概要
私立轟高校図書委員会に所属する高校生の日常を描いた作品。略称は「どろ高」で、登場人物達もたびたびこの名を口にする。
月刊『コミックZERO-SUM』誌上初の4コマ漫画連載作品である。期間は2006年〜2009年で、全4巻。2009年には誌上販売にてドラマCD化もされている。
モデルとなっている学校は、作者であるD・キッサンの出身校の東京都立南平高等学校である。そのためか「多摩動物公園」や「高尾山」といった近場の地名も登場する。
全4巻とボリュームは少ないが、「轟高校校歌」や「校章」などが設定されている。また、単行本は一巻ずつ表紙の装丁が全て異なっている。
登場人物
登場人物の名前はそれぞれ、実在する書店名をモチーフにしていると思われる。 キャストはドラマCD版のもの。
轟高校図書委員会
福家 亮平(ふくや りょうへい)
声 - 吉野裕行
轟高校2年1組。図書委員会委員長。ツンツンの銀髪(白髪?)。
「本作品の主人公格」と編集者などの間で噂されているらしいが、この漫画内では明確な主人公は設定されていない。彼が1巻・4巻表紙の中央を飾っているが、他の生徒に比べ出番が特に多いというわけではない。図書委員会の生徒たちには本名で呼ばれることがなく、「委員長」という名称で統一して呼ばれている。
陽気でハイテンションな性格で、学校でも一年中ブレザーを着ずワイシャツ一枚で過ごしている。天然ボケ気味でよく一人で騒ぐが、マイペースで快活な言動とは裏腹に実生活はインドアで、パソコンが趣味。成績はすこぶる悪く、頻繁に追試を受けているようである。
図書委員長とは名ばかりで、仕事もせずに居眠りしたり遊んでいることが多く、三村によく怒られている。しかし普段の抜けた性格の反動からか、1年に1日だけ恐ろしく勤勉で真面目になるという二重人格の如き変わりようを見せることがあり、「番外編5。」ではあまりにカリスマ性溢れるその姿に図書委員会のメンバーを驚かせていた。
図書室であるにもかかわらずお菓子などを食べていることが多い。さらに図書室の本棚を一部私物化しており、空いたスペースに漫画雑誌、体育着、弁当箱などを置いて保管している。
チャットやゲームなどでよく遊ぶためパソコンやインターネットについては多少の知識を持ち、図書室の管理システムは彼が操作していることが多い。いつの間にかその中に「洋モノ」なるフォルダを保存しているが、女子メンバーが中身を見たところ「かわいい海洋動物」の画像集であった。
両親はオンラインゲームで知り合っており、自身もインターネット中毒で、パソコンが壊れたときはひどく落ち込んでいた。家族会議もチャットで行っている。
彼の両親が描かれる時は、現実世界でのやりとりであってもなぜかゲーム内での彼らの操作キャラクターが代役として描かれており、結局本当の姿は最後まで登場しない。また、彼らの操作しているキャラクターは性別が逆転しており、母親は男性型のキャラ(曰く白魔導師)、父親は女性型のキャラ(=ネカマ)を使用している。動作や話し方はゲーム内ではその性別を装っているが、家族内の会話では本来の性別らしいものになっている。
亮平自身も同じゲームで遊んでいるらしく、一度だけ家族3人で狩りをしている描写がある。特に確執もなく親とも仲が良い。
青山や須藤に本人には内緒でGPSを付けている。
名前の由来は福家書店。
三村 真亜子(みむら まあこ)
声 - 沢城みゆき
轟高校図書委員会副委員長。髪を両サイドでお下げにしている。
図書委員のメンバーの中では最も成績優秀で優等生。ファッションにあまり興味が無く女の子らしい格好が苦手。
体育が嫌いだが、指定校推薦を狙っているため授業はうかつに休めず、マラソン大会の前には「走るだけで単位もらえる」と喜んでいた福家とは対照的に沈み込んでいた。
就任当初は誰からも図書委員長になると思われていたが、実際は「気持ちよく仕事をするために責任から解放されたい」という理由から、一番扱いやすそうな福家を推薦し委員長に仕立て上げていた(その時福家は居眠りをしていた)。実質図書委員会の仕事を仕切っているため、図書委員会以外の生徒も先生も三村が図書委員長だと思い込んでいる。生徒総会にはさすがに代理はできないので、カンペを用意して読ませている。
成績優秀なだけあって何でも卒なくこなすが、福家の突拍子もない行動には毎回振り回されており、制裁を下すのもほぼ彼女である。
広辞苑マニアで、初版から第六版までを所持している。第四版は「激レア」ということで初めは持っていなかったが、偶然福家が所持しているのを目撃し、「なんでもするから」と言って譲ってもらった。その他、本が関わることには誘惑されやすい。
小学校6年生の時にテレビのクイズ番組に出場し、当時チャンピオンだった原太良を破り優勝している。
黒田の同人誌制作を手伝っているが、三村自身は腐女子ではない。
名前の由来はAmazon.com。
由島 凛(ゆしま りん)
声 - 伊藤かな恵
轟高校図書委員会会計。金髪じみたショートヘアー。ボケの多い図書委員会のツッコミ役。
重度のゲーマーで、試験前にもかかわらず徹夜でプレイすることもある。プレイステーション3の発売日には学校を休んでまで購入し、ニュースのインタビューを受けていた。同じくゲーム好きの福家とも互いに新作の情報交換をするなど仲が良く、ギャルゲーを二人して青山に薦めている。
新長文庫(新潮文庫のパロディ)のマスコットキャラの「よんダラ」がお気に入り。図書委員であるという特権を利用し、新たな文庫が図書室へ届くたびにそれらの本に付属している大量のポイントを集め、よんダラのグッズを手に入れている。年賀状の番号で当選するDSが欲しいがために友人らに自分に年賀状を出すよう依頼していたが、青山から届いた年賀状だけが当選したものの生ゴミ処理機だったため、彼に押し付けようとした。
弟が1人おり、彼もゲーム好きのようである。幼い頃は新しいゲームを入手するたび、どちらが先にプレイするかで二人で奪い合いをしていた。現在は弟が凛の横暴さに折れ、もっぱら彼女が先にプレイするようになっている。
「番外編。」ではRPG「ファイナルクエストⅠ」から現実世界に実体化した「ウラのエイユウ」を元のゲーム世界に帰すために活躍した。
名前の由来は有隣堂。
青山 憲司(あおやま けんじ)
声 - 柿原徹也
轟高校図書委員会書記。真面目で堅物だが友達思い。髪型は七三分け。普段はかけていないが、時々眼鏡をかけている。三村には一歩及ばないものの成績は優秀。
ややムキになりやすく、至る所で遭遇する謎のギャル二人組に対抗意識を燃やしている。
詩を考えるのが趣味で、考えている時は自分に酔ってしまい周りが見えなくなってしまう。一度雑誌の掲載されたこともあり、その時は自分の詩の掲載部分を大量にコピーし、気付いてもらおうと図書室中に貼り付けていた。
赤ん坊の頃にオムツのテレビCMに出たことがあるらしく、福家によってネット上に流出していたものを図書委員メンバーに公開され、幼い頃の裸体を晒されるという公開処刑に遭った。福家がどうやって入手したのかは不明。
「番外編3。」では善場先生のチベット土産の人形に呪われ、たまたま歩き読みしていた本の筋書き通りに、次々と災難に見舞われた。
名前の由来は青山ブックセンター。
黒田 蝶子(くろだ ちょうこ)
声 - 高垣彩陽
轟高校図書委員。背まで伸びた黒髪ロングの美少女。
文武両道、容姿端麗、周囲の信頼も厚いという非の打ち所のない才女。巻末オマケ漫画では「主人公にふさわしい要素を全て兼ね備えている」と自称したこともあるが、その正体は重度の腐女子でオタク。クラスでは普通の優等生を演じているが、図書委員会のメンバーには周知の事実であり、彼らの前では堂々と卑猥な妄想ややおいネタを披露し暴走する。「どろ高クイズ大会」が行われた際には、筆記試験にて三村に次ぐ高得点をとるなど、雑学面にもよく精通している様子。
男子生徒・あるいは男性教師同士が一緒にいる所を目撃しただけで妄想に耽ったり、顔を見ただけで「受けか攻めか」を判断する能力を持つ。成績が良いのもどうやらその妄想力を応用しているらしく、様々な場面で「擬人化」などの手法をとって試験勉強に生かしている。「忘れろって言う方が無理よね」。
普段クラスでオタクな面を隠して優等生を演じていることに疲れを感じているが、オタクを辞める気は一切ない。家に大量の同人誌を所有しており、自身も同人活動をしている。三村に「この(図書委員の)メンツで妄想したことはあるのか」と質問された時には、無表情のまま何も語らなかった。
自分自身もかなりモテるものの、他人の色恋沙汰にしか興味がないらしく、「くっつけるより(男同士を)くっつけたい」などと発言したり、モモの久仁也への片思いに首を突っ込んだりしている。
図書だよりにて「黒巫女パピヨン」という名称で余ったスペースに適当に星座占いを書いたところ、占いが当たったという生徒が図書室に会いに来たことがある。
「番外偏6。」では、中学生の頃に友人と漫画のセリフをアフレコしたテープを盾に、生徒会に入ることを要求された。
名前の由来は黒田書店。
木下 久仁也(きのした くにや)
声 - 杉田智和
轟高校図書委員。委員会の唯一の良心ともいえる生徒。過去に色々あり「モモ」という御付きの女性がおり、とても慕われている。彼女については両親に頼らずあらゆる責任を自分で負っている。長身でコワモテだが心優しい人物。普段はあまり喋らず、よくどもっているが、たまに薀蓄ある格言を言う。
家は木下財閥という名家で、中学校までは名門私立に通っていたが、一般的な高校生活を送ってみたいと思い轟高校に入学した。
自宅は寝殿造で非常に広大。よく重要文化財と間違えて入ってくる人が後を絶たないようである。また、プライベートビーチも所有している。久仁也自身も電話一本で企業の株を6倍に跳ね上げたことがある。それ以降、青山が目の敵にしていたギャル二人組と顔見知りになった。
ただ一人の書道部員だが、理事長により例外的に認可されている。
名前の由来は紀伊國屋書店。
須藤 慶文(すどう けいぶん)
声 - 鳥海浩輔
轟高校図書委員。茶髪。異常なほど平均的な高校生。
スポーツテストの結果が全国平均とほぼ一緒だったり、筆記テストの点数も平均点と同じという極めて普通な人物。図書委員のメンバーは試験の平均点を知りたいがために彼の点数を聞いている。普通すぎて存在感がないらしく、クラスメイトの女子に名前を忘れられていたこともある。しかし色々と個性の強い図書委員会の中では、わりとまともな感性を持ち合わせている。ミーハーで恋愛小説を衝動買いしている描写がある。
バツゲームとして「クドー先生に告白する」というものがあり、ヤケクソで突撃した際には逆に気を遣われ連絡先を入手してしまった。一度彼から間違いメールが届いたことがある。
推理小説が好きで、とりわけ「田津川警部シリーズ」が好きな様子。図書委員の中では最も(というより唯一と言ってよいほど)恋愛に積極的だが、いつもフラれてばかりいる。
「番外編7。」でも神田小夜子に恋をするも、あえなく失恋した。
名前の由来は啓文堂書店。
轟高校職員
クドー三世
声 - 高瀬右光
轟高校の英語教師。西洋風の外見の外国人で、生徒からは「クドさん」と呼ばれている。
英語の素晴らしさを伝えるために英語教師をしている。本人は生徒思いだが、行動は空回っていることが多い。ノーチャイム運動を長い間認知していなかったり、テスト範囲がいつまでたっても終わらなかったりとややいい加減な面もある。片言だが日本語を話せるが、困ると日本語が通じないふりをする。
ルックスが良く、日曜日には学校に内緒でモデルのバイトをしており、現場での評価は上々。教師であることを秘密にし、「国の未来に関わる重要な仕事をしている」としか伝えていないため、スタッフからは「国家レベルの密命を帯びている」と勘違いされている。公務員であるためバイトは禁止されているので、バレないようにはしているものの、理事長には始めからバレていた。
あまりいい生活をしていないようで、よく学校からトイレットペーパーを盗んだり図書室の本を勝手に売り払って生計を立てている。好物は魚肉ソーセージで、夕方5時からの「スーパーかねよし」のタイムサービスに行くのを欠かさない。
名前の由来はジュンク堂書店・三省堂書店。
猪熊 佐和子(いのくま さわこ)
声 - 大黒優美子
見かけによらず怪力の持ち主で、本を入れたまま一人で書架を移動させることができる。購入した冷蔵庫を宅急便でなく持ち帰ったこともある。
性格Sで理事長と気が合う。またテレビや雑誌などで紹介されている流行りものに惹かれやすい。
本当は用務員には別の人が採用されるはずだったが、理事長の気まぐれで採用された。
轟高校入学時、クラスメイト全員が「クラスに一人は居る、友好的で誰とでも対等に話せるタイプ」の生徒ばかりだったため、大人しかった自分は逆に誰とも馴染めなかったが、ある日図書室に逃げ込んだところ、その雰囲気が気に入り図書委員になった経緯がある。それからは持ち前の怪力で委員会で大活躍し、卒業以降も轟高校で働くようになった。
名前の由来はくまざわ書店。
善場 葵(ぜんば あおい)
声 - 安達まり
轟高校の司書。年齢不詳。
趣味は自分探しで、しょっちゅう外国に旅行に行っている。
元アイドルで元ホステスという経歴を持つ謎の多い人物。お水時代を書いた著書「お水DE花道」を出版しており、すでに映画化、舞台化、アニメ化、CD化が決定しているが、「華やかな世界はこりごり」という理由でなぜかドラマ化だけは断った。
お水時代の経験からか巧みな話術で人を丸め込むのが得意で、生徒会の会計係による図書委員会の資金交渉をうまく振り切ったり、振り込め詐欺を逆に騙し返したこともある。
名前の由来はあおい書店。
常盤 有的(ときわ ゆうてき)
声 - 中博史
轟高校の最高権力者だが、式に出るのが苦手のため生徒にその存在はあまり知られていない。
一方で彼自身は、「生徒の両親が稼いだお金が自分に入ってくる」という理由から生徒の名前を一人一人把握している。ちなみに部員が久仁也しかいない書道部を認可しているのも、「木下財閥と懇意にしたい」という理由から。
蔵書マニアだが、単に本に囲まれるのが好きなだけで読むことはない。そのため図書室に寝泊りしたり、勝手に本を増やしている。本棚に妙な仕掛けを作って隠し部屋を造ったり、わずかな隙間に接着剤で抜けないようにしてまで本を詰め込んだりしたこともあった。
クドー先生がトイレットペーパーを盗んだり、モデルのバイトをしていることを知っているが、面白いからという理由で黙っており、時折そのことでいじっている。また、モモが学校内に出入りしているのも彼が許可しているようである。
名前の由来はときわ書房と丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)。