暴れろ!本能のままに!
相棒か?兵器か?
概要
タカラトミーが展開するZOIDS第3世代シリーズ。2018年2月27日、タカラトミーの新商品発表会“最獣要計画”にて発表され、アニメ版のPVも公開された。2018年6月から順次発売される玩具を中心にアニメ、コミック、アプリ、ゲームなどマルチに展開されている。
本シリーズのコンセプトは「発掘」と「復元」であり、この意味では『ゾイドジェネシス』の世界観に近い部分がある。初期の段階で見られる陣営とゾイドの組み合わせは、『ゾイドジェネシス』や往年のヘリック共和国vsガイロス帝国の構図を思わせる感がある。
今までのゾイドシリーズの舞台は地球から6万光年の彼方にある『惑星Zi』であったが、今回は未来の地球が舞台である。よって従来のシリーズとの直接的な関連はなく、詳細は後述するがコンセプトが全く異なる事もあって過去作のように過去に登場したゾイドが登場することは一切ない。
ゾイドシリーズ平成最後の作品でもある。
ゾイドの特徴
本シリーズの制作にあたりタカラトミーがこだわった点は「“ロボットっぽさ”からの脱却」だという。「近年、戦争やロボットを扱った子ども向けの作品は減少が続いており、いまの小学生にとって兵器としてのロボットは身近ではなくなっている。そこで、従来とは異なる野生あふれるゾイドが現代っ子に合うと判断した」との事である。
(ITmediaビジネスオンライン通信の記事より引用)
このため、一部例外を除いて首や背部に跨って搭乗する露天式コックピット(従来のシリーズで言う所の「懲罰席」)になっているのが特徴で、搭乗位置にはゾイドを操縦する為の操縦桿や計器盤すら見当たらない。このせいかゾイドの乗り手の呼称も「パイロット」から「ライダー」に変更されている。
また、設定上のゾイドの大きさも従来のメインシリーズに登場したゾイドと比較すると約半分ほどの大きさに縮小され、24ゾイドやSSゾイド、ブロックスゾイドに近しい大きさとなる(メイン機体のワイルドライガーで例えるならば、絵的には人間が象サイズのライオンに跨っているような形になる)。
外見もバイオゾイドのような生物の骨格を思わせる有機的なフレーム(素体)の上に外装を被せたデザインとなっている。
また、本シリーズでは銃砲類やミサイルなどの飛び道具を搭載したゾイドが少なく、目に虹彩や眼球を持つのも、これまでにはバイオゾイド等でしか見受けられなかった。各種ゾイドのモチーフとなった動物の表記が「型」から「種」となっていること、同種のゾイドでも化石上の個体差があるとされている生物的な特徴も従来のゾイドシリーズとは異なり、更に各ゾイドには人間と心を一つにする事で発動できる本能解放(ワイルドブラスト)という能力を持ち合わせている。
アニメ本編でも「集団行動が得意な事を活かした連携攻撃」、「夜行性なので元気のいい夜間に移動する」など各ゾイドの生態を活かした場面が見られ、少なくともアニメシリーズにおいて「ゾイドが主体で行動する」という特徴はこれまでとはほぼ逆のパターンであり、歴代でも特にゾイドの心や主体性をフィーチャーしているといっても過言ではない。
このような展開の一方で、従来のゾイドシリーズと同様に銃火器などで武装し兵器として運用されているゾイドを描いた特撮ジオラマ映像『ゾイドワイルドバトルウォーズ』も2018年にYoutubeのタカラトミーチャンネルにて公開されている。
世界観
設定によれば、ゾイド人がパンゲア大陸がある超古代の地球にタイムワープし、数万年前に地球に飛来した1個体のゾイドコアから派生した生物であり、絶滅直前の恐竜とゾイドが融合したとされている(参考リンク)。この設定に基づけば、重力や大気中の粒子、金属イオン等の条件が惑星Ziと異なる地球では巨大化できる限界があるという説も考える事もできる。いわば、『装甲巨神Zナイト』の世界と同じ環境条件に棲むゾイドということになる。
余談になるが、過去のゾイドシリーズの舞台となった惑星Ziはゾイドが生まれ育つ条件(水中や地中の金属イオン等)の他にも、地球上にはないタキオン粒子などが存在する為、マグネッサーシステムやエナジーチャージャーなどが機能するほか、人間や虫などのゾイド以外の生物も金属細胞を含有している。
キットについて
先に述べた通り、設定が旧来のシリーズから変更されたため、キットの縮尺は1/72からミリタリーモデル等では一般的なサイズの1/35となり、それに伴いゾイドに跨らせるライダー(パイロット)のフィギュアのサイズも大きくなった。
ちなみにゾイドの各部に取り付ける軟質素材製のキャップやパイロットフィギュアは本シリーズからの新規造型であり、いずれのキットに付属するライダーのフィギュアもアニメの登場キャラクターではなく、ボディスーツを身に纏ったライダーとなっている。また、キャップも陣営ごとに形状が異なり、フリーダム団やシュプリーム団側のゾイドは半透明な円柱状のキャップ、デスメタル帝国側のゾイドは不透明で棘の付いたキャップが使われている。
先に記したコンセプトの示す通り、本作のゾイドは過去の地層から発掘されたものを復元しているという設定が与えられており、ラインナップされているキットも基本骨格と動力が組み合わさったフレームに装甲を取り付ける形でそのコンセプトを再現している。
なお、キットはゾイドバラッツのようにパーツがランナーからあらかじめ切り離されていてニッパーを必要とせず、フレームや装甲などの各種パーツ類は分解状態でキャップやパイロットフィギュアの入った「Sパック」、骨格パーツの入った「発掘パック」、外装パーツの入った「復元パック」というビニール袋に個別に包装されていいて、パックを固定している梱包材の段ボールには、地層をイメージした模様が描かれている。
ただしパーツが一つ足りなかったりするなど入れ間違いが発生する事があり、タカラトミー側は問い合わせがあれば必要なパーツを郵送するなど対策をしている。
前述の切り離し済みパーツをはじめ、取り扱い説明書(復元の書)も前年のセイスモサウルスから取り入れられたフルカラー印刷となり、更にはタカラトミーのYoutubeチャンネルにて組み立てサポート動画も配信されているため、低年齢層でも組み立てやすいよう配慮されている。キットの中の構成と組み立て工程を「復元」、説明書を「復元の書」に見立てたことにより、世界観に入り込める「なりきり玩具」の要素も含まれている。
ゾイドシリーズの醍醐味とも言えるゼンマイやモーターによって各部を可動させながら歩行する駆動ギミックの他にも今シリーズの目玉であるワイルドブラストギミックも手動または電動で再現でき、大型モデルではそれに合わせた大胆な変形ギミックを楽しめる。
また、各ゾイドの装甲には従来のゾイドシリーズのように3mm径のハードポイントが設けられており、規格さえ合えば今までのシリーズのカスタマイズパーツは勿論、ゾイドシリーズ以外のプラモデルのパーツを取り付ける事も可能である。
アニメと同様にキットは一部の国で現地の玩具メーカーを介して販売されているが、北米地域向けのハズブロ版のキットはゾイドの名称からパッケージの外装、キットの仕様に至るまで変更が加えられ、ライダーのフィギュアも各々のゾイドに対応したアニメの登場人物のものに変更されている。
また、コトブキヤからは同社の高年齢層向けキット・HMMシリーズよりワイルドライガー、ファングタイガー、ギルラプターの発売が決定している。
メディア展開について
ラジオ
2018年7月11日深夜1:00よりMBSラジオにて『ゾイドワイルド~本能覚醒ラジオ~』が放送開始。アニメの声優陣が入れ替わりで出演する。
アプリ
タカラトミーの『ゾイドワイルド』公式サイトでは、スマートフォンで撮影したキットの写真に炎や稲妻などのエフェクトを加えて静止画や動画を撮影する機能「ZFX」、アニメ本編とは異なるストーリーが展開される「バトルシミュレーションゲーム」、キットの組み立て工程を動画にて詳細に解説する「組み立てサポート」の3つの機能を搭載した『ゾイドワイルド』公式アプリが配信されており、キットの「復元の書に」付いているQRコードを読み取れば、ZFXで使用可能な専用のフォトフレームやゲーム内で使える特典が入手できる。
ゲーム
アーケードゲーム『ゾイドワイルド バトルカードハンター』が稼働するほか、ニンテンドーSWITCH用ソフトとして『ゾイドワイルド キングオブブラスト』が発売。前者では過去のシリーズからのゲスト出演としてブレードライガーが登場している。
TVアニメ
TVアニメに関しては2018年7月から2019年6月まで毎日放送(MBS)をはじめとするTBS系列28局にて、アニメサタデー630前半枠(MBS制作枠)にて放送。アニメーション制作はOLM。
『ゾイドフューザーズ』と『機獣創世記ゾイドジェネシス』がテレビ東京系列での放送だったため、本作は『ゾイド新世紀/0』以来17年ぶりにTBS系列で放送されるZOIDSのアニメシリーズとなる。
キャラの名前やデザインに言動、ギャグシーンの多さなど、これまでの作品と比べると幾分子供向け要素が強く、ストーリー展開も難解な伏線などはなく単純明快。物語中盤からは『ゾイド-ZOIDS-』のように視聴者からのお便りによる自作ゾイドの紹介も行なっていた。
一方、ゾイドとの絆の意味や主要キャラ・ゾイドの死などこれまであまり触れられなかった難解かつグレーな部分やデスメタル帝国の被害の実態など『ゾイドジェネシス』のようにシビアかつシリアスなエピソードも多く、明るい部分と暗い部分の差が激しい内容になっている。
また、過去作ではED曲の変更はあってもOP曲が変更される事はなかったが、本作では初めて1クールごとにED曲とセットでOP曲が変更されるようになった。
従来の路線から大きく趣を異にした為か旧来のファンからは賛否の声が挙がったものの、その甲斐があって年末頃にはゾイドの購入者層の80%は小学生以下とのアンケートの結果が出ており、売上も大変好調であった事をコロコロオンラインで語られている。アニメシリーズの放送により、これまで失速していた新規低年層の獲得に成功し、ある意味ゾイドシリーズの新たな出発点とも言える作品となった。
この作品の終了により、MBS制作の全日帯アニメが途絶えた(というかTBS系列からアニメ・特撮・子供向け番組全般が全日帯から消えた。アニメサタデー630も参照)。
なお、アニメはフィリピンやシンガポールなどの一部アジア地域やアメリカでも放送され、それに並行してキットも発売されている。
あらすじ
此処は荒廃した未来の地球、そこには金属の肉体と動物の本能と闘争心を持った生態系の頂点に君臨する最強生命体ゾイドが住んでいた。人々は自らの生活を脅かすゾイドを恐れる一方で、兵器として各地を支配する為の道具として利用する者や相棒として共に歩む者もいた。
切り立った断崖に位置するイナカ村に住む少年アラシはゾイドを相棒に旅をする父親に憧れ、自分の相棒となるゾイドを手に入れる為に村を抜け出してゾイドを捕まえに行ったがあえなく失敗し、逆に襲われてしまう。
そんな彼を救ったのはベーコンと名乗るシュプリーム団のリーダー。彼らが旅をする目的はゾイドを兵器とし支配するデスメタル帝国から逃げ出した『伝説のライオン種』のゾイドを追うことであった。
タイフウに怒られ不機嫌なアラシはそれでも自分の相棒を諦め切れず、伝説のライオン種のゾイドの噂を聞くと咆哮が聞こえた場所へ向かい、傷ついた伝説のライオンワイルドライガーとの邂逅を果たす。だが、ほどなくしてワイルドライガーを捕獲すべくデスメタル帝国の構成員Dボーイズが現れた。アラシの旅立ちはここから始まる…
ゾイドと人間が究極の絆を結んだ時、秘められた力が覚醒する。本能解放、ワイルドブラスト!
登場人物及びゾイド
フリーダム団(主役サイド)
- アラシ(CV:小野賢章) & ワイルドライガー(ZW01)
- オニギリ(CV:小桜エツコ) & ガノンタス(ZW05)
- ペンネ(CV:小松未可子) & スコーピア(ZW04)
- ギョーザ(CV:木村昴) & トリケラドゴス(ZW11)
- ソルト(CV:内田雄馬) & ハンターウルフ(ZW16)
- ヨウカン(CV:小清水亜美) & スパイデス(ZW18)
シュプリーム団
- ベーコン(CV:櫻井孝宏) & ファングタイガー(ZW19)
- ソース(CV:小清水亜美) & カブター(ZW03)
- キャンディ(CV:生田鷹司) & カブター
- クロアメ(CV:???) & グラキオサウルス(ZW08)
- アボカド(CV:木村隼人) & アンキロックス(ZW21)
- ガーリック(CV:西山宏太朗) & パキケドス(ZW24)
デスメタル帝国(敵サイド)
- 帝王ギャラガー(CV:関智一) & 黒いギルラプター(ZW22)・デスレックス(ZW12)
- ドレイク(CV:石川界人) & ギルラプター(ZW02)
- キャビア(CV:奈良徹) & ガブリゲーター(ZW06)
- フォアグラ(CV:小山力也) & ナックルコング(ZW10)
- トリュフ(CV:檜山修之) & ステゴゼーゲ(ZW14)・ディメパルサー(ZW20)
- ラッキョー(CV:矢部雅史) & クワーガ(ZW07)
- Dボーイズ(戦闘員) & ラプトール(ZW09)・ディロフォス(ZW23)
- ソダース(CV:内匠靖明)
- ザマース(CV:遠藤大輔)
- アザース(CV:岡林史泰)
- ハッピー(CV:北田理道)
- ラッキー(CV:ブリドカットセーラ恵美)
- ウッキー(CV:浜添伸也)
その他
余談
- 登場人物の名前の多くはメインターゲットの低年齢層にも覚えやすいように一部の人物を除き天気や食べ物、調味料や単語などから取られている。
- これまでのシリーズにおいて「モデルとなった生物の大型個体よりも体長が短い」という例は主にスピノサパーなどが当てはまるが、全体として見ればかなり少数派であった。だが、本作ではその条件に当てはまるゾイドの割合が少なくない。
- 次回予告の前に『ゾイドワイルド』の世界設定や用語を初心者のアラシが質問側、ベーコンやペンネのような経験者が解説側としてSDキャラになってメタ発言を含めた漫才形式で説明するオマケコーナーが挿入される。
そして2年目へ
2019年7月の2年目からは新シリーズに突入。アニメは『ゾイドワイルドZERO』、漫画は『ゾイドワイルド2』の2つのメディアミックスにて展開される(玩具は引き続き『ゾイドワイルド』のタイトルで展開)。
当作ではゴーグル状のバイザーで覆われた眼や外付けの武器を装備するなどより兵器らしいデザインになった兵器ゾイドが登場し、進化ゾイドVS兵器ゾイドという従来の路線に回帰したような構図になっているのが特徴。
ワイルドブラストもより野生的に進化した「進化解放(エヴォブラスト)」(進化ゾイド)と、人工的につけられた兵器を展開する「兵器解放(マシンブラスト)」(兵器ゾイド)に分かれている。
組み立ての基本的なコンセプトは前作と同じ(兵器ゾイドも発掘したものを改造するという設定)だが、一部のエヴォブラストユニットとマシンブラストユニットは互換性があり、容易に交換が可能になっている。また、パッケージにはかつてのシリーズと同じようにバトルストーリーや改造バリエーションなどが記載されている。
前作のゾイドには3mm径ジョイントが付いていながらも専用の追加武装セットの類は発売されないままシリーズ終了となったが、当シリーズにてようやく製品化。もちろんキットと同様にランナーレスタイプなのでニッパーは不要である。各パーツに設けられたジョイントにより様々な取り付け方が楽しめる。
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