美少女戦士セーラームーン(ドラマ)
びしょうじょせんしせーらーむーん
概要
2003年10月4日から2004年9月25日までCBC・TBS系で全49話が放映された特撮ドラマ。
原作第1部(テレビアニメ『ダークキングダム』編)をベースに随所にオリジナルも織り交ぜたストーリーや設定を展開。ファンの間では賛否両論となっている。
その為か玩具を買ってくれる層の取り込みに上手くいかず、徐々に売り上げが伸び悩んでいった。更に翌年2月には『ふたりはプリキュア』(これも東映)が始まり、完全に女児玩具の主役を奪われてしまい、一年で放送は終了。奇しくも、『戦闘美少女戦士もの』というジャンルの世代交代を象徴する結果となった。
TBS系で東映特撮作品が放送されるのは、『仮面ライダーBLACKRX』(MBS制作)以来15年ぶりである。
前半の半年間についてはテレビ高知では放送日時を差し替えていたほか、テレビ山口では2004年3月まで放送されていない。
製作スタッフにはプロデューサーに白倉伸一郎、脚本に小林靖子と、平成仮面ライダーシリーズを手がけた面々が多く参加している。特に小林はTVシリーズ全話の脚本を担当しており、彼女が東映特撮で初めて単独で執筆した作品となっている。
放映終了後にはオリジナルビデオとして、本編のその後を描いた「Special Act」と本編の前日譚となるセーラーVの誕生を描いた「Act.ZERO」(原作でいう『コードネームはセーラーV』に当たる)が発売された。
セーラー戦士役のオーディションの審査には武内直子も参加し、全国1100人以上の希望者から5名が選ばれた。女優・北川景子のデビュー作にして、「演技の基本を学んだ大切な作品」と語っている程大切にしている作品。
セーラー戦士を演じた5名は今でも交流が深く、定期的に「戦士の会」と呼ばれる女子会を開いていたり、北川の夫であるDAIGOとの結婚式に参加したことは有名。
それまで、タイトルの英語表記は『Pretty Soldier Sailor Moon』だったが、本作では『Pretty Guardian Sailor Moon』に変更されており、以降に展開された新装版・完全版・文庫版はこちらに統一された。
原作との相違点
登場人物
主要人物
原作やアニメと比べ落ち着いた性格になっている。
水野亜美/セーラーマーキュリー(演:浜千咲)
原作初期の内向的な性格よりで、心の闇を付け込まれダークマーキュリーになる。
また、変身前はセミロングであり中盤までは常時眼鏡を着用。
性格は原作寄りのクールビューティーとなっている。
「アイドルになることが夢」から「10代に大人気のカリスマスーパーアイドル」に変更。
余命幾ばくもなく、唯一前世の記憶を持っている為、強い使命感を持っており、それもあって単独行動を採る。物語の終盤最終決戦前に病死する。
ダーク・キングダム
ジェダイト(演:増尾遵)
失態の末、処罰はされなかったが傀儡化された。
ネフライト(演:松本博之)
ゾイサイト(演:遠藤嘉人)
クンツァイト(演:窪寺昭)
黒木ミオ(演:有紗)
ドラマオリジナルキャラクターでクイン・ベリルの「影」とされる女性。
表向きはアイドルをしており、美奈子のライバルだった。
余談
この特撮ドラマの前番組はあらゆる意味でヒットしてしまったアニメ版「星のカービィ」(通称アニカビ)であり、それの終了直後に予告されたことで有名である。今で言うアニカビロスに陥った直後である当時の視聴者達は本作を憎悪したことがあったとかなかったとか。
もっとも前番組ロスの試聴層が後番組に憎悪や否定的比較批判を向ける事象は珍しい事ではなく多くの事例が見られる。なにしろ「旧アニメ版セーラームーン」直後の『キューティーハニーF』も同様の憂き目に遭っているし、ほかにも『魔法陣グルグル』直後の『怪盗セイント・テール』、『おジャ魔女どれみシリーズ』直後の『明日のナージャ』、『銀魂(銀魂')』直後の『アイカツ!』、あまつさえ同シリーズとされる作品同士ですら『ふたりはプリキュアMaxHeart』直後の『ふたりはプリキュアSplash☆Star』、『仮面ライダー電王』直後の『仮面ライダーキバ』、『侍戦隊シンケンジャー』直後の『天装戦隊ゴセイジャー』のような事例がみられ、枚挙に暇がない。しかもこうした評価は、酷い場合になると作品の本質とは離れたものになりやすい。そのため、こうした批判(要は前番組を至上のものとした価値観を前提とする公正ではない評価)に基づく作品評価は参考にしてはならず、声を上げることも褒められた事ではない。
また、本作の後継番組はウルトラシリーズのひとつである「ウルトラマンネクサス」だったりする。
本作のスタッフ陣はテレビアニメ版と同じくテレビ朝日での放送を目論み、テレ朝側もノリノリでいたようだが、東映には「特撮番組は同一局での供給は2本まで」の自社規制と言える暗黙の了解(内規)が存在する為、本作はこれに抵触し同局での放映は流れてしまった。
恐らく実写化の話は当初平成ライダーが全三部作の予定だった(仮面ライダー龍騎で終了予定か、仮面ライダーアギトでライダー打ち切りが検討されていた)事から平成ライダー三作目の企画が始まった2001年頃からあったものと思われる。もしも、実写版のテレ朝放送が実現していたら、当時あったスーパー戦隊の時間帯と入れ替わった可能性があり、実写版セーラームーンが日曜朝7時半に、スーパー戦隊が日曜朝8時の放送になったのと、場合によってはスーパー戦隊が断続放送に移行したかも知れない。
しかし、龍騎以降のライダー続投が決まり、本作のテレビ朝日での放送は完全に潰えてしまった。
当初は仮面ライダークウガも99年秋にニチアサとは別枠での放送を目指していたが、東映が協定違反を理由にテレ朝に開始延期を迫り、渋々了承したそうである。なお、このようにスーパー戦隊と仮面ライダーの放送時期をずらす意向は最初からあったわけだが、結局その実現はディケイドまで待つことになった。
武内直子出身地の地元放送局テレビ山梨では旧アニメ版を番宣ネットで放送し、実写版を同時ネットし、アニメと実写を両方放送した一方、残念ながら新アニメ版は放送されなかった。
実写版に先んじる事6年、旧アニメ版終了後の1997年頃にハリウッドから特撮映画のオファーがあったが、諸般の事情で頓挫。武内女史は大変残念がっていた一方、武内女史には申し訳ないが、ハリウッド版FFとDB、あるいはどっかのGINOの内容と結果から考えると、寧ろ頓挫して良かったかも知れない。
このハリウッド版(及びお蔵入りとなったOVA版セーラーV)の頓挫が実写版を作る原動力となった事は察しが付く。
ちなみに白倉伸一郎プロデューサーによると、最初の案では那須博之監督により、モーニング娘。主演の実写映画として製作される予定だったらしい。諸事情でその案は棄却されたものの関係者の印象に残ったことからこの実写テレビドラマの制作に繋がったとのこと。
そして、企画を横取りする形になったお詫びとして代わりに那須監督に与えられた企画があの実写版デビルマンだったと言われている。もし実写映画の案が実現していたとしたらあらゆる意味で恐ろしいことになっていたと思われる。
残念な事に本作が東映最後の女児向け特撮番組となってしまったほか、女児向け特撮番組自体が一時期無くなってしまった。その復活は12年後2016年に発表されたOLM製作・小学館企画・タカラトミースポンサー・テレビ東京系放送の「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」の「アイドル×戦士ミラクルちゅーんず!」まで待たなければならなかった。
なおガールズ×ヒロイン!シリーズそのものは、制作会社・スポンサー・テレビ局・出版社の企画ラインから『愛天使伝説ウェディングピーチ』の直流を組む作品とされている。
関連動画
【実写テレビ漫画版『美少女戦士セーラームーン』】(セーラー戦士変身シーン)
【実写テレビ漫画版『美少女戦士セーラームーン』】(セーラー戦士必殺技シーン)