ここでは歴史上のオルドと、コーエー作品に登場するゲームシステムの解説をそれぞれ行う。
歴史上のオルド
まず歴史上のオルドは騎馬民族が使うゲルと呼ばれるテントを宮殿化したもので「行宮」のこと。御殿そのものだけでは無く家畜や家財、場合によってはそこに住む一族(特に妾)など付随する人間を含むこともある。
モンゴルのオルドは主人である女性の権力が強く、クビライの后チャブイのように専属の商人を雇って資産を増やしたり、女官を指揮して発明や製作にあたるなど自主性を認められていた。
そのため老病のハーンや幼少の皇太子を后や姫が補佐する事もあった。
モンゴル帝国崩壊後もオルドの影響は大きく、ジョチ・ウルスが分裂して出来た諸政権が「オルダ」「オルド」を名乗っている。
またインドにおいては中央アジア発祥のムガル帝国が都を置いたデリー周辺の言葉を「ザバーネ・ウルドゥー(行宮の言葉)」などと呼んでいた事から、現在インドやパキスタンでは単に「ウルドゥー」と言えばこの言葉(とりわけイスラム教徒が用いるもの)を指す事がほとんどである。
チンギス・ハーンの大オルドはとくに有名で、1番目に正室ボルテ、2番目にお気に入りだったクランを置き、3番目には中国の姫・岐国公主、4番と5番をタタル族から降伏して来たイェスイとイェスゲンと言う姉妹に任せていた。チンギスはそのオルドの間を季節ごとに移動していたが、后はこの5人だけでは無く、中国で編纂された「元史」には39人、一説には500人もの愛人を住まわせていたとされる。
コーエー作品に登場するオルド
蒼き狼と白き牝鹿に出てくるシステムのこと。
宮殿(オルド)を守ってくれる后と過ごして子孫を儲ける「オルドシステム」。そのインパクトのため、オルドの意味を勘違いした紳士諸君も多い。
「蒼き狼と白き牝鹿」
第一弾は画面に相手女性のグラフィックが描かれ、駆け引きして同衾できるか否かが決まる。その女性は戦争に勝つごとに加えるチャンスができる。
「ジンギスカン」
前回よりも大幅にパワーアップ。モンゴル編・世界編ともに国ごとの后が決められ、オルド交渉が簡単にできる女性、条件付き、全くできないなど、多数。成功すると脱衣したり、笑ったり
喘いだりする。
「元朝秘史」
文化圏と言う概念が生まれ、后の性格や傾向で生まれる子のパラメーターも変わる。PS版では天使が祝福してくれるだけだが、PC版では口説くごとに表情やポーズも変わり、成功するとはだけたり、脱いだイラストが表示される。
「蒼き狼と白き牝鹿Ⅳ」
「宴」と言うコマンドに替わり、宮殿で宴会を開いて男性キャラを接待して忠誠心を高め、女性の好感度を高めて夜を共にすることとなる。勢力ごとに描写が違う。
- モンゴル:主催者はチンギス・ハーンの肖像画そっくりな姿になり、男性は革鎧、女性はデール(民族衣装)で登場。羊肉、鷹狩、モンゴル相撲が好きだったり、馬頭琴が演奏されるなど遊牧民情緒に溢れる。
- 日本:主催者は衣冠束帯、男性が烏帽子と鎧の鎌倉武士、女性は十二単。会席料理をつまみながら酒を酌み交わし、滝行・薙刀・和歌・琵琶・花合わせなど和風テイスト。子供が出来ると「仏様にご祈願」と言うあたりは仏教最盛期にふさわしい。
- 東アジア・中国:主催者は皇帝、男性は三国志風、女性が中華ファンタジー風とコーエーらしい演出。中国大陸出身者は満漢全席や拳法、孫子兵法を語り、高麗の人はおいしそうにキムチを食べている。女真族の金朝やチベット系の西夏・吐蕃のオルド場面は、今作では東アジア文化圏扱い。
- インド・東南アジア:男性はマハラジャか富豪風、女性がセクシーなサリーで男性は軍服にターバン。米食文化圏でもナーンつきのカレーセットを食しつつ、ベリーダンスやインド神話談議が花を添える。インド出身者は「このカレーこそ本物」とグルメ漫画さながらに唸っている。
- イスラム:主催者がサルタン、女性がターバンとローブ、男性は兜とゆったりした帷子を着る。「酒は飲めないが」「この肉はいける」などムスリム的ではあるが世界観を楽しめる発言がある。ベリーダンスはインドと同じだが、楽士の音楽が微妙に違う。
- 東欧:主催者がブラド・ツェペシュ風の東欧衣装だが、女性がロシア、男性に至ってはギリシャ風の武装をしている(おそらくビザンツ帝国が存在するためと思われる)。キリスト教徒だがギリシャ神話の描写が出たり、宴席がロシア風だったりとカオス。
- 西欧:主催者と女性がファンタジー風の王様とお姫様で、男性は十字軍風とまるでRPGのような雰囲気。キリスト教布教やカール大帝など中世ヨーロッパ的な会話もあれば、秋の実り(ボージョレ・ヌーヴォー)を楽しむ場面もある。
関連タグ
蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン 元朝秘史 蒼き狼と白き牝鹿Ⅳ
ラッチ:蒼き狼と白き牝鹿シリーズの名物といえる女の子。