『血は生命なり!』
概要
荒木飛呂彦原作の漫画シリーズ「ジョジョの奇妙な冒険」の記念すべき第1部となる作品。連載時の副題は「ジョナサン・ジョースター ―その青春―」。
今なお続く大人気シリーズ「ジョジョ」の原点であり、以降の部でも受け継がれるジョースター家とディオ(DIO)の因縁、その始まりが描かれており、「全てはここから始まった」と言うにふさわしい内容である。
2部と共通する能力「波紋」やキーアイテム「石仮面」が描かれるが、3部以降の戦闘手段「スタンド(幽波紋)」とキーアイテム「スタンドの矢」は未登場。
原点というだけあって人気もそれなりに高い。特に序盤は名言が連発し、ネットスラングとして誰もが耳にした事があるようなフレーズも多い。
当時流行っていた北斗の拳などの影響を色濃く受けている作品でもあり、後半はその傾向が強まっている、
あらすじ
舞台は19世紀後半のイギリス。
由緒ある貴族ジョースター家の一人息子ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)は正義感にあふれる少年。そんな彼のもとにある日、養子としてディオ・ブランドーが訪れる。ジョースター家の財産を乗っ取ろうと目論むディオは、事あるごとにジョジョに様々な嫌がらせをした。いくつかの事件を経て二人は表面的には和解したものの、ディオはジョジョへの憎悪を、ジョジョはディオへの猜疑心を隠したまま、歳月が過ぎる。
そして7年後、ジョジョとディオはたくましい青年に成長していた。ジョジョは「石仮面」について研究しつつ考古学者への道を夢見る一方、ディオは法律を学びジョースター家乗っ取りの野望を実行に移そうとしていた。東洋の毒薬を使い、ジョースター卿を病気に見せかけて毒殺しようとするディオ。しかしその目論みは見破られ追い詰められたディオは、ジョジョが研究していた「石仮面」を被り、吸血鬼へと変貌を遂げジョジョに襲いかかる。「石仮面」には人間の脳を刺激して不死の魔物に変えてしまう恐るべき力が秘められていたのだ。
一旦は退けられるも、吸血鬼と化したディオは容易に倒せる筈もない。特殊な呼吸法を操る奇妙な男、ツェペリ男爵と出会ったジョジョは、吸血鬼に対抗すべくこの「波紋」の力を身に付け、ディオとその配下の屍生人たちとの戦いに身を投じていく。
こうして、ジョジョの自分の青春に決着をつけるための奇妙な冒険が始まるのだった。
登場人物
主要人物
ジョースター家
主人公。第1部におけるジョジョ。心身ともに紳士を目指す正義感あふれる青年。
もう一人の主人公であり、宿敵であり、奇妙な友人。
彼がジョースター家に引き取られるところから、一世紀以上にもわたる因縁が始まる。
ジョナサンのガールフレンド。芯の強い、健気な少女。
ジョナサンの父親。恩人の息子であるディオを養子として迎え入れる。
ジョナサンの飼い犬。
仲間
ロンドンの貧民街「食屍鬼街(オウガーストリート)」のチンピラをまとめるボス兼ジョジョ解説役。世話好きな好漢でもある。第2部でも性格が全く変わらないまま登場。
波紋使いである謎のパウパウ男。ジョナサンに眠る波紋の才能を見出す。
ディオの潜伏していた村ウィンドナイツ・ロットに住む少年。
臆病な性格だったが、ジョジョたち一行と行動を共にするうちに大きく成長していく。
波紋戦士
トンペティの弟子で、ツェペリ、ストレイツォとは共に波紋の修業をした仲。
稲妻十字空裂刃(サンダークロススプリットアタック)という必殺技をひっさげ、ディオに挑んだが…。
ダイアーと同じくトンペティの弟子。「このストレイツォ、容赦せん!」が決め台詞。
第2部にも引き続き登場し、内心ディオに惚れ込んだ挙げ句に吸血鬼化して間もなく死んだ。
ツェペリ、ダイアー、ストレイツォに波紋を教えた人物。
波紋の力で触れた人間の運命を予知する能力がある。
屍生人
ディオに毒薬を売っていた東洋人(中国人?)の男。後にディオの手でゾンビにさせられる。
忠臣といってもよいほどディオに高い忠誠心を誓っている初代ヴァニラ・アイス。
19世紀末のイギリスに実在した連続殺人鬼。日本語に訳すと切り裂きジャックになる。
この作品では、ディオ配下のゾンビとして登場し、ジョジョたち一行の前に立ちはだかる。
かつてメアリー・スチュアートに仕え、その後エリザベス1世によって処刑された騎士。念を押しておくと、メアリー・スチュアートは実在した人物だがブラフォード&タルカスはジョジョの世界にしか出てこない架空の部下である。
ディオの配下のゾンビとして蘇り、ジョジョたち一行の前に立ちはだかる。
生前ポコの知り合いだった屍生人で、舌を伸ばす能力を持っている。秒でジョナサンに倒された。
体内に毒蛇を飼ったゾンビ。ポコの姉さんを襲うがジョナサンに倒された。
ディオが送り込んだ最後の刺客でもある。
ペイジ,ジョーンズ,プラント,ボーンナム
ディオとの最終決戦で登場したザコ共。必殺技血管針攻撃を仕掛けるもストレイツォに瞬殺された。
獅子王ウィンザレオ,稲妻の騎士アイクマン,独眼のカイネギス
かつて77の輝輪(リング)という試練に挑んだ伝説の騎士たち。
原作では1コマのみの登場で、物語には一切絡まない。
後年発売されたPS2ゲーム『ファントムブラッド』でジョナサンの刺客として登場。
その他、名称不明の屍生人も多数登場した。
その他
ディオの父。全ての元凶の元凶といえる存在。
少年草ボクシングのチャンピオン。
首だけになったディオの棺を開けようとしたためワンチェンに殺害された。
名言など
- 「何をするだァーッ!」 (正確には名言ではなく誤植)
- ズキュウウウン (キスの効果音)
- 「さすがディオ! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!」
- 「君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!」
- 「酒!飲まずにはいられないッ!」
- 「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!」「こいつは生まれついての悪だッ!」
- 「おれは人間をやめるぞ! ジョジョーッ!!」
- 「スピードワゴンはクールに去るぜ」
- メメタァ
- 意外!それは髪の毛ッ! (ナレーション発言なので、厳密には「言」ではないかも)
- 「なにジョジョ? ダニーがおもちゃの鉄砲をくわえてはなさない? ジョジョ、それは無理矢理引き離そうとするからだよ。逆に考えるんだ、『あげちゃってもいいさ』と考えるんだ」
- 「フーフー吹くなら…このおれのためにファンファーレでも吹いているのが似あっているぞッ!」
- 「ねーちゃん! あしたっていまさッ!」
- 「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」(ちなみにこの台詞は東方projectのレミリア・スカーレットも発言しているが、コレが元ネタ。)
- 「かかったなアホが!」
- 「無駄無駄無駄無駄ァーッ!」
メディアミックス
劇場版
2007年に、劇場版アニメが上映された。お笑い芸人のスピードワゴンもとある縁で出演した。制作は第3部のOVA版制作を担当したA.P.P.Pであり、その作品群の完成度の高さと第1部初のアニメ化と言う2つの要素からファンからの期待も高まっていた。
しかし結果的にファンからの評価はすこぶる悪かった。
映画化に当たって変更された一部展開やその他意図の分からないオリジナルシーンなど不評の原因は複数あったが、1番の要因は上映時間の縛りによるストーリーの簡略化である。
そのためこの作品にはスピードワゴンをはじめとする多数の主要キャラクターが登場していない。その他「そこにシビれる!あこがれるゥ!」やブラフォードの剣等の原作の名台詞、名シーンのカットなど、原作ファンからすれば首をかしげるような出来となってしまった。
分作方式にすればここまでのことにはならなかったと思われるが………
更に第3部OVA版のあるシーンが原因で宗教問題が発生。原作が回収後当該シーンを修正、OVAが絶版となり、その結果A.P.P.Pはジョジョ関連の映像作品が発売出来なくなってしまった。そのあおりで本作もソフト化が絶望的な状況になっている(幸いにもOVA版はDVD-BOXが発売され市場に出回った後だったので現在も比較的視聴は容易)。
その為現在ではゲームの特典映像のパイロット版PVか2004年東京国際アニメフェアで公開されたテスト用の2分半の短編映像、その他CMの録画や出自不明の流出映像など映画を実際に見た人のレビュー以外ではごく断片的にしかその内容を知る事が出来なくなってしまった。
なお2004年公開のテスト用映像は劇場版制作決定の告知映像も兼ねていた為、本編未登場のスピードワゴンが一瞬登場した他、本編では9割カットされたブラフォードとタルカスとの戦いも数秒間のダイジェスト映像ながら原作に忠実……などと言った相違点がある。
ただし作画クオリティやディオをモチーフにした主題歌などは高い評価を得ており、声優も小西克幸(ジョナサン)、緑川光(ディオ)、水樹奈々(エリナ)など豪華であった。その為未ソフト化を惜しむ声も実は少なくなかったりする。
果たして再び日の目を見る日は来るのだろうか……。
スタッフ
監督・キャラクターデザイン・総作画監督 - 羽山淳一
脚本 - 山田光洋
美術監督 - 桑原悟
撮影監督 - 岡崎英夫
色彩設計 - 関美恵子
編集 - 西重成
Sound design - Tom Myers SKYWALKER SOUND A Division of Lucas Diginal Ltd.
Music composed & arranged - Marco d' Ambrosio
アニメーション製作 - A.P.P.P.
テーマソング - 『VOODOO KINGDOM』 / SOUL'd OUT(SMEレコーズ)
製作 - JOJOファントム ブラッド製作委員会(クロックワークス、A.P.P.P.、集英社、アスミック・エース、住友商事、テレビ東京、ソニーPCL、バンダイ)
配給 - クロックワークス
また、劇場版放映の前年2006年には、このストーリーをモチーフにしたPS2用ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」が発売されているが、こちらもこちらで溢れる原作愛以外の全てが足りず評価が低い。
しかしこちらも声優は豪華であり、劇場版と同じくディオ役を緑川氏が、ツェペリ役を小山力也氏が務めている。劇場版と違ってスピードワゴンもしっかり健在である。
テレビアニメ
ジョジョ連載25周年の2012年、記念すべきこの年の10月にジョジョ初のTVアニメが放映を開始した。
ストーリーはもちろん第1部から開始されており、10月~11月に第1部が、12月からは第2部が連続して放送された。
原作再現度と作画の完成度の高さを同時に展開しており、こちらの評価ついてはさすがに前述の劇場版のようなことにはなっていない。
以降、間をおいて2014年4月に第3部、2016年4月に第4部、2018年10月に第5部、2021年12月に第6部とシリーズが継続している。
サブタイトル・敵(第1部)
1 | 侵略者ディオ | ディオ |
2 | 過去からの手紙 | スピードワゴン |
3 | ディオとの青春 | ディオ(吸血鬼) |
4 | 波紋疾走 | ジャック・ザ・リパー |
5 | 暗黒の騎士達 | ディオ、ブラフォード、タルカス等 |
6 | あしたの勇気 | ブラフォード、タルカス |
7 | うけ継ぐ者 | タルカス、アダムス、ダイアー |
8 | 血戦!JOJO&DIO | 怪人ドゥービー、ディオ等 |
9 | 最後の波紋! | ディオ(首のみ)、ワンチェン |
スタッフ(第1部)
プロデューサー - 大森啓幸、森亮介、福田順、林俊安
製作協力 - 川瀬浩平
プロデュース協力 - 里見哲朗
シリーズ構成 - 小林靖子
キャラクターデザイン・総作画監督 - 清水貴子
サブキャラクターデザイン・プロップデザイン - 町田真一
美術設定 - 青木薫、ソエジマヤスフミ
美術監督 - 吉原俊一郎
色彩設計 - 村田恵里子
撮影監督 - 山田和弘
編集 - 廣瀬清志
音響監督 - 岩浪美和
音響効果 - 奥田維城
音楽 - 松尾早人
音楽制作 - IMAGINE
アニメーションプロデューサー - 梶田浩司
ラインプロデューサー - 笠間寿高
アニメーション制作 - david production
ビジュアルディレクター - ソエジマヤスフミ
シリーズディレクター - 鈴木健一
ディレクター - 津田尚克
製作 - ジョジョの奇妙な冒険製作委員会
主題歌
《オープニングテーマ》
作詞:藤林聖子 / 作曲:田中公平 / 編曲:大谷幸 / 歌:富永TOMMY弘明
《エンディングテーマ 》
作詞・作曲:Jon Anderson、Steve Howe / 歌・演奏:YES
舞台版
東宝製作で、2024年2月にミュージカルが上演予定。
演出は『死刑執行中脱獄進行中』の構成・演出を務めた長谷川寧、作曲は数々のフレンチミュージカルで作曲を手掛けるドーヴ・アチア、脚本は『僕のヒーローアカデミア』で演出を務めた元吉庸泰。
舞台版とは言え、1部の実写化は初となる。
また荒木作品の舞台化は本作で2度目。
関連画像
関連動画
劇場版の予告編
関連タグ
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「ファントムブラッド」 | 「戦闘潮流」 |
北斗の拳:同時代に大流行していた作品で、第1部は絵柄やジョナサンの描写、終盤の展開など、クリシェとも言えるほどまともに影響を受けている。
鬼滅の刃:本作の特に本章とは時代設定も近く、波紋法と全集中の呼吸や、吸血鬼と人食い鬼など共通する点が多く、強いリスペクトを受けたと思われる。