「都合の悪い」出来事には触れないなど、偏った立場からする報道のこと。
報道のあり方について
放送においては日本民間放送連盟の報道指針には「多角的な報道」「多様な意見を考慮」とあるように中立公正をうたっている。もっとも実際の放送は必ずしもそうなってはいない。
ある出来事について、報道機関が報道しないことを「報道しない自由」などとして攻撃されることがある。しかし実際のところ、世の中のすべての出来事を報道することは不可能であるし、また報道は他者の自由や権利、あるいは生命や財産を意味なく侵害するものであってはならない。個人情報の保護や犯罪の防止のための情報のコントロールなどは認められるべきである。
考えてみよう
そもそも、厳密に完全中立な報道は可能だろうか?また、仮にそれが可能としても、それが報道のあり方として望ましいものだろうか?
「対立する主張はすべからく『両論併記』すべし」という考えを突き詰めると、「地球平面説」や「霊言」のような荒唐無稽なものも報道しなければならなくなる。多少の知識がある人なら一笑に付すような妄想や放言や差別的な意見を報道することは、これらを傾聴に値する意見として「お墨付き」を与えてしまうことにもなるのだ(これを「両論併記の罠」という)。例えば、かつてのアメリカ合衆国のテレビはタレント実業家時代のドナルド・トランプの奔放な言動を垂れ流したが、その結果彼は大統領にまでのし上がってしまった。今日、米国のメディアはトランプの陰謀論や暴力を示唆する発言に対し軒並み批判的であるが、そのことが「ディープステートに支配されたメディアが偏向報道に走っている」というトランプ信者の世界観に説得力を与えている。日本のメディアでも青島幸雄や横山ノックといったタレント出身の知事が登場してきた以降、同様の主張が出てきている。
また、特に読者や報道機関の立ち位置によってある程度報道の内容に主観や偏向が入る(例:関西メディアのタイガース・大阪維新の会への偏愛)ことは、当然ありうることではないだろうか。
もちろん現在のコロナ禍でメディアが権力者を代弁したり、逆に政権側を不当に貶めるために捏造や、結論を誘導をするような行為は、報道機関としてあるまじき行為である。またマスコミが特定の有力企業や団体と癒着してその関係者の扱いを優遇したり、その会社が売り出したい芸能人を言われるがままにプッシュしたりするようなこともよくあるが、報道機関に求められる「独立性」、「中立性」、そして「社会的正義」の観点から好ましくはない。これらは地元スポーツチームや地元出身者を贔屓するのと同レベルで論じるべきではなく、偏向報道として批判されるべきである。
手法
捏造・誤報
情報そのものの意味を変えて報じる事で、受け手に誤った判断をさせる。外国語記事の誤訳、偏ったソースからの報道、音声・画像の加工、統計の部分的な抜き出し、およびデータに対する極端な解釈など。これらは必ずしも意図的なものではなく、報道関係者の意図しない偏見や誤解、あるいは単純ミスが原因になっていることも多い。
印象操作
報道に意図的な装飾を加えることで、情報から受ける印象を操作する行為である。具体的には、特定の報道に対し他の無関係な内容と関連があるように見せかけたり、BGMなどで視聴者の受ける印象を演出したり、無関係な画像や音声を付け加えたり、コメントなどの「第三者の意見」を引用するなどの行為である。ほとんどの場合は意図的と考えられる。
しばしばインターネットのファクトチェックでは、劇団員が一般人になりすまして街角インタビューに答えている事例が存在することが指摘されている。こうしてさも市民全員が何かしらの政治的決定に不満を持っているかのように演出する行為は偏向以前の問題とも言えるが。
過度なバッシング
特定の内容を針小棒大に報じ、情報から受ける印象を操作する。
報道規制
何らかの事象を報道しない、あるいは内容よりも小さく報道する、あるいは報道しないことにより、その内容をなかったことにしたり実際よりも影響を小さく印象付ける。例として2020年の東京都知事選挙が挙げられる。
自作自演
メディア自身が自作自演を行うことをやらせといい、報道ではやってはならない行為である。
メディアリテラシーを扱った作品
ゴルゴ13
敵対者がゴルゴに対し追い詰める手段として用いたり、これを行ったことでゴルゴに排除を依頼される話が度々ある。
星のカービィ(アニメ)
第37話、「お昼のデデデワイドをつぶせ!」にて独裁者のデデデ陛下が、主人公カービィの悪評を国営放送で流す事で、自身の印象回復を図る。
「歴史はスタジオで作られる~」
ウルトラマンメビウス
終盤で、GUYS、ウルトラマン否定派の悪徳ジャーナリスト蛭川光彦が、メビウスの正体をワイドショーで暴露する事で、全世界にGUYSへの不信感を煽ると同時に、メビウスの地球からの排斥を目論んだ。
「GUYSクルー、ヒビノ・ミライです!……もちろんGUYSの連中もグルですよ。奴の正体を知りながらずっと隠してたんです!」
パワーパフガールズ
「ハッピーなペーパー( 英題:NEIGHBOR HOOD )」において主人公の一人、バブルスは、子供向けテレビ番組を利用した募金詐欺にひっかかってしまう。
「テレビはいつも絶対に正しい」
モジャ公
第10話、「地球最後の日」において詐欺師オットーは、偽の隕石衝突事件を演出し、地球人から金銭を集めた。
「この正直者!」
仮面ライダーディケイド
第16話、「警告:カブト暴走中」カブトの世界に登場する天堂屋のおばあちゃんがカブト暴走の報道に関して苦言を呈している。
「直ぐには飲み込んではいけないものがある。テレビの言うことと、正月のモチだよ」
また、平成仮面ライダーシリーズを放送するテレビ朝日自体の偏向報道がいわれており、ブーメランではないかといわれることがある。
なお、『ディケイド』自体のクリフハンガーや『仮面ライダー鎧武』における地図の盗作疑惑などで実際にBPOに苦情が入っている。
牙狼闇を照らすもの
敵幹部の一人リベラがテレビ局を悪用しているという設定。
第12話で「正義とは守るものじゃない、作るものよ」と流牙と莉杏を殺そうとするも、流牙を発砲したところをレポーターに扮した莉杏に生中継され、今度は自分が逆に犯罪者に仕立て上げられてしまった。
銀河英雄伝説
情報部員バグダッシュ中佐が旅立つ若者に対して、情報を見分けるための方法を説いている。
「世の中に飛び交っている情報ってものには、必ずベクトルがかかっているんだ。つまり誘導しようとしていたり、願望が含まれていたり、その情報の発信者の利益をはかる方向性が付加されている。それを差し引いてみれば、より本当の事実関係に近いものが見えてくる」
美味しんぼ
63巻「東西新聞の危機」にて、極亜テレビ社長の金上鋭が、主人公山岡士郎の父親海原雄山に対し、模造陶器の売買を行っていたという虚構報道をでっち上げようとするが、それが原因で『テレビ局の社長が主導になって捏造を謀る』という報道関係者にあるまじき重大事案となり、彼自身の失脚に繋がった。
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