"Don't Deal with the Devil"
概要
機種 | Xbox One・Windows | Mac OS X | Nintendo Switch | PlayStation 4 |
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ジャンル | アクションシューティング | 同左 | 同左 | 同左 |
発売日 | 2017年9月29日 | 2018年10月20日 | 2019年4月18日 | 2020年7月29日 |
販売元 | StudioMDHR | 同左 | 同左 | 同左 |
レーティング | CERO-A | 同左 | 同左 | 同左 |
2017年9月29日からリリースされたインディーゲーム。
正式名称は『Cuphead "Don't deal with the Devil "』。
ジャンルとしては『ロックマン』や『メタルスラッグ』、『魂斗羅』を彷彿とさせるアクションゲームで、雑魚を倒しながら進むステージよりボス戦がメインとなる流れになっている。
ただし、その内容は雑魚敵が無尽蔵に現れる通常ステージだったり、目紛しく予測不能な攻撃や形態が変わるボスなど、見た目とは裏腹に非常に難易度が高く殆どのステージで初見殺しに遭う。その為、倒すにはかなりの慣れと有効な装備の見極めが重要になる。
また、攻撃手段や形態の変化のモーションなど表現においては1930年代のカートゥーン風に描かれた手書きのセルアニメーションになっており、線画は手書きで塗りはPhotoshopを使用してアナログとデジタルで差が無いようになっている。その為、セル画を最大限に生かした見応えのある物となっている。
実際に使用されたセル画は45000枚以上に上り、後にギネスで『ゲーム制作に使われた最も多い手描きセル画の枚数』として記録された。
対応機種
開発中の事情(余談参照)に加え、PC(Windows・Mac)とXboxの独占配信であると明言されていたため当初は他機種への移植は絶望的だと思われていた。しかし、マイクロソフト側からの提案によりSwitch版も配信され、同日に行われたアップデートで日本語を含む多言語(11言語)対応となった。3年近く時を経てPS4でも配信された。
ちなみにスイッチ版では他機種に比べ倍以上のロード時間や一部描写の規制があるため、本作目当てでスイッチを購入するさいはその点に要注意。
また、有志によるPlayStation Vitaへの移植版が公開されている。(動かすにはWindows版の購入が必要)
あらすじ
昔々、インクウェル島とよばれる魔法の島に、カップヘッドとマグマンという兄弟が住んでいた。ふたりは物知りケトルじいさんのもとでのんびり暮らしていた。
ある日のこと、じいさんから何度も忠告されていたにもかかわらず、ふたりは家から遠く離れたガラの悪い地区にある「デビルのカジノ」に入ってしまったのだ。
カジノに入ると、カップヘッドとマグマンはあっという間にサイコロのテーブルで勝ちを重ねました。
「こりゃすごい!キミたちは負け知らずだな!」
カジノのいかがわしげな支配人を務めるキングダイスはこう言った。
「やるな、坊主ども」
兄弟はハッと息を呑んだ。なぜなら、この声の主はオーナー、デビルだったのだ!
「そろそろ掛け金を上げてみるか?」
デビルは姿を見せ、ニヤリと笑っていた。
「もう一度お前たちが勝てば、このカジノの金を全てくれてやろう!」
デビルが大きな声で言い放つと、あたりは沸き立った。
「ただし、負ければそのタマシイを頂く。さあ、取り引きするか?」
簡単に金持ちになれるチャンスに目がくらんだカップヘッドは頷き、サイコロを掴む。
「あっ、カップヘッド!いけない!」
危険を察したマグマンは叫んだが、時すでに遅し!
「ピンゾロだ!」
デビルが床を叩きながら、大笑いしました。
「貴様らの負けだ!さて、貴様らのタマシイだが…。」
デビルが兄弟にせまり、ふたりは恐怖で震えあがる。兄弟は「き、きっと別の方法でお返ししますから」と命乞いをした。
マグマンは言葉につまりながらも「そ、そうです、お願いします!」と訴える。
カップヘッドも言う。
「ふーむ、一考の余地はあるな」
デビルはニタニタと笑いながら1枚の羊皮紙を取り出し、こう言う。
「逃げ出した債権者どものリストがここにある。俺様の代わりにこいつらのタマシイを集めてこい。そうすれば貴様らのことは見逃してやろう。わかったらさっさと行け!」
デビルはうなり、ふたりをケリ飛ばして乱暴にカジノから追い出す。「こいつら全員のタマシイを明日の真夜中までに集めて来い!さもなくば、俺様が貴様らのタマシイを回収しにいく!」
カップヘッドとマグマンはすっかり怯えて全速力で逃げ出しました。
「はやく、マグ!」とカップヘッドは言う。
「ケトルじいさんのところにいこう!きっとどうすればいいか教えてくれるから!」
※本作のプロローグ(日本語版)から引用
登場キャラクター
メインキャラクター
- カップヘッド (Cuphead)
本作の主人公で、マグマンの兄。赤い鼻と曲がったストローが特徴。上は黒い長袖シャツに下は赤い短パンに白い手袋を嵌める。
賭け事には強いが、大きな報酬を見ると後先考えずに挑戦を引き受けてしまう一面もある。
明確な性格描写のシーンは少ないが、作中の様子から弟より向こう見ずな性格だと思われる。
なお、2015年に公開されたE3トレイラー版では頭に密造酒を注ぐという色々な意味で危険な事をやらかしていた。
- マグマン (Mugman)
本作のもう一人の主人公で、カップヘッドの弟。彼と比べると目が離れて鼻が大きく、ストローが真っ直ぐなのが特徴。兄同様黒い長袖シャツに白い手袋を嵌めるが、彼は下に青い短パンを履いている。
金に目が眩んだ兄に巻き込まれ、一緒にタマシイの取り立てに行く羽目になる。こちらも性格描写のシーンは少ないが、兄よりは慎重で理性的な性格だと思われる。
リリース当初は2P専用となっていたが、Switch版の発売と同日に行われたアップデートで1Pとしても選べるようになり、プレイごとに自由に切り替えも出来るようになった。
なお、DLCアナウンストレーラーではとんでもない表情を初披露し、Mac版トレーラーでは焦点の合わない目を見せており、アップデートで追加されたバトル開始時のアニメーションにも同様の表情が追加されたなど顔芸キャラな一面も。そのため、アナウンストレーラー前と後で印象に違いがある。
名前は"Megaman"(海外版ロックマンの名称)のオマージュで、カップヘッドよりも先にデザインされた。因みに、マグカップは和製英語で海外では"Mug"だけで英語として通じる。
サブキャラクター
- ケトルじいさん (Elder Kettle)
カップヘッドとマグマンを見守っているケトルの老人。デビルに重荷を背負わされた彼らに魔法の水を授け、自身はデビルに対抗する術を探すべく協力する。
とはいえ対抗する術が「不当な賭けなので払う必要がない」「デビルの弱点は~」などではなく、力をつけてぶちのめせというものなので、ユーザーからは脳筋疑惑が出ている。
- 伝説の聖霊チャリス (Legendry Chalice)/チャリス (Ms.Chalice)
名前の通り、聖杯の姿をした霊体。『インクウェル島』に伝わる魔法を探し回っているが、各エリアの霊廟ステージにて恐ろしいお化け達に捕まっている。
お化けを追い払うと、お礼にボス攻略に役立つ必殺技を授けてくれる。
追加DLCではプレイヤーとして操作出来、カップヘッドとマグマンと違って2段ジャンプやスライディングが出来る。
- シェフ・ソルトベイカー(Chef Saltbaker)
DLCで追加。インクウェル本島より離れにあるインクウェル島4にてパティスリーを営む塩入れのシェフ。
チャリスを蘇らせようとするカップヘッド兄弟に協力し、幽界を支配できる力を持つと言うワンダー・タルトを作るのに必要な材料を教えてくれる。
敵キャラクター
- 債務者達 (Debtors)
『デビルのカジノ』から逃亡した者達。各エリアのボスを務め、タマシイを取られまいとあの手この手でカップヘッド達を倒そうと仕掛けてくる。
兄弟にとっての敵であるが、彼らもまたキングダイス達にタマシイを狙われている二人と同じ境遇を辿っている。その為、エンディングではキングダイスとデビルを倒した兄弟を総出で称賛してくれた。
なお、難易度は『シンプル』と『レギュラー』があるが、『タマシイの契約書』をゲットするには後者をクリアしないと受け取る事が出来ない。また、本編をクリアすると更に高難易度の『エキスパート』が追加される。
- キングダイス (King Dice)
デビルの側近であるサイコロのディーラー。各エリアの出入り口で兄弟が全てのタマシイを回収したかを確認する門番を務める。
全ての債務者の『タマシイの契約書』を集め、『インクウェルヘル』でスゴロクの要領でマスを進み、マスごとに居るボスと戦いながらゴールへと進むと、遂に直接対決する事になる。
因みに、サイコロは出目の3と4の位置で雄と雌に分けられるが、彼はきちんと雄サイコロの出目になっている(雄サイコロは123の目が時計回り、雌サイコロは123の目が逆時計回り)。また、キャラクターの中では唯一BGMに歌詞がついている。
ボーカルはAlana Bridgewaterという女性で、加工前の歌声もかなり低い。
- デビル (The Devil)
『デビルのカジノ』のオーナーを務める黒い悪魔で、本作のラスボス。『インクウェル島』の全域を支配していると言っても過言ではない程の強い影響力を持つ。
自身の仕掛けた賭けに負けたカップヘッドとマグマンに、一時的に見逃す代わりに明日の夜中までに債務者のタマシイを集めてくるよう命令する。
スタッフ
プロデューサー | マリヤ・モルデンハウアー、ライアン・モルデンハウアー |
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ディレクター | チャド・モルデンハウアー、ジャレド・モルデンハウアー |
デザイナー | ジャレド・モルデンハウアー |
シナリオ | エヴァン・スコルニク |
プログラマー | エリック・ビリングスリー、ケジア・アダモ、トニー・コクラッジ、トマス・プリード |
音楽 | クリストファー・マディガン |
美術 | チャド・モルデンハウアー |
ローカライズ | GameTomo |
追加DLC
2018年に公開されたE3では、追加DLCとして『Cuphead in "The delicious last course"』の配信決定が発表された。こちらは本島の離れの孤島『インクウェル島4』が舞台で、新しいチャームやショット、更に手強いボス達が登場。今までにありそうで無かった様々な仕掛けが用意される。
また、プレイアブルではゲーム中でスペシャルアイテムを授けてくれる伝説の聖霊・チャリスを新たに操作出来るようになった。更に、新キャラでは謎に包まれた塩入れのシェフ・シェフ・ソルトベイカーも登場する事が明かされている。
元々は2019年に配信予定だったが、更なるクオリティアップやスタッフの健康の配慮、更に新型コロナウイルスの影響などで度々延期され、そしてようやく、2022年6月30日に正式に配信された。
また、数々のディズニー作品の制作に参加したアニメーターのトム・バンクロフトも開発に参加している。
アニメ版
2019年7月9日、本作のアニメ版として『The Cuphead Show!』をNetflixで制作と配信する事が決定。2022年2月18日に配信が開始された。
詳細はTheCupheadShow!を参照に。
なんでもありの大乱闘へ!
2020年1月16日に公開された追加Miiファイターコスチュームの紹介映像にて、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』にカップヘッドがMiiファイター(射撃タイプ)のコスチュームで登場する事が発表された。同年1月29日より実装。
元々原作で手からビームを出すので、射撃タイプと相性抜群で違和感は殆ど見られない。また、頭身も近いので再現度が高いMiiコスチュームの1つとなっている。
同じインディーゲームからのサンズと同じく楽曲付きでの配信となっており、キャグニー・カーネーション戦の『烈花の如く』が採用された。
PVでは下記の様に様々な原作再現が見られる。
元ネタ | 再現シーン |
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蝶を追いかけている | 蝶(マグマンで再現)がむらびとから追われている |
『インクウェル島』のカップヘッドの家 | コトブキランド |
ケトルじいさん | ゲコ |
キャグニーカーネーションの雑魚敵 | 『いにしえっぽい王国』の黒のパックンフラワー |
プルプ・ル・グラン | 青のカービィ |
グリム・マッチスティック | 緑のリザードンを空中攻撃で撃墜 |
オオトリ・ワシノスケ | ファルコをボムで撃墜 |
森の迷宮or樹上迷惑 | プププランド |
デビルカジノ | ニューポークシティ |
踊る廃品工場(?) | すれちがい伝説 |
マグマン | ロックマンX(?) |
カール博士との対決 | Dr.ワイリー |
また2020年2月14日午後3時に、カップヘッド・マグマン・デビル・キングダイスのスピリッツが登場するイベントが行われた。
余談
- 登場するキャラクターやステージには、他のゲームやアニメ作品のオマージュやモチーフが数多く隠されている。
- 元々は2013年にリリース予定だったが、幾度も延期の末に2017年に配信。概要に書いた通り、ビジュアルにとても手間がかかっているので、相当な難産だったことは想像に難くない。
- 制作者が家を抵当に入れる、ゲーム制作に集中するため仕事を辞めるなどして文字通り人生を捨てる勢いで開発していたが、マイクロソフトから後に資金援助を受けることとなった。
- 発売から僅か2週間で100万本の大台を突破し、3か月で200万本、11か月で300万本、2019年10月直前には500万本、2020年7月には600万本を達成した。
更に、2017年に行われた最も優れた作品を決める『The Game Awards 2017』では『Best Art Direction』や『Best Score/Music』、『Best Action Game』、『Best Independent Game』、『Best Debut Indie Game, presented by Schick Hydro』の5部門にノミネートされた。
部門によってライバル作品は異なるが、同年に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』や『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』、『NieR:Automata』、『ペルソナ5』、『仁王』と有名作品と肩を並べた事も本作の評価を物語っている。そして、最終的に『Best Art Direction』と『Best Independent Game』、『Best Debut Indie Game, presented by Schick Hydro』の3部門を受賞した。
関連イラスト
関連動画
- 『Cuphead Launch Trailer』
- 『Cuphead Macintosh Launch Trailer』
- 『Cuphead Nintendo Switch Announcement Trailer』
- 『Cuphead (カップヘッド) PlayStation®4 アナウンストレーラー』
- 『Cuphead DLC Announcement Trailer』
- 『ザ・カップヘッド・ショウ! オフィシャル予告映像』
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参考作品
『bendy_and_the_ink_machine』(2017年)
同じく1930年代のカートゥーンを意識した世界観のゲームで、同年に発売された点も共通している。
外部リンク
公式
- Cuphead: Don't Deal With The Devil(英語版の公式サイト)
- Studio MDHR(@StudioMDHR) Twitter (公式Twitter)
- Cuphead:Steam
- Cuphead DLC For Xbox One | Xbox
- Cuphead を購入 - Microsoft Store ja-JP
- Steam:Cuphead
- Cuphead on GOG.com
- Nintendo Switch|ダウンロード購入|Cuphead
- The Cuphead Show! | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト