ストーリー
スネ夫の家に集まるのび太・しずか・ジャイアン。
スネ夫は家族で海外旅行に行った話をしたが、混雑していて満足できなかったと語る。
そこにドラえもんが現れ、22世紀で大人気のひみつ道具『カップ旅行セット』を出す。
カップ旅行セット
22世紀で大人気だというひみつ道具。
カップヌードルのような外見をしていて、絶対安全な冒険を3分間だけ味わえる。
使い方はまず蓋を開け、冒険の世界の素となるかやくを入れ、その後に特殊のバイオ液を注ぐと準備が完了。
定員が揃うと起動し、ここから3分間だけカップの中で冒険が出来、3分経つと終了となり元の世界に戻る。
カップの中は、「どこでもドア」でも繋がらない独立した世界である。
ドラえもんが買ったカップは以下の5種類。
アドベンチャーカップ
「胸躍る大冒険が味わえます。」
定員は5名。
作中では嵐の大海原の中で、ドラえもんが「船乗りシンドラバッド」に扮し大蛸(クラーケン)と戦うというものだった。
メルヘンカップ
「夢いっぱいのメルヘンが味わえます。」
定員は1名。
作中ではしずかが入り、「シンデレラ」の世界を体験した。
スペースカップ
「天にも昇る爽快な気分が味わえます。」
定員は2名。ストーリー性はない。
当初はのび太・ジャイアン・スネ夫の取り合いになったが、結果的にジャイアンとスネ夫が入った。
カップの中は本物の宇宙と一緒なので、入るには「テキオー灯」が必要となる。
作中では、重力の小さい惑星の中でジャイアンとスネ夫が跳ね回り、次第にどんどん上昇して広大な宇宙に出た。…ところがそれがとんでもない問題を引き起こすことになってしまう。
SFカップ
「スピード&ファンタスティック!大興奮が味わえます。」
定員は1名。
スペースカップの取り合いに負けたのび太が選択した。
作中では『ウルトラマン』のような巨大ヒーロー「ノビノビマン」に変身した。
ホラーカップ
「夏でも北極のようなスリルが味わえます。」
定員は2名。ストーリー性はない。
作中ではのび太がSFカップを選択したため選ばれなかったが…
ストーリー後半の展開
メルヘンカップを楽しんだしずかとSFカップを楽しんだのび太が戻ってきた。
ところが、のび太より先に入ったジャイアンとスネ夫が3分経ってもスペースカップから出て来ない。
と、のび太がカップの裏に書かれた注意書きに気付く。そこにはこう書かれていた。
「このスペースカップは、星から遠く離れると3分経っても戻れないことがありますのでご注意ください。」
注意書きに気付かず、「絶対安全」と言い切ってしまったドラえもんは、ジャイアンとスネ夫を命の危険に晒してしまい、自らを責める。
カップの中は独立した世界のため「どこでもドア」は使えず、「とりよせバッグ」では逆にドラえもん達まで吸い込まれてしまうため手立てが思いつかない。
一方、ジャイアンとスネ夫も3分経っても戻れないことに気付き、さらにテキオー灯の効き目が切れ始めて苦しみだす。
もはや八方塞がりかと思われたその時、スネ夫のママが持ってきた砂時計を見て、のび太がある案を思い付いた。
「ドラえもん!残っているホラーカップとくっつけたら?」
どこでもドアは使えないもののカップ同士の世界ならば繋げることが出来ることに気付いたドラえもんは、ホラーカップを用意する。
そして、スペースカップとくっつけると定員ランプがホラーカップに移り、ひとまずは命の危険から脱することが出来た。
しかし、そうとは知らないジャイアンとスネ夫はホラーカップの世界の中で死んだと思い込んだ(※)挙げ句ゾンビの大群に囲まれてしまった。
カップの外にも聞こえるほどの悲鳴を上げる2人にとっては長い3分間だった。
スネ夫「誰か~こっから出して~!!」
2人「「ドラえも~ん!!!」」
ゾンビの大群に囲まれて身動きがとれず、泣きつくジャイアンとスネ夫を蝙蝠が画面アップで笑うシーンで物語は終わる。
※ホラーカップの世界に放り出された直後スネ夫が「まさか(ここは)あの世じゃ?」と発言している。
余談
3分繫がりからか、ウルトラマンのパロディも見られたが、同年同月には、ウルトラシリーズ最新作のウルトラマンティガの放送が始まった。
アニメオリジナルストーリーではあるが、『何もない宇宙空間の中に取り残される』『リアルなゾンビの大群に囲まれる』という、子供向けアニメにしては何気に強めのトラウマ要素を含んでいる。
また、ホラーカップの注意書きをよく読んでみると、とても恐ろしいことが書かれている。
「このホラーカップを破損すると、中からゾンビが出てしまう恐れがあります。」
この他少ししか見えないが、巨大タコを退治しないと出られないアドベンチャーカップ、ガラスの靴を割ってしまうと出られないメルヘンカップ、怪獣を倒さないと出られないSFカップにも注意書きが書いていた。…注意書きがされてるとはいえ、そこはやはり未来デパート。普通に危険な秘密道具のカテゴリーに入るだろう。
本放送では1時間スペシャルで放送され、開始前と終了後に『ドラえもんズひみつデータファイル』というスペシャルコーナーが設けられた。
ちなみに一緒に放送されたのは「ドラえもんだらけ」と「たましいステッキ」。
なお、この話が放送された1996年9月20日、原作者の藤子・F・不二雄が仕事中に意識不明となり、そのまま3日後の9月23日に死去したため、藤子・F・不二雄存命時に放送された最後の新作エピソードとなった。
関連タグ
ドラえもん ひみつ道具 ドラえもんのエピソード一覧
トラウマ
キネマ・パニック…ルーニー・テューンズのエピソードの一つ。登場人物の二人がラストでホラーの世界に迷い込む場面が似てる。