概要
1988年12月24日に発売された『ロックマン』シリーズの第二弾。好評を得た前作のゲームシステムを踏襲し、操作性やステージ、ストーリー構成などに注力した後継作品。正式名称は『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』。
2011年時点において全関連タイトル最多販売本数(国内流通だけで約151万本)の大記録を今なお堅持するモンスタータイトルにして、プラットフォームをWiiに移して発表された『ロックマン9』以降もゲームソースの中核に在り続ける中興の祖であり、『ストリートファイター』『モンスターハンター』と肩を並べるカプコンの代表作品筆頭としてその名を連ねる。
特徴
前作のゲームシステムに倣いつつ、後発作品におけるフォーマットに密接に関わる様々な新要素を追加しており、以下はその代表例である。
対立軸『ワイリーナンバーズ』の出演
前作の「改造戦闘機のライトナンバーズ」から「新造戦闘機のワイリーナンバーズ」に切り替え、悪役として出演するDr.ワイリーのキャラクター性と世界征服の明確な目的を強調した。なお、1号機であるメタルマンのナンバリングは009であり、これはエレキマンまでのライトナンバーズのナンバリングを意識してのものである。
サポートアイテム『E缶』の導入
前作に登場したシンボルアイテム『弥七』のエネルギー回復システムを転用し、携行型の任意回復手段とした事でアクションゲームを苦手とするプレイヤー層にも大きく門戸を開いた。
ボスキャラクターのデザイン公募
ゲーム制作に携わるキャラクターデザイナーだけに留まらず、実際のプレイヤーからもアイデアを求めようとユーザー交流を兼ねたデザインコンテストを開催する。以降も形を変えつつ連綿と続けられ、後に各画業で大成する漫画家の村田雄介(ダストマン、クリスタルマン)、天野洋一(スラッシュマン)、イラストレーターの榎本よしたか(ブライトマン)も名を連ねた。シリーズが一端途絶えるロックマン8での公募をもって終了している。
サポートメカの多様化
前作の『マグネットビーム』の概念を継承して新たに3種類の行動パターンを持つサポートメカを用意し、戦略性の幅を広げると同時に次回作『ロックマン3』のラッシュに続くサポートキャラクターの道を切り拓いた。
ステージ構成の多様化、複雑化に伴う難易度上昇による長期的継続プレイを考慮し、パスワード方式による定点復帰を可能とした。
スコア制の廃止
従来のアクションゲームの常識であったスコア制とそれに関連するアイテムを撤廃し、「攻略時点の獲得点数」ではなく「ゲームのクリア」そのものに重点を置いた。
挙動の改定
前作ではダメージを受けると数秒は無敵状態にあっても即死トラップである「トゲ」に触れるとミスとなったが、今作からは「トゲ」にも適用される。
また、浮力の概念が追加され水中ではジャンプ力の増加が付与される。
ストーリー
Dr.ライトの生み出した、スーパーロボット「ロックマン」によって謎の天才科学者Dr.ワイリーの世界征服の野望は阻止され、世界に平和はよみがえった。
しかし、Dr.ワイリーは甚大な打撃を受けたにもかかわらず、再び「ロックマン」に新たな戦いを挑むべく、8体の強敵ロボットを送り出した………。
登場キャラクター
主要キャラクター
DRN.001。平和を愛する心優しい家庭用ヘルパーロボット。ワイリーの蜂起に心を痛め、悪の野望を打ち砕くべく再びロックマンとなる決意を固める。
作業用ロボット『ライトナンバーズ』を開発した工学博士。ワイリーの悪行を打破する決意に満ちたロックに再び戦闘用の改造を施す。
戦闘用ロボット『ワイリーナンバーズ』を開発した工学博士。ライトナンバーズの改造から得た知識と技術を利用し、ワイリーナンバーズの開発に成功する。
ボスキャラクター
ワイリーナンバーズ
DWN.009。カットマンの技術理念を転用して開発され、頑強なセラミカルチタン製丸鋸刃『メタルブレード』を持つ。
DWN.010。後の頭部一体型ボディ「エアーマンタイプ」の元祖であり、台風並の小型竜巻発生装置『エアーシューター』を持つ。
DWN.011。世界初の水中戦闘用人型ロボットであり、硫酸を混ぜて強度を確保した硬質泡状弾『バブルリード』を持つ。
DWN.012。エレキマンの技術理念を転用して開発され、超高速移動能力を活用した小型ブーメラン『クイックブーメラン』を持つ。
DWN.013。ガッツマンとボンバーマンの技術理念を組み合わせて開発され、小型の高威力炸裂弾『クラッシュボム』を持つ。
DWN.014。「時間を制する」という研究成果を具現化したナンバーズ屈指の傑作であり、周囲の光の速度に干渉して時の流れを操る時間停止機能『タイムストッパー』を持つ。
DWN.015。ファイヤーマンの技術理念を転用して開発され、最高出力12000℃を誇る火炎発生装置『アトミックファイヤー』を持つ。
DWN.016。天然の檜材を惜しげも無く使った森林戦闘用ロボットであり、周囲に木の葉を旋回させる攻防一体のバリアフィールド『リーフシールド』を持つ。
その他
研究所と要塞を兼ねたワイリーキャッスルの門番を務める重機動メカ。重厚な外見とは裏腹に装甲以外の大部分は風船であり、充填した水素ガスの浮力で飛行する。
かつて酷い目に遭わされたライト家のガードシステムを改造した分離、合体式セキュリティロボット群。
お気に入りのガッツマンを参考にして作り上げた巨大戦車。総重量の大半を燃料のLPガスが占める、LPGエンジン搭載型の超長期駆動戦車。
強固な壁面で遮られた小部屋に配置され、さらに本体自身も特殊効果膜で保護されたビーム発射砲台群。なんとロックバスターが一切通用せず、ある特殊武器のみしか通用しない。しかも弾数を考慮しないと確実に詰む。ただし、ゲームオーバーまでのリトライにおいて救済処置があるのでそれに気が付けば突破は不可能ではない。
ワイリーマシーン2号
前回の失敗を教訓として設計を全面的に見直し、戦闘力のベースアップに加えて外観にもこだわり抜いたワイリー専用の決戦用戦闘機。
ワイリーが最終決戦で変身した異形の宇宙人。動きこそ単調だが攻撃力は極めて高く、弱点となる武器以外の攻撃エネルギーを吸収して生命力に転換する驚異的能力を持つ。
海外版ロックマン2ことMEGAMANⅡについて
海外版である「MEGAMANⅡ」ではタイトル画面でゲームを開始する前に二つの難易度のどちらかを選ぶ事ができるようになっている。
NORMALとDIFFICULTがあり、前者は敵に与えるダメージがロックマン2より倍になっており、中には特殊武器で一撃が可能になっているボスもいる。また、敵を倒すと回復アイテムが出現する確率が高く設定されている。後者はロックマン2と同じ難易度である。
ロックマンクラシックスコレクションにもMEGAMANⅡが収録されている為、機会があったらプレイしてみよう。ロックマン2が苦手な人でも、もしかしたらクリアも不可能ではないかもしれない。
二次創作による社会的影響
販売本数の最多記録に比例して知名度も極めて高く、中でもBGM『Dr.WILY STAGE 1』は「シリーズ屈指の名曲」として大多数の例に挙げられる。2007年頃、ニコニコ動画でこのBGMを使用した二次創作作品『思い出は億千万』が空前絶後の話題を呼び、同時期に発表されていた『エアーマンが倒せない』と共に当作品の人気を再燃。往時以上の賑わいを見せるに至る。
思い出は億千万
エアーマンが倒せない
特に、前者についてはJAMProjectといった第一線で活躍するミュージシャンをも巻き込む事態に発展した経緯から、ゲーム作品を知らない未知未見の層にも広く浸透。
遂には2014年に任天堂発売の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/ Wii U』へのロックマン参戦決定に際して公開された公式PVに当作品のBGMが選出され、作品の世界観を象徴するオリジナルメドレー(『GAME START』⇒『TITLE』⇒『Dr.WILY STAGE 1』)の構成楽曲に採用された。
また、XJAPANが歌っているかのように編集された動画がアップされた際はあまりのクオリティの高さに本当に歌われているとの勘違いが続出したようだ。
余談
- 先述のE缶は1個以上所持していた場合にゲームオーバーになると0に戻ってしまう。
- パスワードのAの段はE缶所持フラグとなっているが、所持数に応じて8ボスを倒している/いないのフラグの位置が変化するようになっている為、仮に8体倒したパスワードだけでも5パターンの異なるパスワードが出力される仕組みになっている。
- ちなみに8体のボスを未撃破でE缶を4つ所持した状態で始まるパスワードがあるが、これは通常の手段だと不可能であり絶対に表示されないパスワードである。
- 恒例のボスラッシュステージは武器の回復手段が全く無い、いきなり各ボスへの転送装置が並ぶ部屋から始まる為シリーズでも難易度が高い(ロックマン8も同じタイプだが、ステージが始まる前に全回復した状態になる。リトライでも同じ)。この作品からボスラッシュでボスを倒すとライフエネルギーが必ず出るようになった。
- 後にメガドライブの「ロックマンメガワールド」に移植された際はパスワードではなくセーブ方式に変更された為、E缶は未使用でもゲームオーバーで没収されなくなっている。
- クラッシュマンを除くボス7名は後にロックマンエグゼのネットナビのモデルになっている。彼のみ没である理由はお察しください。
- 本作では何故かボス戦の曲が1つしか無い。通常ボスどころか、ワイリーステージのボスですら同じものの使い回しである。前作ですら2つあったのに…
- 他の作品に登場するワイリーナンバーズは作業用として作られたものを改造したものが多いのに対し、8体全てが純戦闘用のみで構成されたのは唯一今作のみである。
関連タグ
立石孝:BGM作曲者。