曖昧さ回避
- 加熱・乾燥などの加工をしていない生鮮食品。品質が劣化しやすい。特に魚介類について言う。
- 陳腐化が早くすぐに価値の下がる工業製品に対する俗称。生鮮食品が早く売らないと価値が下がってしまう、または売り物にならなくなることとかけた俗語。
- 柴田亜美の漫画『南国少年パプワくん』および『PAPUWA』に登場するパプワ島の生き物の総称。そこから転じて、得体の知れない珍妙な生き物を指して言う言葉。作中では「生物」のルビに「ナマモノ」と書かれている。
- 『メルティブラッドシリーズ』におけるネタとカオスの権化の事。最近では別次元にも増えた。
- 実在の人物を題材にした同人ジャンルや、同人誌などを指す俗語。
ここでは5について記述する。
解説
「実在の人物」を題材にした二次創作のこと。
そのようなネタ、および同人ジャンル、同人誌などを総称した隠語である。生モノ、nmmnとも表記され、海外ではRPS、RPFなどの略称(現在はRPFが主流)がある。
主にリアルタイムの人物をネタにしたものがそう扱われる。故人についても亡くなって日の浅い人物についてはナマモノ扱いされることもあるが、歴史上の人物を題材にしたものはナマモノジャンルではなく歴史創作ジャンルに当たる(ナマモノに引っ掛けて「ヒモノ」「カワキモノ」の呼称もある)。
何らかの捏造要素を含んだものを指し、そういった要素を含まないポートレートや、その人物の実像に忠実に描かれたものはファンアートとされ、別物である。対象となる人物は本尊と呼ばれることもある。
バリエーション
タレントやスポーツ選手、俳優、声優、芸人など題材は様々。歌い手、踊り手、生放送主、実況者、動画投稿者、アマチュア声優、海外アイドルも題材にすることがある。2017年頃から台頭したバーチャルYouTuber(VTuber)も「キャラクターのロールプレイではなく、アバターを被った中の人自身による芸能活動」として捉えることができ、これらの二次創作をナマモノの一種として捉える考えもある。
その人物単体を萌え・同人的な視点で扱った作品や、オリジナルキャラクターと絡ませる夢向け作品もあるが、もっとも主流なのは有名人同士を妄想でカップリングして楽しむ同性愛ネタ(腐向け/BLや百合/GL)である。論外であるが、稀に本人や関係者に対するヘイト創作として行う例もある。
その歴史は古く、1980年代の同人バブル期には、既にジャニーズやスポーツ選手などを扱ったナマモノ同人誌が即売会に並んでいた。1990年代にはオウム真理教幹部を題材としたBL本が出回りスポーツ紙に取り上げられた。
2000年代からは、萌え美少女化(美青年化)ジャンルが勃興。2010年代になると存命作家の名前を持つキャラクターが登場する『文豪ストレイドッグス外伝』など、ナマモノの要素を含んだ商業作品も登場した。またニコニコ動画やYoutube動画サイトの隆盛により、それらの投稿者をネタにしたナマモノが作られるという潮流も起きている。
テレビドラマなど実写作品を題材にした二次創作は「半ナマ」という呼称もある(上述のヒモノ・カワキモノとは無関係)が、これは(実在の俳優が演じる)「架空の人物」を素材にしているので、「ドラマ同人」などと呼ばれ、基本的にはナマモノには含まれない。ただし、特撮ジャンルは実在の俳優が演じていることに加え、メインターゲットが低年齢層であることもあるので、ことに腐向け、もしくはR-18要素が含まれる二次創作の取り扱いが慎重になっている(特撮作品における腐向け作品のガイドラインに関しては、「特撮腐向けタグ一覧」の項目を参照して頂けると幸いである)。
創作する上での注意
実在の人物を題材にするという特性上、当人の人格権(注1)を損ねたり、当該人物の関係者やファンから怒りを買う可能性をはらんでいる。
商業作品はさすがに元ネタの本人から了承を受けているが、存命人物をネタに好き勝手やった作品が横行している同人は「お目こぼし」されているだけで、本人から抗議を受けたら作者は文句は言えないのである。場合によっては、信用毀損・業務妨害・名誉毀損等で本人から訴えられる恐れもある事を忘れてはならない(注2)。
なお、とある女性タレントがお笑いコンビに対して「BL的な妄想をしている」と、地上波・ゴールデンタイムのテレビ番組で、かつ本人を相手に説明したために炎上した事例もあるので、慎重な発言と一考が常に求められている。
エゴサーチをしている芸能人も多いため、ふとした所からナマモノの話題が目に入るケースは多々あり、自分を題材にした腐向けイラストなどを、自身の公式Twitterアカウントにあげたような例もある(某ハリウッドスターなど)。なお、中には某日本の歌手のように「自分をネタにした薄い本がほしい」などとネタやジョークにする人もいるが、これを真に受けてナマモノ同人誌を送るような行為は控えたほうが無難。
(注1) 人格権とは、法律上保護されるべき個人の人格的利益。生命・身体・自由・名誉・プライバシーなど当人と切り離せない私権。ナマモノは他人の氏名や肖像の無断使用、名誉権の侵害などに該当する可能性がある(イラストであっても、名誉感情を侵害するものであれば肖像権は発生しうる)。
(注2) 実在人物の名前を使ったナマモノ同人誌であっても、作品内の描写が当該人物の「実像」と誤解されないように配慮されているのであれば人格権の侵害には当たらず、ナマモノの法的リスクは他の二次創作同人誌とさして変わらないという見解もある。
対策
上記の問題を回避するため、「ナマモノジャンルは隠れるべき」というのが一般的認識。ましてや「ナマモノを題材にした本人に送りつける」事など、言語道断である。本人や関係者、一般のファンなどの目に触れないようにする配慮がナマモノ同人活動における最低限のマナーである。
具体的には以下の防衛手段がある。
- サイトが検索エンジンに引っかかることがないよう検索避けをする。
- サイト(ブログ)にパスワードを設定する。
- 「それらしい要素を取り扱っていること」を暗示する場合には、当事者だけが分かるような用語を使用する。
- pixivで活動するならマイピク限定で公開しランキング入りを避ける、Twitterなら鍵をかける。
- 小説投稿機能で投稿する小説のサムネイルは、汎用の物か自作等が望ましい。肖像権・著作権を無視したコラ画像等は題材に関係なくpixivガイドライン違反の為、絶対にやめよう。
- 一部ではあるが、オリジナルタグをつけているナマモノ作品も存在する。ここでいうオリジナルとは一次創作と同義であり、二次創作とは大きく異なる為、オリジナルタグをつけるべきではない。こうした事例が後を絶たなかったためか、後述するガイドラインが新設されている。
上記はあくまで一例であり、ジャンルによっても配慮の傾向や対応が変わってくることがある。また配慮の仕方に対しこだわりがある人も多く、スタンスの差から論争に発展することもある。
もっとも、ジャンル全体の空気を読んで配慮したとしても、世の中に出回る限り一般ファンの目に触れてしまい、反感を買うリスクを完全排除はできない。いっそのこと「別人です」と言い訳できるよう、モデルの実在人物から名前や属性を変えてオリジナルキャラクターとして造形してしまうのも一つの手である(この場合ナマモノではなくオリジナル創作ジャンルになるが)。究極の防衛策は「公の場に一切出さず、自分一人で楽しむ」ことである。
実例
上記で説明した事情もあり、(許諾外の二次創作の投稿を禁止している)「小説家になろう」でも、第二次世界大戦を一区切りにして存命の著名人を題材にした作品の投稿を禁止している。これに関しては(仮に)一次創作であっても例外ではないので注意。これに関連して三億円事件を題材にした作品があったのだが、現在は削除されている(書籍化が理由という説が有力)。
(参考リンク:二次創作の投稿に関して(小説家になろう))
カクヨムに関してはナマモノの投稿禁止を明言しているような規約はないが、ジャンル的な事情(二次創作)もあって投稿は推奨されない。基本的にカクヨムで許可されている二次創作は版権許諾済みの物に限られる。なお、2022年2月25日には田原総一朗氏を題材とした二次創作のコンテストを行うが、ある意味でも公式で「タブーに挑戦!?」と書いているため、イレギュラー中のイレギュラーと言えるだろう。
(※その詳細に関してはカクヨムのリンク先にて)
ハーメルン(小説投稿サイト)では、いかなる作品であってもナマモノに該当する作品は禁止されている。
pixiv内でも投稿には配慮が必要とされるジャンルだが、特に一次創作以外の投稿を禁止しているピクシブ文芸へ該当作品を投稿するのは避けることが求められていた。
(人気の二次創作の場合、小説デイリーランキング上位入りが容易、仮にランキング入りした際への対応が遅い、それが影響して二次創作小説が数日~1週間はランキング入りする為である。こちらに関しては、実際にランクインした事例も報告されている。それに加えて、ピクシブ文芸ではデイリーランクインしてもメール連絡がある訳ではないので、投稿者がミスに気づかない場合が多いのに加え、ジャンルタグ以外は作品を閲覧しないと見る事が出来ないと言う致命的な弱点がある。ピクシブ文芸は2021年3月にサービス終了をした。)
該当ジャンルをどうしてもやりたいと言う場合は、ピクシブ文芸のチェックを入れないのがトラブル回避等の点からも有効だろう。
ピクシブ文芸への二次創作誤爆等が相次いだ結果、『小説の表現内容について』(ガイドライン下の部分)が11月15日に追加された。そこには実在する人物(芸能人、配信者等)を題材とした作品をオリジナルタグを付けての投稿は不可であり、ジャンルの設定解除も行う事が明記されている。
DLSiteでは(当人の合意を得ているか、萌化・声優ネタなど肖像権などを侵害しないものはともかく)存命中、または最近亡くなられた人物を題材にした創作物は禁止されている。
DMM(現FANZA)では、ナマモノに当たる創作物は禁止されている。
アリスブックスでは、現在存命中の実在の人物を扱った創作物は取り扱いがなされない。なお、アリスブックスはポケモンジャンルも禁止している(補足すると、ポケモン同人誌事件は背後に暴力団が関与していると思い込まれて捜査された経緯があるので、特定のジャンルが危ないということとは無関係である。参考まとめ、アーカイブ)。
メロンブックスではナマモノ同人誌の取り扱いはなされないが、とらのあなでは禁止対象ではない。
『ウマ娘プリティーダービーは』、ウマ娘自体は人物には当たらないものの、元ネタとなった競走馬の所有者や企業などが絡んでくるため、事実上のナマモノジャンルの様相となっている。また、このゲームの制作会社であるCygamesは二次創作ガイドラインを設けており、R18二次創作が原因でサービスが終了するといった根も葉もない噂が広まっていたことも相まって特定のジャンルを規制するために作られたものだと誤解する人が多くいるが、これはファン活動を否定するためのものではない
FANZAGAMES(DMMGAMES.R18)ではAV女優を題材とした実写ソーシャルゲームがいくつかサービスされている。公式が性的表現を含むナマモノを作っている例外的事例と言えるだろう。しかし、メーカーによっては出演NG(最初から登場しない)だったり、時期によってガチャ排出がなくなるケース(出演女優の契約終了等)もある。
Pixivに見るナマモノ活動
センシティブな創作である以上、「多くの人の目に触れてはいけない」が大前提である。
漫画形式にしてサムネイル表示されないよう工夫をする等の手段もある。
Pixivでは「ナマモノ」タグをつけているだけのイラストも散見され、本人達の名前に加えCP名や「腐向け」タグをつけるだけでは棲み分けとして機能しない。
しかし、百合創作においては、腐向けほど棲み分けという考え方が周知されていないということもあり、「ナマモノ」タグすらついておらず、本人の名前も堂々とタグ付けされていることがある。特にナマモノタグではなく、RPSタグをつけている場合、堂々と実在アイドルのタグ及びカップリングタグをつけているケースもあり、それらの作品が実際にpixiv上の小説デイリーランキングにランクインするという事例もあった。
ニコニコ動画などにおける「実況」などの顔を出さないジャンルにおいても同様で、「声から姿を想像して描く」以上の領域に踏み込むことになる。pixivのアカウントを持っている実況主も少なからずいることを忘れずに。
検索に引っかかるpixiv百科事典にCPの項目を作る行為などもなるべく避けるべきである。
二次創作の問題点については二次創作の項目も参照のこと。
表記ゆれ
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