CV:柴田秀勝(ドラマCD版)/笹岡繁蔵(コミックCD「ロトの紋章」)/大塚明夫(リアル脱出ゲーム「大魔王ゾーマからの脱出」、ドラゴンクエストライバルズ)
演:山崎銀之丞(スーパーライト実写CM)/八田浩司(舞台「ライブスペクタクルツアー」)
「アルスよ! 何ゆえもがき 生きるのか?
滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。
さあ、わが腕の中で息絶えるがよい!」
概要
『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』に登場する大魔王で、本作のラスボス。
アレフガルドを永遠に明けない夜の闇に閉ざし、アレフガルドの大地を作った精霊ルビスを石像に変えて封印した。
地上世界にはバラモスを送り込んでいるが、勇者の活躍によってバラモスが倒されたことで地上世界の征服は未遂に終わり、自らの存在を知らせることになる。
作中には天界も存在するのだが、流石にそこまでは手付かずの様子。ただ、ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナルのバラモスエビルの豆知識から一応侵攻を企てていることが窺える。
上記の通りアレフガルドの完全封印を達成しており、一つの世界を既に征服済みの魔王として知られる。
その世界征服ぶりは、Ⅶの魔王オルゴ・デミーラとどちらが上かと頻繁に議論対称になっている。
封印した領域、世界の規模ではデミーラの封印の方が大規模であるが、一つの世界を完全に封じたという点ではゾーマに軍配が上がるとされる。
また、ラダトームの城に保管されていた「王者の剣」のオリジナルを(リメイクでは3年の年月をかけて)破壊している(後世に受け継がれているのは本作で再作成された剣になる)。
物語開始時点ですでに一つの世界を征服済みという実力、(いまや定番を通り越してお約束にまでなった)表向きのラスボスを影から操る真の黒幕というドラマ性、その実績に恥じないゲーム中での戦闘力、そして敗れてなお堂々たる態度を貫く圧倒的なカリスマ性から高い人気を誇り、シリーズのラスボスの中でもトップクラスの支持を得ている。
なお、公式イラスト及び初期の作品では4本指であったが、近年の作品では大人の事情故か5本指になっている。
戦闘
マヒャド、こごえるふぶき、いてつくはどうなどの冷気系の攻撃を使いこなす。ドラゴンクエストシリーズで初めて「いてつくはどう」を使用した敵でもある。補助効果を消すのに「凍てつく」という演出は、冷気を得手とする彼こそがこの攻撃のパイオニアだからに他ならない。
登場直後は闇の衣(バリアー)をまとっているため、アイテム「ひかりのたま」を使い、闇の衣を剥いでからが本番。
SFCのリメイク版以降では凍える吹雪を使う確率が上がっているため、吹雪に強い呪文や装備が欲しいところ。
高度な呪文を扱うイメージだが、通常物理攻撃も非常に高く、手痛い追撃を受けることも。
ファミコン版では回復系呪文や薬草でダメージを与えることができ、攻撃系魔法が効きにくい関係もあって魔法使いより僧侶の方が(下手をすれば戦士の武器攻撃より)ダメージを与えられることが有る。
また、「ひかりのたま」を使わずに倒す事もできる。「ひかりのたま」を使用していない状態のゾーマは闇ゾーマと呼ばれる。
闇ゾーマの能力は通常時(闇の衣を剥ぎ取った状態)よりも高く、倒すにはより高いレベルが必要となる。
戦闘曲「勇者の挑戦」は、今なお高い人気を誇っている。
Ⅲ本編以外での登場
ドラゴンクエストⅨ
魔王の地図のボスとして登場。
Ⅲと異なり闇の衣は無いが凍える吹雪などの冷気系の攻撃は健在で、更にはヒャド系最強呪文であるマヒャデドスまでも使用する。
ドラゴンクエストⅩ
5周年記念イベント「大魔王ゾーマへの挑戦」に登場。
ドラゴンクエストⅪ
ゾーマ本人は登場しないが、3DS版にゾーマの力を持つメイデンドール系のモンスターであるゾーマズレディが登場。
モンスターバトルロードシリーズ
メラゾーマやジゴスパークなど、冷気系以外の呪文や特技も使う。
とどめの一撃は「極大焼失呪文」と呼ばれるメラ系最上級呪文のメラガイアー。
登場する度にモーションが変更されている。
ドラゴンクエストモンスターズ
パワーアップ形態のアスラゾーマや、ゾーマをそのまま小さくしたような姿をしたゾーマズデビルが登場するのもこのシリーズである。
????系の中でも高い能力と耐性を持つ上、配合チャートでは最下層の魔王同士で生まれるのでかなり作りやすく、お手軽かつ強力なモンスターだった。
ただし、メタル化はできないので対戦を極めたプレイヤーにはあまり重宝されなかったようだ(本作ではメタル化が可能なのはダークドレアム、デスタムーア最終形態、しんりゅうのみ)。
2でも1と同じ配合方法で生まれる。ローズバトラーなどが出現する鍵がある為、りゅうおうとシドーが作りやすく、より簡単に配合できるようになった。
また、今作からメタル化が可能となり対戦での使用率も増加した。
ジョーカーでは数少ない2回行動できるモンスターであり、キラーマシンなどと共に高い採用率を誇る最強クラスのモンスターだった。
ジョーカー2では行動回数が1~2回に減少したが常にマホカンタの特性を習得。ラスボス中唯一のSサイズで物凄く小さい。しかも、この作品ではSサイズと複数行動、常にマホカンタなどの強力特性を持つモンスターにマイナス補正がかけられる。
ゾーマはその影響をもろに受けてしまい全能力が激減、魔王でも最弱の1体にまで落ちぶれてしまう。
そのHPなんと620。巨大モンスターの圧倒的火力が幅を利かせる中、HP620は余りにも低すぎた。
ジョーカー2プロでは最強レティスが流行。デイン系弱点のゾーマはその低いHPと共に、活躍の機会を大きく奪われてしまった。
テリーのワンダーランド3Dでは能力が上昇し、持ち直した。
位階はラスボスの中では低位。しかし他のラスボスに比べ配合で作りやすいということでもあり、作りやすさを考慮するとそれなりに優秀。今作から、性能の似通ったモンスターが異常に多い事でも知られている。
イルとルカの不思議なふしぎな鍵では、新生配合でメガボディorギガボディを付加する事でモンスターズシリーズにおける小さな体を克服…できるはずだったが攻撃回数は1~2回と変わらない上に「強者の余裕」や「ヘロヘロ」といってマイナス特性が発動する為、大きくすると実質戦う事ができない。
ちなみに、アスラゾーマも復活している。
ジョーカー3では、無印ではほうおう×バラモスゾンビの、プロフェッショナルではバラモス×バラモスゾンビ×キングヒドラ×ゾーマズデビルの組み合わせでそれぞれ誕生。
HP以外の全ての能力が高く、賢さと素早さは最大基準値と屈指の能力値を誇る。
反面、HPはかなり低い他、???系では珍しく状態異常耐性が即死以外全て普通(即死も半減)とかなり虚弱なため、うまく特性やスキル構築を行う必要がある上級者向けの魔王。
配合の仕様変更により、デメリットなしでサイズを自由自在にできる。遂にデメリットなしの巨大なゾーマを作れるようになった。
ただし、本作の魔法型は1枠で使う方が強いため、サイズを上げたゾーマが対戦で使われる事は少ない。
ゾーマズデビルとアスラゾーマは一旦闇に葬られたがプロフェッショナルで復活。
ゾーマズデビルは高いHPを持ち、アスラゾーマは物理アタッカーに向いたステータス・特性を持っている。加えて、ゾーマズデビルは初期モンスターの候補にもなっている。
i/ezでは、外見が似ているボトクの配合素材になる。
ちなみにボトクはオルゴ・デミーラの配下である。
ドラゴンクエストライバルズ
レジェンドレアの共通ユニットとして参戦。
登場時には、あの「勇者の挑戦」へとBGMが切り替わる仕様になっている。
9MPの10/10という絶大なステータスを持つ。ここまで基本ステータスが高いユニットは「スタンダードパック」時点では存在しておらず、現在もダークドレアムの12/12に次ぐ第2位。
召喚時にお馴染みの「闇の衣」をまとう。「闇の衣」がある間は、ゾーマは様々な状態異常やデバフなどを無効にしダメージも一切受け付けなくなる。したがって、そのままの状態でゾーマを倒すことは絶対に不可能である。
ゾーマのもう一つの能力で相手のデッキの一番上に置かれる特技カード「光の玉」を発動すれば闇の衣を剥がし、ダメージや効果でゾーマを撃破することが可能になる。これも原作通りといえるが、デッキの一番上に置かれるということは、次のターン相手のドローは光の玉によって潰されるため、ゾーマを出された時点で対処するカードを持ってない場合、返しのターンに手札から対処することは結局不可能という点が特に凶悪。その上光の玉のMPは4であるため、同一ターンでゾーマを対処するには現在の最大MPから4を引いた値のMPでやりくりをしなければならない。
このような性能によって出されると対処することが非常に困難であるため、様々なデッキでフィニッシャーとして採用されている場合が多い。
ワルぼうなどと組み合わせてカードを除去してしまうと、ゾーマは完全無敵となる。
弱点は召喚したターンは相手盤面に干渉することができない点。不利な状況で出したとしても相手ユニットにタコ殴りされるのがオチであるため、召喚するタイミングには注意が必要となってくる。
また、闇の衣がなくなった後はあらゆる効果に対する耐性がなくなるのでザキであっさり倒されたりバシルーラの杖や雄叫びで手札に返されたりと対策を取られていると何もできずあっけなく除去されることも。さらにMP9という膨大なコストもあって場に出すのは終盤になる上、(今作の最大MPは10のため)出したターンはそのあとMPが足りなくてほとんどやることがないという弱点も存在する。
星のドラゴンクエスト
ストーリー第3話の「お城へ行ってみよう」をクリアすると参加できる常設イベント「レジェンド オブ ロト 〜ルビスの光に導かれ〜」の6つ目のクエスト「勇者は大魔王へ挑む」のボスとして登場。最初の2ターンは闇の衣をまとうが、モガマルが嘆くところでルビスが光の玉を掲げ、ゾーマのまとった闇の衣を剥ぎ取る。ゾーマはゲージの色が変わるごとに「凍てつく世界」でプレイヤーに氷ブレス属性のダメージを与えると同時にスキルを1人につき2つ使えなくする。さらにラストゲージになると、今度は激怒し、行動ごとに最大HPの1/4のダメージを受ける状態にする「滅びの閃光」を放つ。
上述のイベントは、ソロプレイの場合クリア後であっても何回も繰り返す事になる。一方でマルチプレイの場合はイベント自体がカットされる。
漫画「ロトの紋章」
Ⅲの後日談である本作では倒された後なので出番は少ないが、続編の「紋章を継ぐ者達へ」ではかつての配下である魔物の軍勢が敵勢力になるなど存在感がアップ。この作品では大魔王として現在も忠誠を誓う魔物が登場するなど死して尚そのカリスマ性が衰えてないことが窺える描写がある。
しかも彼に奥方がいたことが判明。半ば気まぐれで娶った様子だったが、その後の彼女の献身的な働きからすっかり愛妻家となっていた模様。
また本来は「闇の鎧」と呼ばれる漆黒の甲冑を愛用し、体躯も成人男性程度に収まっている。
のちに我々がよく知る闇の衣をまとった姿は対勇者の切り札であり、その闇の衣も寿命を縮めて老化を促進させる副作用を持つ諸刃の剣だと発覚した。
この時空のゾーマは勇者アレルに対し、捨て身のガチ勝負に出ていたのだ。
その亡骸は竜王が拠点とする旧ゾーマ城の地下最深部に未だ横たわっており、魔物の怨念によって守護されていた。
……しかし、ある存在によって復活。本作のラスボスとして世界を闇に落とすべくアロスたちに立ち塞がった。
「ロト紋」シリーズでは元は1万2000年以上前の人間であり、「大地の精霊恩寵教団」の神官騎士として人々を護る優秀な戦士だった。同時に元始の勇者であり親友であったアルトの兄貴分として彼を支え続けた。
また精霊ルビスとも「光に満ちた平和な世界」という理想を同じとし、やがて互いに密かに想いあうようになる。
ドジで能天気なアルトだったが、ゾーマからの「己の弱さを受け入れてこそ人は強くなれる」という言葉を薫陶として成長し、やがてゾーマを追い抜くまでに急成長を遂げる。この秘密がかつて絶えたはずだった勇者の血統のなせる業とルビスから知らされると、徐々にゾーマはアルトに対して嫉妬と焦燥を抱き始める。
そしてルビスは自らの使命を全うするために、自らの欲望(=ゾーマへの恋心)を切断して勇者の守護者として随従するようになる。だが欲望を切断したせいでゾーマのためを思ったこの行動の真意まで語ることをせず、さらにゾーマの心を曇らせる遠因となってしまう。
やがて自らは「勇者を護る駒でしかない」という疑念が拭えなくなり、あるとき倒した魔物が口走った「暗黒のオーブ」の存在を知る。オーブは教団の祭壇に封印されていたため、ゾーマは難なくこれを手に入れて闇の力に染まっていく。
そして今回の戦いの元凶である邪神シドーを異空間へと送還し勝利を勝ち取ったその瞬間、ゾーマはアルトを後ろから刺して殺害。オーブの力がさらにゾーマへと馴染み、彼を魔王へと覚醒させた。
復活後はアレフガルドを闇で満たし、やがて世界のすべてを闇に飲み込ませんと活動する。
対するアロスたちもルビスから真実を聞かされ、最終決戦へと突入。精霊たちを味方につけたドラクエの企画に収まらない超絶バトルを展開するも、圧倒的な実力差でアロスたちを圧倒。遂には精霊たちを無理矢理に契約を結んで従わせ、世界を闇で満たして野望を成就させかける。しかし直前にルビスが自己存在を対価に世界樹を復活させて「命を与える力」を世界に取り戻し、さらにその力を後押しに竜王が不死鳥ラーミアの力を纏ったドラゴン形態となってゾーマを噛み砕いて致命傷を負わせる。
それでもゾーマは止まらず、巨神形態となって大地の破壊を加速させようと最後の抵抗を試みる。これに精霊たちが世界の時を止め、アニスの命を対価にゾーマの契約の解除を提示。アニスはこれを受け入れ、自らを犠牲に世界の崩壊を止める。
愛する双子の姉の死に憤ったアロスは、世界中の人々の想いを結集させて「ガイアソード」を発動。ゾーマにトドメの一撃を見舞った。
最期はアロスによってベホマをかけられ、その選択に満足しながら消滅した。
剣神ドラゴンクエスト
パスワードを入力すると戦える隠しボスとして登場。無茶苦茶強い。
舞台「ライブスペクタクルツアー」
Ⅲが題材となっている本作にも勿論出てくるのは当たり前…なのだが。
なんかやたらと魔改造されていた。
そのやってる事と言えば…
- バラモスを倒した勇者達をそのまま直行でアレフガルドへと叩き落とす(なお、この時ゾーマは原点とは違い、バラモスに対し、「よくやった、後は我に任せて眠りにつくがよい。」と言っており、バラモスも「ありがたき幸せ」と言っていた事から、このゾーマは他の作品とは違い、手下を大事にしていたという事になる)。
- 何故か上記の時と、初めて勇者達と対峙した時の音楽がデスピサロ戦のBGMである、「悪の化身」になっていた(これは魔改造とは言えないかもしれないが、特に勇者達と対峙した時に「悪の化身」→「勇者の挑戦」のラスボスBGMコンボは、来場者にゾーマが改めて大魔王であるという事を植え付けたのでは無いだろうか)。
- 闇の衣の効果が【全ての攻撃を跳ね返す】という、マホカンタやアタックカンタなどの跳ね返し技を合わせたようなチート仕様となっていた。つまり、本作の闇ゾーマは、どうやっても倒せないという結界を張ったラプソーン以上のハイスペックとなっていた(おそらく今迄のモンスターズシリーズ等のあんまりな扱いへの反逆とも言えるかもしれない…)。
- どう考えてもマヒャドの威力がおかしい。勇者達一行は来場者達の力も借りて、光の玉で闇の衣を剥がす事に成功。しかしゾーマは「健闘をたたえよう。だがここまでだ。」と言い、あろう事かマヒャドを2、3発放っただけで勇者達を全滅寸前まで追い込んでしまった。最早マヒャデドスの間違いでは無いだろうか…。
ここまでのチート仕様と化したゾーマだったが、自らの名の意味を思いだし、歴代ⅠからⅩまでの主人公(Ⅲ、Ⅳ、Ⅸ、Ⅹの女主人公は除く)の力を借りた勇者ロトのギガデイン→ギガスラッシュ→ギガブレイクという、半ばオーバーキルとしか思えない攻撃の数々に敗れ去った(ちなみに、歴代勇者が揃った時には、「こんな事があってたまるか!」と感情を露わにした上、倒された後のセリフ「私は人間の悪意によって何度でも蘇る」の後にギガブレイクで滅ぼされるという、チート過ぎた代償であんまりな最期を遂げてしまった)。
余談
- CDシアターでゾーマを演じた柴田秀勝氏はアベル伝説で悪のエスターク人の魔法使いムーアを、ダイの大冒険旧作アニメ劇場版のぶちやぶれ!!新生6大将軍で豪魔軍師ガルヴァスを演じている。
- 近年ゾーマを演じた大塚明夫氏はDQ11Sでジエーゴを演じた。
- 実は没設定として第二形態が存在しており、多くの美術館で巡回公開された「鳥山明の世界」でグッズ販売された画集にそのイラストが掲載されている。が、そのデザインはフェイスボールのような顔をした何かが四方八方に飛び散っているザコモンスターみたいな姿であり、ぶっちゃけ言うと没にされて正解と言っても過言ではない。仮に採用されていたらゾーマの人気はガタ落ちしていただろう…