ポケモンは 怖い 生き物です!
概要
ラベン博士が序盤に発する、『Pokémon LEGENDS アルセウス』がどんな物語かを象徴していると言えるセリフ。
今までのポケモンシリーズに触れて来たプレイヤー達からしたら、ポケモンといえば「人間と共に暮らす生き物」「頼れる相棒」等(冷徹な悪党共の大方は利益や力を誇示する為の道具という解釈も)という印象が強いことだろう。
そのため「何を大袈裟な」と、真に受ける者は少なかった。
…ヒスイ地方の、シリーズ史上屈指に広大で過酷な大自然に触れるまでは。
そして、殺意満点の「はかいこうせん」を直にぶっ放してくるオヤブン達と出会うまでは…。
オヤブン個体に限らずとも、執拗に「さいみんじゅつ」を仕掛けてくるフワンテや、「どくのこな」「しびれごな」を鬼のように撒いてくるパラス等も脅威となることだろう。
PVでも映されてきた、リングマやカビゴンなんかが敵意むき出しでこちらに向かって来る様子など言わずもがなである。
時代背景としてはまだ人間の文明も発展しておらず、ポケモンに対する理解も少なく(作中の時系列ではアローラ地方等の別地方では一定の共存をしているが、ヒスイ地方の場合はまだ開拓段階に近いこともある)、ポケモンに対する道徳を教えてくれる人間も少数である。
その事からコトブキムラでも最初はポケモンに対して「凶暴な猛獣」と恐怖心を抱いている村人がほとんどで、ポケモンの起こす行動や習性を怪奇現象と勘違いしている例もある(まぁ間違っちゃいないが)。
例外としてラベン博士やサザンカ等の一部の住民は最初からポケモンに優しく、ヒスイ全土でいえばコンゴウ団とシンジュ団もポケモンを大事にし信頼関係を築いている。
プレイヤーがサブイベントでポケモンに関わるトラブルを解決していくと、少しずつ村はポケモンの事を認めて共生へと進んでいくようになる。
というかそもそもの話として、いくらポケモンとはいえ相手は野生動物。人間の手が全く入っていない自然の中で生きてきたポケモン達にとって人間など正体不明の異種族に過ぎず、その異種族を警戒心の下に実力行使で自身のテリトリーから叩き出すのは当然と言えば当然のことである。
というか、この世界の目的としてポケモン達の暮らす世界の調査が上がっているが、言ってしまえば人の家に土足で上がり込むようなもの。警戒されるのも仕方ない話である。
この辺りの関係においては、自然の中で生きるポケモンもそこを切り拓いて村を作って生活している人間達も、そこまで変わりないのかもしれない。
2022年2月28日に配信された無料アプデ『ヒスイの夜明け』によりオヤブン個体の大量発生が起こるようになった。
状況によってはプレイヤーの背後に突如大量のオヤブンが現れるということも…。
LEGENDSアルセウス以前では…。
初代ポケモンの時点から、図鑑説明などで色々物騒な設定が込められており、現代の図鑑でもゴーストポケモン、誘拐するポケモンなど怖い部分を感じさせる記述見られた。野生ポケモンは危険という認識は昔から健在であり、『赤・緑』ではオーキド博士、『プラチナ』ではナナカマド博士に手持ちポケモンがいない状態で草むらに入ろうとする人間を阻止する描写がある。事実『ルビー・サファイア』ではオダマキ博士が弱い部類に入るポチエナに手も足も出せずに襲われている。手持ちポケモンさえいれば野生ポケモンに襲われてもすぐに戦闘画面に移行するので事実上の安全圏にいる状態になるが、それでも手持ちポケモンが全滅した場合は何もできずにポケセン送りにされるため、人間にとってポケモンが脅威的なのは本編でも変わらないと言える。
恐怖体験の先駆け
『LEGENDSアルセウス』の恐怖体験の先駆けとなったのは『ポケモンレンジャー』シリーズであると思われる。
というのも、ポケモンレンジャーはポケモントレーナーではないので、ポケモンを仲間にしたり、鎮める方法もポケモンバトルではなく、相手ポケモンをキャプチャスタイラーで囲うというキング・クイーン戦に近しいもの。
ポケアシストという形でポケモンが協力してくれるとはいえ、ほぼ丸腰も同然であり、ミッションによっては以下の危険なポケモンに遭遇する事も珍しくない(落雷が常に落ちる島や雪崩が頻発する雪山、火柱が伸びる火山帯など環境の方が怖いという事もしばしば…)。
- レンジャーを視認すると突進で吹っ飛ばしてくるヘラクロス、ドンファン、イノムー、トリデプス(原作でのこうげきは125、ドンファンに至っては小さな民家を破壊できる攻撃力を持つ)
- どこからともなく降ってきては執拗にこちらを追い回してくるアリアドス
- 崖に登っている最中に突進してくるグライガー
- こちらを見るなり、周囲に毒ガスを充満させるドガース
- レンジャーを視認すると呑み込もうとしてくるウツドン
- 近づくと鎌で切断しようとしてくるストライク
- 当たると混乱する攻撃を放ってくるルージュラとズバット
- 縄張りの木に近づくと大量に襲ってくるダーテング
- こちらが近づくとだいばくはつするビリリダマ
- 砂嵐を周囲に纏い、迂闊に近づけばダメージを与えるカバルドン(以下『バトナージ』)
- 這った跡に触れるだけでダメージを食らうカラナクシ、マグマッグ、ベトベトン
- 海流の早い海溝に密集したハリーセン
- 食虫植物に擬態し、油断したレンジャーに突進してくるマスキッパ
- シルバーフォール周辺を跳ね回るキバニア(以下『光の軌跡』)
- オブリビア地方に生息する興奮状態になったポケモン達
(※いずれもフィールド移動時のものです)
おそらく危険度はヒスイ時代に勝るとも劣らないだろう。文明が進歩した程度ではポケモンの本質的な恐ろしさは変わらないと言ったところか…。
ただコトブキ村にポケモンに排他的であった住民が一定数は存在したのに対して、ポケモンレンジャーは最初からポケモンに優しい者が多数で寧ろポケモンを守る事が使命であり、見方によっては更に過酷な経験をしているといえる。
余談
- アニメにおいても、映画『超克の時空へ』で過去の世界が描写されたが、こちらはモンスターボールすら存在せず、ポケモンを魔獣と呼び、特殊な拘束具でコントロールしていた。
- 漫画『ポケットモンスターSPECIAL』では度々ポケモンによる人間へのダイレクトアタック描写がある。この漫画に対しては、ポケモンシリーズの産みの親である田尻智さんが「僕が伝えたかった世界に最も近いまんがです」とコメントしている。
- 最新作ポケットモンスター スカーレット・バイオレットでは、ダイレクトアタックされないものの、メニュー画面を開いてもポケモンがこっちに気付いて近付いてくる、バトル中に周囲に集まって個体によっては接触してきて連戦になるなど、本作プレイ済だと度肝を抜く要素がある。
関連項目
LEGENDSアルセウス セリフ ラベン博士 オヤブン 本当は怖いポケモン
危険生物:恐らく元ネタとされる。
ワタル(トレーナー):人間相手に直にはかいこうせんを発射させた。
ただ相手はポケモンを金儲けに使う、ポケモン泥棒等の犯罪に等しい悪事を犯すロケット団員である為、こちらはれっきとした正当防衛である…過剰防衛か?