最高の景色だぞ、自分たちで造り上げた兵器で滅んでいく愚かな者たちの阿鼻叫喚は…!
文明を持つ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を造らせる。
そして最後は自ら造った最終兵器で文明そのものを滅亡させる。
ソレをワタシは"こう"呼んでいる
文明自滅ゲーム!ハハハハハ…。
概要
『ウルトラマンZ』第24話にてクリヤマ長官に寄生したセレブロがナカシマ・ヨウコとの会話の中で明かした計画にして、彼の行動目的である悪辣極まりない遊び。
このゲームで、セレブロはいくつもの星を滅ぼしており、いわば劇中における様々な事件の大方の元凶と言えるものである。
内容
簡単に説明するなら冒頭のセレブロの台詞の通りだが、詳しく解説すると以下の通りである。
1.文明のある星に恐怖を植え付ける
標的の星に怪獣騒ぎを起こし、その星の人々に危機感と恐怖を植え付ける。
ジャグラスジャグラーがデビルスプリンター事件の背後にセレブロが関わっているのを知っている事を見ると、デビルスプリンターで狂暴化した怪獣を利用して騒ぎを起こしていたと思われる。
セレブロが意図的にデビルスプリンターで怪獣を狂暴化させたのか、原生の怪獣がデビルスプリンターで凶暴化したのを幸に便乗したのかは現時点では不明だが、デビルスプリンターでの怪獣騒ぎと、セレブロの活動時期はやけにタイミングが良く、偶然と片付けるには不自然すぎる。
現に、デビルスプリンター事件を受け、光の国がウルトラゼットライザーとウルトラメダルを開発するや、ゲネガーグに寄生して光の国を襲撃し、(ある事情から光の国の警備が手薄になっていたことも幸いして、)まんまとライザーとメダル、そしてメダルの設計を盗み出して逃亡した。
2.標的の星に防衛のための兵器を作らせる
地球の特空機、光の国のウルトラゼットライザーとウルトラメダルの様に、怪獣騒ぎが起きれば、それに対抗するため星の住民達が戦うための兵器を作るのは自然な事だろう。
なお、特空機が作られる切っ掛けになったグルジオライデンだが、セレブロの回想を見るに地球にグルジオライデンが飛来したのはセレブロの差し金であった可能性が高い(特別総集編「リ・ストレイジ」でのAIのナレーションにてセレブロの仕業であることが確定した)。
またウルトラメダル及びゼットライザーを強引に強奪した目的は、後々遊ぶために使う「遊べる体(戦闘用の体)」を欲したことに加え、ウルトラメダルを狙う侵略者が標的とする星にそれと確実に戦う存在が来るのを促すことだったと思われる。
3.怪獣に寄生して星へ飛来し、星の住民に寄生する
頃合いを見計らうと、怪獣に寄生して標的の星に飛来し、その星の住民に寄生して暗躍する。
劇中でも、光の国からウルトラゼットライザーとウルトラメダルを盗んだ後、地球に飛来し、カブラギ・シンヤに寄生している。
しかし、同じく文明のある星である光の国をゲームの対象にしない辺り、標的にする星はちゃんと選んでいる模様。まあ、そもそも光の国には最終兵器に頼らなくてもいいほど強豪揃いである。一時的にウルトラ戦士に寄生し、デストルドスの足パーツとなった怪獣の別個体のごとくウルトラ戦士に破壊活動を行わせたところで、下手をすればウルトラマンベリアルの乱の時と同様にチートクラスのウルトラ戦士が現れて返り討ちにされるのがオチである。
…もっとも、その性質上そもそもウルトラ戦士への寄生自体が不可能である可能性、あるいは光の国の文明が維持されることが光の国の敵対文明やユウキ・マイのごとくウルトラ戦士の力に着眼する連中に超兵器を作らせる動機づけになるとして価値を見出し放置している可能性はないでもないが。
あるいは間違った『文明』に誘導させ、人々が破滅する様を見物することに愉悦を感じるセレブロにとって光の国のようなあらゆる面において成熟した文明よりも、地球のような未熟な文明の方が工作がやりやすく、それによる達成感も大きいのかもしれない。
4.怪獣騒ぎを激化させ、更に強力な兵器を作らせる
ギルバリス、ベリアル融合獣、キングジョー、ブルトン、グリーザなどなど、ウルトラマンすら苦戦させる怪獣が続々と出現すれば、星の住民達も更に強力な兵器を作ろうとするだろう。
しかし一方、最終兵器が作られる前に星が滅びてしまうリスクがあるというデメリットも存在し、ジャグラーもその事を問い詰めていたが、セレブロにとってはそれはそれで面白いのか笑い飛ばす始末であった。
その反面、セレブロにとってうれしい誤算をもたらす場合もある。現に、ギルバリス襲来の際にはこれによりバリスレイダーや光線銃、さらにはベリアルメダルなどの戦力を得られたほか、中盤では異次元からヤプールの怨念の塊と言える殺し屋超獣バラバが出現したことで、より強力な兵器を開発することを盲信する人間によってそのデータから最強最悪の兵器『D4』が作られた。
このD4の誕生に伴い、終盤において、セレブロが強硬な手段で防衛軍を乗っ取っており、こうした想定外の事態により彼のゲームはかなり進行が早まったものと考えられる。
5.最終兵器を鹵獲し、文明を滅ぼす
こうして星の住民達が作り上げた「自衛のための最終兵器」をセレブロが乗っ取り、「破壊のための最凶兵器」として使ってその星を滅ぼせばゲームは終わりであり、セレブロは別の星に移り新たなゲームを始めるというわけである。
このゲームの恐ろしいところは、他の星の文明に干渉しないウルトラマンにとっては、星の住民が自ら作り出した兵器によって自滅したようにしか見えないため、宇宙警備隊の目を誤魔化せてしまう事である。
現にウルトラマン達はセレブロの存在を認知しておらず、詳しく調べようにも、デビルスプリンター事件は地球だけでなく宇宙全体、そればかりか別宇宙でも起きているため、事件鎮圧で人手が足りないのが現状である。
また、セレブロに寄生された者はしばらく記憶障害を受けるため、例え最終兵器を止めることが出来ても、人々のヘイトはセレブロに操られるまま最終兵器を開発した者達に向いてしまい、セレブロ自身は痛くも痒くもない。
セレブロの存在を知る者が警告を発すれば話は別かもしれないが、『Z』本編では地球において彼を知る者がおらず、唯一セレブロを認知しているジャグラーも素性が素性なだけに証人になることができないため、セレブロのゲームを止めるためには、単に彼を倒すだけではなく裏方に潜んだ状態から表舞台に引きずり出すことが必要不可欠となる。
影の功労者
とはいえ、すべてがセレブロの思惑通りだとは言い切れない。
ジャグラーはある目的のためにセレブロの文明自滅ゲームを利用しており、ある時はゲームの最中に地球が滅びないようウルトラマンと共闘した一方、またある時は危機に陥ったセレブロを陰ながら救ったこともあった。
現に第17話では、ジャグラーによる裏での手助けが無ければ、セレブロはカブラギの体ごと射殺されていた可能性があり、R/Bのチェレーザのように事件の黒幕が主人公達の知らない内に倒されるというなんとも締まらない最期になる可能性もあった(しかもこの時、カブラギの体が限界で応戦は困難、光線銃もギルバリスメダルとギャラクトロンMk.Ⅱメダルの生成に使ってしまっており、このせいでバリスレイダーすらもう使えない八方塞がりの状況だった)。もっとも、ゲネガーグの時のように寄生元の残骸や死体に紛れて他の生物に乗り換えることは十分考えられる話ではあるが、いずれにせよこの防衛軍への潜入によってセレブロの計画がだいぶ進めやすくなったことは確実と思われる。
総じて本編を振り替えるとセレブロの計画もどこか粗があり、ジャグラー抜きで進めていれば、ウルトロイドゼロもデストルドスも誕生しなかった可能性がある。
そもそもセレブロがやってきた際の地球では特空機及びストレイジは防衛軍から冷遇されており、彼の到来を待たずして計画自体が破綻する可能性が高かった。このように明らかな障害になっているにも関わらずライデンを落としてから10年、最低セブンガーが実装された5年の間滅びの自滅の道を進むような影からの行動は明らかにされておらず(現に光の国を襲撃するなど地球外で別行動をとっていた)、さらには初めから防衛軍上層部やストレイジなど暗躍するような場所に有利な人物へ寄生すれば良さそうなのに何故かそれをしないなど、大口で説明する割に結構穴が多い。
あくまでゲームである故にそこまで綿密に計画を練らなかったのか、はたまた本人の性格上なのか謎であるが、少なくともセレブロとしては自滅させられればゲームの対象はどこの文明でも良いと考えている節がある。もしかするとライデンもセレブロがゲームの下準備として宇宙に放った不特定多数の兵器のうちたまたま地球に流れ着いた一つでしかなく、その有無すら彼にとってはどうでも良いことなのかもしれない。
しかし、粗が多いのは同時に中身のなさであり、セレブロ自身のアドリブセンスは求められるが作戦を臨機応変に対応したり、無意味な遊びやいざとなれば逃亡しやすいというメリットもあり、愉快犯故にその悪質さは拍車がかかっている。
こうして見てみると、表に出ることなく幾多の星を滅ぼしてきたらしいセレブロだが、ジャグラーのように存在を知る者がいることや上記のような『Z』本編での描写などから、中には計画の破綻のために滅びを回避した文明や想定外の事態で計画完遂前に滅んだ文明、逆に独自の思惑を持つ者がセレブロに手を貸したことで滅びた文明などもあったと考えられる。またセレブロが破滅の種を撒いただけに留まり、未だに『ゲーム』が開始されていない文明やセレブロが直接関与してないにも関わらず、『ゲーム』のとばっちりを受け滅びさった文明もないとは言い切れないのが恐ろしい所である。
或いは、「文明自滅『ゲーム』」という名前からして、その本質は「いかに思惑通り『上手に』文明を自滅させるか、それに前後して迫る不測の事態をどう回避するか、自身はどうやってその渦中から逃れられるかを試すもの」とも考えられ、だとすればそれは文明に生きる者たちの命を全く省みないセレブロという存在の残虐性や異常性を体現した、まさしく「滅亡への遊戯」そのものであると言えよう。
その顛末
そして最終回、セレブロが作り上げた「破壊のための最凶兵器」であったデストルドスはストレイジの面々やウルトラマンゼットの尽力によって倒され、セレブロはユカと記憶が戻ったカブラギによって捕獲されその存在が人類に露見するという末路を辿った。
カブラギが記憶を取り戻したとなると、アサノやクリヤマ長官の記憶も元に戻った可能性があり、現にデストルドスが倒された後、セレブロが解散させたストレイジはメンバーもそのまま再結成されている(もっとも、ジャグラーは防衛軍に宇宙人だとバレたため、ストレイジから立ち去る事になった)。
デストルドスという地球を滅ぼすほどの圧倒的な戦力を手にしながらセレブロが敗北したその要因は、自らが「ゲームの駒」と嘲っていた地球人やウルトラマンゼット、そして彼らに力を貸したジャグラーの本当の意味での「強さ」を侮ったまま戦力を増強させてしまったこと、ひとえにこの一点に尽きるだろう。
幾多の星を、そして地球をも巻き込んだセレブロの悪夢のごとき「ゲーム」は、滅ぼそうとした文明からこれ以上無いしっぺ返しを食らったセレブロの「ゲームオーバー」という結末で幕を下ろしたのであった。
後に、ウルトロイドゼロ強奪、およびデストルドスによる全世界的破壊活動の主犯として、生態調査(という名の解剖)が、ストレイジと怪獣研究センターとの共同で行われる事が判明した。セレブロにとっては、一思いに殺された方がマシだと思えるくらいの自業自得な最期である。
更なる黒幕は存在するか?
本編では黒幕として悪虐の限りを尽くしたセレブロであるが、そもそもセレブロという存在が何者でどこから来たのか、なぜこのような存在となったのか、といった部分は劇中ではほとんど明らかにされていない。近年のシリーズにおける彼ら、あるいはこちらの先例を考えれば、まさに外道でしかないセレブロに何らかの価値を見出しこの悪辣極まるゲームを行うよう仕組んだ腐れ外道が存在する可能性は否定できない状況にある。
ネタ
このワードからTwitterで派生したネタとして「文明自滅ゲームRTA」というものがある。
biim兄貴方式ウィンドウを用いてこれまでの戦いを振り替えったり、セレブロがかつて別の世界でこんな暗躍をしていたのではないか?という妄想をRTA用語を用いてネタにした大喜利である。
再走案件としては明らかにセレブロの手に負えない敵が目覚めてしまった場合、襟巻のないジラースや超古代文明の遺した守護獣、人類と小美人の守り手たる巨大蛾の出現などが挙げられる。
特に襟巻のないジラースが挙がる事が多いのは強力な兵器の開発に誘導できるものの、お釣りがデカすぎる点が理由だろう。更にこの襟巻の無(ryは作品によっては敵と見なした存在を見境なく攻撃したり、人類と共闘するルートの存在、後始末が無理ゲーなパターンもあるからである。(仮に奴らに寄生しても逆に取り込まれる恐れだってあるだろうし)……もっとも、最大の敵は大人の事情なのかもしれないが。
このようなムーブメントを受けてこのようなGB素材も作られた。
\カレカレータ シテイッテネ/
……そして最終話、本編でセレブロが迎えた結末については『生体解剖ルート(再走不可)』とやっぱりネタにされるのであった。。
一方真面目なものでは
「科学者の核実験で滅んだバルタン星」
「自らが開発したロボットに反乱されたサーリン星やファンタス星」
といった物の裏にも「セレブロが関与していたのではないか」という考察がされている。
ちなみに、このムーブメントの走りとなったのは「仮面ライダージオウ」を一種のノベルゲームのようなものと解釈し、これまでのジオウの戦いを振り返る「ジオウRTA」である。こちらではトゥルーエンドがOver_Quartzerとなっている。
関連タグ
血を吐きながら続ける悲しいマラソン:セレブロがやっているのはこれの強制である。
チャムダ星人:ウルトラセブンXに登場した宇宙人。宿敵ボーダ星人と戦争中だったが、対抗する武器を手に入れた結果、戦争は激化して、双方が滅びた。セルフで自滅した文明の体現者。
バルタン星人六代目、ケルス:似たような事を計画した宇宙人達、前者は地球侵略の為に人間同士の自滅を狙い、後者は人類の生み出したもので地球を滅ぼそうと画策した。
なおバルタン星人自身も故郷であるバルタン星を狂気の科学者による核実験によって失っているという、文明自滅ゲームを連想させる要素を孕んでいる。
イルト:善意のもと自ら生み出した存在が別の黒幕によってある意味での宇宙全体を巻き込んだ文明自滅ゲームに引き込まれてしまった被害者的な宇宙人の一例。こちらは贖罪のためその阻止に奔走している。
メフィラス星人三代目:セレブロ同様、人間を利用し自滅へと誘導するゲームを仕掛け、最終的に自らが直接介入した存在。ただしこちらは手を出さざるを得ない状況に追い込まれた末の行動のうえ、マン兄さんの「自分自身が手を出した時点で負け」という言葉をあっさり認めて引き下がるなど、似ているようで意外と対照的。
マッチポンプ…文明自滅ゲームを端的に言い表せばそういう事になるが、通常マッチポンプといえば自らの虚栄心や独善的な正義を満たす目的、或いはさらに大きな計画を成功させる目的で行われるのに対し、この場合は完全に『遊び目的』というマッチポンプの中でもかなりたちが悪い部類に入る。
ブラッドゲーム…デスガリアンが行った命を踏み躙る遊び。その真意は矮小な本性から来るコンプレックスを満たすため、他の命を踏み躙る事であり、本質的に小さな者の深みのない娯楽という点が共通する。
ベルク・カッツェ…ガッチャマンクラウズの登場人物。「その星の文明の産物を使って星を滅ぶように誘導する」手法で幾多の星を滅ぼしてきた存在。行動目的も遠大な野望や支配欲等では無く、自身の退屈を紛らわす為だけに「星が最も美しく輝くのは滅ぶ瞬間」という独自の価値観に従ってその様を見たいだけという悪意すら無い非常に利己的な愉快犯。
ただし彼の場合はセレブロや上述のブラッドゲームの主催者たちのように武力で滅ぼすのではなく、星の住人同士のいがみ合いをエスカレートさせ内戦・内乱を誘発することによって滅亡を達成する。彼の力自体も他人を煽り争いを激化させることに特化している。