ヒーロー側の「正体」
主人公およびヒーロー側の登場人物においては、その人物が変身その他のプロセスを経て、キャラクターの姿となる前の姿と属性、すなわち人間体または人間態の方を「正体」と呼ぶ。
古典的な例としては、
が挙げられる。
但し、ヒーローが宇宙人・改造人間・人造人間等の人外の存在であり、それを隠して人間に擬態して人間社会に入り混じって活動していたような場合は、むしろヒーローの姿の方が「正体」として扱われるケースもある。スーパーマン/クラーク・ケントや、ウルトラシリーズの一部主人公達がこれに該当する。
ひねくれた例になるが、「ヒーローとしての活動にのめり込み過ぎるキャラ」に対して「○○(変身前の姿)は××(変身後の姿)の人間態だ」等と揶揄される場合も存在する。古くはブルース・ウェイン/バットマンや、近年ならプリキュアシリーズのキャラクター辺りが有名か。
敵キャラの「正体」
敵キャラにおいては、おおむね異形の姿となった後の状態、すなわち怪人体または怪人態を「正体」と呼ぶ事例もある。但し、これは「元々怪人であった」と考えられる場合であり、後から怪人への変身能力を得た(あるいは、首領や上級幹部等の手で怪人化させられた)ような場合はこれに該当しない。
また、敵キャラの出自が人間であり、それが知られていなかった場合は、解明された素性を「正体」とする扱いも多い。
但し、判断に困る存在としてウルトラマンオーブダークが存在する。
この存在の正体は地球人の愛染マコトであるが、その精神は地球外生命のチェレーザである為、人によって本当に判断が分かれてしまう。
ラスボスの「正体」
いわゆる、今まで見せていた姿がまやかしだったパターンが挙げられる。
例えば重甲ビーファイターのラスボス・首領ガオームはローブを纏った姿から、禍々しい怪人へと変異したが、実態は生命維持装置の水槽に収納された、胎児のような小型の怪物であった。
プリキュアシリーズのラスボスはその傾向が強く、フレッシュプリキュアの総統メビウスは威厳に満ちた壮年だが、その実態は超高性能CPU、HUGっと!プリキュアの怪物染みた姿のプレジデント・クライは、別世界の人間たるジョージ・クライであったり、スタートゥインクルプリキュアのダークネストは、スタープリンセスの蛇使い座(プリキュア)等がある。
やや違うものになると、動物戦隊ジュウオウジャーのジニスの正体が、デスガリアンの戦闘員であるメーバだったのもある。
他には実体のない意識体のパターンもある。
宇宙戦隊キュウレンジャーのドン・アルマゲが挙げられ、劇中では翼を備えた死神を基本に、クエルボや鳳ツルギに寄生・憑依していくも、最終的には悪霊染みた姿を晒した(似たものでは爆竜戦隊アバレンジャーのデズモゾーリャや、忍風戦隊ハリケンジャーの邪悪なる意志もそうだろう)。
近年のウルトラマン作品では、出自が生物でも機械でもないパターンが作られた。
ウルトラマンXのラスボス・グリーザは『自我を備えた自然現象にして、存在しないモノを脳が無理矢理に可視化した存在』であり、ウルトラマンタイガのラスボス・ウーラーは『宇宙に廃棄された大量のゴミに、偶発的に生命が宿った存在』である。
判断に困るパターン
ビーロボカブタックに登場するラスボス・スターマインドは人間態とロボット態のどちらが正体かが明確になっていない上、劇中の重要アイテム・スターピース(ビーロボカブタック)の意識体である為、スターピースこそが正体とする考えも出来てしまう。
また、ビーファイターカブトのラスボス・皇祖女帝マザーメルザードは後に、自分達の本拠地メルザードスと完全に一体化し、ジャドーマザーラと化したが、元々メルザードスはマザーメルザードの一部(フォッグ・マザーに近い形態)の為、そもそもメルザードスこそが正体とする意見があれば、ジャドーマザーラこそマザーメルザードの正体orジャドーマザーラはマザーメルザードの強化形態とも評される。
ゲーム作品では「戦闘中に更なる形態変化を挟む」ラスボスが多く登場するが、中には変化前後を同一キャラとして扱うか困るようなキャラクターも存在する。
有名どころはゼムス→ゼロムス(ファイナルファンタジー4)や、エクスデス→ネオエクスデス(同5)だろうか。両者とも明らかに変化前とは別人格である前提で喋っている上、後者に至っては当人も意図せぬ偶発的な変化である。
極め付けに困るラスボスは、五星戦隊ダイレンジャーのシャダム中佐であろう。
彼の正体は泥人形であるが、何時、何処で、誰がシャダム中佐の泥人形を作ったかが不明な上に、(泥人形の)シャダム中佐自身は死ぬ寸前まで、自らをゴーマ族であると信じて疑わなかった等、唐突かつ回収されなかった謎が多過ぎるからだ。