概要
字面の通り設定を無視することだが細かい意味は複数ある。
- 物語の設定を無視したようなあらすじ・シーン・キャラなどが登場すること。死に設定のページにある「公式サイトや説明書等で紹介されてたり、作中で描写されているものの、作中のストーリーで矛盾…もしくは台無しになっているタイプ」と同義。
- 物語の時代背景からはありえないシーンなど。詳細は時代考証・史実などを参照。
- 物語の設定を無視した二次創作
設定無視が起こる背景
設定無視が起こる背景は実に様々である。
作品の長期化/世界観の拡大化/設定が緻密すぎる
原因としては長期シリーズ故に作者が設定を忘れていた、世界観の拡大化に伴って設定が変更された(後付け設定や死に設定ができたなど)、資料によって表記や記載されている設定に差異があるなど。
有名な例としては「ジョジョの奇妙な冒険」に登場するウィル・A・ツェペリが挙げられる。
このキャラクターは家庭を持たなかったという設定が作中ではっきりと明言されたのにもかかわらず、子孫であるシーザー・A・ツェペリがのちに登場したために抗議が殺到、作者が第4巻の後書きで謝罪している。
その他の例として、『ポケットモンスターXY』でメガシンカがカロス地方でしか確認されていない現象とされているにもかかわらず、直近作かつ時系列的に過去に当たる『ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア』ではホウエン地方が舞台かつネームドキャラがメガシンカを使ってくるなどの矛盾が起こっている。
『仮面ライダーシリーズ』の場合であれば、仮面ライダーのボディの各部には様々な設定が成されているのだが、劇中でこれらの設定が毎回遵守されているかと言われればそうではなく、ほぼフレーバーテキスト程度に留まっている設定も少なくなく、結果的に設定を無視してしまっている事もしばしば(大真面目に描写してしまうと物語の進行に支障が生じるためであろうか)。
クロスオーバー展開
ソシャゲやクロスオーバー作品で版権キャラクターがコラボする際に彼らの性格上、原作では明らかに言わなそうなセリフを口にするといった例がある(例えば『妖怪ウォッチぷにぷに』であれば、(原作では争いを好まない好青年であるにも拘らず)こちらを倒す気満々の口調で話す仮面ライダークウガ(アルティメットフォーム)が登場するなど)。
特撮作品でよくある例が『仮面ライダーディケイド』や東映の春のお祭り映画。
敵が不死生物のはずなのに必殺技で爆散されたり、一度きりの奇跡がさも、ライダー本人の能力のように使用されたり、原理が全く異なる高速移動同士の対決が実現したりする。
所謂、クロスオーバーを円滑にする(あるいは絵面やわかりやすさ優先の)ために細かな設定を無視するというやつである…おのれディケイド!!
TCG『バトルスピリッツ』ではゲームバランスの都合上、原作では撲滅できなかった敵キャラクター(倒しても復活しては無限に強くなっていく完全生命体イフ、デジモンでは絶対に根絶不可能なデ・リーパーなど)であっても純粋なBP勝負で破壊されるようになっているなどの止むを得ない事情で原作無視をせざるを得ないケースもあったりする…。
メディアミックスによる影響
『アニメ版ポケットモンスター』を始め、メディアミックスによる設定の差異は珍しくないが、中には基本となる公式設定から著しく逸脱しているパターンも存在する。
顕著な例ではゲームやアニメで展開されている『デジモン』シリーズが挙げられる。
そのうちの一つである『デジモンクロスウォーズ』では(公式設定においては)究極体の中でも特別な存在であり、ファンロン鉱の武装でないと体が傷つかないとされるファンロンモンがドルビックモン(第2期の1面ボス)の配下扱いされているだけでなく、ファンロン鉱よりも硬度で劣るゴールドデジゾイドで武装したジークグレイモンに敗れるという設定の破綻っぷりを見せつけた(そもそもこの作品では『世代』の設定が存在しないのでファンロンモンに限った話ではない)。
尤も、公式設定を正直にアニメ版に反映させてしまうと物語の進行に支障を来す、物語が簡単に終わってしまうという事情もあるのだろうが(例としてインペリアルドラモン(ファイターモード)は惑星を破壊できるほどのパワーを秘めているとされる)。
作者の怠慢
一番身もふたもない原因だが、作者自らが設定の統合性を守るやる気を無くし、その場のノリで矛盾する展開にシフトしてしまうケースもある。
大抵作者や脚本家、作中キャラといった「製作側自らが言及」し認めた場合に用いられ、ボーボボやデッドプールのようなメタギャグ作品なら許され易いが、読者に中指を突き立てるに等しい発言ゆえ炎上のリスクも付きまとう。
世にあまねく漫画家・脚本家の中には、井上敏樹や赤松健など批判を気にせず己のやりたい様に進めるタイプもおり、そのスタンスを受け入れるファンなら「持ち味」として許容される場合もある。
一から十まで整理されたストーリーより、瞬間的な感情や興味を掻き立てる"濃い"描写に注目が集まりやすい令和の風潮に乗せられ、後先考えないウケ狙いに飛びついてしまう作者も存在する。
対応策
対応策も実に様々であるが、(特殊な条件下では)例外もあり得る等の理由付けを行う事で設定無視を回避するケースやパラレルワールドであるために一部設定が異なるとするケース、いっそ清々しく、奇跡が起こったという超展開を持ってくる作品もある。
例えば、『仮面ライダードライブ』に登場する仮面ライダーチェイサーマッハは作中でも存在自体があり得ないと述べられているように、変身アイテムが特定の人物専用である為に使用できないという設定が存在し、劇場版でも遵守されていたのだが、終盤で該当人物が死亡してダチの手に渡ると変身に使用できており、正しく奇跡が起こったとしか言いようがない…という風に設定無視も上手く使えば心に残る演出になり得る。
詳細な設定を設ける事で有名なTYPE-MOON作品の例では無限の剣製は神造兵装は投影できないとする一方で、ある宝具を除き、真に迫ったものやハリボテ程度なら投影できるなど例外が描かれている。