概要
宇宙兵器の一種。戦闘衛星とも。一般的には武装を施した人工衛星、または人工衛星に搭載される兵器を指し、惑星軌道上に展開させられる。主な運用用途としては、地上への軌道爆撃、あるいは他の人工衛星や宇宙空間の物体に対する攻撃が想定されている。
現実の衛星兵器
実例としては旧ソビエト連邦の人工衛星「アルマース」が“自衛用”として23mm機関砲を搭載し、宇宙空間で実射を行った例もあるほか、無誘導ロケット弾を搭載した機種もあったとされる。
この他、アメリカの衛星を攻撃するためにレーザー兵器を搭載した「ポリウス」もあるが、こちらは試作機が軌道投入に失敗(軌道投入後に地上からの指令で落とされたとも)。その後、政治的な理由で計画頓挫している。
また「FOBS(部分軌道爆撃システム)」と呼ばれる、核を一時的に衛星軌道へ載せてからアメリカ領内を核攻撃する珍兵器も存在したが、これはどちらかと言えば弾道ミサイルの亜種に近く、衛星兵器と呼べるのか怪しい。欠点も多く、早々と廃止されている。
これらについては次の記事を参照 ⇒ 露国面
旧ソ連以外でも、アメリカや中国などの国々は、他の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」「衛星攻撃衛星」として注目しており、研究が行われたこともある。
特にアメリカの戦略防衛構想SDI(通称スター・ウォーズ計画)では、弾道ミサイル迎撃のため衛星軌道上にミサイル衛星やレーザー衛星を配置することも構想されていた。
このように研究が行われたり、実証試験が行われた例はあるが、現在までに実用化された例は存在しない。特に軌道爆撃用のものに関しては、FOBSを除けば試験すら一切行われていなかったりする。
ちなみに宇宙条約第4条では、地球を回る軌道に核兵器などの大量破壊兵器を乗せてはならないと規定されているため、この条約がある限り、少なくとも軌道爆撃用の衛星兵器が実用化・計画発表される可能性は低い。
衛星兵器が登場する主な作品
フィクション作品に登場することもあり、ゲームなどではビーム兵器・レーザー兵器などの超兵器がしばしば搭載されるほか、巨大な徹甲弾を地球の重力だけで加速させてぶち込むもの、衛星そのものを質量兵器として地上に落下させるものもある。
ゲーム
- エースコンバットシリーズ
- エースコンバット3:O.S.L(Orbital Satellite Laser:衛星軌道上レーザー)
- エースコンバット5:SOLG
- エースコンバット3D
- エースコンバットインフィニティ:OLDS
- GTA5:サテライトキャノン
- Call of Duty: Ghosts:ODIN、LOKI
- シュヴァルツシルトシリーズ:防御衛星
- 真・女神転生シリーズ
- タイムクライシス2
- 鉄拳シリーズ
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団:衛星タイイツ
- バイオハザードシリーズ
- メタルマックスシリーズ:BSコントローラー
- 龍が如く7:サテライトレーザーの極み
- ロックマンゼロ4:ラグナロク
- 遊戯王デュエルモンスターズ8 破滅の大邪神:サテライト・キャノン
アニメ・漫画
- AKIRA:SOL
- 暗殺教室:天の矛
- 宇宙戦艦ヤマト:反射衛星砲
- 宇宙戦艦ヤマト2199:第二バレラス
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破:N2航空爆雷投射用機動式軌道衛星
- 機動新世紀ガンダムX:サテライトキャノン
- ゲッターロボ號:メタルビースト・ギガント
- ふしぎの海のナディア:バベルの塔、ミカエル、ルシファー他
- プライム・ローズ:パズス
- ルパン三世ワルサーP38:静止衛星レーザー砲
特撮
映画
- 仮面ライダーフォーゼTHE MOVIE みんなで宇宙キターッ!:衛星兵器XVⅡ
- ゴジラシリーズ
- ゴジラ(1984年版):アメリカ地上攻撃用核衛星、ソ連地上攻撃用核衛星
- ゴジラ×メガギラスG消滅作戦:ディメンション・タイド
- G.I.ジョー バック2リベンジ:プロジェクトゼウス
- シン・ウルトラマン:天体制圧用最終兵器ゼットン。衛星軌道上に展開しているが衛星兵器かは不明
- 007ゴールデンアイ:ゴールデンアイ
小説
- A君(17)の戦争:弾道弾迎撃衛星(4巻)
- 死都日本:衛星徹甲弾
- 日本国召喚:僕の星。古の魔法帝国復活のためのビーコンで現時点では攻撃能力があるかは不明
- 遙かなる星:JASPEX1太陽光発電衛星。マイクロ波送電機能を攻撃用途に急遽転用
- 妖魔夜行/百鬼夜翔:AS-3・ブライアン。付喪神化した軍事衛星