概要
鬼滅の刃・第52話において鬼舞辻無惨が下弦の伍の累が倒された事を期に、十二鬼月の内下弦の存在そのものを見限って、彼らを集め気に入った1人を残して総解体した為に、その様がまるで現代のパワハラ上司のようだと言う事でこのあだ名がつけられた。
「そりゃ悪の組織の首領なんだから、下への当たりが強いのは当然だろう」と思われるだろうが、彼の場合その度合いが常軌を逸しており、幹部の一人がやられただけで、これといった失態のない残りの幹部全員の切り捨てを決意し、ほぼ問答無用で抹殺という、凄まじい暴君ぶりを見せつけており、そこを描いた一連の展開は当時の読者を色んな意味で驚かせた。
とは言っても、100年以上誰にも倒される事のなかった上弦と違い、下弦は頻繁に鬼殺隊にやられて構成員が入れ替わっており、その鬼殺隊にすら柱になる条件として「十二鬼月を討伐する」を設定する位には、頑張れば普通に倒せてしまえる者達(基本的に柱以外の一般隊士では相手にならないが、作中の柱は無傷かつ瞬殺してしまっている。ただし、これについては当代の柱達が特別に強かったというのもある為に、一概に歴代の柱達とのパワーバランスもそうだとは言い切れない)と認識されているなど、全体では能力的にも実績的にも問題を抱えていた事から、「一人やられたから」ではなく「今までの面子全員分の責任を被せられた」と言った方が正しいのかも知れない(当人達には堪ったものではないが)。
しかもこれは最高幹部に当たる上弦も似たようなものであり、自分の期待する成果を出せなければ容赦なくプレッシャーをかけ、時には平気で危害を加えるというケースさえあったことから、ジャンプ読者の間では無惨のことを“上司にしたくないキャラNo.1”だとする者も少なくはない。
鬼になる事によって生まれるメリットが「無惨が上司」というだけで帳消しになり借金までさせられ、そこに鬼になる事によって生まれるデメリットが乗ると言われるレベルでもある。
なお、気に入ったその一人に対しても、血の大量摂取に順応できればよし、できなければ体が耐え切れずに死ぬという、場合によってはその場で殺されなかっただけで結果は同じだったかもしれないというあたりが、全くもってこの呼称に相応しい。
それらの結果、無惨は敵の首魁でありながら幹部である十二鬼月の討伐数が、主人公を初めとした味方キャラの誰よりも多いという、非常に不可解な事態に発展する事となり、ネット上で「鬼殺隊最強・鬼柱」「パワハラの呼吸」などとネタにされまくる事になった。
ちなみに、最終的に本編において部下の“成果”を褒めたのは、禰豆子が陽光を克服したという情報を齎した半天狗や、鬼殺隊の本拠地を発見した鳴女ぐらいである(なお、半天狗はその時点で既に死亡していた)。
パワハラ被害者まとめ
鬼になる際に瀕死レベルの怪我を負わされ、恐怖を植え付けられた。
十二鬼月であると嘘を吹き込まれた挙句、人間の前で無惨の名前を喋った事により“呪い”が発動し頭を潰された。
人が喰えなくなってきた事で見限られて数字を剥奪・右目を潰されたが、無惨の制裁の中では軽い方である。要因としては向上心と忠誠心があり、建設的解決案まで用意していたからという理由の他、彼の能力が無惨的に非常に有用性の高いものに成り得る可能性があった為、などと考察されている。
- 下弦の弐~陸はこちらを参照。
嬉々として柱の一人を殺したと報告するも、無惨からは「そんな事は鬼なら当然」とまともに評価して貰えないどころか、柱よりも優先順位が高いと聞かされていなかった敵を前に退いた事を逆に咎められて散々小言を言われる羽目になった。夜明けが間近な上に、死を目前としている火事場の馬鹿力状態の柱を掻い潜っての戦闘続行の要求は無茶振りである。
ただし彼の実力から見て、最初から本気で戦うか、あるいは無限列車の攻防に介入していれば、あの場の柱を含む隊員四名全てを殺しきれていた可能性の方が高く(猗窩座は以前から、目を付けた相手とは会話してその人となりを理解し、技を出し尽くさせてから殺すという悪癖があった)、相手の勧誘に固執しすぎた結果、逆に殺されかけた上に一般隊士(炭治郎)からも一撃を受け、結局無惨からの指令を殆ど達成できずに撤退したというのは確かに重大な落ち度である(しかも、この時逃した隊員達は後に他の柱と共に113年ぶりの上弦討伐に成功し、鬼の陣営に大きなダメージを与えている)。その為、この件については「パワハラも多少は仕方ない」と無惨を擁護する声もある。
また、彼は既に百年以上にも渡って幾人もの柱を葬っている為に、今更柱を一人倒した程度では評価はし難いというのもある。
尚、このような一見上弦にも拘らず散々な扱い(実際そうだが)で猗窩座も結局は無惨に利用されていたのに過ぎないものの、本人の女性を殺せないという姿勢を許容している辺りまだ比較的寛容で過去には猗窩座は錯乱中だったとはいえ、初対面で会った無惨を殺そうとしたことがあり、返り討ちにされるも彼に引き取られている。
ちなみに猗窩座本人は無惨には敬語で話し、彼の部下である点には殆ど不満はないが従うべき相手以上でも以下でもないという認識もあるので、無惨のパワハラ自体には微動だにしておらず、炭治郎から一撃を受けた件を突っつかれて始めて顔色を変えた。
上弦招集の際に未確定の情報を嬉々として語ろうとした(結果的には正しい情報だった)事を理由に頚をもぎ取られる。とはいえただの制裁であり処刑ではなかった為、それで死ぬ事はなく、本人はむしろ喜んでいた。
以下、「無限城編」のネタバレを含むので注意
無限城での最終決戦、当代最強を含めた三人の柱と新米ながら鬼の力を使える剣士の4名を相手取っての、おそらく自身の生涯の中でも類を見ない大きな戦いの中で、幾度となく空気の読めないクソリプ同然の思念を飛ばされていた。
事実上最後の上弦で、無限城の戦いでは無惨のサポートを行っていたが、愈史郎に能力を奪われてその役割を果たせなくなり、無惨も最初こそは彼女を取り戻そうとしたものの、すぐにあっさりと切り捨てられた。
アニメにて
9月28日(土)放送の第26話で、この無惨のパワハラシーンがほぼAパートの尺を割いて放送された。無惨は女性の姿(擬態)での登場だが声はそのままであり、妖艶な美女の口からねっとりとした男声で話す様は、まさに正気の沙汰ではない。
考察としては、「浅草で竈門炭治郎に見つかった時は『洋装の男性』だった為、『和装の女性』の姿に擬態していたのでは?」という一説が囁かれている。後に、この和装の女性は無惨が日中に人間を使った情報収集等を行う際の姿で、職業は芸妓(名前は不明)だと明かされた。
関連イラスト
関連タグ
表記揺れ
関連・類似キャラクター
岩本虎眼…ある意味先駆けと言える他作品キャラ。こちらは命までは奪わなかったものの、被害を受けた人物が下弦に劣らず酷い目に遭っていた。
フリーザ…同じジャンプを代表するボスキャラクターであるが、無惨とは対照的に、相応の実力こそ必要であるものの逆らいさえしなければそれほど厳しくない軍規や、一度ぐらいの失敗であればもう一度チャンスを与えるなど、理想の上司として評価されることが多い。
ン・ダグバ・ゼバ…こちらもある意味、元祖ともなったグロンギで、クソ上司の極みの様な怪人。彼の場合ズやベを粛清したのは、戦力にもならない雑魚ぞろいだった(彼らより強い連中ですら失敗している以上最早彼等にゲゲルへの参加資格は無い=ゲゲルの成否が全ての価値観である以上最早生きる価値すらない)為、整理(粛清)を行っていた。しかもダグバ本人はグロンギにとっては神聖な儀式であるゲゲルすら遊び程度しか認識しておらず、殺しを楽しんでいる一面と、殺される事を楽しみにする異常性を持ち合わせている。
グロンギ達のゲゲル成功も、ザキバスゲゲルにおける自身との決闘でより強い相手と戦い殺す、或いは殺される事を楽しみに待っている等、結果を問わず互角の相手と殺し合うのが何よりも楽しみであり、最悪自分が究極の闇をもたらす事になってもそれはそれで楽しみと感じる、他人を狩りの対象としかみない分かり合えない人間としても、その狩りを神聖絶対視して彼等なりに真摯に儀式を行なっているグロンギとしても異端な存在。
ただし、ダグバ自身が強すぎる為、ラスボスの完成形態との声も多い。
獅子谷鉄也…闇金グループの社長を務める凶暴な半グレ。こちらは人間で即処刑こそしないものの、人間である故に昼夜関係無く悪事を働いたり残虐な拷問で出来の悪い部下を虐げたりする等、ある意味では無惨以上にタチが悪いと言える。