立方体

りっぽうたい

正方形の面6面を有する立体。キューブ、さいころ型。

概要

正多面体の一種で、正六面体とも言う。

6枚の正方形から成り、8つの頂点（3本の辺が入る）と12本の辺を持つ。

面や辺が隣と垂直に交わっており、これは正方形で成り立ってる事から判る。

サイコロや塩の結晶、ルービックキューブで馴染み深く、おそらく最もメジャーな正多面体であり、立体全般の代表格でもある。

正多面体の中で唯一、単独での空間充填が可能で、その時のこの図形の配置は単純立方格子構造となる（面心→菱形十二面体、体心→切頂八面体）。

字面が「立体」と似ているが、あくまで立方体＝正六面体であり、立体全般を意味しているわけではないので注意。例えば球は、立体であっても立方体ではないし多面体ですらない。

ラミエルで有名な正八面体とは双対関係（「多面体」を参照）にある。

正十二面体の適当な頂点を選んで結ぶと立方体となる。更に立方体の頂点を一つ飛ばしに選んで結ぶと正四面体となり、残った頂点も結べば星型八面体となる。

立方体から正四面体を作る操作を逆に見ると、正四面体の各面の中心を持ち上げる事で立方体ができる形となる（四方四面体の場合よりも高く持ち上げる）。この操作はJoinと呼ばれ、立方体自身に対してこれを行えば菱形十二面体となる。

この辺については後は以下のようになる（操作の詳細は「半正多面体」を参照）。

正方形の三次元版と見なす事ができ、四次元版は正八胞体となる。これらをまとめて正測体（超立方体、γ体）と言う。立方体は三次元における正測体である。

日常的にも、正方形同様「■」「四角」としばしば呼ばれる。正方形に対して正方体と呼びたくなるかもしれないが、実際その呼称も中国語圏ではよく見られる。

注意点として、正方形は正軸体でもあり、三次元の正軸体は正八面体である。そのため、正八面体もまた正方形の三次元版と見なす事ができるが、正八面体の事を立方体とか正方体とは呼ばない。

一般的な箱のように、縦横高さの3つが等しくは無いものは直方体と呼ばれ、これは三次元版の長方形に当たる。正方形が長方形の一種とされているように、立方体もまた直方体の一種とされている。

直方体は更に、三次元版の平行四辺形に当たる平行六面体の一種であり、そして平行六面体は四角柱の一種である。平行六面体は「平行四辺形柱」、直方体は「直長方形柱（長方形を底面とした直柱）」、立方体は「アルキメデスの四角柱」のように言い換える事ができる。

一方で、立方体をその内部を通る対角線の方向に引き伸ばすと菱形六面体となる。これは一般的な意味合いにおける反双三角錐（ねじれ双三角錐）であり、ある意味で菱形の三次元版に当たる。

つまり立方体は菱形六面体の（引いては反双角錐の）一種でもあり、直方体でも菱形六面体でもあるものは立方体となる。カタランの立体の頁の表現を用いると、立方体は「カタランの反双三角錐」とも表現できる。

菱形六面体も平行六面体の一種である。

同様な形では、台形に相当するものとして四角錐台があり、平行四辺形を台形に含む見方では四角柱は四角錐台の一種となる。

更に単なる四角形に相当するものも考えられるのだが、名称は不明。単に「六面体」と言うと、双三角錐や五角錐なども含まれて来てしまうので注意が要る。

数学の教科書で描かれるような立方体は「遠近法」が働いて無いことが多いため（対辺の線自体の長さが同一）、練習の際は注意が必要。

更に、遠近法を使う際の注意点として、立方体は「大きな正方形と小さな正方形を斜めにずらして結んだもの」と表現される事も多いが、これは視界の隅っこにおける立方体の見え方である。視界の中央ではこうはならず、面を真っ直ぐに見ている場合しか正方形には見えない。