これは呪いか。それとも罰か。
解説
2015年6月のE3にて発表され、2017年2月23日に初めてゲームが発売された。ジャンルはアクションRPG。
今作もいわゆる「ヨコオワールド」を前面に出した、退廃したSFファンタジー色の濃い作風であり、『NieR』シリーズ独特の美しさと狂気を内包した意欲作となっている。
ストーリーの節(後述)でも触れるが、前作『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』との繋がりは小ネタ程度であり、シリーズ初心者でも違和感なくプレイできるように配慮されている(「ニーア2」というナンバリングタイトルではないのはそのため)。
「オートマタ(automata)」はギリシャ語を語源とした機械人形という意味合いがあり、メインキャラ達が自動歩兵人形という設定からも、儚く退廃的な世界観に沿った表題であるといえる。
発表当時は正式タイトルが未決定で『NieR』に続くサブタイトルが伏せられていた。当初は「アンドロイズ」なるタイトルで行く方向であったが、某企業が所有するスマートフォンOS「Android」の商標に抵触するためボツとなった。色々な検討や試行錯誤の結果として現タイトルに落ち着き、2015年11月にお披露目となった。
2022年2月23日、テレビアニメ化の発表がなされた。
詳しくは後述にて。
ゲームシステム
従来はクセが強いと言われることもあったヨコオ作品だが、今作についてはカジュアルユーザーからコアゲーマーまで楽しめるよう操作やシステムの調整がなされ、間口はかなり広く作られている。
ストーリーは基本的に、周回プレイを前提としたマルチエンディング形式となっている。
その他、様々なボリュームのクエストや、シリーズ伝統のウェポンストーリー等が用意されている。『NieR』シリーズの特徴として、メインストーリーとは別のサブクエストに重要なファクターや布石が含まれていることが挙げられ、本作もそれに該当する。
難易度はEASYからVERYHARDまでの4種類。だが、この難易度の幅がゲーム史上でも稀に見るほど極端。
EASYではただ敵が弱くなるだけでなく、移動以外の操作(攻撃や回避やアイテムの使用)を「自動歩兵人形」の肩書きそのままに全てオートで判断・対応してくれるため、アクションゲームの経験がないズブの初心者ユーザーでもエンディングまで到達することが可能。周回プレイでストーリーだけを堪能することもできる親切設計となっている。
一方、VERYHARDではザコ敵の攻撃でも一撃死するほどの凶悪な難度になるだけでなく、ロックオン機能が使えなくなる。が、この高難度に挑戦するメリットは歯応えやチャレンジ精神以外に特に何も無く(トロフィーコンプリートもEASYのみで達成可能)、無理にプレイしなくとも問題はない仕様。
プラチナのお家芸ともいえるスピード感溢れるスタイリッシュアクションが中心となるが、要所要所でニーア独特のバリエーション豊かな視点変化や、個性的な弾幕シューティング、ノベルゲーム要素等も盛り込まれている。
販売ソフト
- NieR:Automata
発売日:2017年2月23日(PS4)/ 2017年3月18日(Steam)
PS4®Pro ENHANCED対象タイトルでありpro本体、あるいはPS5本体であればより美しいグラフィックと60fpsの安定したフレームレートでプレイできるという恩恵も得られる(※PS5上においては4K出力での常時60fps動作に対応。Steam版の最高設定では動作レスポンスにおいて比較的高性能なマシンパワーを要求されるため、PCの推奨スペック等の動作環境はよく吟味されたし:最低でもミッドレンジ帯のゲーミングPCを推奨)。
- NieR:Automata BECOME AS GODS Edition(ビカム アズ ゴッズ エディション)
発売日:2018年6月26日(Xbox One)/ 2021年3月18日(PC)
いずれもDL版専用ソフトとして発売された(こちらもXboxOneX Enhanced対応)。
- NieR:Automata Game of the YoRHa Edition(ゲーム オブ ザ ヨルハ エディション)
発売日:2019年2月21日(PS4)/ 2019年2月27日(Steam)
廉価版ソフトとDLC、各種特典、アバターや新規テーマのコードがセットになっている。
- NieR:Automata The End of YoRHa Edition(ジ エンド オブ ヨルハ エディション)
発売日:2022年10月6日
プラットフォーム:Nintendo Switch
本作には特典として和装や白衣装のDLC等々が同梱される。
2022年6月28日、Nintendo Switch版への移植が発表された。
移植に関してオリジナルの開発元であるプラチナゲームズは一切関与しておらず、海外に拠点を置き移植作品を多く手掛けるVirtuosが担当している(注意:Switch版のみハードスペック上の制約によりオリジナル版と比べゲームデータ容量は約5分の1程度に削られていることもあって、全体的にクオリティが落とされている。本編をプレイする上でフレームレートは最大でも30fpsに制限される上、遠景オブジェクトが不自然に消えたり現れたりするポップイン現象や、複数体の敵と戦闘になった際にヒットストップからのフレームレートが極端に低下して処理落ちする、地面に映るリアルタイム影処理の解像度が極めて低い、等の現象が頻繁に起こるが仕様である。従って内部解像度、ロード時間、演出効果、各種オブジェクトや遠景グラフィック処理等において相応の差異があるので、購入前に公式情報から詳細を調べておくことをおすすめする。※画面解像度の表記に関係なくSwitch版はテクスチャ解像度・ポリゴン数、可動オブジェクトの全てを低画質のものに差し替え・削減した上でアップスケーリングしているだけなので注意)。
2016年12月22日から、バトルアクションを中心にプレイすることが可能な体験版『DEMO 120161128』が、PlayStation Storeにて無料配信中。
前作から続く作品根幹のコンセプトは「変化し続けるゲーム」。
前作を開発した㈱キャビアが、親会社の吸収合併により㈱マーベラスに統合され解散となったため、今作の開発はプラチナゲームズが行い、主にメタルギアライジング等を制作したスタッフが担当している。ただし、ディレクションのヨコオタロウ、プロデュースの齊藤陽介、音楽制作の岡部啓一といったプロジェクトの柱となる重要スタッフは前作から続投している。また、ディレクターの要望とプロデューサーの人脈、前作に関する縁などがきっかけとなり、元スクエニ出身でもある吉田明彦によるキャラクターデザインが実現した。
なおプラチナゲームズ側としても、ヨコオタロウという外部のクリエイターを招いて社内で共同開発した経験は初めてとのこと。
発売後の反響と業績
2024年2月時点で全世界累計800万本以上出荷(PS4/Steam/Xbox/Switch版)、ダウンロード版を含まない国内PS4パッケージ版現物が調査会社による実売本数で累計52万本以上(GOTYエディションを含む)、日本+アジア地域におけるDL版を含めたPS4版の売上だけでも100万本を軽く突破するという、ヨコオ氏がこれまでに手掛けたタイトルの中でも抜きん出た圧倒的セールスを記録している国内のみならず北米、欧州、アジア圏といったワールドワイドで強い支持と注目の集まる作品であり、同時にヨコオタロウというクリエイターの名が全世界に知られるようになった出世作と言える。そしてプラチナゲームズにとっても創立以来最大のヒット作となり、純国産かつ、大規模な開発(広告)費を伴うようないわゆるAAAタイトルではない外注作品としては、主に継続的な口コミと評判により、長期間に渡り継続的に底堅く売れ続けることによって大成功を収めるに至った珍しいケースとなった。
また、『NieR:Automata Original Soundtrack』がコンシューマー向けのゲームサントラとしては異例のオリコン&Billboard週間2位にランクイン。設定資料集『≪第243次降下作戦指令書≫』が発売前に重版決定、コンサートBD『≪人形達ノ記憶≫』がオリコン週間チャート総合1位を記録するなど、関連商品の人気も前作からは想像もつかない規模で高まる結果となり、楽曲や作品に対するファンの熱の強さが窺える。
ゲーム関連では国内外で多数の受賞を収め、12社のゲームメディアからGAME OF THE YEAR(通称GOTY)の評価を受けた他、世界的にも権威ある「D.I.C.E.AWARDS2017」では「RPG of the Year」を受賞。特に前述したBGM分野では世界最高峰のゲームアワードと言われる「The Game Awards 2017」において「Best Score / Music(最優秀音楽賞)」に選定される功績を上げ、全世界でニーアの楽曲レベルの高さが評価された。また評価面だけではなく実績の面でも前述したサウンドトラックがオリコン集計記録だけで国内実売7万枚弱のセールスを上げている他、週間チャートにおいて70週以上もの間ラインクインし続けるなど長期間売れ続けた結果、2019年6月に日本レコード協会からゴールドディスク認定(10万枚以上の出荷実績)を受ける快挙も達成した。また前述したようにPS4版のアジア地域売上本数が100万本を達成したことから、「PlayStation Awards 2019」おいてPlatinum Prizeおよび25周年記念ユーザーズチョイス賞も併せて受賞した。
2018年3月3~4日にはニコニコ動画にて発売1周年記念として『ニーアオートマタぶっ通し生放送』が行われ、述べ27時間の生放送で累計来場者数346万人を集め、ファミ通担当編集者からも「(買い切り型のゲームとしては珍しい)発売から時間が経過しつつも、ファンの熱量が衰えない稀有なコンテンツ」と評された。
ストーリー
──西暦5012年。
突如として地球に侵略してきた異星人たち。
彼らが繰り出す兵器「機械生命体」の圧倒的な戦力を前に、人類は月への移住を余儀なくされた。
地球を奪還するため、人類軍は戦闘型アンドロイド兵士で構成された「レジスタンス」を組織する。
──西暦11945年。
硬直した戦況を打破するため、人類軍は新型アンドロイドである戦闘用歩兵「ヨルハ部隊」を投入する。
人のいない不毛の地で繰り広げられる機械生命体とアンドロイドの熾烈な戦い。
やがてそれは、知られざる真実の扉を開けてしまうことになる……。
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「人類と異星人との代理戦争」がテーマとして描かれている。
時系列的には、前作『ニーアレプリカント』から約8000年後の未来にあたる話。世界観こそ共有しているが、メインストーリーの繋がりはほぼ無いに等しいため、前作を知らずとも問題なくプレイできる。むしろ続編だと思ってプレイする方が戸惑う可能性がある(世界の雰囲気が「ファンタジー」→「SF」に大きく変化している等)。
前作のドラマCD『ウシナワレタコトバトアカイソラ』に収録の「宇宙大戦争」は本作の前日譚にあたる。気になる方は聞いてみると良いだろう。
なお、本作には前作のキャラクターが何人か登場する。特にエミール関連のクエストは前作ファンからの評価が高いため、『オートマタ』→『レプリカント』の順にプレイするのもまた面白いかもしれない。
登場人物
主人公の自動歩兵人形「ヨルハ」。ヨルハ部隊の一員として地上に派遣された、汎用戦闘モデルのアンドロイド。黒いワンピースに銀髪が映えるシックな出で立ち。目隠しのような形状の戦闘用ゴーグルを装着しているため、目元を見せることがほとんどない。口元には艶ボクロがある。
ヨルハ部隊員は名前を持たず、全て記号で呼ばれる。感情を持つことは規則上禁止されているが、モデル毎の個体差があり、2Bは比較的冷静沈着な性格の持ち主。口調は素っ気ないが、冷淡なわけでもない様子。
戦闘では大小の剣・槍・格闘(素手)による近距離攻撃を得意とし、2つの武器を自由に組み合わせながら同時に扱う二刀流戦法が可能。またサポートシステム「ポッド」を利用した遠距離攻撃も完備。
調査任務に特化した諜報部隊に所属するヨルハ。攻撃機能も有するが、主に偵察任務や情報収集を得意とする。ヨルハ部隊の中では比較的感情表現が豊かで優しい性格であり、状況判断力や情報処理能力が高いこともあって、好奇心旺盛かつ饒舌で社交的。服装は2Bと同じくほとんど黒ずくめで、彼女がスカートであるのに対しこちらは半ズボン。
戦闘用モデルではなく主にデータ収集やメンテナンス要員ではあるが、武器やポッドを用いた後方支援や共闘も可能で、固有スキルである「ハッキング」機能を駆使して派遣されてきた2Bのサポートを行う。
現在は運用されてない近接特化のプロトタイプモデルであるA型のヨルハ。腰まで届く長い銀髪をなびかせ、ゴーグルは装備せず目元も露わ。
あまり多くを語る性格ではなく、常に単独で行動しているため、彼女の経歴やその行動目的など殆どが謎に包まれている。
なおA2と2Bの素体は製造過程で同じ関わりをもつため、口元のホクロも2Bと同じ位置にある。
箱に手足が付いたような姿の、ヨルハ部隊の随行支援ユニット。白っぽい042は2Bに、黒っぽい153は9Sに浮遊しながら随行している。遠距離攻撃や移動のサポートを行うほか、司令部からの通信を表示したり、複数気体での作戦情報の交換も可能。同時に複数の事項を読み上げることがあり、字幕を追うことさえできない場面も。「推奨:」「提案:」といった人工知能らしい独特の言い回しが特徴。
衛星軌道上に浮かぶ基地「バンカー」の長官で、ヨルハ全部隊を指揮する責任者。冷静沈着に振る舞うが、2Bや9Sのことは気にかけている。ヨルハのプロトタイプであるA2とは因縁がある様子。
バンカーの通信オペレーター。ヨルハ部隊への司令伝達や情報分析を行う。
性格はやはり個体によってばらつきがあり、2B担当の6Oは比較的明るく「2Bさん」と呼びかけてくる。9S担当の21Oは冷静かつ効率性重視な傾向。
- アネモネ (CV:初美メアリ)
ヨルハ部隊よりも前に地球に降下し、各地で奮闘を続けるレジスタンスのリーダーである女性型アンドロイド。リーダーに相応しいしっかりとした性格で、仲間想い。2B達に協力的で、数多くの有益な情報を教えてくれる。
- ジャッカス (CV:川渕かおり)
砂漠付近のキャンプを拠点にして活動している女性型アンドロイド。好奇心が強く、2B達に色々勧めてくることがある。基本的に物事を爆弾で解決しがち。
ヨルハ部隊よりも前に地球に降下し、各地で奮闘を続けるレジスタンスの女性型アンドロイド。
人類会議を冷ややかに見ており、2Bに対しては思うところがある様子。登場は舞台ヨルハや漫画版やアニメの1.1等。
下記真珠湾降下作戦参加時には気弱で優しい性格だったとされたが、その姿はどこにもない。
正体が謎に包まれた銀髪赤目の美青年。冷静な性格だが目的のためなら容赦ない行動も。
アダムの双子の弟で、兄を慕っている。短絡的で物を深く考えない性格。
ヨルハを見ると問答無用で襲ってくる機械生命体の中でも異質な平和主義者の個体。人類や機械生命体の歴史に興味を持つほど知性が高い。
レジスタンスのキャンプにいる双子の旧式アンドロイド。大昔に自分たちの同型機が暴走したことに負い目を感じている。本作では2Bや9Sをサポートしてくれる。
前作で主人公ニーアと共に旅したキャラクター。高い魔力を秘めていたが、長い年月を経たことで記憶の大部分が欠落している。キャラクターイラストはネタバレに考慮してか、PVや公式サイトではモザイク処理がかけられている。
TGS2016で発表された、キャラクターかどうかも定かではない何か。モザイクがかけられているため、CV以外は全くの謎。正体がわかっているorネタバレが許される人以外はリンクを踏まないこと。
スタッフ
- 開発:プラチナゲームズ
- ディレクター&シナリオ:ヨコオタロウ (『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』 『ドラッグオンドラグーン』シリーズ 『SINoALICE』)
- プロデューサー:齊藤陽介 (『ドラゴンクエストⅪ』『ドラゴンクエスト10』『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』『アストロノーカ』)
- ゲームデザイナー:田浦貴久(PlatinumGames Inc.) (『メタルギアライジング』 『マックスアナーキー』etc.)
- キャラクターデザイン:吉田明彦 (『タクティクスオウガ』『ファイナルファンタジータクティクス』 『ファイナルファンタジー14』『ブレイブリーデフォルト』『リトルノア etc.』)
- コンセプトアート(関連著作物表紙・ジャケット等):幸田和磨
- 音楽:岡部啓一 / 帆足圭吾 (『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』『ドラッグオンドラグーン3 』『結城友奈は勇者である』シリーズ 『SINoALICE』etc.)
DLC(追加ダウンロードコンテンツ)
※DLCに関しては前述したGOTYエディションにもプロダクトコードが付属
2017年5月2日よりPlayStation StoreおよびSteamにて、以下の内容のDLCを配信開始。
・3C3C1D119440927
内容に関しては、上記コスチューム等の見た目を変える新規アイテムに加え、各種バトルコンテンツ+α(オマケ要素)の収録となっており、価格は1500円(税別)。
また、当作品は複数の外伝小説や朗読劇、舞台演劇などメディアミックスも盛んに行われており、ゲーム本編で描かれなかったプロットやエピソード・物語設定、スピンオフにしか登場しないキャラ等も多数存在する(詳しくは下記にて)。
NieR Music Concert ≪人形達ノ記憶≫
前作の≪滅ビノシロ 再生ノクロ≫に引き続き、今作でもスクエニ主催によるコンサートイベント≪人形達ノ記憶≫を開催。2017年4月23日、5月4~5日の三日間に渡り、大阪・東京の2会場で公演が行われた。
前述したように強烈な作品人気の高さゆえ、チケットは受付開始から即完売、当日物販でもファンが長蛇の列を形成し売切れが続出する事態となった。
公演は表題の通り、ゲーム中の劇伴・ヴォーカル曲を演奏するライブパートと、本作でキャラクターを演じている声優陣による朗読劇パートで構成されている。特筆すべきは、ソフト発売前からヨコオタロウが温めていた朗読劇企画の中身で、本編中では語られなかったキャラの重要な過去や感情描写、裏設定やストーリー等、全5公演で全て内容の違うものが用意され、考察好きやコアなファンにとってはまさに垂涎のイベントとなった。
なお、この公演の模様が収録されたBlu-ray Discが2017年9月20日に発売。早期購入特典で朗読劇台本(台湾公演と東京5/5夜公演の第四幕を収録したオマケ程度のもの。事前に販売された台本付きチケットとは別モノなので注意)が付属する(詳しくは公式サイトを参照)。
ちなみに、文字データとしての台本自体は全公演分がBD内に収録されており、更にPC上でも閲覧できるPDFファイルとしても収録されている。(ゲーム発売前に組まれた予算上の都合で)舞台映像は東京・よみうりホールでの開催分のみとなるが、公演の見所の一つである朗読劇に関しては、全公演分の音源&好評を博した会場内での事前アナウンスを新たにスタジオ録音したものが収録されている他、台湾SIEの協賛による海外での公演分も新たに追加収録となっている。
2017年10月2日付のオリコン週間Blu-ray総合ランキングでは初登場1位を獲得(外部リンク)。ゲーム音楽、あるいはコンシューマーゲームのコンサート映像という非常にニッチなジャンルで週間1位にランクインするのはオリコン史上初の快挙であり、小規模会場のイベントでありながら、数万人単位を動員する大規模会場の売上枚数に引けを取らないセールスを記録し、ファンのみならず関係者をも驚かせる根強い人気を証明する結果となった。
本BDは生演奏による楽曲観賞に加え、全7公演に及ぶ朗読劇というゲーム本編を大きく補完する重要なエピソードや裏設定、出演声優陣による熱演が惜しみなく収録されている他、BDのメニュー操作・UI等はPS4での再生を意図したデザインにもなっており、ゲームを一通りプレイ済みのユーザーには是非とも購入をオススメしたい。
舞台 『音楽劇ヨルハ』 と 『少年ヨルハ』
今作がヒットした現在ではあまり知られていない話ではあるが、そもそも『NieR:Automata』というゲームはヨコオタロウが2014~15年頃に『舞台ヨルハ』、という女性アイドルによるガールズ演劇プロジェクトを立ち上げたことが前身となっている。
ヨコオ氏がプラチナゲームズに『NieR』シリーズの続編として企画を持ち込む際、開発会社としての得意分野を活かしつつモチベーションが上がりそうな題材を考慮した結果、「ヨルハ」の世界観をブラッシュアップ・発展させ、ロールアウトさせたものがアクションRPG『NieR:Automata』として形になった、という流れである(従ってアニメやゲームが実写舞台化するという従来のパターンではなく、元々舞台作品であったものがゲーム化し、更に発展して舞台に還ってきた、という表現がふさわしいと言える)。
ゲームソフトの商業的成功に伴い、本作の前日譚といえる『舞台ヨルハ』がリメイクされ『音楽劇ヨルハ』として生まれ変わり、新たに完全新作のスピンオフとして書き下ろされた『少年ヨルハ』を合わせて二つの舞台作品の公演が行われた。キャストはオファーやオーディションで旧作から一新、衣装もゲーム版をアレンジしつつ刷新され、『音楽劇』は原作通り女優のみ(+歌唱・楽器演奏陣)、『少年』は男優のみの構成となっている。
ちなみに『音楽劇ヨルハ』ではゲーム本編の声優でもお馴染みの石川由依(※劇団ひまわり系列出身であり舞台の芸歴が長い)が演者として出演する他、元モーニング娘。第6期メンバーである田中れいな、元宝塚歌劇団花組の花奈澪などが主要キャストとして選ばれ、配役も話題性を呼ぶ格好となっている。その後も舞台の好評を受けて、音楽劇ヨルハと少年ヨルハの脚本内容をシャッフルした「舞台ヨルハVer1.3a」・「舞台少女ヨルハ」の講演も行われ、2020年12月まで展開が続いた。
公演日程および会場等の詳細は公式サイトを参照。
外伝的な舞台作品ではあるが、「ヨコオタロウ原作」の例に漏れず『NieR:Automata』本編とも密接な繋がりを持ち、『音楽劇』の主人公がゲーム本編でも登場する某キャラ(※ネタバレ注意)であることは勿論、ゲーム本編のウェポンストーリーや攻略設定資料集『降下作戦指令書』に記載されている年表に関連性を匂わせるような項目を見つけることもでき、ファンによる考察も盛んに行われている模様。
『NieR』世界や『NieR:Automata』の原点をよりディープに知りたい人、特に舞台やコスプレに興味があるファンなどは観劇してみるのもいいだろう。なお両作品共に映像コンテンツとしてBlu-ray化が決定しており、発売は2018年7月27日(※現在のところAmazon、あるいはディアステージ公式通販サイト以外で一般流通での取り扱い予定はないので注意)。音楽劇と少年の双方を収録した2枚組構成となっており、キャストによるオーディオコメンタリー収録の他、出演キャストの写真集が付属するプレミアムエディション版も併せて発売(※当BDは長らく入手困難な状況となっていたが好評につき増産され、2020年現在通常版のみ注文可能になっている)。
TVアニメ『Ver1.1a』
2022年2月23日、5周年記念生放送にてテレビアニメ化の制作がサプライズ告知された。2023年1月7日からTOKYOMX、とちぎテレビ、群馬テレビ、BS11、日本テレビ系列4局とアニマックスで放送予定。なおアニメ化については以前からメディアによる「アニメ化して欲しいゲーム」アンケートで数多の有名タイトルと並んで常に上位にラインクインしていた実績もあり、世界中のファンの要望と熱量が5年の歳月を経て実を結んだ形といえる。制作はアニプレックスグループ内のA-1Picturesで、実はNieR:Automataが過去にソニーによる働きかけでコンサートの台湾公演を実現したり、日頃からSNS上でプレイステーション公式からも熱心にプッシュされていたこともあってか、アニメ制作決定においてもアニプレックスのプロデューサーによる強い働きかけがあったことがインタビューにて語られている(ちなみにアニメ公式メールマガジンはドメインに@sme.co.jpとあるようにソニーミュージック内のサーバーを介している)。
ED曲を担当するamazarashiは、6年前にコラボシングルを担当した縁から主題歌アーティストに選出された。EDテーマアンチノミーは別途『仮説人形劇アンチノミー』として前作「命にふさわしい」と同じく機械生命体にフューチャーした内容の独自MVが制作された他、アニメ本編のカットシーンを編集したバージョンのMVも公開されている。またOPテーマを唄うAimerも原作のファンであることを公言し、秋田ひろむへのリスペクトも併せてOPシングル「escalate」のカップリング曲として「命にふさわしい」のカヴァーソングを収録している。
【アニメ版STAFF】
監督:益山亮司
シリーズ構成:ヨコオタロウ/益山亮司
キャラクターデザイン・総作画監督:中井 準
音楽:MONACA
制作:A-1 Pictures
主題歌
オープニングテーマ
「escalate」
歌:Aimer
エンディングテーマ
「アンチノミー」
歌:amazarashi
ラジオ『ポッドのPodcast』
2013年1月13日よりSpotify・Apple Podcasts他にてポッドキャスト配信されている番組。YouTubeのアニプレックスチャンネルより視聴可能。アニメ配信休止期間にはExtraでポッドキャスト配信をしている。
パーソナリティは、ポッド042役の安元洋貴。
他作品とのコラボレーション
本作には発売前から発売元スクウェア・エニックスの自社タイトルである『ファイナルファンタジー15』や『ドラゴンクエストⅪ』とのコラボ企画が含まれており、「エンジンブレード」や「ひのきのぼう」といった武器が実際にゲーム内で使用可能な事に加え、人気の強さ(発売後の反響)も影響してか業界内からのコラボのオファーも多く、『ファンタシースターオンライン2』『MHF』『GRAVITYDAZE』『ソウルキャリバー』といった人気作とのコラボレーションも精力的に行われており、発売から数年が経過した2023年現在でもその状況は続いている。
中でも事前にコラボが周知されていたスマホゲーム『SINoALICE』は、ヨコオタロウ自身がゲームデザインを監修し、音楽面を『NieR:Automata』のスタッフが担当していることもあって注目度が高まった。『SINoALICE』に『NieR』のキャラや武器等が登場する待望のイベントは、2017年8月24日~9月27日までの期間に開催された。また
取り分け大型コラボ案件としては『FF14』において「YoRHa: Dark Apocalypse(ヨルハダークアポカリプス)」と題して、新規シナリオ、アライアンスレイドが制作され活況となった。なおこちらの追加コンテンツにはソウルキャリバーでも話題となった、褐色肌白衣装の通称2Pが登場する。
ゲーム特典
補足として、今回は予約した店舗や商品に付属しているものが特典となり、内容はゲーム内でポッドや2Bの見た目を変えるものとなっている。
発売から時間が経過したため詳細は割愛するが、ゲーム初回特典には「ポッドスキン:白の書」が封入された他、元々『ニーアレプリカント』のファンであったamazarashiの秋田ひろむとのコラボレーションCD『命にふさわしい』初回盤には「ポッドスキン:amazarashiヘッド」&特製絵本(著:ヨコオタロウ)が付属した。
関連動画
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※2:コラボ企画として『モンスターハンターフロンティア』『ファンタシースターオンライン2』に実装された。
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- N2/赤い少女
- デボル&ポポル/デボル/ポポル
- エミール/実験兵器7号
時系列
↓
新宿エンド(Eエンド)
↓
※以下の文章には『レプリカント/ゲシュタルト』と『オートマタ』の大きなネタバレを含みます。
『オートマタ』が『レプリカント/ゲシュタルト』のどのエンドから繋がっているのかは不明。
一般的には「Dエンド」または「Eエンド」と言われている。
ただし「Dエンド」の場合、『オートマタ』作中でエミールがニーアの記憶を持っていることと矛盾する。また、「Eエンド」についても「NieR年表」に事の詳細が書かれていないため、未だにどちらが正解なのかは定かではない。
『DOD』→『DOD2』が「A+B」の複合エンドであるように、『レプリカント/ゲシュタルト』→『オートマタ』も特殊な繋がりをしている可能性もある。
- 公式には『レプリカント』の「Dエンド」または「Eエンド」から『オートマタ』に繋がるとの情報が存在している。ただし矛盾も含んでいる。
- ゲームでは『ゲシュタルト』から『オートマタ』に繋がる可能性が浮上した。ただし西暦表記が5年分ズレている。
- 小説「エミールの追憶」では『レプリカント』の「A〜Cエンド」から『オートマタ』に繋がる可能性が浮上した。なお解釈次第では「Dエンド」ともとれる。
『オートマタ』発表時、電撃オンラインの生放送にて『オートマタ』は『レプリカント』の「Dエンド」の設定を引き継いでいるとの発言があった。→同様の発言をしている電撃オンラインの記事
しかし、その後のディナートークショーや『DOD3』の設定資料集では、「Eエンド」後を描いた小説「プロメテウスの火」の出来事が『オートマタ』に繋がっていると書かれており、この時点で「D・Eエンド」2つの可能性が浮上している。ただし前述の通り正解ははっきりとしていない。
『オートマタ』のゲーム内アーカイブ「ゲシュタルト計画報告書 11」にて、オリジナル・ゲシュタルトの崩壊云々が綴られているが、この際の年月記載が「3361年 12月31日」。
3361年は『ゲシュタルト』でニーア(父)が白の書を手に入れた年であり、ここで『ゲシュタルト』との関連性が浮上する(補足すると本編でオリジナル・ゲシュタルトが崩壊したのは3361年から更に5年後の3366年のはず。誤植かあるいは……)。
ただし後に発表された「NieR年表」では、オリジナル・ゲシュタルトの滅亡は「西暦3470年」と『レプリカント』基準になっている。またこちらのイラストには床に落ちた月の涙の髪飾りとカーテンが描かれているため、年表的には「Dエンド」までがほぼ確定している。
小説『短イ話』に掲載の「エミールの追憶」では、エミールが「カイネの願いが叶わなかったと推測している」(p308)。カイネはエンドによって結末が大きく変化するキャラのため、ここからエンド分岐を推察できる。
可能性が高いのは「Dエンド」だが、当該エンドではニーアの存在そのものが消滅しているため、エミールがニーアの記憶を持っていることと矛盾が生じる。また、わざわざ推測であることを強調するまでもなくカイネの願いは成就していない。
次に可能性が高いのは「A〜Cエンド」。こちらではカイネがニーアの望みの達成を見届けた後に死んでしまうため、エミール視点からはバッドエンドに見える。ただしカイネの願いは「奴(ニーア)の刃になって死んでやる」なので、彼女の願いは一応叶っている(だからこそエミールは推測に過ぎないことを強調しているのかもしれない)。
「Eエンド」の場合、カイネの願いが叶わなかったとエミールが判断するとは考えづらい。
なお、『DOD』シリーズの前例を考慮するならば、ゲームと小説の世界線は別に分けて考えるのが妥当。
このように、『レプリカント/ゲシュタルト』のエンディングと『オートマタ』の繋がりは多岐にわたり考えられる。そして年表的には未だ正解が判明していない。
ちなみに『NieR』シリーズには「多元世界」が存在するため、年表関係なしの場合は上記の全てを間違っていないと判断することもできる。
外部リンク
- 『NieR:Automata』公式サイト(※音量注意)
- 『舞台 ヨルハ』公式サイト
- 『NieR Music Concert 人形達ノ記憶』公式サイト
- アニメ『NieR:Automata Ver1.1a』公式サイト