とりよせバッグ
とりよせばっぐ
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具。初登場エピソードはTC11巻収録「とりよせバッグ」。
中に手を入れれば、離れた場所にある物を取り寄せることが出来るバッグ。しかし、外観は派手な婦人用肩掛けバッグのようなデザインで極めてダサい。上記の初登場エピソードでは、ドラえもんが「このバッグ持って歩くといいよ」と言った際、のび太が「僕はこれでも男だぞ!」と憤慨しており、ジャイアンも「やぁねのびちゃんどこへお出かけなのかしら、おほほ」と揶揄っている。
また、この道具は他人の所有物を取り寄せることも可能。それだけでなく、とてもカバンの口を通らないような巨大な物だったとしてもこちら側へワープさせることが出来る(「四次元ポケット」から「どこでもドア」等の巨大なひみつ道具を取り出す仕組みと同じ)。すなわち泥棒し放題(参考として『続ドラえもん全百科』では、ジャイアンがおやつを食べる為にこの道具を借りようとした際、ドラえもんは「いくらおやつが食べたいからって、これを使うのは泥棒と同じ」と叱っている)。
上記の初登場エピソードのオチでは、どこかへ逃げたのび太をママがこの道具で取り出しており、TC25巻収録「四次元ポケットにスペアがあったのだ」では、のび太がこの道具でしずかを取り出している。このことから分かる通り、とりよせバッグは無生物だけでなく生物を取り出すことも可能。
上記の初登場エピソードの作中にて、ドラえもんが「どんな遠い所の物でも取り出せる」と明言している。このことから分かる通り、この道具の有効範囲は地球上に留まらず、『魔界大冒険』の作中ではドラえもんが魔界星でとりよせバッグを使用し、地球ののび太の部屋から勉強机を取り出している。
それだけでなく「かべかけスタジオ」等で作られた特殊な空間内でも効果を発揮する。実際にTC31巻収録「まんがのつづき」の作中では、かべかけスタジオの中の異空間でドラえもんがとりよせバッグを使用し、現実空間に存在する島山あららを取り出している。
更には「気ままに夢見る機」等で作られた夢世界でも効果を発揮する。実際に『夢幻三剣士』の作中では、夢世界から現実世界の物体を取り出していたり、夢世界に存在する川の水を普通に取り出している。
ただし、この道具を使用して物を取り出そうとした場合、第三者から見れば使用者の手だけが虚空から出現することになる。その為、場合によっては手を攻撃されてしまうことがある。上記の初登場エピソードでは、のび太が家からおやつを取り出そうとした際、手が虚空から現れている様子を見たママが驚いてしまい、思わずのび太の手をバシバシ叩いてしまった。
また、バッグに手を入れて物を掴む仕様の為、高速で移動する物体を取り出すことは困難である。『海底鬼岩城』の作中では、しずかがこの道具を使用して「水中バギー」を取り寄せることを提案したのだが、ドラえもんは「それは出来ない。バギーは猛スピードで突っ走っているから、飛んでいる弾丸を手掴みにするのと同じ」と述べている。
派生作品
大山のぶ代版アニメオリジナルエピソード「3分間カップ旅行」では、この道具はどこでもドアでは行けない別次元や亜空間内に存在する物も取り出すことが可能と言及されている。作中では「カップ旅行セット」内の特殊な宇宙空間に取り残されたジャイアンとスネ夫を救出する際、ドラえもんは「カップの中は僕達が住む世界とは別の宇宙だからどこでもドアは使えないし、とりよせバッグだとカップの中にこちらまで吸い込まれてしまう」と述べている。
また、大山版アニメ「未来の町が危ない!!」では、時空間内で「タイムマシン」を取り出す様子が描かれている。作中では、のび太が机の引き出しの中(時空間内)でこの道具を使用し、既にドラえもんが乗り去った後のタイムマシンを取り出している。
2020年版「のび太シンデレラ」では「絵本入りこみぐつ」で入り込んだ架空世界でも問題無く効果を発揮する様子が描かれている。作中ではドラえもんがこの道具を使用してストーブやコート、温かいスープを取り出している(架空世界に存在する物を取り出したのか、それとも現実世界から物を取り寄せたのかは不明)。このことから、水田わさび版アニメにおけるとりよせバッグは、使用者が現実世界とは異なる場所にいる場合でも使用可能であることが分かる。
上記の通りドラえもんは「高速で動く物体は取り出すことが困難」と説明しているが、映画『南極カチコチ大冒険』の作中では、取り寄せようと思っていた物体が空中を動いていたのだが、その際は物体の真上をワームホールが追尾する様子が描かれている。それだけでなく、ドラえもんは「かべ紙ハウス」の中の異空間でこの道具を使用したのだが、その際も現実空間に存在する物体にワームホールが繋がる様子が描かれている。
『ドラえもん』を題材としたゲーム作品『魔界のダンジョン』では、ドラえもん達(プレイヤーキャラクター)が自室に置いてある道具を手元に取り寄せる消費アイテムとして登場している。ダンジョン内(現代とは異なる時代)で冒険するドラえもん達がこの道具を使用すると、時間を越えて現代に存在する道具を取り寄せることが出来る。
- 物体瞬間移動機
大型のステレオセットのような外観のひみつ道具。
モニターを見ながら座標を指定することで、どんな物体でも手元にワープさせることが出来る。この道具は指定した物体のみをワープさせる為、取り寄せたい物を誰かが手に持っていた場合、その人まで一緒に出現させてしまう等という心配は無い。
ちなみにこの道具も生物に対して有効であり、作中ではドラえもんがこの道具でのび太を部屋にワープさせている。
すなわち「とりよせバッグ」よりも簡単かつ確実に他人の物を盗んだり誘拐することが出来てしまう。言い換えれば窃盗・誘拐での完全犯罪を成立させることが可能。
実際に作中でも「ドロボー機」というあだ名が付いており、ドラえもん曰く「滅多なことでは使用してはいけない」とのこと。
- とりよせつぼ
「とりよせバッグ」の壺版と言えるひみつ道具。
外観はマイクが取り付けられた壺で、このマイクに欲しい物や取り寄せたい物を言うと、壺から出現させることが出来る。また、この道具も生物に対して有効であり、作中では警察官を壺から出現させている。
こちらは「物体瞬間移動機」とは異なり座標を正確に指定する必要は無く、曖昧な情報を入力した場合も使用者が望む物を出現させることが可能。実際に作中では、ドラえもんからこの道具を取り上げた泥棒が「金持ちの家の金庫を取り寄せたい」とマイクに言った際、大量の札束が入った金庫が壺から出現している。
その為、物体瞬間移動機よりも更に簡単かつ確実に、窃盗・誘拐での完全犯罪を成立させることが可能と言えるだろう。
- なくし物とりよせ機
調理用のミキサーのような外観のひみつ道具。
この装置に搭載された端末を頭に取り付け、過去に失くしてしまった物や盗まれてしまった物を思い浮かべると、それらを全て目の前に出現させることが出来る。
ただし、他人が失くした物を出現させることが出来るかは不明(自分以外の家族が所有していた物は出現させることが可能。実際に作中ではのび太がママの指輪を誤って失くしてしまったのだが、この道具で指輪を出現させている)。
また、自分の意志で消費した物も出現させることが出来ない(実際に作中ではのび太が自分で使用した1000円を取り戻そうとしたが無理だった)。
- 落とし物つりぼりとつりざお
自分が落とした物や失くした物、忘れ物や他人に取られてしまった物を探し出すことが出来るひみつ道具。
釣り堀に搭載されたマイクには落とし物が存在する場所を、釣り竿には落とし物を入力すると、釣り堀が場所を探し、釣り竿が落とし物を探し始める。落とし物を発見すると、釣り竿で引き出すことが出来る。
入力した情報が曖昧だとしても落とし物を探すことは可能だが、その場合は探知に時間がかかってしまったり、他人の物を引き出してしまうことがある。
実際に作中では、のび太はジャイアンやスネ夫と小川へ釣りに行った際、バケツを忘れて来てしまった為、ドラえもんがこの道具を使用してのび太のバケツを引き出そうとした際、誤ってジャイアンのバケツを引き出してしまっている。
また、この道具は「とりよせバッグ」と同様に有効範囲はかなり広い。TC32巻収録「連想式推理虫メガネ」の作中では、盗まれた金貨を探す為にドラえもんがこの道具を使用したのだが、その際は「世界中のどこにもない」という探知結果を出している(金貨を探知出来なかった理由は、後にドラえもんが「タイムマシン」に乗り込み、盗まれる前の時間へ遡った彼がその金貨を持ち主に届けようと考え、現在へ持ち去ってしまった為である)。