フェストゥム
ふぇすとぅむ
あなたはそこにいますか…?
概要
2114年に突如宇宙から飛来し、人類を脅かし始めた知的生命体。名前はラテン語で「祝祭」を意味する。構成成分の大半がシリコン(珪素)であることから、「シリコン型生命体」とも称される。
その本来の目的はミョルニアによると、「宇宙を無に帰すことで、より高い次元へ移行させる」ことにある。
無に帰すための手段として、フェストゥム以外の存在に対しその存在を問い、「そこにいる」と判断したら無に帰すために同化を行い、「そこにいない」と判断したら「あるはずのないものがある」と見做して攻撃を行う。
冒頭の「あなたはそこにいますか」は人類に対してのフェストゥムの問いかけ(=事実上の抹殺宣言)であるが、これは人類がかつて外宇宙に飛ばしたメッセージが「あなたはそこにいますか?」であり、それを受信してしまったが故の始まりだったと言える。
個体にもよるが体形状をある程度変化させることができ、結晶核(コアまたはペルソナとも)を破壊しない限り倒せず、読心能力や高次元の防壁であらゆる攻撃を無効化し、レーダーも効かないため有視界戦闘用の兵器として人類はファフナーを建造することになった。
人語を解するフェストゥムは、ファフナーを「器」と呼んでいる。
また、電波などの広域通信ではフェストゥムを呼び寄せてしまう事が知られており、世界から姿を隠した竜宮島がフェストゥムに発見されたのも、子供たちが直した1つのラジオが遠因となっている(ただし1期1話の襲撃は、一部の島の人間が意図的に引き起こしたもの)。
レーダーも使えず、広域通信も使えないという特性から、通信ネットワークによる戦略的な対抗はほぼ不可能となる。
故にテクノロジーが現代より大幅に進歩している『蒼穹のファフナー』世界において、通信関連だけは20世紀後半レベルで停滞してしまっているようである。
下記の様に様々な種類があるが、フェストゥムという存在は原則としては全体で一つである。
各々のコアを通し、ミール(後述)から送られてくる情報と意思を全体で共有するため、基本的に固有の意思を持たず、個体という概念自体がない。
前日談『RIGHT OF LEFT(以下ROL)』以前は海水が天敵であり、触れると異常結晶化し自壊してしまっていた。しかしROL終盤で「新陳代謝」の概念を手にいれ海水を克服、L計画最大の悲劇へと繋がる。
但し海中では同化能力が半減するために、水中活動専門の種が生まれてはいるが海を主要に活動することは滅多にない。この欠点はTVシリーズ二期『EXODUS(以下EXO)』でも一部例外を除き変わらない。
2133年に自らの意思で同化を望んだ最初の人類と出会い、人間を理解していく内にマスター型の様に固有の意思を持つ個体も現れ、2146年の第一次蒼穹作戦では北極海ミールが死の間際にフェストゥムに個体になることを与えた結果、フェストゥム内にも派閥が発生。
しかしその直前に狩谷由紀恵から「憎しみ」、皆城総士から「痛み」を学び、作戦後も新国連上層部が敵の殲滅を目指したことで大半のフェストゥムは人類に対する強烈な憎悪に染まり、殺害の手段として同化を使う、民間人を優先して狙う、挙句に敢えて同化やワームを使わずに対象を文字通り叩き潰し、敵の苦しみを嘲笑うなどそれ以前のフェストゥムから完全に変わり果ててしまった。
更には「派閥」と「個」が発生したことでフェストゥム内部でも敵対や騙し合いが起き、仇敵である竜宮島と穏健派同士手を組んで(といっても同意を得たうえでの同化という方法だが)人類・フェストゥム双方の主戦派を殲滅しようとしたかつての空母ボレアリオスの群れ、人類相手に共闘しつつも隙あらば他の個体を同化・排除しようと狙っている各アザゼル型の群れなどが作中に登場している。
群れに属さない個体、戦いを望まない個体を強引に支配下に組み込んだり、敵対するアザゼル型が人類側の攻撃で瀕死になったところを奇襲してトドメを刺してしまうなど人間を同化したことで、人間の暗黒面に逆に同化されたと言っても過言ではない状況に陥っている。
一方で敵意のない群れや人類と共存に近い状態に至った群れも存在しており、そんな群れの一つはさながら珪素で出来たどうぶつの森とでも言うべき領域を形成していた。
いずれにしても、フェストゥム本来の目的から外れつつあるのが『EXO』時点での彼らの姿と言える。
主に黄金色に輝く神秘的な姿から、初めて実物を見た者が「綺麗」と言うのが劇場版『HEAVEN AND EARTH(以下HAE)』までのお約束だったが、人類に対して憎悪する個体は醜く禍々しい姿をしている。そのためか『EXO』ではこのセリフが出てこなかった。
同化
フェストゥムからの「祝福」。対象とひとつになることで、その能力や情報を獲得できる。同化し続けるうちに、「飽和」を起こして崩壊する個体もいる。同化された人間は基本的に「いなくなる」が、脳の中枢神経などを同化されただけの「半同化」になると、人の姿を保っているものの、自我が失われ脳死に近い状態に陥る。
外部作品かつファフナーが微妙な扱いを受けた作品であるが、スーパーロボット大戦Kでは同化について「プールいっぱいの水に一滴のジュースを垂らすようなもの」と表現している。ジュース(=同化された人間)は限りなく拡散し、抽出することは不可能である。
だが、特殊な条件が重なることで同化される前の自我を残したり、逆にフェストゥムに祝福を与える(フェストゥム側曰く「共鳴」)ことがあり、「共鳴」をしたミールやフェストゥムは大きな影響と変化を受ける。しかしながらこれらは例外中の例外であり、やはり普通は同化=人としての死である。
『EXO』時点では、人類に敵対する群れが祝福ではなく殺戮の手段として同化を使用している傍らで、人類に友好的な派閥は意思疎通のために同化を用いている。後者は通常の同化と違って、人間が体に結晶を生やされても痛がる様子はなく、彼らを取り込むこともない。
強力な個体(いずれもアザゼル型が行っている)になると通信機器経由での同化も可能になるようである。
シリーズ、及び各話によっても若干異なるが、基本的には緑色の結晶が発生するのが「同化(現象)」で、「いなくなる」場合はその結晶が全身を包み込んだあと砕け散り、跡には何も残らなくなる。
ワームスフィア現象
フェストゥムの主な攻撃手段。任意の空間を内部ごとゼロ次元へ向かって捩じり切る。
「フェストゥムが黒く光ると、何も無い空間に突如黒い球体が発生、内部の物質が消滅する」という形で描写されており、読心能力もあって回避は困難、対策がなければ一撃必殺という恐るべき攻撃。更には倒された際にも爆風代わりに発生し、これに巻き込まれたマークエルフは主人公機でありながら第2話にして原型を留めないまでに大破している。
上記は基本形であり、フェストゥムの進化とファフナーのワーム耐性の向上によって砲撃、光線状に照射、雑巾絞り、円盤状にして投げつけるなど派生形が増えている。
『EXO』では高密度に圧縮して楔状にしたワームウェッジが主力となっているようである。ファフナーの装甲のワーム耐性が上昇したことを受け、装甲を貫通して内部で直接起爆することで有効打を与えるというものである。
なおこれ自体にも同化能力があるのか、球体をファフナーなどで防ぎきっても庇われた人間が同化現象で消滅するシーンがある。
因子
フェストゥムが持つ因子。日本で発生したミールの遺伝子汚染もこれによるもので、竜宮島ではこれを研究し、フェストゥムに対抗するべく人工子宮を用いて先天的に移植した子供を生み出すことに成功している。
これにより、子供達はミールの遺伝子汚染の影響を受けず生殖能力なども保持している。国際犯罪に該当する遺伝子操作ではあるが、フェストゥムの存在故に新国連も半ば黙認せざるを得ない上に実際に彼らの身体は人間とフェストゥムの遺伝子レベルの融合として研究対象としても貴重とされる。
ただし、ファフナーに搭乗した場合は体内の因子と機体のコアが共鳴して増殖、最終的には同化現象で死に至る危険性を孕んでいる。
人類軍ではこの研究が全く進んでいなかったが、島を飛び出した「「真壁一騎」」から採取した細胞サンプルを元にファフナーへの搭乗を可能とする特効薬MAKABE因子の開発に成功、これにより人類軍でもコア搭載型ファフナーへの搭乗が可能となる。
また、この因子を移植された人間同士の子供の中にはフェストゥムの言語と感情を理解する特異能力者が誕生するほか、何らかの要因で同様の能力を得るケースが確認されている。
種類
スフィンクス型
「あなたはそこにいますか?」(CV:ゆかな)という問いかけに肯定すれば同化、否定すれば攻撃という反応を示す。問いかける者という意味でスフィンクス型(小説版では質問者型)と名づけられたが、別にこのタイプだけが問いかけてくるわけではない。
A~Eの種が確認されており、後の方になるほど砲撃特化の影響で大型で前のめりになってくる。
- スフィンクスA型種
劇中でも最も多く遭遇するタイプのフェストゥム。来主操もこの種である。
- スフィンクスB型種
『EXO』で登場した。他のスフィンクス型と比べると全体的に筋肉質で完全な人型をしている。人類を学んだ結果による物なのか頭部などは非常に禍々しい(目一つ口一つの顔が二つ並んでいる)。ワームウェッジを連射したり、プレアデス型(親)の光学迷彩、コアを持たずに本体と同等の戦闘力を持つ分身を生み出す等の多彩な能力を持つ。
ウォーカーによる三回目の侵攻時にはファフナーの能力を反映した特化型(公式の呼称はシールド、キャノン、ソード、フィスト)が投入され、相性によるものとは言えファフナーを圧倒するほどの戦闘力を見せている。
- スフィンクスC型種
A型種の進化型。巡航形態に変化することもでき、主に宇宙空間での活動が報告されている。
- スフィンクスD型種
スフィンクス型の中では最も長距離攻撃を得意とする種。
ワームスフィアやワームショットによる直線的攻撃を基本戦法とするが、近距離攻撃に弱い。
- スフィンクスE型種
『HAE』に登場。C型種とよく似たフェストゥムであり、背中に無軌道爆弾のようなものを搭載している。
アルヘノテルス型
体からグレンデル型という小型フェストゥムを生産し、仮に自身が撃破されてもコアが無事ならグレンデル型と再同化を行うことで自己再生を行い再起動する。
『EXO』19話ではウォーカーの群れに属する24体が陣形を組む事で同化能力・個体防壁を強化している。この戦法は第四次蒼穹作戦でも使われたが、マークザインによってあっさり攻略された。
グレンデル型
アルヘノテルス型が生産する小型フェストゥムで手の化け物みたいな形状をしている。
その気になれば人間が扱う小火器でも撃退可能である。
『EXO』では体長数ミリの個体が竜宮島のシールドを覆い尽くすほど大量に生み出され、親玉のアルヘノテルス型が全滅すると共に消滅した。
- グレンデルH型種
『TBE』登場の新種。人型でバイクの様な物に乗っており、対人戦に特化した個体。
ブレードによる格闘攻撃とワームショットによる攻撃を行う。人型とバイク部分は分離が可能。
元々は『EXO』で登場予定だったが未登場で終わり『TBE』で再度採用された。
コアギュラ型
接触による高速同化をメインとする特殊なフェストゥム。攻撃意識を持たないため、フェストゥムを探知するソロモンでも判別が難しい難敵。
同化能力が桁外れに高く、耐性がなければほんの数秒で完全に同化されてしまうが、攻撃行動自体は一切してこない。
砂と同化して人型の土人形を作り上げることもある。
- コア型
コアギュラ型から分化した存在で、フェストゥム・人類の融合独立個体。
数が極めて少なく、作中でコア型と明言されたのは竜宮島ミールのコア・皆城乙姫のみ。
ただしその成り立ち上、皆城織姫も、コア型と思われる。
なお『EXO』に登場する来主操は、ボレアリオスミールのコアだがフェストゥムと「人類の」融合独立個体ではなく、あくまで「人と同じ振る舞いを選択したフェストゥム」で、公式サイトでも「スフィンクス型フェストゥム」と記載されており、ミールのコアがコア型フェストゥムとは限らない模様。
プレアデス型(親)
魚の様な体に手と羽を付けた姿のフェストゥム。フェストゥムとしては珍しく顔がある。
頭部(目)から強力なプラズマを発射する能力があるほか、目視さえ不可能な完全なステルス能力、後述するプレアデス型(子)を生産し自爆特効させるといった厄介な攻撃をする。竜宮島で交戦したファフナーをことごとく退けコアに迫ったが、新生マークザイン(リミッター搭載前)の初陣の獲物となった。
ゲーム版ではアヌビス型と命名された。
- プレアデス型(子)
プレアデス型が生産する自律飛翔型追跡爆弾。取り付いたあと少し間をおいて自爆する。
大量に集まって自爆した際は、竜宮島の山部分の装甲を吹き飛ばすほどの破壊力を発揮した。
なお、倒しても親となるプレアデス型が健在ならいくらでも再生産される。
ゲーム版ではアルキオネ型と命名された。
フェストゥムマークニヒト
ゲーム版でのみ登場した金色のマークニヒト。
ホーミングレーザー、広域ワームスフィア、アームブレード、ワームショットといった多彩な攻撃を得意とし、さらに被弾することでフラグメント型を分離する。
ちなみに設定上では、これとは別に『HAE』以降の時間軸でマークニヒトの形状を模したフェストゥムが出現しているらしい。
- フラグメント型
フェストゥムマークニヒトの欠片。
特性はアルキオネ型と全く同じだが形状が若干異なる。
マスター型
人の姿を取れるフェストゥムの中でも、かなりの意思決定権を与えられた高等フェストゥムで個体数が非常に少ない。(確認されているのはミョルニアとイドゥンの二人のみ)
人としての姿かたちは同化した人物そのもので元となった人物の記憶も持っているらしく、人間社会に溶け込むことも可能だが、ミョルニアは同化した相手ではないと自称していた。
スレイブ型
同化能力を持たず、他のフェストゥムに捕食される存在。
自らの意思で同化能力を捨てたフェストゥムもこのスレイブ型に分類される。
劇中では春日井甲洋が該当しているが、『HAE』では自ら同化現象と見られる能力をマークニヒトに対し行使している。
その後『EXO』で完全に人としての存在とフェストゥムとしての存在を保った上で復活しているため、タイプが変化している可能性がある。
スカラベ型
周囲にあるものを同化して、ひたすらに巨大化し、やがて根(通称:パスタ)を張る植物タイプのフェストゥム。『HAE』で来主操のミールが根城にしていた空母に、飽和した状態のこの種が張り付いている。
- スカラベR型種
スカラベ型の完熟形態。一期の時点では(人類軍が把握している限り)3体のみの希少なフェストゥムだが、『EXO』では個体数も増加し、ウォーカーの群れだけで7体も存在している。
相手の射撃エネルギーを捻転エネルギーに変換して撃ち返し、武器や腕を捻じり上げて破壊する「ワームカッター」を放つことができる。
この捻じり上げは、システム上は破壊されていないと扱われるためにペインブロックシステムが発動しない。
後にボレアリオスミールに属していたスフィンクスA型種もこの攻撃を体得した。
- スカラベJ型種
『HAE』で登場した。「島殺し」の異名を持ち、根を張る以外にも枯葉剤に似た毒を散布して島そのものを攻撃した。
また、この個体のワームスフィアは緑色をした非常に強力なもので、普通のワームスフィアなら耐えられるノートゥング・モデルファフナーの装甲を跡形もなく消して見せた。
R型とは異なり動きも非常に素早く、先端が尖った体による突撃や触手による刺突も非常に強力。
竜宮島に襲来した際には、たった2体でマークノイン、マークツェン、マークドライツェンを戦闘不能に追い込んだ。
『EXO』でもシュリーナガルエリアにアザゼルB型種の派閥構成員として攻め入っていたが、マークニヒトの同化ケーブルによって支配され、根を利用されてしまう。(通称:皆城パスタ)
リヴァイアサン型
巨大な魚状のフェストゥム。直接口で飲み込んで同化する。『HAE』では電撃能力を体得した個体も現れている。
『EXO』では口から高出力のワームショットを吐き出す能力も得た。第18話で要塞艦アルヴィスの全長に比肩する体長60キロの個体が登場している。立上芹を触手で捕食しようとしたが、飲み込んだ後で逆に美味しくいただかれてしまった。第四次蒼穹作戦でも特大の個体が登場するが、マークニヒトの特大ワームリングと凍結同化付き特大虚無玉で撃破された。
ウーシア型
『ROL』で登場した大型フェストゥム。この時代ではフェストゥムは海中に入れないこともあってか種類も少なく、質問も大体はこのタイプが行っていたのでスフィンクス型と認識されていた。
このタイプの情報を元に海中に適応したフェストゥム(この時はスフィンクスA型種)が現れるが、『EXO』でも水に入れないのかは不明(海中に没した鏑木彗を追撃しなかった所を見ると恐らく入れない)。
フェストゥム内では指揮官機に当たる存在で、シーモータル型を生み出す能力を持つ。
シーモータル型
航空機を模倣した小型フェストゥム。グレンデル型と同じ数で勝負するタイプ。
ただしサイズはグレンデル型より大きい。
- シーモータルA型種
『RoL』に登場したタイプ。触手を刺すことで相手を同化する。
- シーモータルB型種
『EXO』で登場した航空機に手足が生えた形状のフェストゥム。同化の他、ワームウェッジを弾丸の様に放つ。
通常は小型だが、アビエイター群に属する個体はノートゥング・モデル並みの大型で、非常に高い同化能力と前面のみだがファフナーの火器を無効化できるほど強固なシールドを形成できる。
エウロス型
『HAE』で登場した、人の武器などを理解して攻撃手段を組んでいる高位の戦闘フェストゥム。身体の一部を武器に変化させることが出来る。
代わりに人類側の戦術も通じるようになっている。赤い身体が特徴的(ミョルニアから人類の武器を理解しているため)。
更に敵意のない個体まで支配下に置き、自分たちの戦力に組み込める。
『EXO』ではアザゼルE型種の群れに属しており、今度は人間との戦い方も学習したことでアルゴス小隊をも圧倒し、アザゼル型とも戦えるほどに強くなった。
ディアブロ型
『EXO』で登場したエウロス型と同じ人型フェストゥム。右腕は巨大な槍に変化している。
「奴だ!悪魔が現れた!」
「ディアブロ型だ!みんな、殺される!」
- ディアブロA型種
ワームスフィアを円盤状にして投擲する能力も持ち単体でも非常に強力だが、コクピットを同化したファフナーを操る事で同士討ちをさせたり、手足を狙わずにコクピットを優先して攻撃してくるなど、その戦法は非常に狡猾。
またコクピットを串刺しにして並べるなど残虐性も極めて高く、人類軍に『悪魔』と恐れられており、この型を倒したことは英雄二人が起こした奇跡の1つに数えられた。
フェストゥムに近い存在となっている総士にもパイロットを殺して機体を奪う姿から『憎しみと虚無の塊(=マークニヒト)』のような存在と判断され、アザゼル型と対話を試みた操にさえ嫌悪感を示された。
このタイプの同化も極めて厄介であり、竜宮島でコアギュラ型相手に行った同化された部分を切り離す手段が全く意味をなさず、切り離しても同化されてその機体は攻撃してくる。一度攻撃をされたらもはや脱出もパイロットの救出も不可能で、指揮官機からの遠隔操作でフェンリルを起動させて自爆させる以外に対抗手段が存在しない。
第1話のハワイ戦では単独で人類軍のファフナー部隊の殆どを屠り、第9話のシュリーナガルへの侵攻でも数匹確認されている。
ちなみにファフナーと同化した際に生まれたタイプらしく、操るファフナーが完全に同化された時はこのタイプに変化する。
- ディアブロJ型種
「識別コードが生きている!セーフティが効いて撃てない!」
「セーフティ解除確認!同士討ちに気をつけろ!」
同化された人間(主にファフナーパイロット)を元に生み出される小型フェストゥム。このタイプが成長すると上記のA型になる。
弾丸の雨あられを余裕で回避する機動性と、エインヘリアル・モデルをも乗っ取る小型のコアギュラ型とも呼べる高い同化能力を持ち、引き剥がそうとしてもダメージを受けた部分が即座に回復するので、人間の力では実質的に助ける手段は無い(精々介錯が限度)。
更に厄介なことに、IFFの概念を理解しているので取り憑かれた機体は友軍機のまま攻撃してくる。しかも、指揮官機も同化された場合は司令室からの遠隔操作でフェンリルによる自爆も出来ず、攻撃されている側が同化されていると分かってもセーフティロックがかかって攻撃できないため、交戦規定アルファを発令した上で機体認証をデリートしなければ発砲などの一切の対処が不可能。
ただし、同化現象でJ型だけをピンポイントで消滅させてしまえば話は別であり、劇中でマークザインがそれを実行し、後にSDPにて同化による回復能力を得たマークアハトが同様の事を行っている(マークドライのコクピットに取りついたJ型を排除している。またツクヨミにも実行しようとしたが、先に自身が乗っ取られ失敗)。
アケロス型
『EXO』で登場し、BD-BOX付属のブックレットで初めて名前が明かされたフェストゥム。
魚に甲殻類の腕を生やしたような姿をしており、水中で目標に突進する。
アザゼル型
『EXO』で登場した巨大なフェストゥム。詳細は該当記事を参照。
- アザゼルA型種 ウォーカー
- アザゼルB型種 ロードランナー
- アザゼルC型種 アビエイター
- アザゼルD型種 ベイグラント
- アザゼルE型種 フローター
- アザゼルF型種 クロウラー
グレゴリ型
「みんないなくなればいいのに」(CV:石川静)
人の姿を取ったフェストゥムの一種。だが、目玉が異様にでかいため初見でなくてもビビる。
その反応を見て楽しむような悪ガキのような雰囲気だが、その代わり積極的に人を襲うようなことはしない。
作中の登場人物曰く、フェストゥムに同化された人間の意思が断片的に残ってしまったフェストゥムらしい。
シュリーナガルミールに寄生していた個体がミールを移す一行の旅に随伴している……と見られていたが、『EXO』1クール目のラストで上記の台詞を吐き捨て、不穏な空気を残すことになった。
正体は新国連に滅ぼされた第三アルヴィスのコアだった少年。
ダーウィン基地の「プロメテウスの岩戸」に、ベイグラントのコアとなった本体(こちらは常人の目をしている)が囚われている。島民を殲滅した新国連に利用され続け、自らの分身であるパペットの人格を繰り返し消去させられてきたが、犠牲を糧に「ゴルディアス結晶」を育み、パペットの一人ジョナサン・ミツヒロ・バートランドを「憎しみの器」として目覚めさせ、自身も覚醒。マークレゾンを奪うと、新国連から離反した人類軍司令官を懐柔し、彼の艦隊を敵にぶつけている間にアルタイル(後述)との接触を図る。
第四次蒼穹作戦では竜宮島ミールから真壁一騎を奪おうとするも、島のミールとその協力者である操に妨げられ失敗。しかも、アルタイルに自らの憎しみを同化させようとしていたが、なんとアルタイルにそっぽを向かれ同化を拒否されるという屈辱を味わった。
今度は竜宮島のコアを同化しようとした矢先に、マークニヒトの手でベイグラントの結晶核を砕かれて消滅。しかし、ゴルディアス結晶は宇宙に残り、死を願うジョナサンの前に再び姿を現した。
『THE BEYOND(以下TBE)』のクレジット表記は新国連時代の「プロメテウス」だが、作中で更に絶望を意味するマレスぺロという名前が増えた。また、第三アルヴィス時代の名前も判明した。
ギガンテス型
『TBE』で登場した大型フェストゥム。
ウミガメに似た姿をしており、口部からの火炎放射や胴体や尻尾先端からビームを放つなど広域殲滅能力に長けており、ヘカトン・ウォールと呼ばれるタイラント(核)をも防ぐフィールドを展開する。
マイスター型
『TBE』で登場した新種のフェストゥム。
パペットから進化した種であり、外見は人間そのもの。ソルダートと呼ばれる兵士を生み出すことができる。
- ソルダート
マイスター型が人間を同化して生み出す兵士。素体となる人間の胸(心臓?)から同化結晶を生やし、珪素製のスーツとフルフェイスマスクでコーティングすることで生まれ、ベノンの歩兵もしくはファフナーのパイロットとして運用される。このスーツはレガートとマリスもファフナー搭乗時に着用している。
ミール
フェストゥムの思考中枢を司り、彼らを生み出して同化により情報を収集させる光子結晶体。基本的には結晶体の形を取っているが、条件や経緯により様々な形を取る。総士曰く「ミールとフェストゥムは、未知の物理法則で(事象の)地平線のエントロピーを得る〈無の申し子〉」である。
要するに、フェストゥムの親玉で意思や知性を持ち、学習さえすれば何にでもなれる可能性を秘めた、すごいエネルギー。
互いに同化し合うため、異なるミールが1ヶ所に根付くことはできない。
変容したミールは「ミール変異体」と呼ばれ、『EXO』の時期には竜宮島ミール・シュリーナガルミール・アザゼル型の活動が新国連に確認されている。また、純粋ミールの一つ・アルタイルの到来に伴い、全世界のミールの欠片が「滅びではない未来」を模索している。
『HAE』の時点でミールとの交信ができる日野美羽が生まれており、『EXO』では彼女と同じ力を持つ〈エスペラント〉と呼ばれる人々が登場した。
『TBE』から「人の心と姿を持ちながらフェストゥムに近い存在」の総称として、〈エレメント〉という用語が登場した。フェストゥムに同化されながらも個を保った人間やミールの祝福を受けた人間、人との関わりで学習し人の姿を取るミールのコアが該当する。これに当てはまると明言されているのは、一騎、総士(転生前と転生後の両方)、甲洋、真壁紅音、乙姫、皆城織姫、2代目の操。
- 超古代ミール
遥か昔に地球に来訪し、類人猿からホモサピエンスへの進化の要因となったミール。
人類の大発展により極小化したが、現代でも人類の染色体と一体化して遺伝され、フェストゥムが現人類の思考を読めるのはその名残りとされている。
詰まる所、人類とフェストゥムは同じ起源を持つ同族である。
『TBE』まで作中で具体的明示はなく、公式の裏設定としてのみ明かされていた。
- 瀬戸内海ミール
超古代ミールに引き寄せられ、その次に来訪したミール。
2085年に瀬戸内海の海底で発見され、研究されていた。しかし、北極ミール襲来後、このミールが「生まれて死ぬのなら、生まれなければ死ぬことはない」と「死」の概念を誤解し、日本中の生物を死から守ろうとした善意から放たれた毒素が原因で、日本中の生物が受胎能力を失った。なお皆城鞘や近藤彩乃など、当時国外にいた日本人女性は難を逃れている。
2118年の新国連の核攻撃で日本列島が消滅してからは、研究のために三分割され、三つのアルヴィスに保管された。
第一アルヴィス・竜宮島(Dアイランド)のミールは、擬装鏡面内の島の大気に変異して被曝した世代の島民を守っており、現在の島のコアおよびファフナーにこのミールの欠片が使用されている。また、子供たちはミールの遺伝子汚染を防ぐフェストゥム因子を組み込まれている。
1期の後半ではミールが「死」を学ぶ過程で島に異常現象を起こし、コアである乙姫と共に滅びようとしたが、「ワルキューレの岩戸」に還った乙姫と完全に同期することで「生命の循環」を理解した。
『EXO』では「ウルドの泉」にて、命を終えた島民や島で倒した敵の数に比例して成長し、パイロットたちのSDP(超次元現象)の引き金となるゴルディアス結晶が十数年振りに発生した。更にミールは亡き島民の姿を取り、眠るパイロットと「存在と無の地平線」である結晶のもとで言葉を交わすようになった。
第二アルヴィス・蓬莱島(アヴァロン)と第三アルヴィス・海神島(アトランティス)はいずれも新国連に編入された後、前者は消滅し、後者は無人島になっていた。
- 北極海ミール(ポラリス)
人類が外宇宙探査機でメッセージ(あなたはそこにいますか?)を送ったことで来訪したミール。
地球の衛星軌道上に幾つもの分身(小ミール=コア)を配置し、全地球規模のネットワークを形成している。
シリーズを通して人類と戦っているフェストゥムの中核であり、少なくとも1期の時点では地球上の全人類を同化する目的で行動を行っていた。
第一次蒼穹作戦でマークザインに強化されたマークジーベンの狙撃によって砕かれたが、その直前にフェストゥムに個体であることを与えて全滅を免れている。砕かれた破片は小ミールとして活動を再開し、フェストゥム内に派閥を生んだ。
なお、「ポラリス」という通称は『EXO』で判明した。
- ボレアリオスミール
第一次蒼穹作戦の後で生まれた小ミールの一つで、北極ミールの欠片。空母ボレアリオスに根付いている。人類への敵意を抱かずに新しく生まれようとしていた中、人類軍の核攻撃で痛みに苛まれ、生まれることを恐れてしまう。
2148年、自身の派閥で体を構築していた総士と捕えていたミョルニアの情報から竜宮島の位置を割り出し、人型フェストゥム・来主操を遣わして、痛みを消すべく共に人類や他のフェストゥムと戦おうと勧誘した。しかし、島民がこれを拒絶したことで強硬策に出る。
最終的に美羽との対話で沈静化するが、人類軍の再度の核攻撃によって恐慌状態に陥り、美羽すらも取り込みかけた。しかし、操の制止と最期の導きで美羽を同化せず、地球生まれのミールとして新生した。
『EXO』では操の名前や姿、更に記憶を受け継いだコアと美羽の契約により、竜宮島と共闘する。
空母ボレアリオスの姿、及び保有戦力はそのままだが、当初は別の存在に擬態していた。
第一次蒼穹作戦の後で生まれた小ミールの一つ。元々はエメリー・アーモンドの弟が拾った保持していた北極ミールの欠片で、弟がミールに同化された後はエメリーが保持していたもの。今ではインドのシュリーナガルにて結晶の大樹の形態を取っていることから、世界樹や無憂樹とも呼ばれる。争いを教えないよう戦闘能力を放棄しているためにフェストゥムを生み出さず、竜宮島と同じく地球でも数少ない人類とミールが共生できる地域を形成している。
そのため、シュリーナガルエリアに限っては禁忌とされた広域通信も問題なく行える。
本人の意志とはいえ、アルタイルとの対話のために美羽の身体を急成長させようとした。
その翌日にロードランナーによって樹の部分を破壊されるが、コアにまで手が及ぶ前に戦闘が終結し、新たに根付くために海神島へと移送されることとなった。
ロードランナーの攻撃を受けたファフナー部隊に防壁を張ったり、余命幾許もない一騎に祝福を提案したりと、共存派の人類を庇護しようとする姿勢を見せる。しかし、成長過程であるために生命などについては美羽の身体の他、一度死んだ人間を二度にわたって蘇生するなど、完全な理解には及ばず、人間の生命に関してはまだ成長過程にある。
ベイグラントの干渉で瀕死の状態にまで追い詰められたが、第四次蒼穹作戦中、生き長らえさせていた数名の人間、更にエスペラントたちの命と引き換えに海神島に根付き、新たな人型のコアが誕生した。
『TBE』に登場するルヴィ・カーマが成長したコアである。
- フェストゥムの森
『EXO』第18話にて派遣部隊とペルセウス中隊が立ち寄った群れの密集地。敵意を持たないミールの欠片が流れ着き、森の形で群れを形成する。
大元のミールが敵意を持たないために攻撃される心配はないが、不用意に触れれば同化される危険はある。
戦いばかりの人類から憎しみを覚えた北極ミールが砕けたことでこのミールの影響下の群れは憎しみ以外の道を求め、逆に人類は戦い続けるばかりという皮肉な状況を物語ってもいる。
『EXO』で2151年に外宇宙から接近しつつあるミール。美羽曰く「おおきなおほしさま」で、BD-BOX付属のブックレットによると呼んだのはアザゼル型。
ナレイン・ワイズマン・ボースたちは人類とフェストゥムの共存派にとって有益な存在へと変えようと考えており、最も早く接触できるアショーカを通じて交信を試みているが、アザゼル型に阻まれている。そのために危険を冒してまで竜宮島と接触し、世界最高のエスペラントである美羽を、アショーカが最初に根付いた「バルカの水底」へと導いた。交信には成功したものの、幼い美羽では対話が成り立たなかった。
アザゼル型はアルタイルを各々の派閥に連ねようと行動しており、ベイグラントの情報からその存在を知った新国連も同様(破壊するという発言もある)であり、『EXO』では織姫曰く「ミールの奪い合い」と言える状況が展開されることになった。
最終話で地球に到達したが、甲洋をして「みんな支配される」、操をして「あんなのどうしろっていうの?」と言わしめ、ベイグラントの同化要請も無視している。
織姫と美羽の交信によって竜宮島側へ誘導したが、当初はフェストゥムの姿を取って竜宮島を丸ごと同化しようとした。
個体防壁も相当強力で、ツヴォルフの攻撃を弾いたうえでカウンターで結晶槍を打ち出し、ツヴォルフを一撃で沈黙させている。
未だに対話をなせる相手が世界に存在せず、その時に向けて竜宮島に眠りに就かせ、約2千人の住民は無人になっていた海神島に移住するという苦肉の策を取らざるを得なかった。未来を知る織姫曰くこれが最も希望のある結末であり、世界は「滅びではない未来」を迎えた。
個体活動とそれに伴う発展
北極ミールが破壊され、フェストゥムは個体活動を行うようになり、似通った思考を持つ個体とそれらを統率するミールの元で群れを構成するようになる。
『HAE』の来主操はその代表例であり、ミールがなくとも存在を望んだ個体。皆城総士と個人的な交流を持ち、「空を綺麗」と感じるなど人の感情を学んでいく。
『EXO』では40年に及ぶ戦いで人類が命をつなぐ術、飲食とその根幹を学習してそれを支える人類軍の重要拠点を襲うなど、人間に近づいた思考を獲得し、特にアザゼル型は悪意に基づいた嘲笑など人間の悪意の影響を最も受けたフェストゥムである。
『TBE』ではコアであるマレスペロ率いるベノンが本物の竜宮島で暮らした人間の記憶を元に偽竜宮島を作った上で本物の人間を交えた人間の生活を通じてその文化までも模倣し、家族という概念とその感情を獲得するまでに至った。ただし、生と死の概念を学んでも死者を悼む感情まではまだ及ばず、「灯籠流しが願いを書いたランタン飛ばし」になるなど、七夕とお盆が混ざった様相になっている。しかし、それを除外しても半世紀を通して限りなく人間に近づいている。
スーパーロボット大戦Kで初登場。
登場した全てのフェストゥムに命中・回避率が向上する「読心」が備わっているが、効果はほとんどないと言えるレベルで、パイロットとユニットの性能も低いのでそれほど脅威ではない。
気力が90以下になると即撃墜扱いになる「同化」に関してもイドゥンのみ。更に共通ルートでは一切出現せず、ファフナーの参加する分岐シナリオでしか出現しない事も弱いという印象を受ける一端になっている。
しかし、UXでは「読心」が超強化され、「同化」も全てのユニットに備わっている。
遠距離からの攻撃が非常に当たりにくいうえ、命中率も高く普通のスパロボであれば簡単に無双することが出来る参戦作品機体達を苦しめる(良い方に考えるならフェストゥムのおかげでゲームバランスが取れているとも言える)。特にプロローグで登場するフェストゥムは、このスキルが最高レベルであり、ファフナーなしでは戦うのが難しいと言うのを身をもって教えてくれる。
読心能力で特にスーパーロボット系統のユニットになると避けることができず攻撃を外しやすいため同化されやすい。
また、「人間」の考えを読むという性質上、見た目は完全にガンダムであるが、三璃紗(ミリシャ)の人間とされる三国伝勢にも適用される点は注意。
逆に命令を出すのは人間(ジョーイ)だが、人間ではない別の意思を有する存在であるヒーローマンには読心が通じず、また同化もされない。
ELSの同化を無効化できるデモンベインと対になっているのだろうか。
フェストゥム殺すマンことマークザインなら同化でHPやENを回復しつつ、殲滅させることが可能。