プロフィール
生年月日 | 2008年2月19日 |
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英字表記 | Danon Ballade |
性別 | 牡 |
毛色 | 黒鹿毛 |
父 | ディープインパクト |
母 | レディバラード |
母の父 | Unbridled(USA) |
生産 | ケイアイファーム(北海道新ひだか町) |
馬主 | (株)ダノックス |
調教師 | 池江泰郎→池江泰寿(栗東) |
主戦騎手 | 武豊、川田将雅、フランシス・ベリーなど |
戦績 | 26戦5勝 |
獲得賞金 | 3億2907万円 |
2005年にキャリア無敗でのクラシック三冠を達成したディープインパクトの初年度産駒の一頭。
母レディバラードはアイルランド産・日本調教で、現役時はクイーン賞・TCK女王盃と地方競馬重賞2勝を挙げた。さらにその母系を遡ると、1980年のエクリプス賞最優秀古牝馬グローリアスソングやタイキシャトルの父デヴィルズバッグなどを輩出したアメリカの名牝系「バラード系」に行き着く好血統の持ち主である(日本では、3頭のGⅠ馬を産んだ名繁殖牝馬ハルーワスウィートもこのバラード系)。
戦績
デビューと重賞初制覇
父ディープインパクトも現役を送った栗東の名門池江泰郎厩舎から2010年10月24日デビュー。父の主戦騎手武豊を鞍上に新馬勝ちを飾り、武にとってもこれはディープの仔での初勝利であった。
2戦目の京都2歳ステークス(当時はOP)はマーベラスカイザーの3着。
そして3戦目のラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ、現在のGⅠホープフルステークスの前身)で重賞初制覇。これはディープインパクト産駒初のJRA重賞勝利でもあった。
3歳(2011年)
重賞制覇で一挙に「ディープ家の長男格」としての期待が高まったダノンバラードは、明け3歳初戦の共同通信杯を1番人気で迎えるが、ナカヤマナイトの9着と大敗。
ここで池江泰郎調教師の定年退職によって、その息子池江泰寿厩舎へ移籍。
しかし、移籍先の池江泰寿厩舎の同期には、一頭の怪物馬がいた。後に「金色の暴君」と評されるこの世代の三冠馬・オルフェーヴルである。その母オリエンタルアートがディープとの種付けを3度試みるも受胎せず、代打で付けられたステイゴールド(ディープと同じく池江泰郎調教師の手掛けた馬である)との間に儲けた仔である、という不思議な因縁があった。
決戦のクラシック一冠目・皐月賞。共同通信杯の敗北が響き8番人気で迎えたダノンバラードは、3馬身差快勝のオルフェーヴルと、フジキセキ産駒の1番人気馬・サダムパテックに次ぐ3着に留まった。
日本ダービーでの雪辱を期して調教を進めていたダノンバラードだが、直前に脚部不安を発し回避。ダービーどころか菊花賞をも棒に振ることになってしまった。
4歳(2012年)
2011年末に復帰したダノンバラードは、古馬重賞でも中日新聞杯3着、日経新春杯2着などの成績を残す。
ただ勝ち鞍が遠く、2012年夏には当時存在した降級制度で、一時は準オープンの立場に降格したが、さすがにここでは力が違い、1戦でオープンに復帰。総じて安定した走りを続けていた。
2013年AJCCで重賞2勝目も…
5歳となった2013年の初戦はアメリカジョッキークラブカップ。短期免許で来日中のアイルランドの騎手、フランシス・ベリー騎乗のダノンバラードは直線で抜け出し、2年以上ぶりのうれしい重賞2勝目を挙げた。
……が、最終直線で外目から先頭に立った後、内に大きく斜行して2着トランスワープら2頭に大きな不利を与えており、特にトランスワープ陣営から異議申し立てが行われた。結局、着順通りに確定したものの、ベリー騎手には実質開催6日間の騎乗停止処分が下される、後味の悪い結果となった。
引退まで
その後、2013年宝塚記念ではゴールドシップの2着に突っ込むなど引き続き重賞戦線で活躍。しかし2013年秋以降は精細を欠き、同年の有馬記念では皐月賞以来のオルフェーヴルとの対戦機会が巡ってきたが、圧倒的な強さでオルフェが引退レースを飾る中15着に終わった。
2014年4月、活路を求めて初のダート戦となるアンタレスステークスに挑むが、ここも14着と大敗したことで引退した。
種牡馬時代
人気が出ず海外輸出
引退後は種牡馬入りしたものの、そもそもこの時点では父ディープインパクトがまだバリバリの現役種牡馬であり、ディープの仔でも既にダービー馬ディープブリランテらが種牡馬入りしていた。
ディープ産駒最初の重賞馬としてかつて大きな期待を寄せられたとはいえ、最高成績がGⅡ1勝のダノンバラードにそこまで種牡馬人気が集まるわけもなく、初年度となる2016年生こそ25頭の産駒が登録されたものの、翌2017年はあっという間に1ケタまで産駒が減少。
その上、精子の生産が活発ではなく、種付けの数をこなせない上に受胎率もいま一つという、種牡馬としてはかなり頭の痛い問題も抱えていた。
結局、トルコの馬主のオファーに応じて売却・海外輸出され、イタリアのちイギリスで種牡馬として繋養されることになった。
残した産駒が活躍
ところがである。日本に残してきた、2016年生まれ・初年度わずかに25頭のダノンバラード産駒達。
これがよく走った。
門別でデビューした牡馬・ナイママはJRAへと駆け上がり、2019年のクラシック三冠戦線を完走。
地方でも2018年の北海道2歳優駿で産駒のウィンターフェルが重賞初制覇…と思いきや写真判定のミスがあったことが着順確定後に発覚し、2着に訂正されるという珍事もあった。(しかし着順確定後のことであったため、ウィンターフェル1着に絡んだ馬券も的中として払い戻しが行われた。)
これら産駒の活躍に着目したのが、ちょうどディープインパクト系の種牡馬を探していた日高の生産牧場・ビッグレッドファームである。当時の馬主にはかなり高額をふっかけられたそうだが、日本に買い戻すことに成功し、2019年から改めて日本で種牡馬として供用されることになった。
日本第二期
その後も2016年生まれの産駒から、ロードブレス(日本テレビ盃)・ダノンレジーナ(東京シンデレラマイル)と複数の賞金1億円超えホースが成長。ダノンバラード買い戻しの判断が誤りではないことを印象付けた。
「出戻り」後の初年度となる2020年は66頭の産駒を得た。その中から、牝馬のキタウイングが新潟2歳ステークス・フェアリーステークスと早々に重賞2勝を挙げる上々の立ち上がりを見せている。
いったん輸出される前の種牡馬入り直後は30万円だった種付け料は、2023年には200万円まで上昇。この時のビッグレッドファームのエース種牡馬ゴールドシップと同額といえば、その評価の向上っぷりがわかるというものだろう。
一度は見切られて海外輸出されたものの日本に戻されるという、かなり変わった経歴を経た「ディープインパクト家の長男」が、父として今後どれだけの成績を残せるか注目される。