概要
何者かによって冤罪を着せられた逃亡者・犬塚翼。
彼は暴太郎戦隊ドンブラザーズのイヌブラザーであるが、逃亡者という立場故にその正体は桃井タロウや彼のお供達には知らされておらず、更には翼自身も、ドンモモタロウとそのお供達の正体やタロウが一度死んで甦った事、タロウの代わりとなる男の出現といったチームにおける重大な情報をただ一人知らされていない。
更に行方知れずの恋人である夏美は、雉野つよしの妻・みほとそっくりなのだが、いつも奇妙で奇跡的なすれ違いが発生するので気づかない。
そして自分の事を何かと気に掛けてくれるつよしがドンブラザーズのキジブラザーであり、更に一度自分が原因となって、ヒトツ鬼になってしまう事態があった事も、知る由がない。
もちろん他のメンバーと面識がないわけじゃないし、彼自身存在が薄かったり鈍感だから気づかなかったり変身後(イヌブラザー)が小さ過ぎるから誰にも気づかれにくかったり……なんて直ぐに改善できそうな生易しいレベルの問題ではない。
いつだったかドン2話で彼とタロウが初めて会った時、声をかけようとするタロウに一瞥もせずに警察から逃げ去っていく彼を見たタロウの反応は以下の通り。
「彼とは縁がなかったようだ」
まさにそれを体現するかの如く、何か新しい情報が解禁されようとすれば私用でいなかったりトラブルに巻き込まれたりで見る事すら叶わず、誰かに踏みいろうとすれば奇跡としか言い様がない確率で必ずニアミスやすれ違いが発生してしまう。のちに、他がほとんど呼ばれるようになっている中で彼だけ全く呼ばれなかったりワンテンポ遅れて召喚される事が多くなって、すれ違う確率も格段に上がっていった。
ドンブラザーズのイヌ……もとい「犬」のポジションであるはずなのに、探し物の手がかりになるようなものはこれっぽっちも見つけられないばかりか、まるで同じ極同士の磁石がどこまで行っても引き離されてしまうように、まさしく「彼が情報を得られない」のではなく「“情報”の方から彼を避けている」といっても過言じゃない程に、何かと干渉する機会にも情報を得る手段にも恵まれないのである。
こういった数々の情報が何故か犬塚に知らされていない状況に中の人の同郷の演者のネタ『またしても何も知らない大泉洋さん』を引っかけて誕生したのがこのタグである。なお偶然にも、ネタ元の番組は同じテレ朝系列のHTB制作。
公式HPの7話及び16話のあとがきに「面識表」が公開されているためそれを見ればどれだけ彼が何も知らないかがよくわかるだろう。
…というか公式が面識表を引き合いに、7話と16話の両方で「またしても何も知らない犬塚翼」とネタにしている。
「お互い素性を知らないならマスターか陣か本人に聞けばいいのでは?」という視聴者の声もたまに聞こえるが、どうあってもその発想にすら至らないのがこの戦隊。最初からそれが出来れば苦労なんてしないし、それ以前にメンバー同士が互いをあまり意識していない。仮に気づいたとしてもせいぜい「そう言えばまだ正体を知らない」とたまに思い出す程度。しまいにはメンバー内では「イヌブラザーの正体は喋る犬では?」という暫定結論で強引に切り上げてしまう始末。
人間関係抜きにしても、9月に入ってから10月過ぎまで夏をエンジョイするくらい常人とはズレにズレまくってるのに加えて、鈍いのを通り越して富士の樹海を目隠しであさっての方向に全力疾走しているような連中である。
そんな彼らは、基本的に物事を額面通りにすら受け取れず、どんな問題かすら分かってないどころか最初から「答え」以外眼中にないため、あからさまなヒントや伏線がそこかしこにあったところで考察どころか気づきもしないし、たとえ目の前で変身しても印象が弱いと、変身時に二度見するレベルで体格が変わっているつよしでさえ、顔すら覚えてもらえない。
犬塚が知っている事を何も知らないし、それ以前に基本的に彼を「イヌ」という部分しか見てない。比喩でもなんでもなく、人間としての言動や仕草を全く意識していない為、ある一件で終始偽物とすり替わっていた事にも最後まで全く気づかずに普段全くやらない名乗りや巨大戦までやってしまうほど。
他のメンバー同士とて、変身前後で頭に塩の入った大きなタライを乗っけて謎の儀式をしながら登場したというインパクト抜群の共通点あってようやく互いの正体に辿り着いたほどなので、通常のプロセスで正体を知るなどありえないのであった。
そんなわけで追加戦士のジロウが登場しても彼以上に情報が無く、本人を含めて誰一人それに気づく事もないままメンバー内で常にただ一人だけ孤立しているという事態がもはやお約束か様式美となってしまいつつあるのが現状である。
果たして彼が諸々の情報を知る時はくるのであろうか…?
そしてその時が来たとき、彼はどんな反応を見せるのか…。
演者本人からの反応
前述したドン16話のあとがきにて、こんなエピソードが明かされる。
犬塚の演者である柊太朗氏がドン7話のHP公開後に「HP見ましたよ。あの〝またしても何も知らない犬塚翼〟ってやつ」
とスタッフに話しかける。
𠮟責か…と思いきや、
「またしても何も知らない犬塚翼……〝さん(25)〟 が抜けてましたよ、もう~~ニコニコ」
とまさかの本人巡回済みに加え本家さながらの修正要望である。
さらにさらに、2022年7月10日にYoutubeにてアップされたドンブラザーズ6人の演者による座談会の公式動画において、とうとうそのまんまテロップとして表示される事となった。
1分22秒
というわけで実質公式からの言及であるため、以降は当タグの表記に統一して欲しい。
その後の知らない犬塚まとめ
ドン20話『はなたかえれじい』では桃谷ジロウにより雨の中トレーニングをするドンブラザーズに対して、成り行きで参加することになるも翼には無理かと聞かれ「無理?俺は戦士だぞ。『何も知らずに』能天気な奴らだ」と返したが、完全に別の意味で何も知らない犬塚にブーメランになっていると視聴者は即ツッコミ。
ドン23話『イヌ、いぬになる』では戦闘中のアクシデントで変身解除出来なくなり、終始イヌブラザーのままで街中をうろついていたにも拘らず気づいてもらうどころか最後までメンバーの誰一人とも接触することすらなかった。しかもイヌの姿であれだけの騒ぎを起こした上に助けを求めて自分からつよしやタロウの所にも足を運んでいたのにも拘らず…である。
なお、今回陣とは面会しており、二人の会話から流石に陣はイヌブラザーの正体を把握しているようである。(マスターの方は現状言及はないため不明。立場上知っていそうだが、知っていても普通に黙っていそうである)
ドン25話『ヒーローしごとにん』では翼は何故かレストランのバイトとしてたまたまドンブラザーズが集まったレストランにおり、店の経営が傾いているということをタロウ達に話すとその場にいなかったジロウ以外全員協力してくれることになり、一同が変身して接客する中黙々と厨房で調理。
戦闘ではなかったからなのか、それとも厨房係が抜けてはまずいということを悟ったのか、全員変身してるのにも拘らずドンブラスターによる召喚はなかった。
ドン26話『フィナーレいさみあし』ではMVPを決めることとなり、予告では他の5人とともに喫茶どんぶらに集合していたのだが、実際はVTR出演のみでどんぶらに来ることはなく、その活躍を唯一正体を知るソノニに(しかも独り言で)語ってもらう始末だった。
ドン30話『ジュートのかりゅうど』にてソノニが犬塚に接触し獣人打倒のためにドンブラザーズとの共闘を持ちかけるも犬塚はドンブラザーズで唯一それと何度も接触しているにもかかわらず獣人の事など全く知らないから話の内容についていけず、しかもメンバーと面識が全くないため伝えるにも伝えられない為ただただ困惑するばかり。
幸い、その後すぐにヒトツ鬼出現で他のメンバーも召喚されてきたから説明できたものの、一歩間違えば重大な話が連絡ミスで破談仕掛けるところだった(最終的には破談してしまうのだが……)。
同話ラストにて、遂に彼は知ってしまう。
想い人である夏美が、つよしの妻・みほである事を。
ドン31話『かおバレわんわん』でジロウの「えっ?イヌって犬塚翼さんじゃないんですか?」との発言をした事で他のメンバーもイヌブラザーは誰なのか他のメンバーも疑問に思うようになる。流石に何度も面識ある犬塚ではないと思うものの、直接確かめようと行動を開始する。
試行錯誤する中、戦いの中で吹っ飛ばされたイヌブラザーは売れないミュージシャン乾龍二と激突、すぐに意識を取り戻して立ち去るもサングラスをその場に落としており、そばで気絶してた乾がイヌブラザーとして迎え入れられてしまう。
後にヒトツ鬼との戦いを目撃した犬塚は事情を察しこれ幸いにと(31話で犬塚の懸賞金とし100万円がついてしまい、先の正体調べの挙動不審な行動から仲間からも懸賞金で狙われていると勘違い)彼にイヌブラザーの座を譲る。
しかし乾がヒトツ鬼化してしまい彼を救うべく犬塚は再び変身しコレを撃破。
こうして乾は元に戻ったものの、イヌの正体探しは振り出しに戻るのだった……(というか投げ出す前に乾から直接事情を聞けば良かったんじゃ……)。
ドン33話『ワッショイなとり』にてソノイからサングラス越しにどんぶらに来るよう言われるがこの時の犬塚は夏美を追いかけていることを優先したためバックレてしまった。
その後知らずにマスターに採取されたオトモ達と脳人のパワーでタロウは復活、ゴールドンモモタロウへとパワーアップを果たしたのだが、当然そこに犬塚だけは含まれていない。
結局犬塚がゴールドンモモタロウを初めて見たのは翌ドン34話(しかも巨大戦直前で戦闘シーンは見られずじまい)で、「何だコレ?コイツなんで金なんだ?」と呑気なリアクションをとっていた。
ドン36話では獣人に成り代わられ、イヌブラザーへの変身→戦闘まで終始獣人が行ったことで、ついにはトラドラオニタイジン極への最強合体さえも(本物の)犬塚だけ乗り遅れる、という目にまで遭ってしまった。尚、彼が初めて合体できたのはその二週間後のドン38話の事だが料理の途中で呼ばれてそれどころじゃなかった為状況的に頭に入らなかった模様(しかもその際またしてもゴールドンモモタロウの姿を見そびれている)。
何故何も知らされないようになっているのか?
何故に翼だけが何も知らされないようになっているのかは不明だがそれは物語の進行上に関わることかもしれない。もし早期に色々と知ると何か不都合が起きたり、もしくは翼が立場上ドンブラザーズに迷惑をかけかねないのだろう。
もしかすればはるかがドンブラザーズに選ばれたのと引き換えに濡れ衣を着せられて「人生を奪われた」のと同じように翼がドンブラザーズの力を得た代償として「誰にも知られず孤独に戦う運命」 を強いられているのかもしれない。
また心理的な面では、「逃げなければならない」という強迫観念に翼が毒されているのが大きいと言える。元は何者かに恋人の夏美を連れ去られ、その身柄を盾に脅迫される形で逃亡者になる事を余儀なくされた翼だったが、当初交換条件として提示された「1年間逃げ切ったら夏美を開放する」約束はドン17話で期間を満了したにも拘らず結局有耶無耶にされてしまっており、すっかり逃げ癖だけが染み付いてしまった現在は誰一人として味方を得る事も何一つ情報を共有する事もなく「夏美」というただ一つだけの答えを追い求めてただただ野良犬のように逃げ回る、まさに“逃げる事へ囚われた”とも言える状態へと陥ってしまっている。
そして逃げ続けている事で他者不信が徐々に強まっているのも想像され、それが原因で自分から縁を結びに行く=誰かへ助けを求めたり事実を自分から知りに行く事を躊躇する傾向になっているのも否めない。現にドン31話が偽正体バレ回に終わった分水嶺は、指名手配へ賞金を掛けられた現状の上で正体を知らない他のドンブラザーズが自分を捕まえようとした事に悪い想像を巡らせた翼が、偶然にも自分が落としたサングラスを拾った乾へ一時的にイヌブラザーの代役をさせる選択を取った事にあった。
しかし現在の自分が、逃げ続けている事でより悪循環へと陥っているのは翼本人も薄々解かって来ており、ドン31話のラストでは「でも、俺は…一人…。 そして、ずっと迷子だ…」と誰へも届かないSOSに聞こえる科白を残した事から、翼の精神は確実に孤独と不信に蝕まれ続けているのが窺い知れる。傍観する視聴者からはネタ扱いだが、何も知らずに一人逃げ続ける翼は夏美を奪われた時から終わらない地獄を彷徨い続けているも同然の状態だったのだ。
果たしてこの先、何も知らず逃げ続けるイヌはこの孤独な地獄を抜け出せるのだろうか…?
関連イラスト
トップ画像のようにパロディの他には犬塚がほぼ意図的に何も知らない状況にされたり
何も知らないことに虚無っていたりするイラストにこのタグがつけられる事が多い。
関連タグ
ドンブラ中毒 本人巡回済み さんをつけろよデコ助野郎 仲間はずれ 蚊帳の外 様式美
好きでイヌやってんじゃねぇよ:犬塚のもうひとつのネタ
またしても何も知らない大泉洋さん:元ネタ
ギラ/ギラ・ハスティー:純朴な性格から、度々他のメンバーもとい王様達の思考や作戦についていけず、リアル『何も知らない』状態になっていた後輩戦隊のレッド。
山下美月:乃木坂46の3期生メンバー。専属モデルを務めるファッション雑誌「CanCam」の企画で『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とコラボした際に、なぜかイヌブラザーを担当。カメラマンから「イヌブラザーっぽいポージングで!」という無理難題なリクエストを受けた。本人も『ドンブラザーズ』のことをよく知らなかったため、まさに「何も知らない山下美月さん(23)」である。
表記揺れ
またしても何も知らない犬塚翼 またしても何も知らない犬塚翼さん
そして、ドン34話で翼はその真実がどんなものであれ、知ってしまった…。