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スポ根の編集履歴2022/03/23 11:36:12 版
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編集内容:功罪について言及

スポ根

すぽこん

スポ根とは、スポーツをテーマにした熱血ドラマ、アニメなどの作品のジャンルのひとつ。「スポーツ根性もの」の略。

概要

スポーツ」と「根性」を合わせた「スポーツ根性もの」を略した語。

スポーツをメインテーマにした創作のジャンルの一つで、『熱意と根性さえあれば、どんな苦境も打破できる』といった精神論をスポーツに掛け合わせることで、熱いドラマ性を演出する。

特に少年漫画では定番の題材として確立している。その名称から泥臭い響きも感じられるが、美少年や美少女の努力が描かれることも多い。

スポ根漫画とその他のスポーツ漫画の違いは明確ではない。スポーツ要素と根性要素を、恋愛や頭脳戦など他の要素と絡み合わせながら描かれることもあれば、スポーツをメインテーマとしながら現実離れした必殺技の応酬で能力バトルに近いもの、主人公の熱意努力ギャグにするようなコメディ仕立てのものなどもある。逆に音楽演劇といった文系要素をメインテーマにしたものでも、スポ根的な仕立ての作品も少なくない。

スポ根の元祖は、1952年に連載が始まった柔道漫画『イガグリくん』と言われる。同作は「主人公が努力を重ねて頂点を目指す」、「必殺技」、「ライバルキャラが友人に」などのスポ根のフォーマットをすでに確立していた。

スポ根ブーム

1960年代末〜1970年代のアニメや漫画界ではスポ根が流行した。そのきっかけとしてよく言われるのは、1966年に『週刊少年マガジン』で連載が始まった梶原一騎原作作品『巨人の星』である。その現実離れした努力と必殺技の応酬は結果的に超能力バトルものに限りなく近いものになっていき、試合中に死者まで出る異様な試合を描く『侍ジャイアンツ』、『アストロ球団』などの怪作も生まれた。一方、この時期には『キャプテン』や『ドカベン』など、非現実的・超人的な要素が殆どない、比較的リアルなスポーツを描いて大ヒットした作品も多くある。スポ根の隆盛は『アタックNo.1』、『エースをねらえ!』などの少女漫画にも及んだ。

しかし、1970年代後半から1980年代にかけて、古典的なスポ根は『すすめ!!パイレーツ』などのギャグ漫画や、『うる星やつら』のラブコメで茶化され、時代遅れと見なされる存在となっていった。

スポ根ブーム終焉後の1981年に連載されたあだち充の『タッチ』は、スポ根のストーリーの枠組みを踏まえつつ、恋愛をストーリーの軸に据えるラブコメ仕立ての作品として大ヒット。連載当時『タッチ』の軽いストーリーはスポ根のアンチテーゼと受け止められ、ラブコメの一種として見られていたが、実際には主人公の努力友情成長もきちんと描かれており、後のスポーツ漫画に多大な影響を与えたことから「新しいスポ根像を創出した」という評価もされている。

功罪

スポ根ものの漫画アニメには不可欠である、ダイナミックな肉体の動きの描写や叙情的な情景描写は、高度な作画技術を要するものであり、スポ根ブームは我が国のアニメ・漫画文化の質的向上に大いに寄与することとなった。このため、西洋の古典画にルーツを発するアート文化も劣らない高度な芸術性を獲得し、それまで青少年向けの娯楽であった漫画やアニメを、老若男女問わずに消費できる高度な文化へと昇格させ、国際的に「クールジャパン」と評価されるサブカルチャーの基軸たらしめる大きな原動力となった。これにより、異世界バトルものなどのほぼ日本でしか生産できない独自のジャンルが生まれるきっかけともなり、本来くだらない娯楽の一つに過ぎなかった二次元文化に、我が国の国際的象徴としての価値を与えることとなった二次元文化最大の祭典であるコミックマーケットの参加者数は、新型コロナウイルスの感染拡大直前、それまでの参加者数最多の国際的イベントであったイスラム教大巡礼を上回る人数を記録し続けていたことは、特筆すべきである。

一方、こういったスポ根系の作品は、多感な思春期の少年に「理不尽に耐えろ」「先輩には絶対服従」「どんな悲劇的な状況になろうと諦めるのは恥」「集団行動は絶対」と言った体育会系の発想を植え付ける効果があり、後に成人となった彼らはその発想を胸に「モーレツ社員」として非人間的な労働環境に率先して身を置くこととなる。やがて彼らは下の世代にも同様の思想を持つことを強いるようになり、我が国の民間企業の体質を戦前軍隊のような、国際常識的に見て極めて非人道的と言わざるを得ないスウェットショップ化、DQN体質、ヤクザ体質化を推し進めることとなった。折しも浅間山荘事件などの新左翼不祥事によって、労働組合の後ろ盾たるリベラル勢力の活動が弱体化し始めた時期とも重なり、我が国は敗戦によりいったんは棄却したはずの根性論体育会系自己犠牲至上主義文化を再び獲得し、社会人としての心構えと称して、世界の潮流に逆らってこのブラック労働パワハラ文化を推し進めていくこととなった。これが、のちの「失われた20年」や「就職氷河期世代」の出現にも大きく関わることとなり、労働生産性の低下や少子化の加速、地方都市経済の衰退、韓国マレーシアなどの新興国に経済面で引けを取るようになるなどの、今日の我が国の抱える様々な問題を引き起こした側面もある

『スポ根』に分類される作品一覧

※漫画に関しては『スポーツ漫画』の頁にも一覧あり。

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