概要
原作:日下秀憲
ストーリーはポケモン原作ゲームの設定をベースにしたオリジナル。原作に登場するものはジムリーダーなどの主要キャラをはじめ、ポケモンや技はほとんど登場している。
図鑑に記されているポケモンの生態や特徴、ゲーム中の小ネタや裏設定などに重要な役割を持たせて作中で使用する事が多く、その時点で発表されている最新作の内容を先取りして隠しネタとして取り入れることもある。また旧章で出したネタが最新作で関連付けられそうな場合は後付けとして機能させる場合もある。
ポケモンの技やアイテムの効果に関しては、ゲームでの描写の枠にとどまらない展開が多く、単純なターン制バトルとは違って複数の技を組み合わせるなどさながら『ジョジョの奇妙な冒険』などのように工夫や機転を凝らしたバトルや探索の描写が多い。
また、最初は『小学四年生』『小学五年生』『小学六年生』に連載していたように小学校中学年以上を主眼としているだけあって、相手トレーナーへのダイレクトアタックなど描写に過激なものを含むことがある(1章でのポケモンタワーや氷付けブーバーのバラバラ死体、2章でサワムラーに蹴り上げられるレッドなど)。
タグとしては『ポケスペ』の方が一般的に用いられる。複数の『ポケモン』派生作品について語る場合などには更に略されて『スペ』、『SP』と呼ばれる事もしばしば。
連載開始当初は日下秀憲氏のシナリオと真斗氏のイラストで描かれていたが、3章の連載途中に体調不良が原因で真斗氏が作画担当を降板。(交代の経緯などの詳細はこちら)
以後の作画は全て山本サトシ氏が担当している。
作画担当者交代時の様子について日下と山本がTwitterで発言した内容によると、当初は1年限定の短期連載の予定であったようだ。
連載
1997年にゲーム『ポケットモンスター』の小学館での学年誌版コミカライズ作品として連載がスタート。
当初は原作ゲームタイトルのまま『ポケットモンスター』と題されていたが、コミックス化の際に先行して発刊されていた穴久保版『ポケットモンスター』(ギエピー)との混同を避けるため、単行本レーベル名の『てんとう虫コミックススペシャル』に因み『ポケットモンスターSPECIAL』と命名された。
主に学年誌の『小学四年生』『小学五年生』『小学六年生』の三誌で縦断連載されていたが、小学四・五・六年生の休刊に伴い『コロコロイチバン!』『ポケモンファン』の二誌での連載へと変更された。
月刊三誌に跨って連載していた頃と比べ、月刊誌と不定期発行誌の二誌連載となり、連載ペースが低下する傾向がみられるようになった。それにより単行本化に際しての描き下ろしも増えてきている。
その後は『ポケモンファン』での掲載も終了し、『コロコロイチバン!』のみの連載となったため、連載ペースが更に低下してしまった。これを問題視してか、ORAS編以降はウェブコミック配信サイト『サンデーうぇぶり』(旧『クラブサンデー』)でも連載されるようになった。
また、第4章途中からは複数の章を並行して連載するようになったが、各章の長編化と連載ペースの低下によって、原作ゲームの新作発売までに前作の章のが完結できず、前作の章の連載を中断して新作の章を始める場合がある。特に、『HG・SS』発売以降のエピソードについては、原作ゲームの発売に追いついていけない状態が続いている。
なお、同作者が手がけた『ポケモンレンジャー』シリーズのコミカライズ版として『ポケモンレンジャー_the_Comic』と『ポケモンレンジャーバトナージ_the_Comic』の2作がポケモンだいすきクラブで連載されており、本シリーズの外伝作品となっている。
単行本
1~60巻(以下続刊)。
モデルとなったゲームごとに章に分かれているが、これが巻毎に綺麗に区切られていたのは2章までであり、3章以降は1つの巻の中で章の移り変わりが起こるようになった。このため、古い章が連載終了しても、新しい章の物語の連載分が充分量貯まるまでは単行本が刊行されない。
また逆に古い章が完結しなければ新しい章も収録できないため、複数章の縦断連載時は新章の単行本化が連載から年単位で遅れる。さらに前述の掲載誌がらみの事情もあるため、単行本発売はかなり不定期になっている。
この点については作者や出版社(小学館)側も「2年待ちが常識だった『新章のコミックス化』」と現状を認めており、また内部でもこの状況は問題視されていたらしく、最新章の第12章(X・Y編)は前章に先行して『てんとう虫コロコロコミックス』からこれまでとは別ラインで単行本化されることが決定している。これまでの『てんとう虫コミックススペシャル』版の単行本にも将来的に第12章以降の通巻収録は行われるので、フォーマットを揃えて集めたい人も安心である。
2010年に累計発行部数1000万を突破し、2011年にそれを記念した第二回人気投票が開催され2014年には累計発行部数1200万を突破した。
ストーリー
章にもよるが原作ゲームのポケモン主人公、ライバルのデザインを元に独自の設定を加えたキャラをポケモン図鑑を託された主人公に据え、それぞれ目的を持った図鑑所有者たちの旅がやがて一つの大きな戦いへと収束していく……というのが物語の基本的な構図になっている。一部主人公やサブキャラクターには、日下と山本のオリジナルデザインの人物がいる。
連載は長期化しているが、歴代の図鑑所有者達の共闘なども何度か描かれている。章と章の間での伏線回収が年単位の間隔で行われることもあるなど、その物語の広がりは、半ば大河作品ともいえるレベルに達している。
原作にジムリーダーや四天王(ポケモン四天王)、フロンティアブレーンと非常に数多くのキャラクターが登場する関係上、それら全員に活躍の場を与えると必然的に群像劇としての側面が強くなり、それを活かして展開する様々なドラマと壮大なストーリーが作品の売りの一つになっている。その為、ロケット団になっているジムリーダーをはじめ、設定やキャラクターの役どころが原作と全く違う場合も存在する。
ただし、原作ゲーム本家の段階で設定が作り込まれていることもあり、それによって主人公以外は本家に習う設定になってきている。
歴代主人公のほぼ全員に、ポケモン御三家を手にする以前から手持ちにしている幼馴染のポケモンがおり、主人公と特別な絆を持つ一匹として描かれる事がしばしばある。
また、ゲームと違い、主人公の目的は必ずしもポケモンジムの制覇というわけではない。
原作ゲームの本シリーズ及びリメイク版で新作が出るたびに主人公や舞台を一新した新章に突入するのが恒例となっているが、全てはある程度時間の経過した同一の世界として描かれており、章をまたいだ伏線も多数存在する。
そして当然ながら登場キャラクターの年齢もシリーズが進行するごとに上がっているので、初代主人公たちなマサラ組も今や……
注意点
しかし、ポケスペ独自の展開や凝った(凝りすぎた)設定を「鼻に付く」と感じたり、原作からの設定の改変を受け入れられないポケモンファンも確かに存在するため、所かまわず話題に出すのは避けたい。
過去には、実際に両者の間の深い溝が原因で騒動に発展した例もある。
原作ゲームの登場人物、ポケスペの登場人物、その他のメディアミックス作品の登場人物はすべて別のキャラクターであり、外見が(場合によっては名前も)同じであるからといってポケスペのタグ登録などを勝手にしてしまい、イラスト投稿者などに迷惑がかかることもある。
また例えば、ゲーム版の人物に使用されるタグ(名前+(トレーナー)or(ポケモン)の形が多い)をポケスペのキャラを描いた作品に付けないようにすることにも注意されたい。
特に『金・銀・クリスタル』の男主人公とポケスペのゴールド、『クリスタルバージョン』の女主人公とポケスペのクリスタルなど、名前や愛称が被っている人物については要注意。
特に最近では人間キャラクターを用いたコンテンツ展開が広く行われており、それらのキャラクターをポケスペのそれと混同することは避けなければならない。
このような点に注意をする必要がある。
登場人物
キャラクター
コンビ・グループ
ポケモン図鑑の所有者 | 図鑑所有者 |
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男女別グループ | ポケスペボーイズ ポケスペガールズ |
地方別グループ | カントー組 ジョウト組/ジョ ウトリオ ホウエン組/制覇トリオ シンオウ組 イッシュ組 2年後イッシュ組 カロス組 |
御三家別グループ | 癒しの草組 暴走の炎組 麗しの水組 独走の雷組 |
キャラクター同士 | マサラ組 トキワ組 シロガネ師弟 青銀姉弟 シンオウ漫才コンビ |
カップリング
各章の概要
ゲームボーイ(ゲームボーイカラー)編
第1章 |
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収録巻数:1~3 |
赤緑を原作とする。主人公はレッド、グリーン、ブルー。レッドの旅立ちからロケット団との戦い、ポケモンリーグでの決戦などを描く。 |
第2章 |
ピカチュウバージョンを原作とする。主人公はイエロー。行方不明になったレッドを追うトレーナーであるイエローと、四天王(カントー四天王)の戦いを描く。 |
第3章 |
収録巻数:8~15 |
金・銀・クリスタルを原作とする。主人公はゴールド、シルバー、クリスタル。新たな主人公ゴールド達の旅立ち、ジョウト地方を舞台に暗躍する「仮面の男」と彼らの戦いを描く。この章の途中、単行本10巻から、山本に作画が交代する。そのため、クリスタルと、この章以降の主人公を真斗が描いた絵は存在しない。 |
ゲームボーイアドバンス編
第4章 |
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収録巻数:15~22 |
ルビー・サファイアを原作とする。主人公はルビー、サファイア。コンテスト制覇を目指す都会派少年ルビーと、ジム制覇を目指す野生少女サファイアという特異なキャラクター設定がなされ、2人の活躍と、グラードン・カイオーガを巡る騒動が描かれる。 |
第5章 |
収録巻数:22~26 |
ファイアレッド・リーフグリーンを原作とする。主人公はレッド、グリーン、ブルー。カントーに現れたデオキシスと、それを巡って再び活動を再開したロケット団とレッド達の戦いが描かれる。 |
第6章 |
収録巻数:26~29 |
エメラルドを原作とする。主人公はエメラルド。エメラルド版のバトルフロンティアが舞台となっている。エメラルドは、イエローに続き2人目のオリジナルデザイン主人公。エメラルドによるバトルフロンティア制覇と、甲冑の男ガイル・ハイダウトとのジラーチを巡る戦いが描かれる。4章では、3章までの主人公とルビー達の絡みはなかったものの、この章において、ここまでの物語の主人公達が一堂に会する。 |
ニンテンドーDS編
第7章 |
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収録巻数:30~38 |
ダイヤモンド・パール・プラチナを原作とする。主人公はダイヤモンド、パール、プラチナ。物語のうちの殆どで、3人揃って旅をするという形態をとり、彼らの冒険が描かれる。 |
第8章 |
収録巻数:38~40 |
プラチナを原作とする。主人公はプラチナ。第7章から地続きの続編。シンオウバトルフロンティアが舞台で、「やぶれた世界」とギラティナを巡る冒険が描かれる。この章の途中で、『小学五年生』『小学六年生』が休刊となり、連載ペースが急低下。40巻に至っては丸々書き下ろしとなった。うっすらとした繋がりは見えたものの、シンオウ編の主人公達と、6章までの主人公達が直接絡むことはとうとうなかった。 |
第9章 |
収録巻数:41~43 |
ハートゴールド・ソウルシルバーを原作とする。主人公はゴールド、シルバー、クリスタル。ワタルからアルセウスの情報を得ることを求め、ポケスロンに出場するゴールドと、ジョウト地方にロケット団復活の兆しが漂う中奔走するシルバーの活躍を描く。全体通して3巻未満であり、現時点では、6章を抜いて史上最短の章である。また、時系列が以前の章より前のものであった唯一の章でもある。エピローグにて、第7章から描かれるシンオウでの物語へと繋がるエピソードであったことが明かされた。 |
第10章 |
収録巻数:43~51 |
ブラック・ホワイトを原作とする。主人公はブラックとホワイト。原作ゲーム発売と連載開始がほぼ同時期だった唯一の章。ポケモンリーグ制覇を目指して頑張りすぎる少年ブラックと、ポケモンをタレントとして扱う芸能事務所社長のホワイトが主人公。 |
第11章 |
収録巻数:52~55 |
ブラック2・ホワイト2を原作とする。主人公はラクツとファイツ。それぞれ、弱冠12歳でトレーナーズスクールの生徒であるが、前者は国際警察の刑事にしてハンサムの上司、後者は元プラズマ団員という、シリーズ史上でも類を見ないキャラ設定がなされている。後述する第12章の連載開始のため休載になってしまっていたが、完結したORASに続く形で、ウェブコミック配信サイト「サンデーうぇぶり」にて連載され完結した。 |
ニンテンドー3DS編
第12章 |
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収録巻数:55~ 全6巻 |
ポケットモンスターSPECIAL X・Y(てんとう虫コロコロコミックス):1~6 |
X・Yを原作とする。主人公はエックスとワイ。幼少期はポケモンバトルが上手だったが現在は引きこもりとなってしまったエックスとサイホーンレーサーからスカイトレーナーに転向した幼なじみのワイを中心に話が進む。コミックスが「通常版(ポケファン&イチバン)」と「X・Y編(コロコロイチバン限定)」の2種類発行されるという初めての試みが行われる。 |
第13章 |
収録巻数:全3巻 |
ポケットモンスターSPECIAL Ωルビー・αサファイア(てんとう虫コロコロコミックス):1~3 |
オメガルビー・アルファサファイアを原作とする。主人公はルビー、サファイア、エメラルド。世界に迫る隕石の危機、古代の壁画に描かれたΔの秘密、そしてルビーと謎の少女ヒガナの因縁が明かされる。2015年1月よりウェブコミック配信サイト「クラブサンデー」後に「サンデーうぇぶり」にて連載され完結した。 |
第14章 |
収録巻数:全6巻 |
ポケットモンスターSPECIAL サン・ムーン(てんとう虫コロコロコミックス):1~6 |
サン・ムーンを原作とする。主人公はサンとムーン。ライドポケモンを使う「運び屋」のサンと届け物を預かってアローラ地方にやって来たムーンを中心に話が進む。「コロコロイチバン!」にて連載していた。 |
ニンテンドーSwitch編
関連イラスト
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ポケモン ポケモン派生作品 漫画 図鑑所有者 ダイレクトアタック リアルファイト
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表記揺れ
ポケットモンスタースペシャル:カタカナ表記。
ポケットモンスター☆SPECIAL:2001年度、クリスタルが主役を張っていた時期のタイトル表記。