概要
ゲームボーイ初のマリオシリーズ作品であり、ゲームボーイのローンチタイトル、更には後に続く「マリオランドシリーズ」の第1作目でもある記念すべき作品。れっきとしたマリオシリーズ本編とされている(マリオ30周年記念サイトに表記されていた)が、ルイージが登場しなかったり、その後のシリーズ展開でのマリオの立場の新設定とストーリーは外伝としての面が強い。
基本的には『スーパーマリオブラザーズ』と同じ横スクロールアクションゲームであり、グラフィックも『スーパーマリオブラザーズ』と『スーパーマリオブラザーズ2』を踏襲している。
全4ワールド構成で、各ワールドは3つのエリアに分かれている。3つ目のエリアには各ワールドのボスが待ち構えている。ボスバトルではボスを倒す、もしくは奥にあるスイッチを踏むことでクリアとなる(最終エリアのみ例外)。
また、シリーズ作品としては初となるシューティングゲームを盛り込んだエリアも存在する(後述)。一方で他作品では定番の水中を泳ぐエリアは登場しない。難易度はマリオシリーズの中ではかなり低め。
物語の舞台は、これまでの主要舞台だったキノコ王国ではなく、隣国にあたる連合王国「サラサ・ランド」である。冒険の目的も、宇宙怪人タタンガにさらわれたデイジー姫を救出することであり、『スーパーマリオブラザーズ』から始まるアクションゲームシリーズとしては初めて、クッパ以外の悪役がラスボスである作品である。
ちなみに、登場する敵キャラは全てタタンガの宇宙催眠で操られたサラサ・ランドの住民である。故にこの作品に登場する敵キャラはタタンガ以外は後年のマリオシリーズに敵キャラとして登場していないのも設定上の理由が絡んでいると思われる。
かつては2000年にニンテンドウパワー、2011年にニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されていた。
2024年5月からゲームボーイ Nintendo Switch Onlineで配信されている。
ストーリー
ピラプト王国、ミューダ王国、イーストン王国、チャイ王国の4つの国からなる「サラサ・ランド」という平和な王国があった。
ある日、突如として宇宙怪人タタンガが襲来し、住民たちに催眠をかけて国を乗っ取ってしまった。
さらに、自らの妃とするべく王女のデイジー姫を連れ去ってしまう。
これを知ったマリオは、デイジー姫を救出するべくサラサ・ランドへ向かうのだった。
本作だけの要素
本作独自の敵キャラ
ハードの制約……しかもゲームボーイのローンチタイトルということもあってゲームの容量などの制約もあったことや、『スーパーマリオブラザーズ』の舞台であるキノコ王国とは全く違う国での冒険を描いているということもあり、マリオシリーズに登場する数多くの敵キャラと比べると共通しているのはパックンフラワーくらいしかいない。
他作品に登場するキャラも他には続編の『スーパーマリオランド2 6つの金貨』に続投したタタンガ程度であり、かなり異色な作品。
2つのゴール
ゴール地点には上下2つの扉があり、上のゴールに入った場合にはアイテムが手に入ったり残り人数が上がるボーナスゲームに挑戦できる。
上のゴールへ行く方法は、落ちるブロックを踏み台にしたり、ゴール以前の区間から上層部を進むなど様々で、かなりのテクニックが要求される場所もある。
また、ボスがいる最後のエリアをクリアすると必ず挑戦できる。
シューティングエリア
このゲームにはシューティングエリアがあり、ワールド2-3では潜水艇「マリンポップ号」を、ワールド4-3(最終エリア)では、戦闘機「スカイポップ号」を操作して進むことになる。
操作方法は十字ボタンで上下左右に動き、AorBボタンで弾を発射して攻撃(B:単発/A:連射)できる。
シューティングエリアでは、敵にぶつかる(方向問わず)か強制スクロールで壁に挟まれるとミスとなる。ただし、キノコは出現する為取ると一回だけ敵の攻撃に耐える事ができる。フラワーは出ないが、2-3で二回キノコを取って維持できていれば次のエリアではスーパーボールマリオの状態で開始する。
スーパーボールマリオ
今作ではフラワーを取るとファイアマリオ…ではなく「スーパーボールマリオ」に変身する。
この状態でBボタンを押すと、射出時は斜め下45°に直進し、地面や壁に当たると斜め直角にバウンドするスーパーボールを放つ。スーパーボールは、一定時間が経つか穴や上空に飛んで行くと消滅する。性能自体はファイアボールと一緒。
なお、スーパーボールをコインに当てると、そのコインを獲得することができる(スーパーボールを当てないと取れないコインもある)。
しかし、画面内に一度に出せるスーパーボールは1発だけで、消えるまで次弾を発射できないという欠点がある。
2019年発売の『スーパーマリオメーカー2』では、このスーパーボールマリオが30年もの歳月を経てまさかの再登場。
同作のストーリーモードを進めていく中で獲得することができ、『スーパーマリオブラザーズ』のスキン限定で配置できるようになる。
地面や壁に当たるとバウンドする性質を持ち、コインに当てるとそのコインを獲得することができるのは原作と同様。Pスイッチもこのスーパーボールで遠隔で押すことが可能。
登場後はこのスーパーボールの性質を活かした謎解き型のコースも数々作られている。
一度に出せるスーパーボールは1発だけで、消えるまでは次弾を発射できない点も同様のため、発射位置や状況を的確に判断しないと時間の大幅ロスにつながる。
無敵時のBGM
スターで無敵になったときのBGMが、オッフェンバック作曲の「天国と地獄」になっている。
また、後発の『スーパーマリオランド2 6つの金貨』『スーパーマリオランド3ワリオランド』でも従来の無敵BGMとは違うBGMが使用されている。
裏面とエリアセレクト
一度全ワールドをクリアすると、タイトル画面のカーソルがキノコからマリオに変化する。この状態で再びゲームを始めると、裏面に進むことができる。裏面では、敵や障害物の配置が多くなる・ボスの行動パターンの一部が変化するなどの変更がされて、難易度が高くなる。
更に裏面も全てクリアすると、タイトル画面で好きなエリアを選んでプレイできるエリアセレクトが可能になる(ただし、選べるのは裏面のみで表面には戻れない)。
リセットをすると、これらは全て元に戻る。バーチャルコンソール版だとまるごとセーブでその状態を記録可能。
各ワールド
ワールド1 ピラプト王国
エジプトをモデルとしたワールド。1-1は地上面、1-2はアスレチック面、1-3は地下面とマリオシリーズの基本的なエリア構成となっている。
ボスは、スフィンクスとライオンを合わせた姿を持つ「キング・トトメス」。
ワールド2 ミューダ王国
バミューダ諸島をモデルとした海の王国。エリア1、2はアスレチック面で、海面に落ちるとミスになる。2-3は今作最初のシューティングエリアとなる。
ボスは巨大なタツノオトシゴの「ドラゴンザマス」と、それを守る球状の無敵生命体「タマオー」。
ワールド3 イーストン王国
イースター島をモデルとした岩の王国。基本的に地上面であるが、ワールド1より格段に難易度は上がっている。羽が生えて飛んでくるモアイや足もないのに全力で走るモアイがいる。
ボスは、手足の生えたモアイ像のような生きた石像「ヒョイホイ」。
ワールド4 チャイ王国
中国をモデルとした中華風の王国。特定の攻撃でないと倒せない敵や、遠距離攻撃を行う敵など厄介な敵が多く登場する。最終面だけあり、難易度はとても高い。
そして、パオキントンを倒した直後に、ラスボス「タタンガ」が出現する。
備考
この作品はスーパーマリオブラザーズを基礎としているが、お馴染みの無限増殖はシステムの関係で不可能となっている。
プログラム上では99人まで残り人数はストックできるが、通常の手段でいくと道中で1UPを逃さずにノーミスかつコインをひとつも逃さずに1UPかつボーナスゲームで3UPだけ狙って進めてもせいぜい20人を少し超える程度までしか増やせない上に裏面には引き継げない。
余談
『ドンキーコング』を除けばピーチ姫以外のヒロインが初めて登場したゲームだが、それ故に「マリオ浮気説」が浮上してしまい本山一城版でもネタにされている。『スーパーマリオくん』に至ってはピーチ姫がマリオに向かって「この浮気者!」と怒ってスーパーキノコを投げつけている始末。
その説を払拭するためか、デイジー姫はルイージと恋仲にされていたり、その後に登場したヒロインのクリスチーヌ、イエロースター、オリビアなどといったキャラクターは『ピーチ姫とゲストヒロインを共演させる』といった措置が取られている。
特に本山版ではデイジー姫とピーチ姫はマリオを取り合うライバルだったり、しかしデイジー姫もルイージに好意を寄せてデートしたりなど、随所にラブコメディが差し込まれている(ただしデイジーの好意はほぼ一貫してマリオに向けられており、ルイージも色々なキャラとの悲恋をするようになった)。
また本山版ではマリオとピーチ姫の2人旅で物語が進んでいく上にデイジー姫とはまた違うヒロインが登場した。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズでは『大乱闘スマッシュブラザーズX』の「いにしえっぽい王国」で使用された地下BGM(1-3、3-3)が唯一『スーパーマリオランド』からの出典曲だが、よりにもよってゲーム音楽界の兄貴・葉山宏治氏による暑苦しいアレンジがされている。
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