速撃ちの八隅
はやうちのやすみ
「遺言を聞いてくれるのか……優しいな。シイイイイイ! 俺なら聞かないけどな」
「二発撃ったのが一発の音に聞こえる。これが本物の連射だ」
「お前ならまだいける!」
『ヒューマンバグ大学』のシリーズ作品『アラサー中堅極道・小峠華太(現・華の天羽組)』に登場するヤクザ。初登場は2021年12月29日付の動画『【漫画】天羽組の伝説「速撃ちの八隅」。狂人ヤクザ小林を...鍛え上げた男。』である。
小峠華太が所属している武闘派のヤクザ「天羽組」の組員。誕生日は2月15日。下の名前の漢字は不明だが読みは羅威刃の絢辻雅史と同じ「まさし」である。なお、誕生日と下の名前の読みが判明したのは2024年8月14日付の動画である。
組では小峠の兄貴分の立場にあたる人物である。そして、極道としてのキャリアは20年であり、天羽組の数々の死線を乗り越えてきた他、米倉敏文のような頭脳明晰なインテリヤクザでもある為、組長である天羽桂司も含めて構成員からの信頼は厚い。
主な業務は敵対勢力の排除の他、その頭脳を買われ、対立組織との交渉役に抜擢されることが有った。
容姿
癖のついたストレートヘアーの白髪と黒いスーツパンツ、青いワイシャツが特徴。顔には少々皺が刻まれている。年齢は不明だが小峠や香月紫苑・小林幸真よりも年長の永瀬光一や和中蒼一郎よりはさらに年長と思われる。
性格
武闘派で知られる天羽組の構成員では有るが、パワハラ紛いのコミュニケーションは取らない冷静な性格で有り、後輩への面倒見も良い。その為、構成員からの人望は厚い。永瀬・香月・小林に銃の扱い方を指南したが、特に小林とは深夜まで速撃ちを競う良きライバルでもあった。但し、修羅場でのメンタルを鍛える為に実弾入りの銃を押し付け合う訓練をしていた際には、小林が本当に実弾を撃たんとする目をしていた為、流石に冷や汗を垂らしていた。
その一方で、抗争では一転容赦のない性格となり、拳銃を向けてきた相手に対しては、遺言を言う隙も与えずに射殺する。
また、義侠心を重んじており、カタギの人間に手を出す事は良しとしていない模様である。そして、交渉の場である喫茶店内で拳銃を発砲したコリアンマフィアに対しては、「仁義外れがあ! 死んどけえええ!!」と怒りを顕にしながら拳銃で応戦した。
能力
彼の得物は拳銃であり、凄まじい程の銃の早撃ちの技術を持つ。その速さは、敵は八隅が何時銃を抜いたのか分からず、気が付いた時には頭に鉛玉を食らわされている程である。その銃の腕前から、極道界隈では「速撃ちの八隅」と呼ばれ名を知られていた。
そして、当然ながら早撃ちの技術については知り尽くしており、その実力はCODE-ELのアサシンとして、また傭兵としても活動していた小林をも上回っている。故に某半グレのように小林の評価が上がる度に評価が上がるようになっている。
香月に早撃ちを教える際には「チャカの連射は脱力が大事」、「二発撃ったのが一発の音に聞こえる。これが本物の連射」というアドバイスを彼に与えていた。八隅が指南した永瀬・小林・香月はいずれも銃の名手になったため、人にものを教える能力も非常に高い。
また、乱戦にも強く、喫茶店内で4人のコリアンマフィアと戦いになった際には、コリアンマフィアの一人に不意討ちで腹部を撃たれながらも、直ぐに体制を立て直して敵の内の2人を瞬殺するという根性を見せている。
20年前に旧田頭組に入門しており、持ち前の早撃ちの技術と頭脳により、天羽組の修羅場を乗り越え、順調にキャリアを重ねてきた。
- 2022年9月29日付の動画(小峠華太)
10年前の時点で、永瀬光一に銃を教えていた。
- 2021年12月29日付の動画(小峠華太)
そこからさらに10年後の現在では、コリアンマフィア「罵覇無鵜斗(バハムート)」が、天羽組の縄張りである空龍街を初めとする様々な繁華街に手を伸ばしていた。当初は、武闘派である天羽組も規模の小ささから彼らを見逃していた。しかし、日に日に彼らの組織の規模が大きくなっている様子を見過ごす事は出来なかった為、彼らと一度契りを結ぼうと、罵覇無鵜斗との交渉を取り決めた。
組長の天羽は、極道の締付けが厳しい時代である為、落とし所と見つけたいと考えていた。しかし、交渉の相手はコリアンマフィアのボスという難しい相手であった。そこで、天羽は交渉を有利に進める為に、頭の切れる八隅を交渉役に指名した。
こうして、八隅は戦友である小林と「今夜も又速撃ち勝負をする」という約束を交わし、舎弟の北岡隆太と共に交渉場所である繁華街のカフェへと向かった(カフェを交渉場所に選んだのは、無用な揉め事を防ぐ為であった)。
しかし、罵覇無鵜斗のリーダーであるP・ドラゴは30分も遅刻してきた上に、2対2での交渉という約束を無視し、3人の護衛を引き連れて喫茶店を訪れた。北岡は彼らの無礼さに苛立つも、八隅は彼を落ち着かせ、話し合いへと移った。
交渉においては、P・ドラゴに対し「空流街は天羽組のシマだ。ここに店を出すなら一言欲しい」と前置きをしつつ、隣町の竜桜町をシノギの拠点として渡すという案を提示した。しかし、国民性の違いからかシマの感覚が合わないのか、ドラゴは「(空龍街と竜桜町でのシノギを)両方自由にやる。関係ない」と反論し、議論は平行線を辿った。
その後、一時間交渉を続けるも、議論は全く進展しなかった為、八隅は「埒が明かねえな。いずれにせよ空龍街でのシノギは認めねえ……」と言って店を後にしようとした。しかし次の瞬間、ドラゴの護衛全員が胸元から拳銃を取り出した。日本の極道ではご法度である彼らの様子を見て、歴戦の猛者であった八隅も一瞬反応が遅れてしまう。
その結果、八隅は腹部を銃撃され負傷するも、直様銃を抜き、護衛の内の2人を一気に始末した。そして、乱戦には強い八隅が戦況を巻き返す……と思われた。
八隅が敵のリーダーであるドラゴに照準を定めた瞬間、ドラゴの背後にカタギの少女が佇んでいる様子を目の当たりにする。当然カタギには手を出せない八隅が動けなくなった瞬間──
P・ドラゴ「死ね、ノロマ! ザコめ!」
八隅「グガアアアアア!!」
非情にも、ドラゴの卑劣な銃弾が八隅の左胸を貫いた。
八隅を片付けたドラゴ達は、射殺された護衛諸共カフェを後にして逃走した。一方の八隅は意識を失い、北岡は罵覇無鵜斗への怨嗟の声を挙げながら、彼を担いで闇医者・氷室の下に運んでいった。
しかし、八隅は臓器の損傷が激しかった為、氷室の懸命な処置も虚しく命を落とした。
彼を担いできた北岡は頼りの兄貴である八隅の死を受け入れられず、彼の遺体に縋り付き人目も憚らずに号泣した。
天羽組でも慕われていた八隅の死には、多くの組員がその死を悼んだ。そして、小峠や香月を初めとする組員達は皆例外なく怒りに震え、罵覇無鵜斗への壮絶な復讐を決意した。
喫茶店での戦いの後、罵覇無鵜斗は貴凛町のクラブで勝利の宴を開いていた。しかし、怒りに燃える香月と小峠の手により、クラブに居た構成員達は忽ち抹殺される。そして、リーダーのP・ドラゴは小林との早撃ち勝負で不意討ちを行うも、軽々と見破られて腕を吹き飛ばされた。そして人食い伊能譲りの名刀「紫蘭」により内臓を抉られ、ジワジワと苦しみながら死んでいった。
罵覇無鵜斗への粛清が終わった後、とある橋には小林・香月・小峠・北岡といった八隅が目に掛けていた後輩達が歩く姿があった。
香月「八隅の兄貴、仇取りました」
小林「今夜はみんなで八隅の兄貴の話をしようや」
北岡「はい……お付き合いします」
小峠「(八隅の兄貴の様な素晴らしい人間もいきなり命を落とす……それが極道の世界なんだ)」
その後のエピソードでは既に故人である為、当然ながら本編での出番は無いものの、2022年1月14日付の動画では、小峠や北岡の舎弟である速水泰輝から彼の名前が挙がっていた。
- 2024年8月14日付の動画(瓜生龍臣→状況整理)
この回で誕生日が判明。また彼の画像の横に「MASASHI」と表記されていたため下の名前の読みも明らかになった。
八隅が所属する天羽組の組長。彼の戦闘力と優秀な頭脳を買っており、韓国マフィア「罵覇無鵜斗」との交渉役に任命した。
武闘派狂人兄貴の一人にして、八隅の弟分にあたる人物。香月の目にも留まらぬ早撃ちの技術は八隅の丁寧な教えによる賜物であり、師弟関係も良好であった。
その為、八隅が罵覇無鵜斗の面子に殺害された際には「クソ共が……皆殺しだ」とブチギレる程に彼らに人一倍殺意を抱いていた。そして実際に構成員の一人を容赦なく腹を一文字に割いて殺害している。
武闘派狂人兄貴の一人にして、八隅の舎弟分にあたる人物。八隅とは早撃ちの技術を競い合う良いライバルであった。その為、八隅への思い入れは深く、彼を殺害した上に罵倒した罵覇無鵜斗のリーダーであるP・ドラゴに対しては、簡単に死ねない様に愛刀の紫蘭で内臓を抉って苦しませながら殺害した。罵覇無鵜斗壊滅後の夜は、カチコミに同行したメンバー達に彼の話で盛り上がろうと提案していた。
小峠の舎弟の武闘派狂人極道。八隅には直接師事していないが、罵覇無鵜斗との交渉にて同行した。彼もまた八隅の事を尊敬しており、八隅を撃ち殺した罵覇無鵜斗に怒りを顕にしていた他、八隅の遺体に縋って子供の様に号泣していた。
天羽組の中堅極道。韓国マフィアに関する話し合いにて同席していたが、八隅とは直接の接点は無かった。しかし、他の組員と同じく八隅を信頼しており、喫茶店でドラゴに殺された事を聞いた際には、「クソがあああ!! 舐めとんのかあああ!!」と激昂していた。
武闘派狂人兄貴たち。八隅との直接的な接点は語られていないが、彼らも八隅の敵討ちに参加している。
中枢を失った罵覇無鵜斗の事務所で敵を血祭りにあげて薄切り豚肉、トッポギにしていた。
小峠の舎弟の一人。八隅の死後に天羽組に入門したため直接的な面識は無いが、総集編にて彼の名前を挙げていた。「兄貴」と呼んでいる辺り、彼も八隅に敬意を払っている模様。
武闘派狂人の一人。天羽夫妻の養子で和中の同期。生前永瀬が幼少期の時から拳銃の速撃ちを鍛えていた事が判明。それにより永瀬の拳銃の腕前は抜群となった。
小峠は八隅の死に対し、先述の通り「(八隅の兄貴の様な素晴らしい人間もいきなり命を落とす……それが極道の世界なんだ)」という言葉を残していた。
そのジンクスは実際に当てはまっており、今まで小峠や天羽組(田頭組)の面々が尊敬したり頼りにしていた人間その多くが最終的に殉職という末路を辿っている。
例としては、小峠を田頭組にスカウトした藪下に組長だった田頭を始め江藤・米倉敏文・祖父江・喜多川等が該当し、特に穏健派の人間が当てはまる。
その他天京戦争にて小峠と関係が深い北岡に冨樫が、羽王戦争では組員たちから慕われていた工藤清志と阿久津敏朗に小峠が尊敬していた南雲梗平に舎弟の柏木翼が、天城戦争では小峠自身がスカウトした宇佐美純平が殉職している。
また、久我虎徹が主人公を務める『京極の轍』の主人公組織で天羽組のライバルの京極組においても京羅戦争や京炎戦争で西園寺健吾・国生英明・大園銀次といった久我ひいては京極組で頼りにされた人間、相良颯誠や海瀬将悟など久我と仲が良かった兄貴分、久我の学生時代からの弟分の鷹橋修也、久我の一番舎弟の野島翔、副主人公格の佐古大和の同期の浪岡常吉といった舎弟たちが殉職している。