「ほな、バリリン棒行ったりまひょか!」
データ
概要
『ウルトラマントリガー』第20話「青いアイツは雷撃とともに」に登場した、ゴロサンダーの亜種と思われる怪獣。
片言寄りな喋り方だったゴロサンダーとは異なり、人語(=関西弁)を流暢に話すのが特徴。一人称は「ワシ」。
星から星を渡り歩いて暴れ回る傍迷惑な人物(?)だが、誇り高き戦士としての一面も持ち合わせており、決してただの乱暴者な訳ではない。一応劇中ではアキトを連れ去って人質にする行動を取っていたものの、あくまでこれはユザレを誘き出す為の餌で、トリガーやGUTSファルコンには最初から興味がなかった模様。
また、状況によってつぶらな瞳やジト目になる等、関西弁で喋る様子と相俟って、ゴロサンダー以上に表情豊かでコミカルな描写が多い。
尚、かつて3000万年前の太古の地球にやって来て暴れ回るが、当時「地球星警備団」の団長を務めていたユザレに撃退された過去がある。第19話でユザレの力が覚醒したユナを捕縛する為にヒュドラムから呼び寄せられ、遠い宇宙の果てから再び地球へと襲来した。
きさらぎ星特産の「彗星まんじゅう」(順番待ちで200年かかるとされるほど人気の名物)が大好物で、ヒュドラムに騙されて唆された際も、これを報酬として目の前にチラつかされたのが、彼に協力した理由だったりする。余程の食いしん坊らしく、山盛りのまんじゅうを食べる妄想をしただけで、両目がまんじゅうになり口から大量のヨダレを足らす始末。
ゴロサンダーとの関係(?)
バリガイラーとゴロサンダーは姿形こそそっくりではあるものの、両者には何の関連性があるのかは一切明かされていない。そもそもの生態が異なるメツオーガとウーラーの例とも違って、ヘソに人質を閉じ込める能力や電撃光線等の基本的な力は共通している事実から、初代レッドキングや二代目の例と同じく、色が異なるだけの同種族とする線が一番強いだろうか。
尚、上記の彗星饅頭の順番待ちの期間や、ユザレと面識がある点を考慮すると、単純計算で彼は3000万年以上生きている状態になる。トリガーや闇の三巨人はその殆どの期間を石像として過ごしていたので、下手をするとバリガイラーはあのウルトラマンキングやノアよりもご長寿なシリーズ屈指の年長者の可能性すらある。
ちなみに、ゴロサンダーの別名が「雷撃獣神」なのに対し、バリガイラーは「電撃獣人」と若干スケールダウンしている。また、半ば宇宙の厄介者扱いされているバリガイラーとは対照的に、ゴロサンダーは周囲に「厄災の神」と恐れられている状態を考えると、彼らの種族としてはバリガイラーの方が若い個体なのかもしれない。ゴロサンダーの赤い体から、青い体に変色したのも相俟って、一部の視聴者から「『青二才』の言葉が掛かっているのではないか?」説も挙がっている。
こうなると「ゴロサンダーの年齢は一体幾つなんだ?」との話になるのだが、ただでさえ摩訶不思議な生き物が星の数ほど存在する『ウルトラシリーズ』で『神』の名を冠するには、それ相応な年の功が必要なのだろうか?
特殊能力
胸の鼓を叩いて両手から電撃を放ち、手首の吸引口で獲物を吸い込み、中からは決して破られないおヘソに閉じ込めてしまう能力を持つ。
また、尻尾からリング状の光線を飛ばし相手の拘束も可能。
何故か相撲が得意なようで、塩の代わりに工場の砂山を撒き四股を踏む等の作法をこなし、近距離では突っ張りや猫騙し等、数々の技で押してくる。
しかし、戦闘技術に関してはゴロサンダー程ではないのか、トリガーのマルチタイプには電撃をあっさりかわされて手酷いカウンターを食らっていたり、パワータイプには相撲対決で敗北を喫していたりと、あまり洗練されていない節も見られる。
……ただし、「電撃獣人」と称されるパワー自体は本物であり、連続突っ張りだけでヒュドラムを圧倒している。
ゴロサンダーの扱う「ゴロン棒」よろしく、手持ち武器として「バリリン棒」と呼ばれる棍棒を召喚して振り回す。
体の大きさを変えるのも可能で、人間と同じ大きさにもなれる。
劇中での活躍
ヒュドラムからユナの捕縛を依頼され、報酬として「彗星まんじゅう1000年分」を提示されるも、その依頼に疑惑を持ったバリガイラーは問い質すと「ターゲットは『ユザレの力を受け継ぐ人物』」だと知り狼狽。過去にバリガイラーは地球を襲撃した際にユザレから痛い目に遭った為、躊躇いを見せていたが、ヒュドラムからヘソを使うのを提案される。
「ユザレ! 覚えとるか!? ワシや! ワシや! バリガイラーや! お前に用があんねん。早よ出てこんと、街丸ごとワヤにしてまうで!」
そして巨大化して彼女をおびき出そうと街で暴れ回る。迎撃に現れたトリガーと相対、塩の代わりに砂を撒き四股を踏む姿を見て、相撲で挑むのを察したケンゴはパワータイプで対抗。力比べの末、投げ飛ばされたバリガイラーは不利を悟ると、近くに居たアキトを自らのヘソの中に閉じ込めて人質にする。更にその隙に尻尾からリング状の光線を飛ばし、トリガーを拘束する。
相撲で勝ったケンゴは丁寧に掛け声の状態でごっつぁんですとしている。
バリリン棒でトリガーを追い回している内にお目当てのユナが現れ、やって来たユナと人質を交換する形でアキトを解放し、代わりに彼女をヘソの内部へ閉じ込める。その後撤退する前にトリガーと決着を付けようとするが、ユザレの力で彼の精神世界に干渉したユナに説得を受ける。
彼女から「『戦士の心』を失い、ヒュドラムの手先に成り下がりかけている」と指摘され、更にヒュドラムが『宇宙を闇で染める』のを本当の狙いと知らされ、彼に対して猜疑心が生まれる。
「へ? な……何や? なんで関西弁なんや?」
……ちなみにこのやり取りの最後には、「ムッチャ騙されてんやで」とユナにご丁寧に関西弁で突っ込まれながら笑われており、真剣に説得を試みていた彼女が最後の最後にいきなりコミカルな言動をすると、妙にシュールなシーンとなっている。
問い質してきたバリガイラーに対し、ヒュドラムは「最初からかませ犬」と見限った後に自身も巨大化して、ヘソを切り取りユナを強奪。そのまま逃亡を図るが、騙された事実を知って怒ったバリガイラーもまたヒュドラムを見限り、トリガーと共闘してユナを奪還。怒涛の突っ張り攻撃で奮戦し、共にヒュドラムを退けた。
事件が収まり安堵を喜ぶケンゴ、ユナ、アキトの3人を見て、仲間と強さを得たユザレに対し、バリガイラーは「こんなん、ワシは永遠に勝ち目なしや!」と潔く負けを認め、宇宙へ去って行った。
「皆で仲良うしいや〜!」
バリガイラーが去った後の空には、満面の笑顔を浮かべるバリガイラーの幻影が浮かんで物語は幕を閉じたのであった……。
しかし、どうやら彼の知らないところで彼の稲妻が、新たに見つかった闇の三巨人よりも更に昔の超古代の脅威を復活させていたようで……?。
余談
スーツはゴロサンダーを青く塗り直したもの。『ウルトラマンタイガ』にて初登場した怪獣の改造は以下の3体に続いて4体目である。
名前の由来は恐らく「バリバリ」の擬音とガイラから来ているものと思われる。リペイント前であるゴロサンダーは「ゴロゴロ」の音と「サンダー=雷」から来ていると思われるが、(偶然か狙ってやったのかは不明だが)実際はそこにサンダも由来に含まれていた可能性も浮上している。
ゴロサンダーとの関係は劇中では明かされなかったが、青い悪の巨人に利用され主人公の仲間の女性を捕縛する、登場回の監督が(ゴロサンダーの声も担当していた)辻本貴則氏である共通点がある。
ただし、ゴロサンダーは終始凶暴かつ最終的に倒されたのに対し、バリガイラーは粗暴ではあるが根っこの方は善良で、最後はウルトラマンと共闘し、潔く負けを認めて去っていく等の違いがあり、この辺りは名前の由来になったと思われるサンダ、ガイラとはそれぞれ真逆の性質となっている。
声を担当した島津健太郎氏は、特撮作品では過去に『獣電戦隊キョウリュウジャー』にてキョウリュウピンク/アミィ結月に仕える執事・ジェントル役として出演している。
また、ウルトラシリーズでも過去に『ウルトラマンコスモス』や『ウルトラゾーン』、翌年公開された『シン・ウルトラマン』等にも出演した。
『ウルトラマンクロニクルD』放送開始記念に行われた「ウルトラマントリガー #最推しウルトラ怪獣ソフビ 投稿キャンペーン」にて、パワードダダやラスボスであるメガロゾーア(第2形態)等のソフビを差し置いて、1位の座に輝く思わぬ快挙を成し遂げた。