概要
『宇宙戦艦ヤマト2199』~『宇宙戦艦ヤマト2202』の間に国連が地球連邦として統合したのに伴い、国連統合軍を再編して発足した。単に「地球防衛軍」と呼称されることも多い。
トップとなる統括司令長官には元極東管区行政長官にしてヤマト計画本部長だった藤堂平九郎が就任しており、副長官は国連統合軍極東管区軍務局長だった芹沢虎鉄宙将が務める。
エンブレムは国連統合軍時代から引き続き、国連マークをベースにしたものになっている。
組織
詳細な組織図が判明している国連統合軍とは異なり、地球連邦防衛軍の具体的な組織構造は今のところ解説が無いため不明。なので、劇中描写や人物・メカの解説から推測するしかない。
『2202』では宇宙軍しか登場せず、陸海空の3軍の状況は不明。長官は元より司令部の職員も宇宙軍の徽章を付けている。
組織構造や部隊編成はあまり語られず、「地球連邦航宙艦隊」や「外洋防衛師団」といった部隊が出てくるが、それらが軍全体の中でどういう位置付けなのかは不明となっている。重要拠点には「守備隊」と呼ばれる艦隊戦力を置いているが、これについては『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』のパンフレットの解説にて、ガトランティスが木星か土星をレギオネル・カノーネに利用すると予測し、警戒部隊として木星に銀河艦隊、土星にエンケラドゥス守備隊を配置したという風な解説があるので、守備隊はガトランティス侵攻に備えた臨時のタスクフォースの可能性がある。
また、村雨改型の解説文から推測するに『2202』冒頭時点では各国が独自に宇宙軍を持っている模様。『宇宙戦艦ヤマト2205』での解説にて地球連邦に統一政府が樹立したのが2205年1月と語られているので、『2202』時点では実は結構バラバラだったのかもしれない。英称も『2202』だと国連宇宙軍と同じ「UNCF」(United Nations Cosmo Force)であり、地球連邦(EF = Earth Federation)ではなく国連(UN = United Nations)のままであることなど、過渡期にあると推測される。
『2205』以降は、後述の波動砲艦隊構想の凍結など路線変更により大幅な構造改革があった模様だが、やはり詳細は不明。ただ、『ヤマトよ永遠に_REBEL3199』第一章までの時点で判明していることを総合すると、国連統合軍時代の組織構造に回帰しているようにも見える。
『3199』時点で、地球連邦宇宙軍(E.F. Cosmo Force)、地球連邦空軍(E.F. Air Force)、地球連邦陸軍(E.F. Army)の3軍の存在が明かされている。
地球連邦宇宙軍の下には、地球連邦宇宙海軍、地球連邦宇宙海兵隊が存在し、宇宙海兵隊のさらに下には空間騎兵隊が存在している(これらは国連統合軍の組織構造と同じである)。また、宇宙海軍では新たに「護衛隊」という数隻単位の艦隊が編成されるようになっている(海上自衛隊の護衛艦隊を参考にしたものと思われる)。
空軍と陸軍の詳細はまだ不明。ただ、『3199』のBlu-ray特別限定版特典のメカニカル読本①によると、空軍は宇宙海軍発足前の空軍から発展した宇宙軍の流れを汲んでいることが窺える。空軍は比較的新型の兵器を揃えているが、陸軍は旧式兵器とガミラスの供与品(あるいはライセンス生産品)を使用している。
技術・軍事力
イスカンダル星からもたらされた波動エンジン技術を中核にしているが、国連統合軍時代から続くボラー連邦源流の技術や、ガミラスとの和平後に技術交流で得た技術なども含まれる。
戦略兵器ともいうべき波動砲を多くの艦に搭載しているのが特徴で、他の星間国家に比べて国力で劣る点を補っている。
『2202』時代(2201年~2203年)には、通常空間の10倍の時間が流れるこの特殊空間「時間断層」の生産力を背景にした波動砲艦の大量配備計画「波動砲艦隊構想」を推進しており、さらに人員不足を補うため兵器の無人化も進めていたが、時間断層消滅によってどちらも頓挫。
その後(『2205』以降)は国家の規模に見合った軍備を敷く方針になっている。
また、波動砲艦隊構想を進めていた時期は、艦種に「前衛武装宇宙艦」「前衛航宙艦」といった独特な名称を用いていたが、波動砲艦隊構想頓挫の後は、国連宇宙軍時代の「宇宙戦艦」といった表記に戻している。
さらに、波動砲艦隊時代はその存在を内外に誇示することを目的としてエンブレムを艦体各所に派手にマーキングする「フォーマル・ドレスアップ・モード(礼装・儀仗運用)」という塗装をしていたが、波動砲艦隊無き後は「サービス・モード(通常運用)」という控えめのマーキングになっている。
ガミラスとの技術交流
ガミラスとは戦後に安全保障条約を結び、官民問わず交流が盛んになり、軍でも技術交流が行われている。
『2202』では、ドレッドノート級はガミラスのガイデロール級の設計を参考に開発されたとされ、ガミラス側も地球の空母型アンドロメダ級をライセンス生産し、さらにガミラス側で改設計されたランダルミーデも建造されている。
『2205』では、技術交流官としてヤーブ・スケルジが地球に派遣され、次元潜航技術を供与されており、地球初の次元潜航艇「コスモハウンド」が開発されている。最高機密ともいえる次元潜航技術の供与は、ガミラスの移民政策に協力している見返りとも言われている。
また、安保体制も5年目ということで共用可能備品も増えていることが語られる。
『3199』では上記の通りガミラス戦車を地球連邦陸軍が使用している。
保有兵器
宇宙軍
- 艦船
- 舟艇
- 航宙機
- 車両
- 特2式多目的換装車
- パワードスーツ
- 銃火器類
- 南部97式拳銃
- 97式短機関銃
- AK01
- Pzf-89
- 99式突撃銃
- 97式自動拳銃
- その他
空軍
陸軍
- サルバーS-VI型重戦車
- 87式兵員輸送車*劇中での動向
対外関係
※軍以外の説明も一部含む。
イスカンダル
ガミラス戦争時に滅亡しかけていたところを救ってくれた恩人の国。
地球連邦発足後、ガミラスとは後述の通り国交を結んだが、イスカンダルとは特に明確な国交は描写されておらず、むしろ2203年まではスターシャ女王とヤマトの沖田艦長の間で交わされた約束を無視して波動砲艦隊構想を推し進めるなど、後ろ足で砂を掛けるような形になっている。
2205年にはイスカンダルへ使節団を送ることが決定している。
ガミラス
大小マゼラン銀河を支配する星間国家で、地球連邦の同盟国。
国連時代は敵国だったが、2199年7月頃のアベルト・デスラーの軍事独裁政権の崩壊に伴い、イスカンダルを仲介にヤマトとガミラス暫定政権の間に休戦協定が結ばれ、その後2201年に正式に国家同士で平和条約を締結した。
両国は安全保障条約を結び、事実上の軍事同盟国となった。
しかし、拡散波動砲の開発に地球だけでなくガミラスの軍需企業も関わりがあるなど、綺麗事ばかりでない繋がりもある。その最たるものとして、デスラー政権の崩壊によって持て余すようになった植民星を、時間断層の使用権と引き換えに一部の星を地球へ譲渡するという裏取引も行っている。
また、2202年時点ではガミラス戦争から間もないこともあり、地球とガミラスの関係を良しとしない者達もいる。小説版では「反地ガ安保連合委員会」なる組織も描写され、敵の敵は味方理論でガミラスの反政府テロ組織「反ガミラス統治破壊解放軍」に武器を売っている一派が登場している。
さらに『2202』第1話のシナリオでは、ガミラスとの共同作戦に示威目的で主力艦隊を全て派遣してしまった挙句、その艦隊を尖兵として扱われてしまうなど、まだ地球の立場が弱いことも描写されており(森雪曰く「地球は自分たちの力を示したくて、ガミラスはそんな地球を利用している」)、拡散波動砲の開発はガミラスとの対等な関係を築く目的もあることが示唆されている(シナリオでは軍需産業の人間にガミラス人はいない)。
そのため一部ファンの考察では、地球が推し進めた波動砲艦隊はガトランティスではなくガミラスを仮想敵国にしているという見方もある。
とはいえ、このようの歪な部分も多々見られるものの、基本的には蜜月な関係を築いている。
2203年のガトランティス戦争では、ガミラスも安保条約に基づき(なおかつ元々自国もガトランティスと敵対しており、さらにガトランティスの目的からして明日は我が身であるため)地球側に立って参戦した。
2205年には、ガミラスがガルマン星への大移民計画を行うにあたって、地球連邦も支援を行っている。
しかし、ガミラスとボラー連邦との戦争に関しては及び腰であり、デザリアムによってガミラス星が破壊されると、戦争に巻き込まれることを恐れて静観を決め込み、安保条約の破棄の可能性も浮上した。
ガトランティス
全宇宙の人型知的生命体の抹殺を掲げる戦闘国家。
国連時代にヤマトが一部隊と遭遇・交戦をしたことこそあったものの、2202年12月まではあくまでも交戦しているのはガミラスの方であり、地球は同盟国として参戦しているだけであった。
しかし、テレサがコスモウェーブを地球のヤマトクルーへ向けて発信すると、ガトランティス側も地球の存在を明確に認識し、地球への侵攻を始める。
2203年5月には太陽系への本格侵攻を開始し、両国の間に全面戦争が勃発。地球の同盟国としてガミラスも参戦し、戦況は激化していく。
最終的にガトランティス人は「ゴレム」という装置によって死滅。最後の一人となったズォーダー大帝も滅びの方舟とともに消滅したことでガトランティスは滅亡し、地球側の勝利で終わった。
ボラー連邦
銀河系の一翼を支配する広大な国家。
2205年8月に自国領であるガルマン星がガミラスに奪取されたことにより、ガミラスとの関係が悪化。地球連邦もガミラスの同盟国という立場からボラーとの関係が微妙になる。
2207年10月時点では直接的な交戦には至っていないものの、小規模艦隊による領海侵犯(ざっくり言うと威圧と嫌がらせ)を繰り返されている。
デザリアム
ガミラスとイスカンダルを襲撃した謎の勢力。地球との何かしらの関係が匂わされている。
劇中での動向
宇宙戦艦ヤマト2202
宇宙戦艦ヤマトがイスカンダルから持ち帰ったコスモリバースシステムによって環境が再生された地球は復興を進めていき、ガミラスとも平和条約を締結するなど、星間国家としての第一歩を踏み出した。
戦力に関しては当初ほぼゼロと言っていい状況ではあったが、旧式艦を波動エンジンに対応するよう改設計したものを地球の各国で生産して当座を凌ぎつつ新型艦の開発を進め、2202年末頃にはアンドロメダ級やドレッドノート級が就役した。
しかし、和平したとはいえガミラスは超大国であり、仮に再び侵略戦争を仕掛けられればなすすべはない。それだけでなく、宇宙にはガミラス以外にもガトランティスを始めとする様々な星間国家が群雄割拠していることを戦後のガミラスとの交流で認識。そんな星間情勢の中にあって、ガミラス戦争で国力の衰えた地球が主権を守るには軍事力の強化以外に無く、地球政府・地球連邦防衛軍は軍拡路線に進むことになる。
それを助長したのが2201年に発見された時間断層であり、この特殊空間に大規模工場を建設することで、軍艦の早期開発・大量生産を実現(滅亡寸前の状態からわずか3年でアンドロメダ級を完成させられたのもそのため)。さらにイスカンダルへの旅で沖田十三がスターシャ女王と約束した波動砲の封印(厳密には波動エネルギーの軍事利用による覇権主義路線の回避)を破り、戦略兵器ともいえる波動砲を多数の艦に装備させる「波動砲艦隊構想」を提唱・推進する。
なお、軍拡路線の背後には地球やガミラスの軍需産業の影響もあることが第1話などで描写されている。
また、大量の艦艇を建造してもそれを運用する人員の補充はどうしようもないため、兵器の無人化も同時に推し進めた。時間断層内にAIのメインフレームを設置することで、10倍の時間で試行を繰り返し成長する高度な戦術AIを構築し、それを各艦のサブフレームと連携させることで、兵器無人化を実現しようとした。これは後述のガトランティス戦争の中である程度実現している。
そして2203年に勃発したガトランティス戦争では、艦隊総戦力で一千万隻にのぼるガトランティスに対し、地球側は推定数百~数千隻の波動砲艦隊で対抗。時間断層を活用して絶え間なく戦闘艦を建造・修理して前線へと補充し続けることで、ガトランティス側の戦力を枯渇させることを狙った。
ガトランティスの白色彗星(滅びの方舟)が地球に到達するのが先か、それともガトランティスの戦力が底を付くのが先かの賭けだったが、軍配はガトランティス側に上がった。地球の戦力はほとんど底をつき、白色彗星は地球へと到達する。
最終的にテレサの力を得たヤマトによって滅びの方舟が消滅したことで戦争は終結した。2203年6月のことである。
ガトランティス戦争終結後も相変わらず軍拡路線は続いていたが、戦争終結から半年後、高次元宇宙に取り残された古代進と森雪の両名を救うために、国民投票によって時間断層破棄が決定。時間断層の消滅により、波動砲艦隊構想も、AIによる兵器無人化も頓挫。
終わりのない軍拡。とことんまで合理化を推し進める中で人の心さえも失われそうになっていた地球だったが、ギリギリのところで踏みとどまることとなった。
宇宙戦艦ヤマト2205
時間断層の放棄により、地球の艦隊戦力は大きく低下した。というのも、ガトランティス戦争末期以降に建造された艦のほとんどは時間断層内のAIと連携する無人艦であり、AIが時間断層とともに消滅したことによりそのままでの運用ができない状態となってしまったためである。
そのこともあり、アルデバランやアルフェラッツなど、初期の有人艦を優先的に修理・再配備している。
地球政府は「地球は軍備より人命を優先する平和主義国家」というイメージを打ち出し、『2202』時代の砲艦外交一歩手前のような状態から、平和的な対外政策によって戦火を避ける方向へ路線変更。
防衛軍も「地球の規模に見合った軍備の最適化」へと舵を切り、2204年の第4次防衛計画にて「多機能複合型標準戦艦構想」などを立ち上げ、量より質の方針へと進み始めた。
しかし、そんな方針を打ち出した矢先の2205年後半、ガミラスがボラー連邦からガルマン星を武力で奪取したことで、ガミラスとボラーの関係は著しく悪化。いつ戦争が起こってもおかしくない状態になり、ガミラスの同盟国である地球も巻き込まれる恐れが出てきてしまい、緊張感が続いている。
地球としてはボラー連邦との戦争はできるだけ避けたい方針で、同年10月にガミラス星が謎の勢力(後にデザリアムと判明)によって破壊され、双子星のイスカンダル星が危機に陥った際も、本来なら地球・ガミラスの安保条約に則り行動するべきだが、ボラー連邦の関与を疑い静観を決め込んだ。
ヤマトよ永遠に_REBEL3199
前作から引き続き、第4次防衛計画に基づく平和路線を謳ってはいるが、やはりガミラスの同盟国であるという立場ゆえかボラー連邦から度々領海侵犯という形での干渉を受けており(特に2206年のガルマン・ガミラスの建国宣言以降は増加傾向)、この現実的な問題に対してアスカ級やヒュウガ級の量産を決定するなど、玉虫色の対応を取らざるを得ない状態となっている。
さらに、地球の政財界や軍にデザリアムと内通する者がおり、2207年10月に太陽系へデザリアムのグランドリバースが侵入した際にはデザリアム有利になるよう妨害工作を仕掛けられてしまう。