ゴジモス
ごじもす
モンスターバースシリーズ3作目の『キング・オブ・モンスターズ』では、モスラがゴジラと共生関係にある存在として描かれ、怪獣王ゴジラに対してモスラは「怪獣の女王」と呼ばれている。
実際、劇中ではゴジラに対しモスラは非常に協力的であり、窮地に陥ったゴジラを救出すべく参戦。決戦時においても地球の他の怪獣たちが軒並みギドラ側に寝返っていた中においても唯一ゴジラの側につき、終始ゴジラを援護し続けた。
他方でゴジラもモスラの呼びかけに応え、またモスラのために悲しむような声を挙げており、ひいては苛烈ともとれる最終決着時の描写にも繋がっているともとれる。
なお、生物学的に共生関係にあるらしいことは事実であるが、共生することで両者にとってどのようなメリットがあるのかははっきりとは語られていない(ドハティ監督はファンからの同様の質問に対し、「生き残るため、そして寄り添うためである」としている)
さらに言うと、相思相愛の関係にあるというのは、あくまで状況を見ていた人間たちの推察によるものであり、本当にそうだったのかは判断の分かれるところである。
このカップリングが誕生するきっかけはさまざまだが、オキシジェンデストロイヤーの攻撃で瀕死の重傷を負ったゴジラの元へモスラがやってきてゴジラを蘇生させたシーンを目の当たりにしたMONARCHのメンバーのやり取りの中で、バーンズが「So, Mothra and he have a thing?」と問いかける場面があるが、こちらは英語圏において「デキてるのか?」(日本語字幕並びに吹き替えでは「ゴジラとモスラはいい仲ってことか?」と訳されている)といった風なニュアンスの含みのある表現であったことと、更にその問いかけに対する返答が、字幕版では「自然界では異なる種の共生は珍しくない」といったニュアンスのみであったが、日本語吹替版では「異なる種同士が愛しあうことはよくあること」とはっきり言及されている(外国映画における字幕は、文字を読みやすい時間を優先するため吹き替えよりも細部のニュアンスが省かれる事が多い)。
とはいえ、実際にモスラは単なる損得勘定や共生関係では説明ができないような献身的な行動も見せているため、ゴジラに対して何かしら特別な感情を抱いていたと考えてもそこまで不自然な話ではないし、一方のゴジラもモスラに対して強い感情を抱いていたと思われる描写があるので、このあたりは視聴者が自由に想像して良いと言えるだろう。
『ゴジラxコング:新たなる帝国』では、ゴジラとコングの争いに間に割って入ると、ゴジラにコングに協力するよう説得。それを受けたゴジラも事情を理解し、そのままコングに加勢することとなった。
コングを容赦なく追い詰めていたゴジラを衝撃波で吹っ飛ばして止めるという、これまでと比べて荒っぽい手段を取ったこと(それをしなければコングは確実に屠られていたので仕方無いが)や、それまで自身の目的のためにとあるタイタン怪獣を手にかけ、コングに対しても再び出会うなり問答無用で即刻戦いを仕掛けていたゴジラがモスラの説得にだけは穏やかに従ったとあって、ファンの間では「嫁に頭の上がらない旦那」「番長に唯一物申せる幼馴染のクラス委員長」等とネタにされている。
また、この描写から、モスラはゴジラに従属しているわけではなく、対等な関係にあるということが初めて明確になった。
…いずれにせよ、ここまで明確に描かれた関係性から、映画鑑賞後にモスラの一途な姿にハートを撃ち抜かれたファンが世界中で続出することとなり、(後述するように本作以前にこのカップリングの二次創作が全くなかったわけではないものの)ゴジラとモスラの仲睦まじい様子を想像した二次創作が国内外を問わず多数作られている。
また、ドハティ監督自身もゴジラとモスラのカップリングを気に入っているのか、Twitterの公式アカウントでファンアートをリツイートしたり、時には直々に紹介する等している。監督何やってんすか(とはいえ、さすがに注意が入ったのか、しばらくしてリツイートやイラストの紹介をするのは止めて、いいねに留めるようになった)。
このため、ファンからは「ゴジモスはドハティ監督の推しカプで、『KOM』は監督が推しカプを布教するために218億円かけて作った同人作品だ」という見方も出ている。
なお、海外では「Mothzilla」(ごく少数ながら「Gothra」も存在)、若しくは「Godzilla x Mothra」や「Godzilla Mothra Ship(※)」といったタグが使われている模様。
※ship:直訳すると「船」のことだが、海外では日本でいうところの“カップリング”とほぼ同義の隠語としても使われている。
とはいえ、ファンの中には怪獣映画にカップリング談義を持ち出してほしくないと考えている者や、それまでのシリーズで(一部の作品を除いて)一貫して敵として描かれ続けてきたゴジラとモスラが本作で唐突に共生関係にある生物として扱われるようになってしまったことを“解釈違い”と見なして批判的に捉えている者がいることもまた事実である。
同じ嗜好のファン同士で盛り上がる分には問題ないが、所構わずこの話題を持ち出すとトラブルの原因にもなりかねないので、その点には十分注意が必要である。
ゴジラとモスラが協力する展開はKOMが初ではなく、古くは「三大怪獣地球最大の決戦」や「怪獣総進撃」、平成であれば「ファイナルウォーズ」、間接的な補助を含めれば「星を喰う者」でも描かれたものである。
しかしいずれも単独では対処できない強大な脅威に対する一時的な共闘、いわば利害の一致による一時的な同盟に過ぎず(それ以外では寧ろ敵対していることが多く、そもそもモスラは他の怪獣と比べてゴジラとの対戦成績が良好な、シリーズ屈指のゴジラキラーとして有名であった)、唯一例外としてゴジラアイランドでのゴジラとモスラは何度も共闘しており、例えばヘドラに襲撃されたモスラの繭をゴジラが守るなどという展開もあったがあちらは他の怪獣と同様に同じ島に住む仲間だからこその行動だった(事実別のエピソードではモスラ側の勘違いとはいえ2体が衝突することもあった)。故に「ゴジモス」というカップリング自体はファンの二次創作レベルであればいくらか存在したが、ゴジラとモスラが生物として共生しているという関係性が劇中で明確に設定されているのは本作が初である。
モンスターバースシリーズにおける怪獣描写は『GMK』から影響を受けている部分が多いと言われており、本作におけるモスラの活躍もGMKにおける最珠羅から引用されたものが多い(ただし、あちらでモスラと協力関係にあったのはギドラの方であったが)。
ゴジラとモスラのカップリングに着目した先行作品といえば、映像作品ではないが『ゴジラ2000ミレニアム』のイメージソングであるドミンゴスの『ランランゴジラン』が存在する。ただしこちらも歌詞中で実際にカップリング描写があるわけではない。(そもそもゴジラ2000にモスラは登場しない)
上記と比べると数は少ないが本作に登場したマンモスことベヒモスは、俗称と正式名称どちらにも「モス」があるために、この怪獣とゴジラの絡みも「ゴジモス」と呼ばれている(上記のゴジモスも絡めた釣りネタに近いものもあるようだが)。
一部では、日本語吹替版の主題歌である[Alexandros]の「Pray」を「モスラがゴジラに捧げた歌なのではないか」と解釈するファンもいる。
他には、「転生を繰り返す」「前世の記憶を引き継ぐ」という今回のモスラの設定から、コレやアレを思い浮かべたファンも多かったとか。
ゴジラシリーズ モンスターバースシリーズ キング・オブ・モンスターズ
GODZILLA(モンスターバース) MOTHRA(モンスターバース)
バトラ:これまでモスラのカップリング相手として描かれることの多かった東宝怪獣。実際、『ゴジラVSモスラ』ではモスラの亜種とされた他、アニメ映画の小説版においてはモスラとつがいの関係にある(=モスラの同種の雄個体)という設定で描かれたことがある(→バトモス)。
MUTO:モンスターバースシリーズにおける仲睦まじいカップルの先輩。本作でも資料映像などでもれなく見せつけている。
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