ゲッターロボサーガ
げったーろぼさーが
概要
『週刊少年サンデー』に掲載されていた漫画版『ゲッターロボ』や、その続編をひっくるめて呼ぶ大長編ロボットバトル漫画。本来ゲッターロボは漫画が原作ではなく、TVアニメ版と並行して漫画が作られていたマルチメディア展開の作品である。故にアニメと漫画では大きく設定が異なる(というか、サンデー版をゴールデンタイムのアニメで流せるわけがない)。
現在では
- ゲッターロボ(週刊少年サンデー掲載/1974年)
- ゲッターロボG(上記の正式な続編であり冒険王掲載/1975年)
- ゲッターロボ號(月刊少年キャプテン掲載/1991年)
- 真ゲッターロボ(スーパーロボット大戦コミック掲載/1997年)
- ゲッターロボアーク(スーパーロボットマガジン掲載、絶筆/2001-2003年)
の5作がゲッターロボサーガとされている。双葉社から単行本、文庫本が発売中。
後述するが、『真』は『號』の前日譚である点に留意が必要。
アニメとの相違点
身もふたも無い言い方をすれば、漫画版ゲッターロボは登場キャラクターとゲッターロボ以外は全てにおいてアニメ版と別物である。
これは漫画版ゲッターロボは永井豪原作のダイナミックプロ作品というより、石川賢の作品と言って良いからである。永井豪はゲッターロボのデザインと初期プロットの製作に携わっただけであり、漫画版のストーリー展開や世界観は全て石川賢が作り上げた物である。
そのため、漫画版ゲッターロボサーガは石川賢の作風がもろに出た内容となっており、ゲッターチームの面々は闘志を剥き出しにした戦闘狂として描かれ、脇を固めるキャラクター達も頭の螺旋がぶっ飛んだ個性派揃いとなっている。
TVアニメ版はあくまでも勧善懲悪なスーパーロボット作品に徹しているが、漫画版は生きるか死ぬかの生存競争としてゲッターロボの戦いが描かれており、血風吹きすさぶバイオレンスな内容となっている。
ストーリー展開もアニメ版とは異なり、より壮大でSF色の強い内容となっているのが特徴である。物語の骨子も一貫しており、”進化とは何か?生命とは何か?”という壮大で深遠な問いをテーマにしている。
そのため、TVアニメではあくまで設定の一つとして扱われていたゲッターロボのエネルギー源である【ゲッター線】も漫画版では「生命の進化を司る、意志を持った怪物エネルギー体」として定義され、サーガの根幹を成す重要な存在となっている。
ネタバレ含むあらすじ(時系列順)
ゲッターロボ
太古の眠りより覚めた恐竜帝国が地上制圧の為にメカザウルス軍団を解き放った。早乙女研究所所長・早乙女博士は、ゲッター線により動くスーパーロボット「ゲッターロボ」を作り、これに対抗。空手の達人である流竜馬、IQ300を有する学生テロリストの神隼人、柔道が得意な巴武蔵の3人を捕まえ、ほぼ強制的にゲッターチームを結成する。
恐るべき恐竜帝国の軍勢にゲッターチームは奮戦するが、竜馬が大怪我を負い記憶喪失の重体となる。後継機「ゲッターロボG」の完成が待たれる中、ゲッターチームの主軸を失った地上に帝王ゴールの大軍勢が押し寄せる。武蔵は時間を稼ぐべくメカザウルス軍団にゲッターロボで単騎特攻し、ゲッター炉心を暴走させて自爆。
竜馬と隼人は武蔵の仇を討つべくゲッターロボGでゴールに挑むが、新たなる侵略者「百鬼帝国」にトドメとばかりに襲撃され、恐竜帝国はゴールを見捨ててマグマ層に逃走する。帝王としてのプライドを胸にゲッターGに挑むゴールであったが、百鬼帝国の百鬼獣に横槍を刺されゴールは殺されてしまう…。
ゲッターロボG
ブライ大帝率いる残虐なる秘密結社「百鬼帝国」が世界征服を狙い大暴れ。新たに心優しい野球少年車弁慶を加えて再出発したゲッターチームは百鬼帝国相手に奮戦する。
しかし、戦いの最中にゲッターロボGをも上回る超古代兵器ウザーラが現代に蘇り、ウザーラを操るアトランティス文明との三つ巴の戦いとなる。ウザーラによりゲッターロボGが敗れると、この機を逃す手は無いと百鬼帝国は日本に侵攻し、遂に日本国政府を制圧。
百鬼帝国はアトランティスを滅ぼしウザーラをも手中に収めんとするが、それにより危機を脱したゲッターチームは、アトランティスから託されたウザーラと、修復を終えたゲッターロボGを駆り、百鬼帝国を壊滅させるのだった。
真ゲッターロボ
百鬼帝国が滅びて世界は平和になったかに見えた。しかしブライは生き延びており、隕石に乗って地球に舞い戻り、再び地上を戦火に包む。ゲッターロボ、G共にブライ軍団に苦戦し、新たなるゲッターロボ「真ゲッターロボ」によりかろうじて難は脱した。しかしブライは死に際に、「自分はゲッターに滅ぼされし者により蘇った」と言い残した。
程なくして、ブライを生き返らせた昆虫軍団が未来の世界から現れた。遥かなる未来、最強のゲッター「ゲッターエンペラー」により母星を滅ぼされた昆虫軍団は、ゲッター軍団が完成する前に破壊してしまおうと、破壊を繰り返す。弁慶はゲッターGで出撃しこれに応戦するが、Gは暴走し、地中深く潜ってしまい行方をくらます。
残された竜馬と隼人は真ゲッターで昆虫軍団に挑むが、戦いの最中にGは自己進化を遂げ、真ゲッタードラゴンに変貌を遂げていた。真ゲッタードラゴンにより敵は一掃されたが、早乙女研究所もまた、滅びの時を迎えた…。
ゲッターロボ號
早乙女研究所壊滅から時は流れ、今度はプロフェッサー・ランドウと名乗るマッドサイエンティストが世界征服へと乗り出した。防衛組織NISARに籍を置く隼人は、一文字號・橘翔・大道寺凱の3人を新たなゲッターチームとし、ゲッター線を使用しないゲッター號でランドウのメタルビーストと戦わせる。
ゲッターロボ號はランドウの卑劣な罠に嵌り苦戦するも、各国のスーパーロボット軍団との協力により、かろうじてランドウ軍団を滅ぼすことに成功する。しかし、激戦の末にゲッター號は大破してしまった。
ランドウの黒幕は、恐竜帝国の女帝ジャテーゴであった。ジャテーゴは先帝ゴールの果たせなかった地上征服を開始。もはや用済みとなったランドウを始末し、メカザウルス軍団が再び進撃を開始した。
隼人は早乙女研究所に眠る真ゲッターロボを目覚めさせ、恐竜帝国に立ち向かおうとするが、昆虫軍団との戦いでゲッターの恐ろしさを知ってしまった竜馬はこれを拒絶。しかし既に恐竜帝国の追っ手はすぐそこまで迫っており、號たちは全員で真ゲッターに乗って恐竜帝国と戦うことになる。だが、本気を出した真ゲッターは敵どころか町まで消滅させ、搭乗者達をも一時的に同化してしまう。號はゲッター線の意志に触れるも、他の者達はショックで正気を失い、植物状態になってしまった。
真ゲッターは敵か味方か。揺れ動くゲッターチームであったが、凱は真ゲッターに取り込まれ、ゲッター線の導きでロシア軍が核兵器を使用したことを皆に伝える。真ゲッターに乗り込んだ竜馬と號、救世主と呼ばれる超能力少年タイールの3人は核ミサイルを真ゲッターで取り込んで無効化。そしてジャテーゴ一味はおろか、恐竜帝国の地軸変動兵器ムウまでも吸収し、竜馬・號・タイール(正確には凱も)が合体した真ゲッターはゲッターエネルギーの塊となって飛翔し火星に到達。こうして火星に命が芽吹き、地球は平和となった。
スーパーロボット大戦との関連
スパロボシリーズにおいてはたびたび『真ゲッターロボ(原作漫画版)』のクレジットが入っている作品が見受けられる。しかし、内容が再現されたことは無い。どういうことかというと、機体である真ゲッターロボのみの版権が必要で、他はTVアニメ版などから持ってこれるケースがこれに当たるからである。
極端な例だと『スーパーロボット大戦W』では、『ゲッターロボG』がクレジットされているのに、ドラゴン/ライガー/ポセイドンは一度たりとも登場しない。ゲッターチームは真ゲにしか乗らず、キャラデザ・性格の参考にアニメ版『G』が使用されているだけである。
初参戦した『第4次スーパーロボット大戦』発表時において、真ゲッターは3が登場しておらず、2も下半身が描かれていなかった。そのため、急遽石川がそのデザインを描きおろし、脱稿に至ったのである。
この後、前掲の雑誌名からもわかる通りスパロボありきの作品として、漫画版『號』の前日譚『真』が書かれることとなる。これを原作として描かれたのがOVA『世界最後の日』『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』に当たる(勿論、内容は全く違う)。
ただし、『新スーパーロボット大戦』のみ、竜馬・隼人・弁慶の旧ゲッターチームが原作版『號』の設定で登場している(『真』じゃないの?と思われるかもしれないが、この時点で『真』は連載されていないため、竜馬は真ゲッター暴走事故後にゲッターを降り、隼人は軍人になるという『號』準拠の設定で登場している。『號』に登場していない弁慶はこの時石川が改めてビジュアルを描きおろした上で「百鬼帝国との決戦後は母校で野球部監督を務めていた」という事になっている)。