賢吾「あれはゾディアーツ。アストロスイッチでコズミックエナジーのチャネルを開き、そのエネルギーをマテリアライズしてニュークリーチャーになる。さっきの爆発はエネルギー体をデリートしただけだ」
弦太朗「お前…カタカナ使えば頭いいと思ってんだろ!?」
概要
ゾディアーツスイッチを押した人間が物質化したコズミックエナジーを纏って変身する怪人。
変身の際にはスイッチャーが暗雲に包まれてモチーフの星図が出現、体表に装着されて変身が完了する。
変身者はスイッチャーと呼称されており、ドーパント同様、正体が明らかになるまでは声が加工されているのが特徴。
さらに、これまたドーパント同様に上位種とそれ以外の個体がはっきり分かれており、12体いる上位種をホロスコープスと呼称する。ホロスコープスは基本的には直接覚醒することはなく、一般ゾディアーツが自らの願いのために行動し続ける中で覚醒し変化する存在である。詳しくは後述。
ネーミング
名称は他シリーズの怪人と同じく「○○・ゾディアーツ」で統一されており、基本的には星座のラテン語名を冠する(例:こいぬ座なら「カニスミノル・ゾディアーツ」)。
ただし、その他の例として以下の場合もあるので注意。
- りょうけん座の「ハウンド・ゾディアーツ」、さいだん座の「アルター・ゾディアーツ」、りゅう座の「ドラゴン・ゾディアーツ」のようにモチーフの英名をそのまま名前に持って来ているタイプがある。
- それぞれラテン語表記は「Canes Venatici」、「Ara」、「Draco」である。
- かみのけ座は本来は「Coma Berenices」(ベレニケ妃の髪の毛の意)とラテン語表記するが、該当星座のゾディアーツは人名由来の「Berenices」を省略して「コーマ・ゾディアーツ」と表記するなどラテン語をベースとしながらも、語呂を良くしている。
- 「ヘラクレス・ゾディアーツ」や「ペガサス・ゾディアーツ」などモチーフがギリシャ神話の固有名詞に由来する星座の場合、日本語で馴染み深い読み方が優先される。
- なお、両者のモチーフはラテン語表記に準じて「ヘルクレス座」、「ペガスス座」とするのが正式な表記である。
また、武器のネーミングに関しては「リュンケウス&イーダス」や「ディケ」のようにゾディアーツのモチーフ星座と直接関係性のあるものもあれば、「アラディア」のようにデザインモチーフから連想したものなど様々である。
劇中での設定
星座をモチーフとした容姿が特徴。身体には星座を模したコアとそれを結ぶスターラインがある(※1)。
また、モチーフとなった星座を構成する星で最も明るい星がコアの中でも一際大きくデザインされている(※2)、これを『最輝星』と劇中用語でいう。
誰がどの星座のゾディアーツになれるか、上位種であるホロスコープスに覚醒できるかは「星の運命」が関係している。当初は黒幕である我望光明たちですら誰がホロスコープスの覚醒者なのか知らず、生徒たちを1人1人誘惑してホロスコープスに覚醒できるか試すという非常に回りくどい方法を採らざるを得なかった。
最輝星はリブラ・ゾディアーツが「ラプラスの瞳」に覚醒するまでホロスコープスに覚醒する目印と見られており、ペルセウス・ゾディアーツやドラゴン・ゾディアーツといった強力な一般ゾディアーツが最輝星を輝かせていたが、ペガサス・ゾディアーツを除き、(フォーゼと直接戦った一般ゾディアーツは)ホロスコープスには覚醒しなかった。
なお、MOVIE大戦MEGAMAXの描写では財団X職員がTVシリーズに登場したゾディアーツの別個体に変身している。また、一部の人間に限るが覚醒済みのホロスコープススイッチを用いることで自分の「星の運命」に関係ないホロスコープスに変身することができる。
このことから、星座1つにつき適合者は1人だけという縛りはない模様。
ただし、ホロスコープスに関してはスイッチを覚醒させることができるのは星の運命を有する者のみという描写があるため、一部の選ばれし者だけで好き勝手に覚醒と変身ができるわけでもないようだ。
中盤で「星の運命」をある程度正確に確認できる『ラプラスの瞳』が偶然覚醒し、我望たちはよりスムーズにホロスコープス探しができるようになった。
ただし、最初はラプラスの瞳でホロスコープスの適正なしと見なされなかったものが、再確認で適性を認定されたという例もある。
劇中でゾディアーツスイッチを押した人物の過半数はゾディアーツに変身できているが、中には不適合者も存在するようで、井石二郎はゾディアーツスイッチを押すも、変身に失敗して昏睡状態となっている。
一般ゾディアーツは上記の通りホロスコープスへの通過点といった扱いだが、その中には一般ゾディアーツのままで形態変化を得た変わり種も存在する(ユニコーン・ゾディアーツとムスカ・ゾディアーツ)。
その正体はある人物が人間を宇宙へ行くための体として強制進化させた存在である事が第37話で判明している。安全性を重視して装着型となったフォーゼとは対照的になっている(ただし、本編の後日譚である小説版では肉体変化型としている)。
備考
- (※1)ユニコーン・ゾディアーツのように元の星図とはかけ離れたように見える奴もいるが、これはスーツを見る角度にもよる。また、コーマ・ゾディアーツにのみスターラインは存在しない(かみのけ座は散開星団そのものが星座であるから)。
- スコーピオン・ゾディアーツの最輝星は実際のアンタレスと同様に赤みがかった彩色が成されているなどコアの色もデザイナーの遊び心に富んでいる。
- (※2)オリオン・ゾディアーツならベテルギウスが最輝星という事になる。
ラストワン
一般ゾディアーツに起こる現象。
ゾディアーツスイッチをある程度使用したり、スイッチャー自身の憎悪や憤怒といった負の感情が高ぶるとスイッチがラストワン状態となり形状が変化。ラストワンでは変身するとスイッチャーの肉体が繭に包まれて排出され、エネルギー体にスイッチャーの精神が宿った状態となる。
そのため自力で元に戻れなくなるが戦闘力が桁違いに上がり、一部の個体は体内エネルギーの量も増えるため地上で倒すのも危険になってしまう。
撃破するとスイッチが排出され、これをオフにすることでスイッチが消滅してスイッチャーに意識が戻る。
だが第2話で撃破されたオリオン・ゾディアーツのスイッチャーが、第8話時点でも入院中であることが判明しており、スイッチャーへの負担もかなり大きい模様。
またゾディアーツスイッチを求める中毒症状が現れるケースも見られた。
ホロスコープス
ラストワンを超え更なる進化を遂げた上級ゾディアーツ。
十二使徒とも呼ばれ、同じくホロスコープスを覚醒させるために学生たちにスイッチを配っている。
変身用スイッチも一般ゾディアーツの物とは色や形状が異なり、無制限に使用が可能。
金の刺繍が入ったクロークをまとっているのが特徴。
一般ゾディアーツ一覧
名称 | 登場話 | モチーフ |
---|---|---|
オリオン・ゾディアーツ | 第1・2話 | オリオン座/赤鬼 |
カメレオン・ゾディアーツ | 第3・4話 | カメレオン座 |
ユニコーン・ゾディアーツ | 第5・6話 | いっかくじゅう座/フェンシング選手 |
ハウンド・ゾディアーツ | 第7・8話 | りょうけん座 |
アルター・ゾディアーツ | 第9・10話 | さいだん座/テントウムシ/魔女 |
ピクシス・ゾディアーツ | 第11・12話、小説版 | らしんばん座/クワガタ |
ペルセウス・ゾディアーツ | 第15・16話 | ペルセウス座/青鬼/ハデス/メドゥーサ |
カニスミノル・ゾディアーツ | 第15話(回想) | こいぬ座/スミロドン・ドーパント(流用) |
リンクス・ゾディアーツ | 第17・18話 | やまねこ座 |
ドラゴン・ゾディアーツ | 第19・20話 | りゅう座 |
ペガサス・ゾディアーツ | 第21・22話 | ペガスス座 |
キグナス・ゾディアーツ | 第23・24話 | はくちょう座 |
コーマ・ゾディアーツ | 第25・26話 | かみのけ座 |
ムスカ・ゾディアーツ | 第29・30話 | はえ座 |
本編外登場
名称 | 登場作品 | |
---|---|---|
ヘラクレス・ゾディアーツ | MOVIE大戦アルティメイタム | ヘルクレス座/緑鬼 |
カリーナ・ゾディアーツ | 小説版 | りゅうこつ座 |
プッピス・ゾディアーツ | 〃 | とも座/イソギンチャク |
ヴェラ・ゾディアーツ | 〃 | ほ座 |
アルゴ・ゾディアーツ | 〃 | アルゴ座 |
存在の示唆のみ
第31話に登場したうさぎ座のゾディアーツ。
スイッチャーは???。うさぎ座である事は本人の口から明言されており、星図もしっかり描写されている。
ゾディアーツ態は一瞬だけ登場したが、姿は頭に「アルネブ」(うさぎ座α星)と思しき最輝星を戴いた兎の獣人型(スーツはおそらくパンダラビットイマジンの流用)。
- テーブルさん座のゾディアーツ
第35話にてリブラのラプラスの瞳に星図が映っていた(星座名の直接言及はなし)。
バスケ部員の女子生徒(演者不明)に適性があるらしい。
ちなみにテーブルさん座は南天の星座で、南アフリカに実在する山頂が平たいテーブルマウンテンを模した星座。
- はと座のゾディアーツ
第35話にてリブラのラプラスの瞳に星図が映っていた(星座名の直接言及はなし)。
男子生徒(演者不明)に適性があるらしい。
ちなみにはと座はノアの方舟の伝承に登場する鳩を模した冬の星座である。
第35話にてリブラのラプラスの瞳に星図が映っており、星座名も直接言及されている。
スイッチャーは???だが、怪人態は登場せず。
カプリコーン・ゾディアーツは弦楽器の使い手(元ネタは笛の名手)であり、そこからの連想だろう。尤も、こと座は神話では吟遊詩人の持っていた琴が星座になったものであって、この音楽とは程遠いモチーフなのだが…。
第43話にてリブラのラプラスの瞳に星図が映っている(星座名の直接言及はなし)。
怪人態はシルエットのみが登場しており、スーツはおそらくスミロドン・ドーパントの流用。
ラプラスの瞳に映った星図ではβ星が最も明るい星のように描かれているが、変身時に現れる星図では星が3つだけで構成され、こじし座21番星が最輝星のように描写されているなど描写がチグハグな所がある(こじし座の本来の最輝星はプラエキプアで、ライオンの尻尾あたりに位置する星であり、21番星とは方向が逆である。単に星図が反転していたという可能性もあるのかもしれない)。
なお、レオ・ゾディアーツの進化前ではない。
第45話で登場。星図は変身時に発生するのみで特定は困難(星座名の直接的な言及はなし)。
スイッチャーは???だが、一瞬だけの登場に終わる。
シルエットから鎖らしきものを垂らしている事がわかる。最輝星と思われるのはアルフェラッツ(アンドロメダ座α星)。
ネット版では
『ネット版 仮面ライダーフォーゼ みんなで授業キターッ!』の「天高生の全てを学べ!速水校長の特別面接」シリーズにて最後の十二使徒を探すリブラ・ゾディアーツがラプラスの瞳で星の運命を見た結果、以下の星座のゾディアーツに適性があった。
- ピスケスアウストラリヌス(みなみのうお座)
適性者は合唱部(グリークラブ)の片桐平(演:西洋亮)。
阿部純太(演:田辺季正)と吉田伊吹(演:渡辺伊吹)の3人で合唱部として活動、星ノ子幼稚園のクリスマス会訪問でユウキに助っ人を求めた。
ネット版ではその見た目から速水から陰で「合唱部のブーちゃん」と呼ばれていた事が明かされている。
- ボランス(とびうお座)
水泳部の有馬ひろみ(演:鈴木ふみ奈)。
倉持ゆり(演:今村美歩)をいじめで退部に追い込んだことから、アルター・ゾディアーツ事件に巻き込まれた経験がある。
演者がグラビアアイドルというだけあって、スタイルは抜群であり、速水は目のやり場に困っていた。
- ピクトル(がか座)
適性者は不良の番長介(演:黒石高大)。
弦太朗がゾディアーツの情報を聞き出しに校舎裏に訪れると何故だか喧嘩に発展し、その度に反撃に遭っている。
いつの間にか弦太朗と友人になったらしく、学園法度の処罰対象にされた際には弦太朗に助けを求めたり、劇場版ではジャイアントフットスイッチの担い手として活躍。
それにしても美術部でもない彼がどうしてイーゼルの星座の適性を持っているのだろうか…。
- ミクロスコピウム(けんびきょう座)
適性者は地下アイドルの水無瀬京子(演:大串彩佳)で、芸名は「ポップンあやか」→「みなぴょん」(2年時)。
「ラッキークッキー」をはじめとした持ち歌で一部の層に人気を獲得、ファンクラブはネット版でも出張出演を果たした。
水つながりで魚座が出るだろうと速水は考えていたようだが、当然立神から突っ込まれている。
- カイトス(くじら座)
適性者は元・醜いアヒルの子の会の母部田太朗(演:親川優志)。
名前の由来は恐らくモブ+太郎。その為か、劇場版ではエアロスイッチの担い手として活躍。
リブラは毎回最後の十二使徒に見つけるのに失敗してレオに制裁を食らってしまう。リブラがピスケスを探すというストーリーの展開上、水棲生物と道具系の星座に偏っている。
没になったゾディアーツ
- アクィラ・ゾディアーツ
デザインワークスに設定画と構想のみ記載されているわし座のゾディアーツ。その巨大な翼からあの人を思わせる姿をしているが果たして…。
- 六分儀座のゾディアーツ
英語表記から読みはセクス・ゾディアーツか。デザインワークスに設定画と構想のみ記載されている六分儀座のゾディアーツ。他の無機物モチーフの例に漏れず、昆虫の意匠(とりわけカブトムシ)が取り入れられており、武器は巨大なバスターランチャーを装備しているという没で終わらせるには勿体無さすぎるカッチョイイ姿をしている。役職は監視者らしい。監視者という設定からするに、あの人の進化前なのかもしれない。
備考
名前の由来は、黄道十二宮を意味する「ゾディアック」と宇宙飛行士を意味する「アストロノーツ」から。
ゾディアーツ達のモデルになっている星座は全天で88星座存在する。
(さらに詳しく言うと日本から全体が見える72星座、日本からは一部のみ見える12星座、
日本から全く見えない4星座に分かれる)
そのため幹部に該当する星座に当たる黄道十二星座を除いても76種類は存在する事になる。
デザイン担当は麻宮騎亜。
麻宮氏が語った事によると、過去の仮面ライダーシリーズにおける敵怪人が裏モチーフとして使用されているらしい。と言われていたが、下記の麻宮氏のツイートによってデマであることが判明。後に発売されたゾディアーツ画集でもライダー怪人が裏モチーフという話はあるゾディアーツくらいであった。
https://twitter.com/kia_asamiya/status/219255462078595073
なお、ケルベルス座など現在は使用されていない星座に関してはどのような扱いになるのかは不明。
デザインに関して
ゾディアーツの共通項
ゾディアーツに共通する記号として属性(人系、獣系、昆虫系、甲殻類系、鳥類系、魚系)に対応したマークを持つ、甲冑を着けた高貴なイメージ、仮面の意匠(一般ゾディアーツはブロンズとシルバー、ホロスコープスはゴールド)がある。
また、静物系の星座は昆虫の要素が組み込まれている(人体モチーフのコーマやデザインが存在しないプッピスなどの例外もあるにはある)。
(出典:『麻宮騎亜 仮面ライダーフォーゼデザインワークス When You Wish upon a Star』(ホビージャパン)P5、P17、P35より)
その他
ゾディアーツは星座をモチーフとするだけあって、モチーフ元に存在する天体などの様々な要素がデザインに取り入れられており、麻宮氏の凄まじいまでの観察眼と再構成力がうかがえる。
以下はその一例である。
- ペルセウス座の変光星アルゴルはペルセウスの持つメドゥーサの首に位置するが、ペルセウス・ゾディアーツのデザインでも同様の位置に配置されている。
- かに座にはプレセペ星団という散開星団があるが、キャンサー・ゾディアーツには勲章という形で取り入れられている(出典:『麻宮騎亜 仮面ライダーフォーゼデザインワークス When You Wish upon a Star』(ホビージャパン)P50より)。
- おとめ座は星図では稲穂を持っており、これがα星のスピカに位置するが、ヴァルゴ・ゾディアーツの最輝星からはジャラジャラとした金色のアクセサリーを垂らしている(出典:『麻宮騎亜 仮面ライダーフォーゼデザインワークス When You Wish upon a Star』(ホビージャパン)P45より)。
- 髪の毛はおとめ座銀河団から星雲をイメージしているのだとか(同上)。
- ヘラクレスはギリシャ神話においてネメアの獅子を退治したとされ、ヘラクレス・ゾディアーツの下半身にはレオ・ゾディアーツの顔を模した前垂れがある他、ヘルクレス座が蛇を握った姿で描かれるように髪の毛も蛇である。