プラットフォームはPS2。通称はJフェニ。
プレイヤーはアルサレア帝国精鋭部隊の隊長となり「パンツァーフレーム(通称・PF)」と呼称される各部パーツを交換可能な人型ロボットを操縦し、各種ミッションを小隊員と共にこなしていく。
概要
フロム・ソフトウェアのアーマード・コアと同じく、各部パーツを組み合わせて自分だけの機体を作り、物語を進めるアクションゲームである。
アニメ絵のキャラを前面に打ち出した作風は一線を画している他、独自システムの「BURMシステム」、特定構成時の能力ボーナスや一定時間能力が変化する「ハイパーモード」、小隊員との連携攻撃「コンビネーションバースト」など差別化を図る工夫も見られる。
また「100機斬り」モード等々…、実際の感覚はむしろ「『AC』と『無双』シリーズの折衷」の印象を受け、これは後のガンダムブレイカーシリーズにも通ずるところがある。
メインメカデザインは大河原邦男が担当した。この部分も『アーマード・コア』との1つの差別化を図った要素と思われる(ACのメインは「マクロスシリーズの河森正治)。「機体ごとに外見バランスが大きく異なるAC」とは違い、「全体的にバランスのとれた外見になる」点でも大きく異なる。
J-PHOENIXを選ぶ人の中には、メカデザインを理由に購入する人も多い。
とは言え、随所に散見するバグなど問題も多い。
「バーストタクティクス(通称・BT)」「コバルト小隊編」「2」等の続編、及びスピンオフ作品「L'HISTOOIRE DE PAPILLON」と「リップス小隊編」が発売された。
世界観
舞台は宇宙にある星・惑星J。
そこにあるフィアッツァ大陸ではアルサレア帝国と、大陸の支配を目論むヴァリム共和国の戦争が繰り広げられていた。
帝国は人型機動兵器・パンツァーフレームを投入し、共和国の侵略に立ち向かっていた。しかし、共和国も負けじと帝国に遅れながらもPFの開発に成功した事で、戦争は激化の様相を呈していた。
各シリーズ解説
機甲兵団 J-PHOENIX 序章篇
記念すべき第一作。
通称「本編」と呼ばれる「機甲兵団 J-PHOENIX」のストーリー1~3話を収録している。
数少ないファンの間でも「体験版のよう」と形容される作品で、操作系の不具合はないが内容が薄い。ギャラリー等、普通はファンディスクに収録するようなモードもある。
また、続編へのセーブデータのコンバートで隠し機体やパーツが登場する。
価格は1800円と「PS2 the Best」の低価格タイトル並に抑えたものであった。
機甲兵団 J-PHOENIX
通称「本編」と呼ばれる。シリーズ中最もストーリー性のある作品で、ファンが薦めるNo.1作品。
プレイヤーは暗殺されたアルサレア最高位将軍「グレン・クラウゼン」の影武者「グレンリーダー」となり、アルサレア戦役を戦い抜く。
ストーリー性・ゲーム性ともに出来は良く、娯楽性が最も高い。
但し、プレイヤー単独出撃のミッションが多く、ムービー以外では部下達の影が薄い。
機甲兵団 J-PHOENIX+
上記の「本編」に新PF「J-アイン」「J-バビロス」とEXモードを追加したXBOX版。
EXモードは3機のPFをそれぞれカスタマイズが可能で、ミッションではプレイヤーが3機の内の1機を、状況に応じて切り替えて操作が出来る。
機甲兵団 J-PHOENIX バーストタクティクス(BT)
「本編」のスピンオフ作品で、強奪された新型PFのJ-ブラスターを奪還するストーリー。
「BURMシステム」がより洗練され(※当該システムは無印本編の時点で存在していた)カスタム性が大いに向上し、ACとの差別化を決定付けた。
しかし、カスタムによる自機の性能向上と新たに追加された重力の概念により、難易度も前作と比べて序盤から急上昇し、マゾゲーに片足をブッ込んだ作品となっている。
特に瞬間移動する巨大な敵機や、シナリオ上の最終ステージは『主人公だけの戦闘+限られた足場(ステージアウト負け有り)+濃霧で周囲がほぼ見えない+敵がほぼ常時飛行している』などと、嫌がらせの極みになっている。
また、小隊との連携をより演出する連携攻撃(必殺技)「コンビネーションバースト」の追加で僚機の存在価値が出てきた…が、自機が強過ぎる(または高機動な自機に僚機が追いつけない)ため、プレイヤーの遊び方次第では空気になる。
反面に差別化の上で重要だったストーリーが「ムービー+セリフ(ボイス)」から、「マップ画面+セリフ(文字)」になったせいで希薄になる。
更にクリア特典のおまけミッションは、仕様でバグフィックスされていない(要セーブの警告がされる)。
ちなみに限定版では本作から登場する新型機「J-アームド」「シンザン」の2機がフィギュアとして同梱されていた。
機甲兵団 J-PHOENIX コバルト小隊篇
「本編」終戦後のアナザーストーリー。辺境での局地戦闘を担う「コバルトリーダー」となり、友軍部隊を指揮しながら敵を殲滅する。
ストーリーがターン制SLG形式になり、プレイヤー小隊の他に友軍に指揮が出来るようになった。
友軍部隊の隊長には、部下である小隊員を配属が出来るシステム上、キャラクターが最も多い作品(硬派なオッサンからロリまで)。
カスタム要素が洗練された事で、かなり遊べる作品になっており対戦ツールとしても優秀だが、デメリットも存在。
折角のSLGパートはユニット(敵味方共に)の火力不足で膠着するため、結局はプレイヤー頼りとなる上に部下の専用機のカスタマイズが悪いのでキャラ性能には格差が生じた。
ストーリーの表現も「マップ画面+セリフ(文字)」のままで希薄感を感じさせる。多くのキャラクターに様々なプロフィールが設定されているが、これについての掘り下げもほぼ存在しない。
「一級戦犯」のOVAも、この作品から付属(内容は後述)。
機甲兵団 J-PHOENIX2 序章篇
システムが一新され宇宙空間の戦闘も追加された、いわば第二世代に相当する作品。
その為にフルプライスにもかかわらず、内容のほとんどがチュートリアルと兵器開発だった。
ブースト移動でのEN消費が無くなったので、ほぼ常時飛行が可能。
カスタムがタイプ化された事で、「ミサイルを自動迎撃」などの特殊カスタムが追加された。
中でも「武器が変形する」システムは革命的だったが、開発がとても面倒であった。
因みにOVAやデータコンバートの隠しパーツもある。
機甲兵団 J-PHOENIX2
プレイヤーは第202特務小隊、通称「レガルド小隊」の隊長のブレッド・アローズとなり、「本編(リメイク)」のアナザーストーリーを戦い抜く。
メディアミックスのキャラクター達がついに参戦し、お祭りゲー要素も内包。
機体パーツからコンパチブルモデルを一掃したが、その所為で従来機の印象が変わってしまった。その変更については賛否両論である。
待望の9連ミサイルや二丁拳銃などカスタム性は高いが、肝心の入手方法が「兵器開発」と呼ばれる酷い作業ゲーだったので、投げるプレイヤーが続出し、更にストーリーも旧作と矛盾が生じる一方で、それを埋めるような掘り下げもされなかった為、後述のOVAと共にシリーズにトドメを刺した。
またこの作品だけ攻略本が存在せず、OVAも当作の同梱品が最終話である。
キャラクター
アルサレア帝国
- グレンリーダー
アルサレア兵団グレン特務小隊隊長。男性。20歳。本名は不明。
元々はアルサレア最高指導者のグレン・クラウゼン将軍の部下だったがグレン将軍がヴァリムの刺客に襲撃された際に死の間際の将軍からの遺言で影武者となった。なお、この事実は彼を含む一部の者しか知らない。
冷静沈着な判断力と抜群のPF操縦技術を持ち、仲間に気を配る細かさを持っていながら、苦難に対して「問題ない」と言い切る豪胆さを持っている。
- キース・エルヴィン
グレン特務小隊隊員。男性。
24歳で小隊の最年長だがそれを感じさせない明るく正確な小隊のムードメーカー。
射撃能力はアルサレア内でもずば抜けており、戦闘中は中距離支援攻撃が主なフォーメーションだが、真っ向から切り込んでいく場面もある。
- アイリ・ミカムラ
(CV:白石妙子(初代)、浅野真澄(BT以降)、高木礼子(PFリップス小隊))
グレン特務小隊隊員。女性。16歳。
アルサレアのあらゆる武門に通じている家の生まれで、ミカムラ流空手3段。
その実力は自身の搭乗PFにも反映されており、格闘系セッティングを施したPFで小隊の切り込み隊長的役回りをする。
『ロケットアイリ』の異名を持つ。
- フェンナ・クラウゼン
(CV:岩男潤子(初代)、山本麻里安(BT以降)、桑谷夏子(PFリップス小隊))
グレン特務小隊オペレーターでグレン将軍の次女。女性。18歳。
「前線に向かう仲間をただ見ているだけではいけない」と考え、自らオペレーターに志願した。
敵味方を問わず優しさを持てる心を持ち、何よりもこの戦争を終らせたいと考えている。
後に父の死を知りさらに姉の死を知って以降、平和に対する意識が大きくなっていき、ギルゲフの悪行を暴露する演説を行う。
- ダグオン・ゲーニッツ
アルサレア軍兵団作戦司令官。男性。49歳。
戦略面におけるアルサレアの頭脳たる人物。
交戦派で知られ、性格は超がつくほどのケンカ屋であるが、階級に縛られ動けないでいる。戦況次第では出かねないらしい。
- ツェレンコフ・ゴルビー
アルサレア軍参謀本部長。男性。60歳。
グレンリーダーの秘密を知る数少ない人物で、かつての上司である将軍の遺言でグレンリーダーをサポートする老将。
- クレア・クラウゼン
(CV:井上喜久子)
フェンナの姉でグレン将軍の長女。女性。22歳。
生まれつき体が弱く療養していた。性格は穏やかで包容力が高い。
前線に出る兵士を常に気遣い、1日も早く平和を望んでいる。
- ギブソン・ドゥナテロ
支援砲撃部隊スティールレイン連隊ギブソン中隊隊長。男性。46歳。
砲撃部隊故に砲撃戦が得意。元はアルサレア第6研究所の叩き上げで、6研らしく粗暴な言動が目立つも、その腕は確かであり、面倒見もいい事から中隊の親父的な役割も担っている。
グレンリーダーの知り合いでグレン小隊を助ける。
- LIPS小隊
グレンリーダーのおっかけを目的に結成されたPF小隊。
全員がかつてグレンリーダーに救われた過去を持った少女たちであり、部隊名は各々の頭文字を取ってLIPSと命名された。
機体は複座型に改造されたピンク色のJフェニックスを2機、その日の気分によってメイン、コ・パイロットの組み合わせを変えている。
能力不足のため戦力として数えられていないが故に自由な活動ができる独立愚連隊だが、それはあくまでも表向きであり、司令部ではLIPS小隊の動向を把握している。
- リサ・イワサキ
(CV:川澄綾子)
リップス小隊の中では唯一のアルサレア軍所属。
- イズミ・ウッドビレッジ
(CV:能登麻美子)
とある大企業のお嬢様。
- プリス・ピーピアス
(CV:松岡由貴)
民間人。
- セリナ・バーミント
(CV:甲斐田裕子)
野戦病院の看護師。
ヴァリム共和国
(CV:大塚明夫)
ヴァリム戦略機動軍のPFパイロット。男性。28歳。階級は大尉。詳細はリンク先参照。
- ロベルト・ドュヒナー
(CV:立木文彦)
ヴァリム第一独立戦隊タルカス三人衆のリーダー。男性。37歳。階級は中尉。
殲滅と略奪を任務として行う。グリュウとは対立している。
自信家で冷酷な性格。左右に伸びたヒゲが自慢である。
- ミッシェル・パウナース
タルカス三人衆の1人。男性。30歳。階級は中尉。
キレやすいニューハーフ。
- マルコ・ニナリッチ
(CV:長島雄一)
タルカス三人衆の1人。男性。年齢は27歳。階級は少尉。
科学者だが狂人同然のマッドサイエンティストで、口調もどこかキレ気味。
しかし、その技術力は確かで自分達のPFタルカスを開発したのも彼である。
- フォルセア・エヴァ
(CV:本多知恵子)
ヴァリム軍特殊諜報部所属。女性。年齢は27歳。特別階級である『神佐』を頂いている。
冷酷非情な性格で人の命を何とも思っていない悪女。
自分の手を汚さない戦い方をするがパイロットとしての腕も高い。専用PFはオードリー。
ガルスキー財団総帥ギルゲフの配下でもあり、数々の暗躍を行う。
- ギルゲフ・ド・ガルスキー
ヴァリムの軍需産業ガルスキー財団の総帥。男性。74歳。
世界に紛争の火種をバラまく悪の元凶であり、ヴァリムのみならず全世界的にも強大な影響力を持つ。グレン将軍暗殺も彼の差し金であった。
「戦争こそ人類の発展に必要」とするとんでもない信念を持っている。しかしその姿を現す場面はあまり無い。
- ユイ・キサラギ
(CV:榎本温子)
ヴァリムの非人道的なマンマシン計画で生み出されたバトルヒューマノイド。女性。17歳。
幼い頃から戦闘の英才教育を受けてきた。性格は冷静かつ無感情。機械のように任務を遂行し、非常に高い情報分析能力と状況判断力を持つ。
専用機のシンザンで中距離からの後方支援を受け持つ。妹のマイと共に「双子の悪魔」の異名を持つ。
- マイ・キサラギ
(CV:榎本温子)
ユイの双子の妹であるバトルヒューマノイドで「双子の悪魔」の一人。女性。17歳。
恐怖心を持たない戦闘マシーンとして調整されており、こちらは非常に狂暴で好戦的な性格。専用のシンザンも大鎌を武器としており、戦闘では近接戦を受け持つ。
キサラギ研究所の出身らしい。
パンツァーフレーム
アルサレア
- Jファー
アルサレアが開発した世界初のPF。
フレームに高い互換性を有し、規格統一された後継機とのフレームの交換が可能となっている。
主に一般兵用であり、目を見張るような性能はないものの、扱いやすさと量産性から長くアルサレア軍で使用されている。
- Jファーカスタム
Jファーの改造機で主に指揮官専用に配備されている。
最大出力が25%向上し、頭部に指揮用の通信装置が追加装備されている。
クセがなく扱いやすい機体として、兵士の間では人気が高い。
- アルサレアGS
グレン将軍専用に開発されたPF。
他のPFと違いたった1機しか存在せず、アルサレア軍の旗印として戦場にその名を轟かせた。烏帽子型の頭部が特徴。グレン将軍が死んでからは一度も使用されていない。
- Jキャノン
Jファー強化計画「フィール計画」で作られた支援砲撃PF。第6研究所が開発を担当した。
機動性を失わずに移動砲座として設計された。
- Jグラップラー
「フィール計画」で作られた格闘用PF。
旋回性や機動性に長ける。
- Jフェニックス
ウイングパーツの性能を最大限に引き出すために開発された第2世代PFの第1号。
アルサレアの正義の象徴とも言われ、この機体を与えられたものはエースパイロットととして認められるのを意味する。
リップス小隊の機体は複座型。
- Jブラスター
J-フェニックスの高性能を陸戦用に切り替えたPF。
胸部に備える長大なビームを放つ「バスターランチャー」は絶大な火力を有する。
レッグフレームの開発には、ヴァリム軍のタルカスの分析データが使用されている。
ヴァリム
- ヌエ
ヴァリム共和国初のPF。ジャポネクル社が開発。
性能は低いものの、扱いやすさと生産性ゆえに前線の兵士からの人気が高く、ヴァリムの主力として活躍した。
- ヤシャ
エースパイロット専用の高性能PFで、ヌエと同様にジャポネクル社が開発した。
厳選されたパーツを使っており、高性能を誇るがその分コストも高騰した。グリュウが主に使用する。
- ロキ
高額の賄賂でヌエのデータを手に入れたゾックス・アインハルト社が開発したPF。
ヌエ以上の高性能と低コスト化に成功している。
- タルカス
マルコが開発した第1独立戦隊専用のカスタムPF。
ダイナミックディメンジョンバーニアによって機動性と防御力を両立している。
元々はタルカス三人衆専用機だったが、高性能が認められて少数が生産された後に後述のヴェタールに繋がった。
- ヴェタール
撃破されたタルカスのデータをもとに開発された高性能なヴァリムの次世代PF。
- オードリー
フォルセア専用の女性型のフォルムを持つPF。
高い機動力と空中戦闘能力を持っている。
敵のPFを操る装置『ハーメルンヴォイスシステム』を搭載しているが、これを扱えるのはフォルセアのみ。
- イリア
オードリーの量産型として作られたPF。
量産機とは思えない高性能機に仕上がっている。
ただし、ハーメルンヴォイスシステムは搭載されていない。
- アシュラ
ヤシャをベースに攻撃力重視の改良を施したPF。
遠距離戦と近距離戦、攻守ともに優れている。
- キシン
各地の戦線で押され気味のヴァリム共和国が、起死回生を狙って作った要塞攻略専用重機動PF。
- オニ
キシンをベースにしたPF。グリュウ専用にチューンナップされている。
- シンザン
ゾックス・アインハルト社の開発した試作PF。
ユイとマイの双子の悪魔が駆る。
ギガンティックフレーム
- ゼクルヴ
ギガンティックフレームのプロトタイプ。
多連装ミサイルを装備しており、巨体を生かしたキック攻撃も行う。しかも巨体に関わらず瞬間移動も可能と恐るべき性能を持つ。
実はミラムーン国(もっともヴァリム共和国に協力する一派)が開発に協力しており、それにより一時はアルサレア帝国首脳部を慌てさせたばかりか、フィアッツァ大陸に緊張を走らせたほどであった。
- オーガル・ディラム
元々は空中空母として建造されていたが、PF登場によりギガンティックフレームに仕様変更された。
PFを11機搭載し、非常時には人型形態に変形して戦う恐るべき侵略兵器である。但しエネルギー効率に問題がある。
メディアミックス作品
機甲兵団 J-PHOENIX L'HISTOOIRE DE PAPILLON
作画:女屋マサカズによる公式コミカライズ作品で、角川書店から販売されている(いた?)。
アルサレアとヴァリムが争っている状況から、恐らく無印の本編中の時期。下記の作品と同様に女性主人公を始め、女性キャラクターが多めとなっている。
しかし、こちらは主要人物の大半が、戦争により祖国や故郷を失う、主義主張により兄妹が生き別れた上に、敵と味方になってしまう。敵側には新兵器開発の為ならば、味方さえも犠牲にするマッドサイエンティストが居る等、戦争の凄惨さをしっかりと描写した王道かつ真っ当な戦記物に仕上がっている。
機甲兵団 J-PHOENIX PFリップス小隊
シリーズを迷作たらしめた「一級戦犯」であるOVA。媒体はDVD。
『+』『コバルト小隊』に1話、『2序章』に2話、『2』に3話が同梱された。
もしかしたら新しい顧客を得ようとしたのかも知れないが、あざといキャラ属性(グレンリーダーを一方的に「お兄ちゃん」と慕う黒髪の少女、眼鏡っ娘、褐色肌の旧軍医、守銭奴ロリ)や演出をひたすらに詰め込んでおり、プレイヤー層を完全に見誤った作品である。
一応は主要人物はいずれも上記の作品と同様、それなりに重い過去を持っているが、後述の内容故に、悪い意味でそれを感じさせない。
しかも、彼女達のバックには軍部の実質的なトップの1人が控えている為、ほぼ治外法権扱いになっている)。
尚、内容を簡潔に記せば『ヤンデレ気味ストーカー女4人組(後に+美少女ロボ1機)による、完全一方通行ラブ(?)コメ』。
一方、唯野条太郎の手掛けたノベライズ『恋する乙女の電撃作戦』では、各々のキャラクターの重い過去と、彼女達がグレンリーダーに救われて想いを寄せるようになった経緯がしっかりと描かれ、戦火の中で一途に憧れの人を想って少女達が奮闘する、OVAより遥かにシリアスな作品となっている。
アニメ版では好き勝手暴れているような彼女達だが、小説版ではアルサレア帝国軍において能力不足から員数外と見なされており、「独立愚連隊」とは名ばかりのミソッカス扱いをされている。
そのため自由に動ける反面、グレンリーダーに関する情報収集は友軍の通信傍受が頼みであり、物資の補給にも苦労させられ、更に当然女子供4人の小隊のため他の兵士からもバカにされる場面もしばしばと、過酷な状況に置かれている。
しかもそれは表向きで、実際は司令本部はリップス小隊の動向を完全に把握しており、「彼女達の向かう先に『グレン小隊が存在』する」とヴァリム共和国に誤認させる陽動部隊として、リップス小隊は(彼女達の意思とは無関係に)運用されている。
それもあり、リップス小隊が手に入れるグレン小隊の動向は、全て誤情報であり、行く先々でヴァリムの工作員やPF部隊相手にどれほど奮闘しようと、憧れのグレンリーダーには一切接触できず、徒労に終わる戦いを日々繰り返している。
これには(一応)恋敵であるはずのフェンナすら「同じ女の子として本当に気の毒」と同情する程である。
ただし、戦力にならない人員に、貴重な新型兵器を譲渡し、独立部隊として自由に活動させている以上、酷だが妥当な扱いでもある。
用語
- 惑星J
物語の舞台となる惑星。太陽系からの移民で開拓された惑星。作中では軌道エレベーターを有するフィアッツァ大陸が存在するが他の大陸や国については不明。
- アルサレア帝国
フィアッツァ大陸の西端の帝政国家。
山岳地帯で資源が乏しく、極寒の気候により古くから傭兵派遣を主な収入源とする少数民族が建国したらしい。
気候改善や土壌改善に向けての研究のほか、傭兵に出る兵士のために軍事研究が盛んであり、PFを世界でいち早く開発したのもこの国である。
- ヴァリム共和国
大陸一の共和制国家。
大陸随一の軍事力を誇り、大陸の覇権を手に入れるべくアルサレア帝国との戦争を開始したが、この裏では巨大財閥ガルスキー財団が絡んでいるらしい。
数多くの小国も滅ぼしている模様。
国内では汚職の横行により政治腐敗が進行しているが、軍備の強さと能力主義の国民性によってどうにかなっているらしい。
元々は四足歩行型戦車を主力にしていたが、PFの開発ではアルサレア帝国に出し抜かれたものの、ガルスキー財団によりどうにかPFを開発した。
- ミラムーン国
資本主義国家でアルサレア帝国と古くから親交が深い。
高い技術力と大陸南部の肥沃な資源を基盤とし、宇宙開発も積極的に行っている。
アルサレア帝国と共にヴァリム共和国に立ち向かっているのだが、上層部内ではヴァリム共和国と手を組む者もいる。
- パンツァーフレーム
アルサレア帝国が開発した2足歩行人型機動兵器。
ヴァリム共和国の侵攻やガルスキー財団の活動が活発になった事で傭兵の生還率が低下してきた為に作られた。
「ヘッド」「メイン(胴)」「アーム」「レッグ」を交換する事により、どんな戦場にも対応できるようになっている。
またヴァリム共和国でもPFの開発に成功した。
- ギガンティックフレーム
ヴァリム共和国が開発したPFより大型の人型機動兵器で、パーツ換装は出来ないが高火力とパワーを持つ。
実は開発にはミラムーン国も協力しているらしい。
- ガルスキー財団
ヴァリム共和国を中心に活動する闇組織で戦乱の火種をバラ撒く死の商人。
PF開発や傭兵派遣のみならず『マンマシン計画』などの非人道的な計画も行っている。
世界支配が目的らしいが「人類は戦争で発展する」を掲げる総帥ギルゲフの思想が全てを物語っている。
- マンマシン計画
ヴァリム共和国で研究中のバトルヒューマノイドと呼称される戦闘員の製造計画。
人権を無視した非人道的な研究であるためか、ヴァリム共和国内でも非難されている。
『アーマード・コア』シリーズとの比較
ACと比較すると、持っている人にしか分からない良い要素・悪い要素が存在する。
差別化はしっかり頑張っていたらしい。
▽格闘武器が豊富。
ACシリーズと最も異なる点にして、最大の特徴でその個性はかなり濃い。
ざっと列挙しても素手、レーザーソード、刀、大剣、槍、棍棒、クロー、パイルバンカー、巨大ハンマー、カタール、ロケットパンチ、デッキブラシetc.…。
プレイヤーは好きな接近戦を展開出来るのである。
オンライン環境さえあれば「PFボクシング部屋」とか遊びようはかなりある。
▽個性的な完全規格PF
機体の各パーツは4パーツ(頭部、胸部、腕部、脚部)で一体のデザインを取っている。ACシリーズでの4系列のような一体のデザインを採用していた。
生半可なカスタムより、純正の方がよっぽど強い(カスタムを極めると足元に及ばないが)。
大河原邦男氏による機体も存在し、硬派なアニメロボ好きも満足するデザインである。
その一方で胸ライオンを備えた勇者ロボ風や、美少女ロボのようなイロモノも、各種取りそろえている(デフォルト武装の癖はあるが、外部パーツは妙に高性能揃い)。
肝心の外見は流用による流用が半数以上を占めており、基本的に似たり寄ったりの外見しか作れないのが難点。
▽個性的かつ独自な機体アセンブルシステム
上記の通り、極めると純正規格を超えた強さを得られる反面、ACシリーズのようにスペックだけが強くなる訳ではなく、その手法も独特なものになっている。
例えば、ミサイル等の追尾兵器だけで両腕・両背部を纏める、『双破斬』及び『真・双破斬』に代表される二刀流によって真価を発揮する兵器を両腕に装備、左手に格闘武器、右手は素手にするなどで特別な補正が付与される。
また、特定の装甲を装備した上で一定の基準を満たすと瞬間移動が可能になると、リアルロボット路線のACシリーズでは絶対に不可能なアクションが出来る。
▽高機動な自機
新作になるにつれて重厚感を極めて行ったAC3系列やN系列に比べて、Jフェニックスシリーズは高い機体速度や飛行能力が売りだった。
しかし、AC4系列の登場により此方の特徴は失われてしまった。
▽2つの耐久値
バーストタクティクス以降、外装耐久値と内装耐久値と呼ばれる、2種類のライフゲージが作られ武装の選択基準に戦略性が増加した。
だが、内装耐久値の調整が極端過ぎる(内装耐久値用の武装でないと、殆んどダメージにならないor一瞬で失くなる)為、正直な所煩雑になった感が強い。
▽個性豊かなキャラクター、しかし…
特徴ではあるが比較対象となるACの人物達の濃さ故に、差別化の点ではあまり意味は無いが、割と王道なキャラ付けと遜色の無い顔立ちであるため、決して劣るとも言い切れない。
無印及びBT、コバルト小隊、2とでキャラクター作画が違う、声優が違う為に作品によっては人を選んでしまう。
特に無印及びBTとコバルト小隊を跨いで登場した数人は、髪の色が違う、悪い意味で中性的になる等、殆んど別人になっているケースもある。
また、コバルト小隊編以降は様々なキャラクターを自由に部隊へ組み込めるようになった反面、個々のキャラクターの掘り下げはほぼ行われず、ただ設定されているだけのプロフィールが多くなってしまった。
▽ストーリー性の差
ストーリーについては元から方向性が異なる。
軍人として敵軍と戦うリアルロボアニメ王道の展開であるJフェニックスと、底が無い程に深いストーリーを持つACとでは、プレイヤー側の感情移入度に大きな差が出てしまった(フロム脳なファンの存在等)。
但し、Jフェニックスは続編になるにつれてストーリー性が失われてしまい、より世界観が深まっていったACとは大きな差が出ている。
▽圧倒的知名度の差、市場追従による宿命
フロムソフトウェアの看板作品であるACに比べ、Jフェニックスはタカラの1作品に過ぎず、開発力からセールスからと力の入れように大いに差がある。
しかもJフェニックスは後発である為、パクリゲーと形容されても仕方がない面がある。
現在のJ-PHOENIXファン層
ワゴンセールや中古で購入したプレイヤー(市場価格はだいたい1000円~500円以下)や、ロボアニメ好きやメカデザインが気に入って購入するケースが多い。
また、ACシリーズのファンであるプレイヤーも多く存在する。
そんなファンがこの作品を愛する理由の1つに、
「難易度は低めでありながら、娯楽性が高いのでB級映画の様な楽しみ方が出来る。」
事が挙げられる。
加えて「自分がリアルロボットアニメの主人公となって、個性なキャラクター達と肩を並べ、自分の作り上げた主役機体を操って活躍する」といったヒロイックなストーリーとゲームシステムは、かつて『重装機兵ヴァルケン』や『スプリガンmark2』等の傑作が存在していたものの、PS2展開当時は類似作品の少ないものだった。
惜しむらくは、この強みが『バーストタクティクス』以降失われてしまった点である。
主題歌
「Hold Over(Original version)」
歌:堀ひとみ
関連動画
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機甲兵団 J-PHOENIX OP
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