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ガラハッド

がらはっど

中世の騎士道物語『アーサー王物語(アーサー王伝説)』に登場する円卓の騎士の一人。 もしくは、その人物をモチーフにしたキャラクターまたは兵器。
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概要編集

ガラハドギャラハッドとも。ランスロット卿とペレス王の娘エレインの息子。

「最も穢れ無き騎士」と云われる聖杯を見つけた三騎士のうちの一人。


湖の騎士・ランスロットの息子であるが、エレイン王女が魔法でランスロットを狂わせて誑かし、その末に産んだ子とされている。正気を取り戻したランスロットはエレインの下を去り、ガラハッドを修道院に預けて育ててもらうことになった。

誕生の際、マーリンからは「彼は父であるランスロット卿を凌ぐ武勇を身につけ、聖杯を発見する。」と予言された。


それから成長したガラハッドはランスロットを訪ね、彼から騎士の洗礼・叙任を受ける。

そして王都キャメロットにてアーサー王と謁見し、アーサー王の臣下となるべく数々の難題に立ち向かう。果たしてガラハッドはそれらの難題を次々に達成し、遂には強力な呪いの掛かった「13番目の円卓の席」に見事に座ってみせたのだった。

またこの頃、川のほとりに“石に刺さった剣”が流れ着き、そこには「最も優れた騎士だけがこの剣を抜ける」と銘文されていた。ガラハッドはこの剣にも挑戦し、そしてこの“選定の剣”を得るのだった。


聖杯の探求へ編集

アーサー王の城で聖杯の幻影が姿を現すようになり、アーサー王は聖杯を見つけ出すべく、円卓の騎士たちに命じるが誰もが失敗に終わっていく。そんな中、遂にガラハッドに白羽の矢が立つのだった。道中、パーシヴァル卿とその妹、そしてボールス卿と出会い、彼らと旅路を共にする。途中、パーシヴァルの妹が亡くなり、それを機に二人と一度は袂を分かって父・ランスロットと旅を続けたが、しばらくのちに再会する。

ガラハッドは旅路で「白い盾」「ソロモン王の船」「ダビデ王の剣」「血を流す聖槍」等々、数々の聖遺物を手に入れ、それらの助けを借りて遂にカルボネックに至って聖杯に到達した。


ガラハッドの昇天編集

聖杯を得た帰路でサラスに到達した一行は、異教の王に囚われ、投獄生活を送ることになる。

しかし聖杯を隠し持っていたおかげで食に窮することはなく、死期を悟って改心した王は三人を赦し、王の死後はしばらくガラハッドがサラスを治める。


それから一年ののち、ガラハッドは聖句を唱えているアリマタヤのヨセフ(「白い盾」の血の十字架の血の主)をはっきりと幻視し、彼に「この世を去りたい」と申し出た。

ヨセフはガラハッドの願いを聞き入れ、天使たちを呼んで聖杯と血の聖槍を抱えたガラハッドを昇天させた。


ガラハッドの得た聖遺物編集

白い盾編集

ガラハッドを象徴する聖遺物

白銀に輝く金属製ので、その中央には“アリマタヤのヨセフ(キリストの遺体の引取人とされる聖人)の”で描かれた大きく赤い「血の十字架」が存在する。

盾はガラハッドの祖先が、或る村の修道院に預けたものであり、勝手に持ち出すと漆黒の騎士が表れて持ち出した者を襲って大怪我を負わせる“呪われた盾”であった。

しかし同時に「盾に認められたものは聖杯を得る」という言い伝えもあり、さらに漆黒の騎士は打倒した者に「これはガラハッドの盾だ」と告げて消えていた。


予言通り、ガラハッドはこの盾に呪われることなく、持ち主と認められることになる。

のちにカルボネックにて聖杯の試練を受けた際、この盾の血の十字架が、聖杯を得るための条件である【キリストの血縁者たる証左】となって働き、ガラハッドに聖杯を獲得させる決定打となった。


選定の剣編集

上述にある、岩に刺さって流れ着いた剣。

アーサー王の持つカリバーンエクスカリバーとは違う、また別の剣。

本来はエクスカリバー同様に「泉の精霊」の持物なのだが、ある少女によって持ち出されベイリン卿が手にすることになる。「“真なる騎士”だけが扱える剣」であり、「持ち主の最も愛する者を斬り殺す呪い」がかかっているという魔剣めいた側面を持つ。ベイリン卿はその呪いによって死の運命を辿らされてしまった。


流れ着いた剣をアーサー王は円卓の騎士たちに抜かせようと考える。

まずランスロットに命じるもこの頃からランスロットとグィネヴィア不義の関係にあり、それを恥じていたランスロットは自ら辞退を選ぶ。

続くもっとも勇猛な騎士であるガウェイン卿が勇んで挑戦するも、剣は抜けずに終わった。

最後にガラハッドが挑戦し、これを見事抜いて見せている。


血を流す聖槍編集

ずばり、ロンギヌスの槍それである。

この槍は常に血を滴らせており、その血はあらゆる傷を癒すとされる。同時に槍を以て傷を与えれば、その傷は決して癒えず、傷ついたものを苦しめることになる。槍で付いた傷は、槍の血でしか癒せない。


ベイリン卿がかつて漁夫王と対決した際、その身に槍による“癒えない傷”を付けて苦しめることになった。同時にベイリンは私利で聖槍を使った反動で「嘆きの一撃」が降りかかり、城の瓦礫に埋もれて重傷を負う。

これが巡りめぐってガラハッドの下にくる。

漁夫王とガラハッドは曾祖父と曾孫の関係にあり、ガラハッドが漁夫王の下を訪れた際、槍の血を以て漁夫王を癒し、王を傷の苦悶から解放している。


ダビデの剣編集

伝説のイスラエル王・ダビデの剣。

「ソロモン王の船」に存在した伝説の剣で、船の持ち主であるペレス王さえ鞘から抜くことの叶わない剣だった。ガラハッドはこの剣を船で見つけ、見事鞘から引き抜いて己が物とした。


完璧すぎた聖騎士編集

ガラハッドの物語である「聖杯探索」だが、キリスト教礼賛のプロパガンダ文学とは言え、あまりの完璧ぶりに出来過ぎた感が否めないところも多い。

本来、古い伝承ではパーシヴァル卿がガラハッドの役割を担っており、ガラハッド自身も伝承にはほとんど登場しない。また“最も誉れ高き騎士”とされる円卓の筆頭であるランスロットにとっても、我が子の出世の物語とはいえ立つ瀬がなさ過ぎる。


そして最後に、何故かガラハッドはアリマタヤのヨセフに導かれて昇天し、聖杯も聖槍も持って行ってしまった。あまりに勝手な幕切れとも言い得なくはない。


後世にて、“聖杯の物語を盛り上げるために見出された英雄”としての色が強いガラハッドだったが、彼自身は己の完璧すぎた運命をどう受け止めていたのだろうか。もしかすると、ガラハッドも己の完全すぎる運命を、どこかで虚しく諦観していたのかもしれない……。



関連タグ編集

アーサー王物語 アーサー王伝説

円卓の騎士 アーサー王


アルジュナ

⇒古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』の英雄。完璧すぎる人格と能力、全てから祝福された半生、世を疎んで隠遁した最期など、ガラハッドに近い点が散見される。


ガラハッドをモチーフにしたキャラクター編集

  1. ソニックシリーズ『ソニックと暗黒の騎士』に登場するキャラクター。→シルバー・ザ・ヘッジホッグシルバー(ソニック)
  2. ガイアマスター』に登場する騎士
  3. ヒメキス ~kiss of princess~』に登場する伝説の盾騎士。
  4. リモートコントロールダンディ』に登場する北領軍格闘専用の怪ロボット
  5. カードファイト!!ヴァンガード』におけるクラン「ロイヤルパラディン」のキャラクター。→神速の騎士ガラハッド試練の騎士ガラハッド探求の騎士ガラハッド
  6. コードギアス』におけるナイトオブワン、ビスマルク専用ナイトメアフレーム→ギャラハッド
  7. ロマンシングサガ』に登場する聖戦士。アイスソードイベントでの不甲斐無さや、あんまりな容姿などネタ的に有名→ガラハド(ロマサガ) ガラハゲ
  8. ガイアポリス』のプレイヤーキャラの一人。
  9. ポケットモンスター ソード/シールド』に登場する伝説のポケモンザマゼンタ
  10. Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント。→ギャラハッド(Fate)

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