概要
王下七武海ゲッコー・モリア率いる海賊団。構成員の大半が「ゾンビ」という異色の海賊団である。所有する世界最大の海賊船「スリラーバーク」は西の海にあった島を改造したもの。
長らく正式名称が不明であったが、925話にてモリアの一味が「スリラーバーク海賊団」という名称である事が判明した。
(それ以前から媒体によってはモリアの海賊団の名称として使われており、例えば海賊無双シリーズではモリアの肩書きは「スリラーバーク船長」となっていた。
構成員
構成員のほとんどがゾンビだが、中核を担うのは生きた人間。
モリアを頂点にホグバック、アブサロム、ペローナの3人の幹部がおり、彼ら4人を総称して“四怪人”と呼ばれている。
それ以外の幹部や雑兵はモリアとホグバックにより作られたゾンビで構成されており、オーズ等を除く殆どのゾンビはアブサロムとペローナが分担して指揮をしている。ゾンビの種類は4+1で5種類有り、絵画や剥製を流用したびっくりゾンビ、動物の死体を流用した動物(ワイルド)ゾンビ、人の遺体を流用した兵士(ソルジャー)ゾンビ、人の遺体と動物の死体を混合したり著名な戦士の遺体を流用したりして作った将軍(ジェネラル)ゾンビ、そして物語中で完成した、魔人オーズを流用した特別(スペシャル)ゾンビが存在する。5種類は識別番号が存在しそれぞれ0—199、200—399、400—799、800—899、900と体のどこかに刻み込まれている。何度も影や肉体が焼失した個体がいるため若い番号が後から作られているケースもある。
どのゾンビも負傷することも死ぬ事も基本的に無いので無敵の軍隊と言える存在だが、所詮は悪魔の実の範疇、塩を口に含むなり海水を浴びるなりすると海の力によりモリアの能力が無効化されてしまいただの死体や人形に戻ってしまう。また火を恐れる様子やリューマの最期を見るに、火によっても浄化は可能なようだ(ただしバケツの水をかぶって死体に戻るのを回避したゾンビもいた。
ゾンビの元となった影の持ち主が死んでもゾンビはただの死体に戻るため基本的にゾンビに敵の殺害は許されておらず、ゾンビの任務は敵を生かしたままモリアの元まで運ぶ捕獲作戦となる。
主要人物
四怪人
モリアを除く3人を指す場合は“三怪人”と呼ぶ。
“三怪人”は全員、モリアの能力に関連した夢を持っている。
- ドクトル・ホグバック(天才外科医)
- アブサロム(将軍ゾンビ指揮官、兵士ゾンビ指揮官/通称“墓場のアブサロム”)
- ペローナ(びっくりゾンビ指揮官、動物ゾンビ指揮官/通称“ゴーストプリンセス”)
ゾンビ
以下、識別番号・番号の位置・個体名(便宜上含)・判明している影の持ち主で表記。
特別ゾンビ
- 900号(左二の腕):オーズ(モンキー・D・ルフィの影入り)
将軍ゾンビ
一人一人が(動物の肉体が利用されたものを含めていいかは怪しいが)生前に戦いで名を挙げていた武装者。並ではない強者が不死身になったようなものなので最強軍団と称されている……が、影がそれに見合っているかは別問題。
ホグバックの屋敷の用心棒を務めている。
元ロックス海賊団船員で、財宝のために残忍の限りを尽くしたとされる海賊。
財宝を独り占めしていたので部下の怒りを買い刺し殺されたという(幾つもの刺し傷が空いたままであり、酒を飲んでもすぐ漏れては飲んでいた瓶に戻していた)。また、2本の刺さったままの剣は武器としている)。
宿っている影は生前の名が泣くと言われるほどやる気が見られない性格。バギーはキャプテン・ジョンの財宝を探し続けていた。
- タララン
猿の頭・手(蜘蛛の前足1対に付いている)・尾と蜘蛛の身体を合わせ持つスパイダーモンキー。スパイダーマウスの指揮官。手から人力では千切るのがほとんど不可能とされるほど強靭な糸を出す(火に当てれば簡単に溶かせる。これはマウス達も同様)。大きめの耳の割に聴力は高くないがスパイダーマウスやペローナの分身の霊体達が情報収集することで補っている。
- 850号(右の首元):風のジゴロウ(ロロノア・ゾロの影入り)
伝説の頑固親父と語られ、家族を守るために7000人もの海賊を斬ったとされる剣豪。ルフィからはゾロ本人と似た感じと評されたがバカ殿風の丁髷(先端は鳥の頭の様な形をしており本人に合わせ表情も変える)、ちょび髭、まわし、足袋と下駄を備えてかつ褌を付けてるがズボンの類は履いておらずお世辞にも外観は似つかない。享年59歳
兵士ゾンビ
- 400号(左膝下)ビクトリア・シンドリー(使用人マルガリータの影入り)
ホグバックの使用人兼護衛
動物ゾンビ
ペローナの側近兼動物ゾンビ隊長
- 21号(右目上)ヒルドン
ホグバックの執事。腕に蝙蝠の皮膜が付いており、それによる飛行で連絡係も務める。語尾に「~でし」と付ける。
- 28号(首元の右側)カバ紳士
動物ゾンビ副隊長。右腕に楯を、左手に剣を装備している。
- 犬ペン(サンジの影入り)
ブルドッグの顔と耳が付けられたペンギン。場面によっては犬ッペとも呼ばれていた。
当時サンジの手配書が似ていないものだったためモリアからは実力者と認識されず通常の肉体に入れられ、足技使いでありながらペンギン故に短足など肉体の強靭さが戦闘力に伴わず動きがぎこちない様子も見られたがそれでも将軍ゾンビにも劣らない実力を誇る。他の2体のペンギン型とのトリオの新入りとして加入したがサンジの影が入っているため周囲に反抗してでも女を傷つけるのを許さずナミを庇って他の動物ゾンビやアブサロムを妨害したりローラが攻撃してきても反撃しなかったが後に記憶が消失したことで本来の人間性が薄れロビンにも容赦なく攻撃を加えた。ゾロの影が入ったジゴロウとは記憶がなくなっても互いに相いれない性分であり、「邪魔者を消せ」という命令が出されるとちょっとのアクシデントで互いを邪魔者と見なし、敵が体勢を立て直したのも構わず同士討ちを起こしていた。
- リスキー兄弟(ローラの部下の影入り)
- 82号(右腹部横):ケルベロス(仮)
右半身と三本の中央の尾が狐となっている(他の部分は青色をしている)。混ざり物であるのを気にしており指摘されると「コーン」ではなく「ゴーン」と荒れた鳴き声となっていた。人語は話さない。
ビックリゾンビ
- 298号(左目上)ブヒチャック
上半身と下半身が壁飾りの盾で仕切られている豚
- 敷きグマ
毛皮製カーペットの白熊
その他
- スパイダーマウス
タラランの部下で偵察・工作員。ネズミの頭と掌の付いた前足を持った蜘蛛で500匹も存在する(彼らにも左の首元にS○○とちゃんと識別番号が記されている)。屋根裏から瞬時に相手を絡み取って連れ去りモリアの元へ連れては影を取り返させないよう船に放逐する。
- ギョロ、ニン、バオ
モリアの使用人
原作での関わり
エニエス・ロビーを落とし、次なる目的地である魚人島を目指していた麦わらの一味は、海に浮かぶ謎の樽を開封(中身は赤い発光弾だった)した後、毎月多くの船が消える「魔の三角地帯(フロリアントライアングル)」に突入。ルフィは遭遇したゴースト船に乗船していた動くガイコツのブルックをサニー号に迎えて彼の能力と人生について聞いていたが、突然巨大な海賊船「スリラーバーク」が出現。先程の樽によって居場所を敵に知らせてしまったのだと気づくも、時すでに遅く、一味は船ごと包囲されてしまう。ブルックは一人でスリラーバークに乗り込んでいった。
スリラーバークに乗り込み冒険する中で、敵の正体が王下七武海のゲッコー・モリアであることが判明。かつて四皇の1人である百獣のカイドウとの抗争に敗れたモリアは、そのカゲカゲの実の能力により、偉大なる航路の前半を潜り抜けてきた猛者たちから影を奪い戦力を増強していたのである。一味は主力であるルフィ、ゾロ、サンジの影を奪われてしまい、ナミも透明人間アブサロムに捕まってしまう。そんな中、ロビンとフランキーは再会したブルックからモリアの能力で生まれたゾンビの弱点と、彼が果たしたい仲間との約束を知る。サニー号に集結したナミ以外の一味はフランキーを通してブルックの正体がかつて偉大なる航路の入口で出会ったアイランドクジラのラブーンが50年以上待ち続けている海賊団の1人であることを知り、ナミと影(とメシ)の奪還、そしてブルックを仲間に加えるべくスリラーバークに再度乗り込む。
ルフィが王下七武海である人物と2度目の対決を繰り広げるのがこのストーリーの流れだが、終盤にはもう一人の王下七武海であるバーソロミュー・くまがスリラーバークに登場。彼とモリアの会話によってサー・クロコダイルの後釜にルフィがかつてジャヤで出会った大男のマーシャル・D・ティーチが就任したことが明らかになった。
最終的に一味は総出でルフィの影が入った特別ゾンビオーズとモリアを撃破。奪われた影をすべて奪還、解放することに成功し、影を奪われた者たちが日の光で消滅する事態は回避された。また、バーソロミュー・くまはゾロが命懸けの行動をとってなんとか撤退させる。
そしてブルックは一味にラブーンが未だに双子岬で待っていることを知らされ、歓喜。共に戦ったメンバーと共に「ビンクスの酒」を歌い上げ、彼は音楽家として麦わらの一味に加わった。
そしてスリラーバークを出航する直前、モリアとの戦いで一味に協力した求婚のローラによって、ルフィがアラバスタ王国で義兄のポートガス・D・エースから貰った紙切れがビブルカードという持ち主の居場所と生命力を示すものであることが判明するが、エースのビブルカードは消えかけており…。
「偉大なる航路」に取り残されたスリラーバークには、ブルックと共に海を彷徨い続けてきたルンバー海賊団の菩提、激闘の末に死んだゾロの愛刀・雪走・多くの没人形が遺された。
余談
島
巨大海賊船のスリラーバークは、ウォーターセブンの市長にしてガレーラカンパニーの社長であるアイスバーグが「アクア・ラグナ」に対抗するために考案した「島ごと海に浮かべる」という理想を形にした存在である。
あと、どう考えても魚人島を通過できるようなものではない(だからこそ魔の三角地帯を拠点にしていたのだろうが)。よくリバースマウンテンを超えることができたと感心できる存在である。
なのに方法は不明だが2年後にはしっかりと新世界のハチノスに到達している。
本編
新たな仲間ブルックと作中ではポピュラーな舟歌ビンクスの酒が重要な要素を成すスリラーバーク編だが、その構想にあたり作者尾田栄一郎はビンクスの酒の作曲を前もって田中公平に依頼している。作者にとっても重要なシリーズであったのかもしれない。また、ナイトメア・ビフォア・クリスマスを筆頭にいくつかのハロウィン映画を参考にし、「怖いけど明るい」を目指したことが明かされている。
ちなみに、描く前は御祓いを受けたとのこと。
関連項目
本編の流れ