この漫画は1979年から潮出版社(創価学会系の文芸出版社)のコミック誌に連載され、外伝を除き全212話、30巻からなる。(外伝とされた第30巻の「宝暦治水伝」は、リイド社刊の幕末編では正伝としてしかるべき、3巻と4巻に納まっている)
続編として風雲児たち 幕末編が、主な外伝として雲竜奔馬が存在する(ただしこれらも含まれることがある)。
「土地と人柄は切り離せない」と言う主張に基づき、キャラクターは大体方言で喋っている。
2018年正月、NHKの特番枠「正月時代劇」枠において、本作「田沼時代編」をベースとした特番ドラマ『風雲児たち〜蘭学革命篇(らんがくれぼりうしへん)〜』が放送された。なんと連載開始から40年近い時が経っての初映像化・ドラマ化となる。脚本は、みなもと作品のファンとしても知られる三谷幸喜で、ナレーションは『真田丸』以来の有働由美子。みなもと自身も「平賀源内の戯作の原稿を受け取りに来た男」という役で登場した。
連載の経緯
この漫画は連載当初の編集より「幕末を五稜郭の戦いあたりまで描いて貰えないか」という依頼から始まったとされる。
しかし作者は「幕末の動乱の芽は江戸幕府成立で既に蒔かれている」と言う考えに基づき関ヶ原の戦いからこのの物語は始まることになった。
この時点ではおそらく幕府時代はさらりと流すつもりだった(「全10巻の予定」だったと言っている)と思われるが、たとえば「吉田寅之助が松陰を名乗る」説明等のため高山彦九郎伝を描くなど、作者が資料を見て漫画を描いているうちに江戸時代の話がどんどん長くなり、表題が幕末を暗示しているにもかかわらずほぼ中身が江戸時代という恐ろしい物語となった。
結局「風雲児たち」は20年超えないところで雑誌側より強引に打ち切られる形となり、坂本龍馬が主人公となる「雲竜奔馬」と言う連載が始まる。風雲児たちの最終回は坂本龍馬が土佐を旅発つところで終わっている点はこの引継ぎを行うためと推測されている。
しかしこの「雲竜奔馬」は3年程度、単行本で5巻ほどで連載が終了し、しばらくして掲載されていた雑誌も休刊になった。
しかしリイド社(さいとう・たかを氏のプロダクションの出版部門を基とする出版社)の雑誌で「風雲児たち 幕末編」と言う連載がスタートする事になり、今に至る。「風雲児たち 幕末編」において「雲竜奔馬」とエピソードがダブる部分は原稿の流用が行われている。
また外伝とされる同人誌も複数出版されている(後に出版社より出版されたものも存在する)。
内容
この作品に関しては歴史ネタではあるが本質的にはギャグ漫画であるため、漫才師やコメディアンのネタ、時代劇、映画、テレビ、時事ネタなどのパロディを多用しているところがある。そのため、ネタが古くなっている点があり、新しい単行本化の際にはそのあたりの脚注(これをギャグ注としてある)としてまとめている。
また他者のマンガ・アニメの引用(ケン月影 アンパンマン、鬼灯の冷徹、赤ずきんチャチャ ドラえもん の中の人ネタ等)というネタもあり、由井正雪登場シーンを横山光輝氏の「伊賀の影丸・正雪編」を丸写しして担当に怒られると言う荒技ネタをやったり、「あっちの方は100ページのびのび使えるのに」と言うことを漫画の中でぼやいていたりする(この事は「もっと話を早く進めろ」と言う編集に対する嫌味と推測されている)。
ただしギャグではあるが歴史の内容に関しては史料を色々と検討した上で描かれており、「みなもと太郎史観」として楽しむマンガではある。
例えば田沼意次は一般的なイメージとは違う「改革者」的捉え方をしており、なかなか興味深いとされる(最近では歴史研究家からもそういう意見が出始めている)。
また田沼がと初登場時、通常の「賄賂で動く男」と言う描かれ方をしていると指摘するなど新たな資料の発見や推測などで記述して矛盾が出た場合、それを作中でギャグにする、資料を調べてそれでも不明な場合、キャラクターに「この辺はわからないのです」と言わせるということも行った。
ちなみに続編では水戸浪士達が「井伊大老暗殺計画」の際に魔法少女まどか☆マギカネタを連発して、一部の読者を驚かせた。(作者先生はそのアニメについて「大運動会以来」はまった作品と称し、さらに首はねられるキャラなので「オリジナルで」「キャラクター名の動詞化」をしたところ、すでにそのスラングができていたため思ったような反応がなかったと、…『増補版 冗談新選組』所収のインタヴューで、あの、その本所収の徳川慶喜の関係も表紙が「明朝体で書かれる」新世紀エヴァンゲリオンのパロディだし)
最近でも艦隊これくしょん(オリジナル艦娘が出る)、ガールズ&パンツァーネタが登場。(イラストは本人では無く、岡昌平。)
関連タグ
石田三成 大谷吉継(石田、大谷の二人は特別に外伝が存在する)
山内一豊 史実にあるようなものは嫁がアレだからとそういうデザインをしていたが、後ドラマに当たって、彼の嫁は「私仲間由紀恵よー」と叫んでいる。
徳川光圀(劇中では二十歳代のはずであるが、「イメージ」として老けた形で描かれる)
平賀源内(昭和のギャグを先取りした面も強調される)
勝海舟(勝麟太郎にかけた勝新太郎ボケをしていたが、のち「かつしんたろう」と言う誤記をされた資料が発見された)
西郷隆盛(西郷吉之助)
大久保利通(大久保一蔵)
桂小五郎(木戸孝允)