蟻地獄
ありじごく
概要
脈翅目に属する昆虫のうち、ウスバカゲロウとツノトンボ(名前に反してカゲロウでもトンボでもない)の幼虫のこと。
通常はウスバカゲロウの方を示し、その漏斗状の巣のことも含めて言われることもある。
卵から生まれたばかりの時は前に動けるが、それ以降は脚の構造故に後ろ向きにしか歩けないのが特徴的。この事から「あとじさり」とも呼ばれ、「すりばちむし」の別名も持つ。
体長約1cmと丸い体型。平たい頭部の正面には6対の単眼と、クワガタムシのように大きく発達したノコギリ状の顎を持つ。
この顎は1対に見えるが、実は2対の顎(外側の大顎と内側の小顎)がくっついて形成された吸汁用のストローである。この顎で獲物を掴みながら血をすすり、空殻になるまで食い尽くす。
ウスバカゲロウのアリジゴク
最もよく知られるアリジゴク。ツノトンボと比べて腹部は盛り上がり、滑らかで突起を持たない。
巣穴でもある漏斗状の罠を乾燥した地面で作り、アリやダンゴムシなどの飛べない虫が来るのを底に待ち伏せ、巣穴に落ちた獲物に砂粒をぶつけ追い落として捕食する。
ウスバカゲロウの英語名「antlion」がこの生態に由来する(直訳は"アリの獅子"だが、意訳としては"アリの殺し屋"が近い)。
ただし巣に獲物が落ちることが極めて稀であり、月に1匹しか食えないこともザラである。そのため飢餓・乾燥に対しては大変強く、3か月餌を全く食わなくても死なない。
食べ残された死骸や、巣穴に落ちた石ころなどのゴミを自ら顎で鋏んで投げ捨てる。巣穴にジャンジャン虫が入ってくる状態では巣の整備を雑にしてしまうが、一週間程飢餓を迎えるとまた巣を整備し直す。
なお前述した捕食性とは裏腹に防御力は低く、陸上に出ると獲物であるはずのアリなどに軽々と捕食されてしまう。他にもアリジゴクの巣に他のアリジゴクを入れた場合は、入れられた方が食べられてしまう。
穴の中では排泄が出来ず、糞も尿も我慢して成虫になってから放出するとされてきたが、最近の研究によりたまにおしっこはしていることが判明した。ちなみにこれを発見したのは何と日本の小学生である。
創作物での扱い
奇妙な外見と生態ゆえに、悪役として登場することが多い。大概はモグラやケラのキャラと同じく、土の中を動き回ったりする。成虫になる作品はあまりない。
一方でトリオンの蟲惑魔のように美少女化されている作品も存在する。
蟻地獄をモチーフにしたキャラ
仮面ライダーシリーズ
スーパー戦隊シリーズ
漫画・アニメ
- アントキラー(天体戦士サンレッド)
- 砂獣(ザ・ドラえもんズスペシャル)
- アリジゴクン(それいけ!アンパンマン)※ばいきんまんのメカの一つ
- 蟻地獄壕殺人事件(金田一少年の事件簿)※怪人名が「蟻地獄」
- ジゴクピンチ(ミクロマン)
比喩表現
巣穴から抜け出すことが困難なことから、一人では逃げ出せない、または抜け出せない困難(借金など)の厳しい現状を表す例えとして使用されることもある。
また、グンタイアリなど一部の毒アリにたかられることをこのように形容することもある。こちらは人間であっても命に関わるほど危険。