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電気自動車の編集履歴

2022-05-20 18:08:00 バージョン

電気自動車

でんきじどうしゃ

バッテリーで供給された電力で駆動する自動車。

概要

電気を動力源とし、電動モーターの動力で走行する自動車。一般的には蓄電池ニッケル水素電池リチウムイオン電池など二次電池を利用したもの(BEV=Battery Electric Vehicle)を指す。ソーラーパネルで発電した電力で走る車(ソーラーカー)もあるが、ソーラーパネルだけでは自動車を走らせるのに十分な電力を供給するのは難しいため実験的車両の域を出ていない。


なおシリーズ式ハイブリッド車(日産のe-Powerなど)や燃料電池車(FCV)も電気を動力源とし電動モーターで駆動するため、これらも電気自動車の一種とも言えるが、燃料を必要とする点でバッテリー駆動の電気自動車とは区別される。


モータースポーツの分野では以前は色物のような扱いであったが、ドイツ勢がこぞって電気自動車をアピールするために電気駆動のレーシングカーを開発するようになっており、急激に存在感を増している。


歴史

初の量産電気自動車は1880年代の英国で登場、20世紀初頭にかけてガソリン車・蒸気自動車と覇を競った。当時の電気自動車は動力源として大きく重く有害な硫酸を使う鉛蓄電池に頼らざるを得なかったものの、ガソリン車に必要とされるトランスミッションが不必要であり、機構がシンプルで容易に量産できた。1900年、発明王トーマス・エジソンは来るべき大衆車時代を見据え、安全性が高いニッケル電池(エジソン電池)を開発したが、様々な問題から普及しなかった。


初期のガソリン車は後年より遥かに信頼性が低く、現在のマニュアルトランスミッションより扱いの面倒なドグミッションだった上、セルモーターを搭載しておらず、始動時には全力でクランクを回さなければならなかった。騒音や振動も激しかった。一方の蒸気自動車もボイラーの整備が難しく、一般ユーザーが簡単に扱えるものではなかった。また始動に時間を要し、瞬間湯沸かし式ボイラーが実用化されてからも2~3分程度の時間がかかった。このため、静かで扱いが易しく、非力な女性ドライバーでも運転できる電気自動車が一定の支持を集めたのである。


しかし1908年に変速の容易な遊星歯車式変速機(一種のセミAT)を搭載したフォード・モデルTが登場すると大勢はガソリン車優位に決し、1917年にモデルTがセルモーターを搭載すると電気自動車や蒸気自動車は競争力を失った。1920年代の早い時期に電気自動車は構内作業用くらいにしか使われなくなり、やや遅れて蒸気自動車も姿を消した。


第二次世界大戦後の日本では、本土空襲による工場の破壊で電力が余っていたことと、燃料不足により電気自動車が一時復活する(→たま電気自動車)が、朝鮮戦争による価格の上昇により短期間で姿を消した。


電気自動車は、1970年代の低排出ガス化の要求とオイルショックにより「低公害車」(エコカー)の本命として注目を浴びるが、肝心のバッテリーの性能はニッケル・鉄電池やニッケル・カドミウム蓄電池(ニカド電池)でも満足のいくものではなく、電気自動車が日の目を見るのにはそれからさらに長い時間がかかった。バッテリーのエネルギー密度の低さという問題を解決するため燃料電池の研究も進められた。1990年代にリチウムイオン電池が登場し、(コスト面はともかく)バッテリーで一定の航続距離を確保できる目処がようやく立ち始めた。


電気自動車の性能が注目を集めたのは2004年に慶應大学などが開発した「エリーカ」(8輪駆動のダイレクトドライブで最高時速370km)の登場がきっかけ。電気自動車が一般販売されビジネスとして成り立つと認められたのは、テスラ・モーターズが2006年に発表、2008年に生産を開始した「テスラ・ロードスター」が登場してからである。


なお上述の「エリーカ」については商品化を目指して「SIM-Drive」という企業が立ち上げられたが、機構面で独自性が強すぎて市販車からの部品流用が不可能だったため、解散・会社清算に至っている


大まかな分類

動力源

  • 一次電池
  • 二次電池(鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池など)

日本の法律では「一応」電気自動車扱いになるもの


制御方式・搭載しているモーター

整流子モーター

  • 抵抗制御(大電力用半導体が普及する前のものに採用されていた)
  • 電機子チョッパ制御(軽自動車規格以上のコンバートEV(※)によく見受けられる)

永久磁石式三相同期モーター

  • VVVF制御(自動車メーカーが現在市販しているものはこれを採用している)

三相誘導モーター

  • VVVF制御(海外のメーカーに採用例がある)

※・・・動力源と駆動装置の積み替えによる改造で電気自動車になったもの。

モーターの搭載方法

減速機とデフを介する

一般的な方法。後述のダイレクトドライブ方式に比べて若干伝達効率は落ちるが、大出力のモーターを実装するのが容易。さらに減速機に代えて変速機を搭載すれば高速性能の向上が望める。


ダイレクトドライブ

車輪にモーター、ブレーキなどが一体となった駆動ユニットを取り付け駆動する。効率は良いが、ばね下重量が重くなり(走行ユニット1つだけで20kg~50kg以上ある)しかも晒される環境は非常に苛酷で、その対策を行おうとすると余計に重くなるなど実装はとても困難。ただ、電動式の原付など軽く出来て、晒される環境も大して苛酷でないものには採用車種(ヤマハ EC-03など)が登場している。


利点・欠点

利点

  1. 排ガス・排気音が出ない
  2. 低速時トルクが非常に太く(搭載しているモーターの性能にもよるが)加速力に優れる。
  3. 発進時から最大トルクを発生するのでトランスミッションが不要(ただし、高速巡航時の効率改善のためには変速機の搭載が望ましい)
  4. 低速走行時のエネルギー効率に優れる(かわりに高速になるほど内燃機関車に対する優位性は薄れる)
  5. 回生ブレーキが使用可能(ハイブリッド車などでも使用できるモデルはある)
  6. エンジンや補機がいらないので、エンジン付きでは困難な斬新なデザインの車も実現できる。

欠点

  1. (バッテリー容量にもよるが)航続距離が短い。特に寒冷地ではバッテリーの性能が落ち、エンジンの廃熱を利用できないので暖房に電力を取られて航続距離が縮んでしまう。
  2. 充電スタンドの数がまだ少ない
  3. 充電時間が長い。遠出に備えて急速充電機能も用意されているが、電池の寿命が縮んでしまう。
  4. 夜道や狭い道では騒音が少ないために歩行者が気づかないことがある(音を発生する装置の内蔵が義務づけられている)
  5. 走行中に電池が干上がった際の救援がエンジン車に比べ困難
  6. バッテリー自身が重い

そのほか、エンジン音やマニュアルトランスミッションによる手動変速など「走る楽しみ」に欠けるという向きもあるが、実験車両では加速に応じて走行音を発生させてスピード感を演出したり(効率向上を兼ねて)手動のトランスミッションを搭載したりといった試みも行われている。走行音発生装置付きのEVは、ドライバーの気分に応じて音色を切り替えるというエンジン車では不可能な楽しみ方もできる。MTの電気自動車はその高トルクから平坦路ではトップギア発進もできてしまい「楽しいけどエンジン車とは別物」とのこと。


将来像

21世紀に入り地球温暖化問題の深刻化に伴い、温室効果ガス(主には二酸化炭素)を出さない移動手段が強く求められ、電気自動車が一般向けの自動車として再び普及し始めたものの、ガソリン車に比べて高価で航続距離が短いという欠点からまだまだ発展途上といえる(言い換えれば、技術革新による性能向上の余地が大きい)。もっとも、電気自動車とガソリン車の価格差のほとんどは充電池のコストによるものである。自動車向けの充電池は依然として高価であるものの、各国のメーカーの努力と量産効果により徐々に安価になってきている。また航続距離の進歩や充電インフラの普及に伴い、各国で電気自動車の存在感が年々増している。航続距離の問題が少ないフォークリフトターレットトラックなど屋内で使う特殊な自動車では、すでに電池駆動が主流となっている。


特に、2015年に発覚したディーゼル・ゲート(フォルクスワーゲンディーゼル排出ガス検査における不正行為)を機に、欧州と中国を中心に電動車(プラグインハイブリッド車を含む)へのシフトが急激に進んでいる。ドイツイギリスでは2030年、米カリフォルニア州では2035年までに中大型トラックを除く全ての新車を排ガスゼロの電気自動車や燃料電池車にする方向であり(ハイブリッド車も禁止であり、「カーボンニュートラル」な水素燃料車や合成燃料車の先行きも不透明になっている)、日本や中国も2035年を目処に純ガソリン車の新車販売禁止(ハイブリッド車はOK)を打ち出すなどしているため、将来的に電気自動車が主流となるのは必然となっている。また先進国を中心に「企業平均燃費」(CAFE)による規制が導入され、自動車重量に応じたCO2排出量が基準を超えたメーカーには罰金が課せられるようになっているため、燃費の悪い車を多く売るメーカーにとっては電気自動車の開発・販売が急務となっている。


航続距離の進歩や充電インフラの普及に伴い、各国で電気自動車の存在感が年々増しており、自動車向けの充電池は依然として高価であるものの、各国のメーカーの努力と量産効果により徐々に安価になってきている。前述の特徴から寒冷地には基本的に向かないとされるが、国策で電気自動車を奨励しているノルウェーのように新車の大半がすでに電気自動車になっている国もある(同国は極寒冷地のため、冷却水が固まらないようにするヒーター用の電源がもともと普及していた)。


一方で、蓄電池に必要となるレアメタル(希少金属)の安定供給、製造時や廃棄/リサイクル時の環境負荷も考える必要がある。そもそも日本のように発電の大部分を化石燃料(火力発電)に依存している国では、電気自動車の普及により電力消費が増えると、結果としてガソリン車よりも温室効果ガスの排出量が多くなりかねない。自動車の電動化をカーボンニュートラル(脱炭素)に繋げていくには、再生可能エネルギーへの転換を同時並行で進めていかなくてはいけないのである。


2022年以降

2022年1月6日、アメリカ合衆国ネバダ州クラーク郡ラスベガス市で開催された電子機器の見本市『CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2022』にてベトナムの自動車会社VinFastが完全電動戦略と完全電動車両ラインアップを発表。VinFastグローバル最高経営責任者(CEO)のLe Thi Thu Thuy氏は「VinFastはグリーンでクリーン、かつ安全なモビリティーを通じて人々と地球の持続可能な未来を思い描いている。これはインテリジェントなサービス、優れた顧客体験、地球と将来世代への深い思いやりに基づいて築かれる未来である。VinFastは、優れた顧客サービスとともに、革新的な車両デザイン、品質、テクノロジーにコミットしている。われわれは、より偉大な業績を目指している。それは、当社が世界をリードする電動車両メーカーの1つになるとともに、当社の顧客が幅広くつながり、電動車両革命に参加することを促すことで、すべての人々のための持続可能な未来を生み出すことである」と語った。


・・・海外の新興自動車メーカーでも世界トップ自動車メーカーと同じ土俵で勝負できるEV市場の未来は明るい。


乗用車(日本国内)

トヨタ

  • bZ4X(SUBARUと共同開発、SOLTERRAと兄弟車)

レクサス


ホンダ


日産自動車


三菱自動車

  • i-MiEV(2018年4月~2021年3月)

ダイハツ


スズキ


マツダ


SUBARU

  • SOLTERRA(トヨタと共同開発、bZ4Xの兄弟車)

軽自動車(日本国内)

トヨタ


ホンダ

  • 2024年頃に発表予定。

日産自動車

  • 日産サクラ(三菱自動車との合弁会社NMKVで共同開発、eK X EVの兄弟車)

三菱自動車

  • i-MiEV(2009年7月~2018年4月)
  • MINICAB-MiEV
  • eK X EV(日産自動車との合弁会社NMKVで共同開発、サクラの兄弟車)

ダイハツ

  • 2025年頃に発表予定。

スズキ

  • 2025年頃に発表予定。

マツダ


SUBARU



関連項目

自動車 四輪車

電気 モーター バッテリー 発電 燃料電池

ハイブリッドカー プラグインハイブリッド

電車 トロリーバス 電気飛行機 ソーラーカー 電動アシスト自転車 セグウェイ

たま電気自動車 だん吉ザ!鉄腕!DASH!!) 日産リーフ 日産アリア

出川哲朗の充電させてもらえませんか?・・・電気自動車(電動バイク)の航続距離の短さをネタにした番組。

テスラモーターズ・・・世界一電気自動車を販売するメーカー。

BYD・・・電気自動車の販売でテスラと世界一を争うメーカー。

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