概要
名称は例年通り「○○スマッシュ」で統一される(幹部級は除く)。
物語が始まる10年前、火星で発見された謎の物体パンドラボックスが作動させられたことによって出現したスカイウォールで三つに分断された日本列島のうち、東都にしか出現しない謎の未確認生命体。
その実態は謎の組織ファウストや国内最大級の重工業メーカー難波重工の実験で生み出された存在で、その正体はスカイウォールの地下から湧き出る未知の成分ネビュラガスを注入された生身の人間。ようは一種の改造人間のような存在。
全体的な姿を見るとメカニカルな意匠を持つのが特徴。
また、倒されると緑色の炎を上げて爆発する。
第1話以前にもスマッシュの姿は確認されているらしく、ビルドによって既に何体かは撃破されている模様。
当初はガスが漏れ出る地点に存在する実験施設にて生み出されていたが、その施設の放棄後、また別の施設が用意されており、更にファウストの幹部らが持つスチームブレードがあれば設備無しでも即席で人間をスマッシュに変えられる事が判明している。
当初、素体は目的さえ果たせれば誰でもいいのではないかと思われていた。
しかし第41話で戦兎と万丈が出会ってから東都のボトルが全て揃うまでに襲ってきたスマッシュの素体は葛城忍、葛城巧、万丈龍我の3人の誰かと面識があった人物に絞られていた事が明かされた。
逆に言えば、万丈と出会う前に倒していたニードルスマッシュ やファングスマッシュの素体はここに含まれない(3人の誰とも関わりのない赤の他人が素体だったと考えられる)。
また、東都と北都の戦争が始まってから現れたスマッシュ(北都三羽ガラスなど)もこれには該当しない。
スマッシュ化とその副作用
スマッシュにされてしまった者は基本的に一切の意思疎通が不可能になり、無差別に人間を襲い、辺りを破壊し尽くす。
ビルドに倒されフルボトルに成分を採取されると無事に元の人間の姿へと戻れるが、変異させられて暴れていた時の記憶は残っていない。
また、素体の人間の身体が虚弱だった場合(後述のハザードレベル1)、スマッシュとしては特に支障はないがガスを注入された時点で人間としては死に、成分を採取されてもそのまま消滅してしまう。
一度スマッシュ化を解除された後、再度ガスを注入することもできる。これによってより強力な力を発揮する事が出来るようになるケースもある(鍋島正弘)が、ガスに触れただけで粒子化して消滅してしまうケースもある(桑田真吾と河合栄多)。
ちなみに連続投与を生き延びた場合でもスマッシュになっている間以外の記憶まで消えてしまうという別の副作用が起こる。当初は全ての記憶が消えてしまう深刻な物だと思われていたが、後に彼の記憶が消えたのは別の要因に依る物であり、負荷で消えるのはせいぜいスマッシュ化した前後数時間の記憶に留まると言うことが第16話で判明している。
怪人を倒してスマッシュとなる成分を抜かれたとしても必ずしもその人間を助ける事が出来る訳ではないという事であり、以前の作品に登場した似たような存在たちとは一線を画した存在とも言える。
ハザードレベル
被験者のネビュラガスに対する耐久力を段階的に分けたものを劇中ではハザードレベルと呼称しており、ネビュラガスを注入されて間もなく死に至るのがハザードレベル1、異形化してスマッシュに変異するのがハザードレベル2となる。
しかしごく稀にハザードレベル2以上の耐久力を持つ人間もおり、そういった人間はネビュラガスを注入されても怪物化せずに人間の姿と記憶を保ったままであるらしく、ファウストにとっても貴重なサンプルとなっている。
また、葛城巧の遺したデータによるとビルドドライバーはハザードレベル3以上で変身できるようになるらしい。
亜種・上位種
通常のスマッシュとほとんど同じだが若干強い黒色の亜種「スマッシュハザード」が存在する。
名前の最後にハザードと付くが、ハザードトリガーやハザードスマッシュとの関係は不明。
そして、第16話からは上位種が登場。自我を保ったまま変身できるハードスマッシュ、ハードスマッシュをハザードトリガーの力で強化したハザードスマッシュ、素体となる人間がロストフルボトルを体内に取りこんだ後、周囲のクローンスマッシュと融合することで完成する最終形態ロストスマッシュの3種類である。
また亜種としてクローン技術により複製された存在をベースにしたクローンスマッシュも登場した。
強さの度合いは原則として「スマッシュ<黒色の亜種<ハードスマッシュ<ハザードスマッシュ<クローンスマッシュ<ロストスマッシュ」となる(クローンスマッシュについては「1体で強化スマッシュ4体分」と明言されている)。
この格差は案外大きく、ただのスマッシュなら万丈や一海のように身体的に優れたライダー変身者が生身で倒せてしまうほど弱いが、最終形態ロストスマッシュは仮面ライダーマッドローグを圧倒できるほどの力を持つジーニアスフォームと対等に渡り合えるほどに強い。
ただしハザードスマッシュより上は副作用が強まっており、許容量以上のダメージを負い変身が解除された時点でほぼ確実に死ぬ。
ハザードスマッシュより上のスマッシュはどれも黒い色をしており、恐らくはネビュラガスそのものではなくハザードトリガーの効果だろう(先述の「○○スマッシュハザード」もハザードと付く上に黒色だが、変身解除されても死には至らない。スマッシュ自体のレベルが低すぎるからだろうか?)。
ちなみに感覚を持たず死ぬまで闘い続けるよう設計されているクローンスマッシュ、ロストフルボトルの力で素体の闘争心を高めているロストスマッシュについては死を恐れずに向かってくるある種の戦闘マシーンであるため、こういった点でも下位のスマッシュより脅威だと言えるだろう。
スマッシュ一覧
通常スマッシュ
強化スマッシュ
クローンスマッシュ
ハードスマッシュ
ハードスマッシュの項を参照。
ロストスマッシュ
ロストスマッシュの項を参照。
また、ビルドが持っているラビット、タンクなど放送以前から所持しているフルボトルに対応する、元になったスマッシュがいたのではないか? と推測できる。これまでのライダーの装備品同様に、戦兎が施設から持って逃げてきた=スマッシュから調達したわけじゃないという可能性もあるが。
そして、同じような境遇で生身の人間なのにスマッシュ反応が出ていた龍我の存在もあり、戦兎自身がスマッシュなのではないかという疑念も序盤から上がってきていた。これは第6話で龍我共々別の意味で正しかったことが判明する。
また、ストロングスマッシュからはゴリラ、ハザード版からはロックフルボトルの成分が抽出された事から、同種のスマッシュから別のフルボトルの成分を採取できる可能性も出てきた。
- フライングスマッシュ:タカの成分が採取されたが戦闘機の意匠があるので、ジェットの成分も採取できる?
- アイススマッシュ:消防士の意匠があるので消防車の成分が採取された。氷属性なので冷蔵庫の成分も採取できる?
余談
デザインは篠原保氏が担当。 意外性を出すため浄化後のボトルのモチーフを直接デザインに現さず、いかにモチーフを隠すかを意識してデザインしている。
スマッシュという名称は仮面ライダーの必殺技の名称として極稀に使われており、過去には「クリムゾンスマッシュ」、「ノックアウトクリティカルスマッシュ」などがある。
通常スマッシュのスーツのボディは下半身の足が太めの物、足が細めの物の2種類が用意されており、何度も流用されている。 リペイントや改造も多く、ファンガイアのようにスーツの改造前提で制作されている模様。
強化スマッシュに関しては、黒く塗り潰すのではなく一部をメタリックにすることで、リペイントした際のディテールを損なわないよう考慮されている。その中でもストロング・フライング・プレスには篠原氏が色変えを指定し、それ以降は現場処理によるものだが、後に個別で現場の配色に合わせたデザイン画が用意された。
一般人にとっては立派な脅威だが、黒幕に関する真実を突き詰めていくと結局のところこの黒幕の計画の駒として生み出された存在に過ぎないという悲しい事実が見えてくる。
(通常のスマッシュはフルボトル浄化のため、ハードスマッシュ・ハザードスマッシュ・クローンスマッシュは戦兎と龍我を育成するための噛ませ犬として、ロストスマッシュは地球滅亡計画の一環として生み出されている)
この点では仮面ライダーウィザードのファントムと近いと言えるだろう(仮面ライダーエグゼイドのバグスターも近いが、彼ら・彼女らは不死という人間が決して持ち得ない特性を持ち、こちらの黒幕にとっては人間が至るべきある種の理想形である点で異なっている)。
他にも怪人でありながら仮面ライダーやその所属陣営に与して戦う者たちも少なからず存在するという「味方怪人」とも言える面もあることからはミラーモンスター、倒されることでライダーの力になるという設定からはアンデッドの要素も見いだせる。
これらには作品そのものの共通点もあり、前者には「仮面ライダー同士の戦い」が主軸となる物語ゆえに怪人がクローズアップされることが少なかったこと、後者には劇中に登場する怪人のバリエーションが全編を通して出現するほど多くなかったという共通点がある。
(ただし、こちらは中盤以降も要所要所で怪人が重要な役回りを演じているのが違い)
黒幕の真の姿がスマッシュに似た意匠を持つ事からスマッシュは人間がネビュラガスの力で黒幕の姿に近づいた姿とも解釈できる。