2019年4月1日
にせんじゅうきゅうねんしがつついたち
もとより4月1日といえばエイプリルフールで知られており、2019年、つまり平成31年も各種スマホゲームやAC音ゲー、公式Twitterなどが存分に大暴れしていた。詳細はこれらを参照のこと。恐らくまだある。
しかし、この年の4月1日はこれだけでは終わらなかった。そう、平成最後のエイプリルフールである。
しかし、嘘のような本当の話が続々と起こった。
天皇(現上皇)の譲位(生前退位という言い方は「法による退位」の強調の意味をもつ)が同月末の30日に予定され、それに伴う新元号の発表が、他でもないこの4月1日に行われることがわかっていたのである。
明治以降で崩御を伴わない改元は類を見ず、新元号の大喜利は数ヶ月単位で続いていた。果ては台湾が「平成第二章」などと言い出したり、日本は日本で「タピオカ元年」がトレンドに入ったりと大方予想通りの事態になった。
こんな状態で、ましてやただでさえ何でもありのエイプリルフールの日での発表で、何も起こらないわけがなかった。
予定より11分遅れの11:41、菅官房長官によって新元号「令和」が発表された。この時、よりにもよって発表のタイミングでNHKが放送事故(NHKのみがその場の手話通訳をワイプで映していたのだが、官房長官が掲げた元号の額縁とワイプが被ってしまった)を起こした。
しかし、聴覚障害者からは30年前と比べて障害者に配慮した放送が進んでいることに感嘆する声も上がった。
また、ネットメディアでの中継で確認できる会見終了後は、記者たちが明らかに私物であろうスマホで個々で撮影する(会議の際にはしっかりとジャミングがなされていた模様)など、会見だけを見てもそれ自体が一つの話題にできるものであった。
元号の話題で、真っ先に話題に上がったのは元号の擬人化であった。その後、ピクシブの検索で「令和」になるカップリング表記が存在しないことを確認されたり、そこからさらに「令」と「和」(やそれを含む名前)での百合薔薇NLなんでもありのCP談義が始まったり、「和」が左になる元号が「和銅」しかない上に右になる元号が非常に多いことから「和」右固定という謎の概念が発生したり、果ては「昭・和・令」による三角関係や、「平成と令和のカップリング表記は平和」(昭和でも成立する)と、完全におもちゃ状態になっていた。
ニチアサ民は早速「令和ライダー」「令和プリキュア」「令和戦隊」ネタで盛り上がり、海外勢も多数便乗して韓国でもトレンドに「令和ライダー」が入るほどの国際的な盛り上がりとなった。
なお「令和ライダー」は早々に公式アカウントがハッシュタグとして使用している。
令和という元号そのものをとっても、頭文字がRとなることから早速令和18年を期待されたり(平成は毎年Hだったが)、元年もR-1になることでヨーグルトやゲームセンター、お笑い番組の名前を出されたりしていた。案の定というべきか、元年より18年が上に来ていた。
他ではいらすとやが早速動いたり、前述のエイプリルフールかと思いきやまさかの本当の新元号絡みの企画がツイッターに上がったり、ゴールデンボンバーが当日中に新曲「令和」を発表したりと、相乗効果もあって大きな盛り上がりを見せた。
万葉集の売れ行きが好調になったのは言うまでもない。
Janne_Da_Arc解散発表
新元号発表でお祭りムードの最中、12年間活動を休止してきたJanne Da Arcが突然の解散発表。
しかもメンバー1人の素行問題が原因というあんまりな結末に往年のバンギャルやかつてJanne Da Arcをコピーした元キッズ達は一転して地獄に叩き込まれ阿鼻叫喚。
同世代の音楽ファンにも大きな反響を起こした。
成瀬瑛美をはじめとしたかつてのファンであった芸能人や影響を受けた後輩バンドマンも次々と痛切なコメントを発表した。
これらのお祭り騒ぎやJanne_Da_Arcの解散表明の後で、混沌を極めていたネット民にとどめを刺すように襲来したのがポプテピピックSPである。
そもそもアニメ化の最初の発表が2017年のエイプリルフール、本放送の2018年で自然災害か何かのような大暴れの痕跡を残した問題作だった。
案の定、この日はこの日でたった1時間で40人以上、それも媒体ごとに異なる(AbemaTVはわざわざこの日のためのポプテピピック専用チャンネルを立てておきながらアニライチャンネルと異なる)声優が被害を被った。とりわけ蒼井翔太の酷使が目を見張った。
2019年で放送60周年を迎える『おかあさんといっしょ』では、14年間に渡って出演した小林よしひさ(11代目たいそうのおにいさん)と7年間出演した上原りさ(5代目身体表現のおねえさん)に代わり、福尾誠(12代目たいそうのおにいさん)と秋元杏月(初代たいそうのおねえさん、「身体表現のおねえさん」を含むと6代目)が登場。
体操も5年間続いた『ブンバ・ボーン!』から、新しく『からだ・ダンダン』に変わった。
ちなみに『からだ・ダンダン』を作詞したのは何と吉田戦車である。
名牝ウオッカの死
日本から遠く離れたイギリスでは、GⅠ7勝を挙げ、顕彰馬にも選ばれた競走馬ウオッカが蹄葉炎のため15歳の若さでこの世を去った。
訃報が伝わったのは2日後の4月3日で、その翌日の4月4日は彼女の誕生日であった。
JRAはウオッカを偲び、4月6日の阪神牝馬ステークス(GⅡ)には「ウオッカ追悼競争」の副題を付け、翌日4月7日の桜花賞では、ターフビジョンにウオッカの在りし日の活躍を映し出した。
ゲーマー界隈でもこの日騒然となった。PS2のR-TYPE_FINALをもってSTGとしてのR-TYPEは終了したのだが、グランゼーラが突如「R-TYPE_FINAL2」のティザーサイトを設けて発表したのである。
そもそもアイレム時代からエイプリルフールネタでも知られていた上に「R-TYPE_FINAL2」のエイプリルフールネタをやっていた前例があった為、誰もがいつものエイプリルフールネタと思っていたが本当の計画だった事が判明するや、R-TYPEならびにSTGファンは歓喜に包まれたのである。
クラウドファンディングによる開発資金の投資も始まり、R-TYPEの再始動に向かっている。
これらの関連語句によって日本のTwitterトレンドは制圧され、おそらく平成で最も濃かったと思われる宴は幕を閉じた。令和を「0話」と呼べることから「エピソードゼロ」と形容されたりしたが、2019年の4月は令和のエピソードゼロと呼べるだろう。
譲位・改元によりこれまでの12月23日の天皇誕生日が消滅し、平成31年と令和元年には天皇誕生日が存在しない年となった。これは今上天皇の誕生日が2月23日である為であるのと、先代である上皇がご健在であるからだとされる。
2019年4月では2019年度の唯一の平成であり、1ヶ月しかないため、その日から令和年度が始まったが、その日で生まれた人が平成年度生まれの真の最年少である。
…こんな平成最後のお祭り騒ぎだったが、この時はまさに平和だったと言えるだろう。
2019年の後半には人々を震撼させ、恐怖に陥れたものが全世界へ忍び寄り、このエイプリルフールがなんだったのかと思える深刻な時代が来るとはこの時誰も想像していなかったのである。