登場までの経緯
ついに宿敵ゴジラに勝利し王権を手に入れたギドラは地球征服の手駒とするために世界各地のタイタンたちを復活させた。
アリゾナからは蜘蛛に似たイカの怪獣“スキュラ”が、ミュンヘンからは背中に森を生やした地底怪獣“メトシェラ”が、おまけに前作でゴジラを苦戦させたMUTOの同族"ニュームートー"までもが出現。
ギドラとの対決に敗れて軍門に下ったメキシコのラドンを含め、総計13体ものタイタンたちがギドラの命令を受けて全世界で破壊活動を開始してゆく。
そんな破壊と混沌の中、一際目を引く異様な怪獣の姿があった。
誰だ、おまえ。
概要
2019年公開の映画『GODZILLA: KING OF THE MONSTERS』に登場する怪獣(タイタン)の一体。
更新世に生息していたマンモスに酷似した姿をしており、全身を覆う茶褐色の長い体毛(この体毛は防火耐性が高いらしい)と、口元から伸びる自身の体に匹敵するほど巨大で湾曲した、蔦などの植物が絡み苔むした牙が特徴。
顔はあまり体毛で覆われてないが、劇中では影がかかっていたりして顔が隠れており表情は窺いづらい。
しかし、マンモスやゾウの特徴でもある長い鼻はなく(全くないわけではないが、かなり短い)、加えて前肢もゴリラの腕のような形状になっており、ナックルウォークで歩行する。
さらに映画冒頭のレジェンダリーマークの場面で描かれていたこの怪獣らしき壁画では前肢に鋭い鉤爪も確認されており、さながらカリコテリウムかオオナマケモノをマストドンやマンモスと掛け合わせたとも言うべき独特な姿をした怪獣である。
MONARCHがその存在を把握していた17体の怪獣の一体で、覚醒後は出現地点近辺で巨大な牙を振り回して暴れまわっていたが、ボストンで怪獣と意志疎通が図れる音波装置「オルカ」による妨害によって破壊活動を一時停止し、その後ゴジラがギドラとの戦いを制すると他の怪獣とともにゴジラの前に現れ、ラドンもろともゴジラに恭順の意を示した。
寒い地域に適応したように思える姿をしているが、実際の生息地は南米ブラジル。
出現した地域を緑化する能力がある他、糞便に堆肥や燃料としての効果があり、決戦後はアマゾンに帰り、伐採された森を緑化していったことが語られている。
とはいえ、目覚めた怪獣が多過ぎたためにそうした自然環境の回復スピードが追い付いていないらしく、後日談にして『ゴジラvsコング』の前日譚でもあるアメコミ『ゴジラ:ドミニオン』ではロシアより復活した怪獣・アムルックに縄張りを襲撃されてしまう。
左側の牙をへし折られながらも奮闘するが、力で勝るアムルックに徐々に追い詰められてしまう。しかしこの騒ぎを聞きつけたゴジラが、これ以上の争いで更に自然環境が荒らされていることを良しとせず駆け付け、侵入者であるアムルックを制裁・撤退させたことで難を逃れた(ちなみに折れた左牙はよくよく見ると少しずつ再生している)。
なおこの時、ゴジラはベヒモスを「彼」と表現しているため、当個体は雄だと思われる。
BD版のオーディオコメンタリーや自身のInstagramでの投稿(和訳参照)においてドハティ監督曰く
・必要に応じて二足歩行が可能で前足の爪で敵を薙ぎ払える
・本来は樹上で群れで暮らす草食動物で、温厚で優しい性格
・超古代文明時代では戦争に利用されていた
・コングに撫でられたり、毛繕いされるのが好き
という裏設定があるとのこと。
(ちなみに「戦争に利用されていた」という設定はエンドクレジットをコマ送りで停止しながらよく観ると、各スタッフのクレジットの脇に本作の裏設定が記述されており、超古代文明時代にタイタンが戦争に利用されていた経緯を読むことが出来る)
ゴジラVSマンモス
彼はキング・オブ・モンスターズが初出のオリジナル怪獣であり、よってオリジンとなる東宝怪獣映画など存在しないのだが、
「今までのゴジラ怪獣にありそうでいなかった、マンモスをモチーフにした怪獣」
「予告編に一切登場しなかったにもかかわらず、予告編に出た2体の新怪獣を喰ってしまうほどの強烈な存在感」
「ギドラを撃破したゴジラの前に他の怪獣たちよりも一番早くに(それも不意打ち気味に)駆けつけた古参感」
「それでいて過去の東宝特撮に着ぐるみ怪獣として登場していても違和感がなさそうなデザイン」
など強烈なインパクトを放ったためかTwitterなどSNS界隈では妙な人気があり、
「実は幻のゴジラ映画で『ゴジラvsマンモス』なる作品があった」という妄想ネタ(大喜利やクソコラグランプリ)が繰り広げられた。
余談
- 映画公開前に流出した出現怪獣リストの画像の記載からファンには「マンモス(Mammoth)」と呼ばれていたが、正式な名称は「ベヒーモス(behemoth)もしくはベヒモス」である(ソース)。マピングアリという南米のUMAから引用した名前もあった。
- 上記のとおり「マンモス(Mammoth)」は俗称に過ぎず、本編中で登場する「世界各地のタイタンの封印場所を示した地図」と「破壊活動を映した映像」を照らし合わせれば、ブラジルで暴れていたこの怪獣がベヒーモスと呼ばれていることが確認できるのだが、本当にマンモスとしか言いようがない容姿や、明確にベヒーモスと呼ばれるシーンがなくて印象も薄いためか、日本のファンからはもっぱらマンモスと呼ばれており、当初作られた記事もmammothというタイトルであった。
- (また、後に発売されたこの映画のアートブックに載っていたベヒーモスの設定画には「複数の倒木のような牙を生やしていることを除けば完全無欠のマンモスな姿」が存在していた)
- 『キング・オブ・モンスターズ』にはベヒーモスを筆頭に本作オリジナルの新怪獣がいくつか登場しているが、ドハティ監督によれば「古典的な東宝怪獣を出したかったのだが、東宝のライセンス料が高かったため出せなかった」とのこと。
- マンモスをモチーフにした理由について監督のマイケル・ドハティは「昆虫や爬虫類、そしてそれを合わせたようなモンスターが多くなりがちだったので、なにか大きくてモフモフした、『氷河期を生きてきました!』という感じのクリーチャーが欲しかったから」と語っており、上記のInstagramでの投稿でもマンモスや類人猿、オオナマケモノをモチーフにしたことと、今作オリジナルの怪獣では一番好きだと語っていた。
- 偶然にも『キング・オブ・モンスターズ』公開の一週間後に日本科学未来館にてマンモス展が開催されることになっていたためか、突然のマンモスの話題に公式Twitterも(困惑気味に)反応していた。
関連項目
マンムー:別作品のそっくりさん。マンモスをモチーフにしているが長い鼻を持たない、という特徴が共通している(ただし、こちらはイノシシが別モチーフ)。
マーゴドン:マンモスモチーフの怪獣繫がり。
冥獣人ベヒモスのベルダン:マンモスモチーフで名前がベヒーモスの戦隊怪人。