概要
ポケットモンスターシリーズに登場する道具の一つで、ゲーム中に登場するポケモンの情報を記録するための端末。英語では「ポケデックス」という。
ゲームの序盤でポケモンを研究している博士やその関係者から託され、その完成を依頼されることで、主人公の冒険は本格的に幕を開ける。
シナリオ中ではこのポケモン図鑑を完成させることが主人公の大きな目的の一つとされているため、ポケモン図鑑はモンスターボールやキズぐすりといったどうぐとは違うアイテムとして扱われ、独立したカテゴリーの一つにもなっている。
なお、ミュウをはじめとした幻のポケモンは図鑑の完成には必要なく、シリーズによってはそれ以外のポケモンも完成の対象外となっている。
機能
- 図鑑を開くと、みつけた(種類の)数とつかまえた(種類の)数が表示される。
- 野生のポケモンやゲーム中のNPCが繰り出してくるポケモンが初見だった場合、図鑑にそのポケモンのページが自動的に作成され、姿と名前、鳴き声、生息地が記録される。
- 各種モンスターボールで野生のポケモンを捕獲すると、上記の内容に加えてそのポケモンの高さと重さ、簡単な説明文が追加され、そのページは完成となる。進化や他人との交換、NPCから譲られるなどして手に入れたポケモンも同様に扱われる。
シリーズが進むに伴い、ポケモン図鑑にも検索機能や姿の違い(オスとメス、フォルムチェンジ、色違い、メガシンカなど)、大きさの比較などなど様々な新機能が加えられているが、上述した機能はシリーズを通して一貫している。
デザイン
第1世代
赤い電子手帳型。操作は主に画面側にある十字キーや各種ボタンで行う他、カバー側にテンキーがある。
アニメ版では読み上げ時に青いランプが発光する仕様となっている。
FRLGでは携帯ゲーム機のような形状に変化した。
第2世代
ボタン側と画面側のカバーは独立しており、カバーを畳むとモンスターのマークを形成する。
青ランプは下部にある。
HGSSではカバーの数は一つになり、第4世代に展開された事もあって、タッチパネルとカバー側にある本ディスプレイの二画面形式に変更され、十字キーは健在だったが、4つあったボタンはと2つに省略された。
玩具版ではタッチペンが付いている。
第3世代
これまで同様にカバー折りたたみ式。モンスターボール型のマークはこれまでのシリーズにおける十字キーの役割を果たすスクロールキーであり、決定などは白い二つのボタンで行う模様。ランプは緑色に変更された。
ORASではデザインを一新し、初代ゲームボーイアドバンスを模したフォルムになった。機体を展開すると緑色のボタンが二つ現れる。モンスターボール型スクロールキーは健在であり、スタートボタンとセレクトボタンに当たる部分は何のためのボタンかは不明。
第4世代
ニンテンドーDSで発売された事に倣い、DSのような二画面形式となった。折り畳み型もDSと同じ。
基本的にスクロールは十字キーで行うが、下画面で様々な操作が出来るように。左側のボタンではポケモンの検索や図鑑の切り替え、上下ボタンでは図鑑の最初のページあるいは最後のページに移動する事が可能。モンスターボール型のマークは第3世代と同様のスクロールキーであり、十字キーよりも手早くスクロールが可能。また鳴き声や分布機能の使用に際して下画面も切り替わる。スライドして現れる緑色のボタンで決定、右側にあるボタンでそれ以外の操作を行う模様。
なお、女の子用の図鑑はピンク色である。
第5世代
ウォークマン型。上画面はスライドして展開させる。これまでの赤の割合が多かった図鑑では珍しく、グレーの割合が多い珍しいカラーリングが特徴。モンスターボールマーク部分は男の子用は赤く、女の子用はピンクになっている。なお、決定は白いボタンで行う模様。
第6世代
タブレット端末型。通常時は正方形でサイズも大きめという歴代ポケモン図鑑でも異色なタイプ。
モンスターボールの開閉を意識したデザインで、上下に展開する事で起動する。画面はタッチパネル形式の模様。
第7世代
タブレット端末型で、タウンマップなどこれまでの携帯端末に搭載されていた機能が追加され、デザインも前作よりも現実のタブレット端末に近づいた上、最大の特徴はロトムが融合した事で自我を持っている事にある。詳しくはロトム図鑑を参照。
第8世代
スマホ型…ではなく、公式でスマホそのものと明言されている。第7世代同様にロトムが融合している。
詳しくはスマホロトムにて。
LEGENDSアルセウス
第4世代のシンオウ地方の過去を描いた作品であるため、歴代初の紙媒体となっている。アニメでのオーキド博士やポケモンウォッチャーのケンジのスケッチブックがこれに近い存在と思われる。
これまでの図鑑とは異なり、特定のミッションをこなす事で上がっていく研究レベルシステムが搭載され、ストーリーを進める鍵となっている。
ちなみに余談だが第一世代の少し前までは紙媒体の図鑑だったらしい。
NEWポケモンスナップ
フォトアルバムなので、電子機器ではない。
従来通り、ポケモンの生態を解説しているが、本家との最大の違いは写真撮影ゲームである為、プレイヤーの撮影した写真を掲載していくという方式で1ページにつき、4枚まで掲載できる。また、撮影対象の行動によって星1~星4までの評価に分類される。
ポケモンレンジャー
キャプチャ・スタイラーにブラウザ機能があり、事実上のポケモン図鑑となっている。
地方図鑑と全国図鑑
ポケモン図鑑には、そのシリーズの舞台となる地方を対象とした地方図鑑と、それまでの全シリーズに登場した全てのポケモンを網羅するための全国図鑑が存在する。
第3世代から第6世代においては、ストーリーの後半や一度EDを迎えた後で地方図鑑から全国図鑑へのアップデートが行われており、第4世代からは全国図鑑のコンプリートが「地方図鑑を埋め終わった者への新たな目標」という位置付けになっていた。
第7世代からは全国図鑑がポケモンバンク、ポケモンホームといった玄人向けコンテンツ限定の機能となり、ゲーム本編内ではその存在が語られなくなった。
地方図鑑の中でさらに細かく分類されるケースもあり、XYの舞台となるカロス地方では図鑑がセントラルカロス、コーストカロス、マウンテンカロスの3つに分かれており、サン・ムーンの舞台となるアローラ地方ではそれぞれの島に対応した図鑑が存在する。
ポケモンに振られている番号は地方図鑑ごとに異なっており、例えばカントー図鑑のNo.001はフシギダネだが、アローラ図鑑のNo.001はモクローである。
一方、全国図鑑では赤・緑(001~151)→金・銀(152~251)→ルビー・サファイア(252~386)→ダイヤモンド・パール(387~493)→BW(494~649)→XY(650~721)→サン・ムーン(722~807)で追加された順に番号が振られている。
ポケモンGOでも似たような扱いだが、「第7世代を過ぎても全国図鑑がデフォルトの機能として存続する」「地方図鑑内の分類がない」などの細かな違いがある。
完成の特典
シリーズによって異なるが、地方図鑑を完成、或いはその地方に生息する全てのポケモンを発見するとまるいおまもりが、全国図鑑を完成させるとひかりおまもりがご褒美としてもらえる。
まるいおまもりは育て屋でポケモンのタマゴが見つかりやすくなり、ひかりおまもりは色違いのポケモンに出会いやすくなる。
また、ゲーム中のどこかにいるゲームフリークのスタッフに完成した図鑑を見せると、そのスタッフが主人公を表彰してくれる。
なお、サン・ムーンとソード・シールドには全国図鑑が存在しないため、おまもりの入手方法も異なっている。
アニメでのポケモン図鑑
CV:三木眞一郎(無印・AGバトルフロンティア編・DP(コトネ・カズナリ用))/林原めぐみ(AG)/川上とも子(DP前期)/雪野五月(DP後期)/石塚運昇(BW・XY)/浪川大輔(サン&ムーン・新無印(コハル版))/マリナ・アイコルツ(新無印(ゴウ版))/堀内賢雄(新無印(サトシ版))/大谷育江(新無印(ロケット団版))
アニポケにおけるポケモン図鑑は、主人公が空白を埋めていくゲーム版とは違ってサトシたちが手にした時点で研究者たちが集めた大半のポケモンのデータが入力されており、図鑑を起動させてポケモンに向けると音声でそのポケモンの解説をしてくれるなど、文字通りの“ポケモン図鑑”としてトレーナーをサポートするためのアイテムとなっている。ロケット団のニャースが違うポケモンに変装していても、瞬時に見分ける事が出来るほどの機能性を持っている。解説は原作ゲームと全く同じとは限らず、アニポケ図鑑が初出の設定も多い。
他にも手持ちポケモンのステータスやアイテムの情報、トレーナーの心得なんかも収録されている。
伝説のポケモンや幻のポケモンについてはデータが入力されていないか、ごく僅かなデータしか入っていないことが多い。この他、他地方のポケモンのデータに至ってはそもそも内蔵されていない事すらある。
メタ的にはゲームに実装されているポケモンのデータのみ掲載されているので、サトシはシリーズが更新されるごとにポケモン図鑑を機種変している(無印1話でホウオウに、AG最終回でエレキブルに図鑑を向けても反応がなかったのはその為である)。
現実世界と同じように端末には更新プログラムが内蔵されており、新種のポケモンが発見された時は、公衆型テレビ電話などで情報をアップデートする事が出来る。
またこの図鑑は身分証明書も兼ねており、ポケモンセンターなどの公共施設の利用や、ポケモンリーグの参加登録の際に役立つ。再発行は不可である。
所有者によってボディの色が異なる場合がある。
ちなみにポケモンからの干渉を受けて電源が切れる事もあるらしく、ヒトモシが自分たちの目的を悟られない為に電源を切るという芸当を披露した。
ロケット団は該当する機器を持っていない為、コジロウの持っているポケモンカードで情報を探るというシーンがDP編で見られた。新無印編では新たにスマホロトムを得たため、ポケモンの情報に不自由する事はなくなった。
初代で図鑑の音声を担当した縁からか、ポケモンKidsTVの「おやすみポケモンずかん」では三木眞一郎氏が読み聞かせを担当している。
ポケスペでのポケモン図鑑
機能は概ね他のメディアと同じだが、オリジナル設定として指紋認証機能、波動を放ち進化をキャンセルさせる機能、ポケモン達の感情の機微を見る機能が付いている。
また、現地図鑑から全国図鑑にアップデートするという流れも原作と同じである。
ただし、アニポケのように多数のトレーナーが持っているものというわけではなく、博士に認められた子供達が所有する一点物という扱いで、所有者を総称して「図鑑所有者」と呼ぶ。
この点で言えば、デジモンにおけるデジヴァイスに近い役割だと言える。
余談
図鑑の説明文に書かれている内容はビルでもぶっ壊すだのタンカーでも沈没させるだの近代兵器の攻撃でも平気だのとんでもない内容であることが多い。本当だったらクサイハナは出した瞬間敵も味方も失神し、カイリキーに殴られればジムの壁にめり込み、バンギラスが暴れた後には町が無くなっている。ポケモンの企画がウルトラセブンのカプセル怪獣のオマージュという事もあって、怪獣じみた解説になるのは当然の成り行き…なのだろうか?中には伝承や噂の類を紹介している物もある為、信憑性が疑わしい時があるのはご愛嬌。
図鑑解説にやたら馴れ馴れしかったり、曖昧な表現が使われていたり、内輪ネタくさい文があるのも、昔の怪獣図鑑ではよくある事。いにしえの特撮ファン御用達の勁文社の図鑑の例を挙げてみよう。モスゴジラの頂では「すみれの予言通りに現れた巨大蚊害獣。こんなのに血を吸われたら1回で干からびるぞ!」という文が出てきたり、サビムシラーの頂では「人間の体内で成長する、迷惑な奴。糸縛りとサビ菌を使って攻撃を仕掛けてくる怪物28号。」という解説が出てきたりするので如何にポケモンがそういった文化の影響を受けているかがわかる(英知出版刊「全怪獣怪人大事典上・中巻」(2003)より。原文ママ)。
また、近年の作品にはより現実の生物じみた解説というかブラックすぎる解説がなされる事もあり、賛否両論の的になることがある。ポケモン図鑑はあくまでポケモンの一側面を切り取った物である以上、解説がそのポケモンの全てという訳ではないという事には留意したい。(図鑑では凶暴なポケモンとされるポケモンでさえ、トレーナーの指示をきちんと聞く。)
一部ではそうした図鑑説明は概ねその地方の文化やシリーズのテーマに合った内容になるがゆえではないか?という考察がある。(例えば第7世代であれば「生態系」に重きを置く、第5世代であれば「人とそのポケモンの関係」に重きを置くなど。それでもやりすぎ感が否めない解説があるのも事実だが…。)
また、ゲーム内の図鑑以外にも、小学館のコロタン文庫などから発売されているアニポケ寄りの内容になった書籍版のポケモン図鑑も存在しており、そちらではゲーム内では明かされなかった設定を公開する事もしばしば。
初代の図鑑テキストの記入を担当したのはポケモンの生みの親である田尻智氏であり、曰く、ショッカー怪人やウルトラ怪獣を参考にしたと言う。鳴き声なども参考にするべく、古本屋で関連書籍やソノシートを探し回ったとの事。やはり、特撮ものに大きな影響を受けたのは間違いない様子。
シリーズが進むにつれてポケモンの数が増えているため全種類集めるのは一苦労なのだが、pixivには全種描いてやろうじゃないかという猛者がいるので、そちらも併せてみていただきたい。
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一部の図鑑で犠牲になっている。