概要
円谷プロダクションと小学館がMARVELと提携し、連載されるウルトラマンとスパイダーマンのクロスオーバー作品。小学館コロコロコミックより2024年8月14日にリリース。
円谷プロが原案、設定協力に仮面ライダー響鬼等に参加した大石真司、シナリオにデュエルマスターズの松本しげのぶ、作画を緋呂河ともが担当する。
あらすじ
MARVEL世界の地球・ニューヨーク。スパイダーマンとアベンジャーズが手を組み、ドクター・ドゥームに戦いを挑む。
しかし、倒れたビルで死んだ民間人を見て、戦意を失くしたスパイダーマンは、異次元列車という謎の乗り物に連れ去られてしまう。
ドクター・ドゥームも乗り込んだが、なんと二人ともウルトラマン世界の東京に着いてしまった!
ウルトラマンと怪獣の闘いを目にしたドクター・ドゥームは、メフィラス星人と彼が率いる怪獣墓場から蘇った怪獣軍団と手を組み、光の巨人の力を盗もうとするーー。
登場人物
MARVELの世界
ご存じ、ニューヨークの親愛なる隣人でヒーローとして活動してから3年目の若手ヒーロー。
アベンジャーズのメンバーと共にニューヨークを総攻撃するDr.ドゥームと戦っていたが、人々の救助よりも戦いに集中するよう指示するアイアンマンと意見が衝突した果てにビルが人々を巻き込んで倒壊する光景に成すすべを失い、さらにアイアンマンとDr.ドゥームから「全ての人は救えない」という現実を突きつけられ失意に陥っていたところ異次元列車に連れ去らわれ、「ウルトラマンの世界」に来てしまう。
我等が戦う社長。Dr.ドゥーム率いるドゥームボットらしきの軍勢によってニューヨークが総攻撃を受ける中、救助活動を優先するスパイダーマンに「目の前の救える人をすべて救えるわけではない」と諭すが、かつて目の前で叔父のベンを失った彼からは受け入れられなかった。
彼の知能をもってしても異次元列車の正体がつかめず、それに乗って失踪したピーターの事を誰よりも心配している。
アズガルドの神。ピーターを心配するトニーに「彼は必ず戻って来る」と勇気づける。
アベンジャーズのメンバー。
日本では旧和名の悪魔博士の名前も有名な今作のヴィラン。
原作ではファンタスティックフォーの宿敵かつ、魔法と科学の双方を操る強力な敵でありアメコミにおける意識高い系な悪役の元祖としても知られている。
異次元列車に連れ去られたピーターと共にウルトラマンの世界に赴く。
ひと目で異次元列車が地球のものではないと見抜くなど、その頭脳とエゴイストっぷりは健在で、「世界の不条理を正す」という名目で大量のドゥームボットを引き連れてニューヨークに総攻撃を仕掛けているところから物語が始まった。
ウルトラマンの世界ではメフィラス星人と結託し、ラゴンを「所詮滅びる運命」として巨大ラゴンで虐殺し人々の悲鳴を愉しむなど残虐な悪事を行う。
ベンおじさん。オリジン同様この世界でも暴漢に銃で撃たれ殺されてしまう。
死の間際、ピーターに「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉を残す。
ピーターの回想で登場。スパイダーマンを敵視する新聞記者。ギャンゴのせいでスパイダーマンに銀行強盗の疑惑がかけられている新聞記事を見て思い出していた。
ピーターの回想で登場。以前交戦したことがあるらしいが、ホーム三部作のような惨劇には至らなかったようである。
ウルトラマンの世界
もう一人のヒーローである怪獣退治の専門家。全ての命を守るべくベータカプセルで超人ウルトラマンへと変身する。スパイダーマンからは「JAPANESE SAMURAI」と呼ばれる。
原作のハヤタは短髪であるが、本作では前髪が長く少年漫画の主人公さながらのデザインになっており、外見に関しては原点のハヤタ・シンよりも別世界の彼の息子の方に近い。
変身前に通信機のタイマーを3分にセットする本作独自の設定がある。
ウルトラマンに変身している間は現場から居なくなるために、「怖くて隠れている」と思われてしまっている。
科学特捜隊隊長と隊員達。原典と同じくジェットビートルに搭乗する。
フジ隊員はジェットビートルから落ちたところをスパイダーマンに助けられる。
- チコ
ウルトラ警備隊管轄施設の海洋研究所にいる関西弁の少女。ラゴンが大好きであり、純粋な子供だけにしか聴こえないという「ラゴンの歌」がお気に入り。
元ネタはおそらくウルトラマン第4話に登場したミチコと思われる。
- 鬼田
元いじめっ子の不良少年。スケートボードをしていた時に足を負傷したことでかつて自分がいじめていた少年・小野にいじめられ、両親や周囲からも厄介者扱いされたことでスパイダーマンのような「自由に使える力」に渇望していたところでギャンゴの隕石を発見し、その力で小野や両親を家に監禁、自身の足を治すのみならず偽札での豪遊や銀行強盗などその悪意や欲望を暴走させていく。
元ネタは原作にてギャンゴを生み出した悪人・鬼田。
行き場のない人、迷える人だけが乗れる次元を超え進む謎の列車。
ドゥームの攻撃で重傷を負い、失意の底にあったピーターをドゥームごと連れ去り、二人をウルトラマンのいる世界へと飛ばすきっかけとなった。ドゥームでも文明レベルの高くない外見に反してどういう原理で動いているのかわからないという。
- 深海怪獣ピーター
熱源がある限り際限なく巨大化し続ける超深海生物「アリゲータトータス」。
本来は大人しい生物だが、メフィラス星人によって体内に熱源となる装置を仕込まれたことで暴走し、『Q』の時よりも遥かに巨大で屈強、そして凶暴化してしまう。長い舌で攻撃する。
- 海底原人ラゴン
優しくて音楽が好きな人間のような海棲怪獣。
最近の海洋開発の影響で住処を追われて人間と遭遇するようになったことから過度に恐れられ、駆除活動が行われて絶滅危惧種となっている。
メフィラス星人によって怪獣墓場から蘇ったラゴンの魂が、Dr.ドゥームに悪用されて巨大&凶暴化して復活したもの。
同族すら虐殺し、巨大竜巻を発生させるほどの暴れぶりを発揮する。
- 脳波怪獣ギャンゴ
脳波に反応し、そのイメージを果てなく具現化する隕石の怪獣。
蘇らせたメフィラス曰く、ある惑星ではその力であらゆるものを破滅に向かわせ多くの生命を滅ぼしたとされる危険な存在。
地球に送り込まれたのち、鬼田に発見されたことで彼に従順な存在となり、巨大蜘蛛や小野などに変身してひたすら彼の願いを叶え暴走させていった。
- 悪質宇宙人メフィラス星人
ウルトラマン側のヴィラン。怪獣ピーターを暴走させた張本人であり、怪獣墓場から怪獣を蘇らせ手駒にしようと目論んでいる。
余談
第1話でトニーがスパイダーマンに言い放った「救助活動をやめろ、それはシールドに任せるんだ」「我々の使命は戦うことだぞ」という台詞とその後のスパイダーマンを殴り付ける場面がSNSを中心に「トニーらしくない」「アメコミヒーローのイメージからかけ離れてる」と賛否両論を呼ぶことになった。
日本で「アイアンマン」といえば実写映画シリーズが1番有名で作中では印象的な人命救助シーンが多いのも特徴となっているし、寧ろ戦いより人命救助場面こそアメコミ作品の華と言っても過言ではない。
一方で普段は自信家でナルシストなトニーだが、「アイアンマン3」の時のように自分の想像を超える敵の力を見せられ今のままでは勝てないと察すると一人で抱え込んで暴走したり、原作コミックでは歴史の長いベテランヒーローである故に時より経験からくる悩みが回りに回った結果、とんでもない計画を打ち出して大事件の元凶になったり何かの拍子に焦りから無神経な失言で不協和音の原因を作ってしまった話も存在しているのも事実である。(無論そうならない時の方が多いし敵の介入で結果的にそうなってしまったこともある。)
本作のDr.ドゥームが彼にそういう判断をさせてしまう程に強力な敵として描かれている証拠でもあるだろうが原作のマーベルヒーロー作品は基本的にサザエさん時空な世界観でありながら経験や出来事は蓄積されて現在まで続いてるため、時にシチュエーションの為にそのキャラクターがやりそうに無いことや言うか言わないかギリギリの台詞を言う舞台装置的な「貧乏くじ」を引かされることが偶にある。なんせ原作でシビル・ウォーを実質的に引き起こしたのはトニーだったし、一時期はシールドの長官になっていたというMCUの彼からは考えられないような時期もある。
何ならアベンジャーズがハルクのあまりの狂暴さに無理矢理ロケットに乗せて二度と地球に戻れないように宇宙に追放した話も存在する(シチュエーションが全く違うがこれが「マイティ・ソー バトルロワイヤル」におけるハルク側のストーリーで使われた要素の原作での導入部だった)
いわば本作のトニーもそのお決まりにしたがって貧乏くじの役回りを当てられたのだろう。
……身も蓋もない話になるが、こうしたマーベルサイドの方が話題になりやすいものの、一方のウルトラマンサイドも前述の通りハヤタや科学特捜隊のメンバーの見た目が原点とは全くの別物になっているなどかなりアレンジが加えられているので、はっきり言ってあまり細かく考えず「この作品の、この世界に登場するキャラはこういう性格である」という認識の方が良いと思われる(おそらくウルトラマンとマーベルの双方にある「原点とは異なるマルチバースの存在」なのだろう)。ちなみに原作コミックのスパイダーマンはアベンジャーズや他のヒーロー達と一緒に怪獣退治をした事がある。(ただしスパイダーマンは他ヒーロー達と同じく(デッドプールやパニッシャーのような例外はいるが・・・)不殺主義者のため怪獣を殺さずに戦う)そしてウルトラマンは等身大ヒーローの仮面ライダーや他作品のヒーロー達と共演した事がある。
その後、作画担当の緋呂川ともが自身のXにて「作中のスパイダーセンスの描写について誤った解釈をしてしまった」と謝罪文を投稿。すでに書き終えているピーターとラゴンの章は修正が間に合わないためそのまま単行本化するが、次章以降シナリオとネームに対しいくつかの修正案を提出し、多くの人が思い浮かべるであろうスパイダーセンスの描写に変更するという。
同時にほかのキャラクターの不自然な言い回しやキャラクター性にそぐわない行き過ぎた表現の修正も行っていくという。