
- トゥース(CV:戸谷公次)
- メラン(CV:石塚運昇)
地球連邦政府
- アデナウアー・パラヤ(CV:嶋俊介)
- カムラン・ブルーム(CV:村上明)
- ジョン・バウアー
ネオ・ジオン
- シャア・アズナブル(CV:池田秀一)
- クェス・パラヤ(CV:川村万梨阿)
- ギュネイ・ガス(CV:山寺宏一)
- ナナイ・ミゲル (CV:榊原良子)
- ライル(CV:曽我部和恭)
- レズン・シュナイダー(CV:伊倉一恵)
- カイザス・M・バイヤー (CV:村松康夫)
- ホルスト・ハーネス(CV:池田勝)
- ララァ・スン(CV:潘恵子)
その他
登場メカニック
地球連邦
ネオ・ジオン
メインスタッフ
- 企画・製作 : サンライズ
- 企画 : 山浦栄二
- 原作・脚本・監督 : 富野由悠季
- キャラクターデザイン : 北爪宏幸
- モビルスーツデザイン : 出渕裕
- メカニカルデザイン : ガイナックス(庵野秀明、増尾昭一)、佐山善則
- デザイン協力 : 大畑晃一
- 作画監督 : 稲野義信、北爪宏幸、山田きさらか、大森英敏、小田川幹雄、仙波隆綱
- 音楽 : 三枝成章
- 撮影監督 : 古林一太、奥井敦
- 美術監督 : 池田繁美
- 編集 : 布施由美子
- 音響監督 : 藤野貞義
- 演出補 : 川瀬敏文、高松信司
- プロデューサー : 内田健二
- 製作 : 伊藤昌典
- 製作協力 : 松竹、創通エージェンシー、名古屋テレビ放送、バンダイ
主題歌
作詞:小室みつ子 作曲・編曲:小室哲哉 歌:TM NETWORK
余談
- アムロとシャアの決着を通して描かれた人類への絶望と希望という高いテーマ性や、非常に緻密で高度な空間演出といった要素から、本作はガンダムファンのみならず当時のアニメ業界人からも非常に高く評価された。特に庵野秀明と押井守が絶賛したことは有名で、押井が後年に製作した『機動警察パトレイバー2theMovie』は押井なりの『逆シャア』への回答作としている。
- 本作から10年後の1998年12月17日に「ガンダム20周年記念」として本作を題材にした3DシューティングゲームがPS専用ソフトとしてバンダイから発売されており、内容は原作(劇場版)と一年戦争の一部をベースしているが、劇場版がベースなのにも係らず何故かハサウェイ・ノアは登場しない。そのためなのか、一部シーンが映画本編と異なる。
- 一方で今作のために新しく作られたムービーはクオリティが高く、更に原作ではギュネイの口でしか語られなかった「寝言でララァの名前を呼ぶシャア」のシーンが映像化されていたりもする。
- また「講談社8誌連合企画」として応募企画で当選した方のみに配布された特別版が存在し、こちらではパイロットの顔グラアイコンが新規、バトルモード2PVSで機体がSD化、そして外伝作品「THE BLUE DESTINY」からジム・ブルーディスティニー1号機が本版に限りプレイアブルとして使用可能という点が一般販売版と異なる。
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